2019年9月8日日曜日

「『降る雪』抄』10首。2009年

「降る雪」抄     2009.1.4


2009年に降る雪に我も降られつつ額(ひたい)の熱は水を垂らすも

故郷(ふるさと)に降る雪これが染みとおり流れる頃に男はおらず

日本海に降る雪はまさに次々と消えてゆく、かく夢は厳しき

杉に降る雪の斜めに積もりゆく春の噴射の養分として

水田に降る雪しんと美しかり、菱形群の向こうにお前

子と犬に降る雪、犬は驚いて子は喜んで我は寂しくて

女に降る雪の明かりのほの白く瞳(ひとみ)と言葉が違う顔なり

雪に降る雪の真白は閉ざされてそのような君の本音ではある

町に降る雪? ああ、蕪村の楼台図その一軒の資格は遠し

空に降る雪は私を持ち上げて宇宙すなわち此処へと運ぶ