2017年12月9日土曜日

2017年11月のうたの日の自作品30首。

「入」
ブリューゲルの村の踊りに入りぬれば君かもしれぬ村娘いて

「いい」
娘にはいいことがあれ、おっさんはそうだな詩心(しごころ)など持てばいい

「意味」
もう中年ラスコリニコフに意味を問う詩のような目の斧もつ少女

「医」
「この中に」(医者か?)「詩人はいませんか?」「歌人でしたら」「歌人は、ちょっと」

「再」
うたびとの声がふたたび戻るまで話題の若手の話NG

「擬音」
建設の槌音ダダダこれは壁完成したらもう戻らない

「ブックカバー」
裏返したブックカバーの参考書もうきみはここに飽きたのだろう

「性」
参考になるものですか二足歩行の一過性なる文明なんて

「レンガ」
きみの名の列火(れんが)の部分が燃えている文明もときに欲しがる野蛮

「自由詠」
ゆらゆらの長き焔(ほむら)に守られていな塞がれて現在のあり

「穴」
白鳥の穴場であったこの池も現在は長い目が追いかける

「ギリギリ」
腐っても鯛と男は呟いてギリギリ腐りながら長旅

「僕」
歴史上に名前がのぼったことがない僕の先祖の半分が男

「火曜日」
なにごともない火曜日の男、窓の南天の実が揺れぬのを見つ

「弓」
実際に突然ラブストーリーあらばかく弓なりの小田和正よ

「黄」
家の窓を黄色に塗ったさっきの子が抱えるストーリーが気になる

「杖」
玄関にニスつややかに塗られたる杖ありあるじを待つにあらねど

「チャンス」
誰もいない今がチャンスと角を曲がる監視カメラがさあ待っている

「馴」
からころも来つつ馴れにし君にあればカメラ越しには見知らぬ美人

「アレルギー」
守りたきつよき願いに苛まれ闇に逢いつつわが美男美女

「赤ちゃん言葉」
秋ゆえの無闇矢鱈の寂しさを寒さにすり替え生きており、ばぶ

「品」
要するに人畜無害、交替が宣言されても上品に笑み

「ブレーキ」
踏んだのはブレーキだった、綾鷹を買って一つの終わり宣言

「つむじ」
終わってもつむじの向きで伸びるだろう、もちろん髪があればではある

「待」
寝て待って待てど暮らせど果報とは縁遠いのに南向きの部屋

「凸」
男嫌いのきみのなかではぼくもただの凸なんだろう、遠すぎだ春

「ドレス」
華やかで嫌いなドレス着せられて幸せそうな笑顔じゃないの

「大学」
大学で汚れたんです幸せをシャーペンでカリカリガリガリと

「渦」
愛憎は渦なして減る、浴槽の湯が抜けたあとふやけた汚れ

「蔓」
鏡から蔓草伸びてくるほどにミュシャ的美人でふやけたニート

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