2018年1月8日月曜日

2017年12月うたの日自選と雑感。

新年あけましておめでとうございます!

というのは、もう書きましたね。今日はもう成人式ですし。
今年の成人は123万人で、昨年の出生数は100万を割ったニュースがありました。
今日の成人が40歳になる20年後は、80万人を割るかもしれない。そうすると出生数は75万人を割る。
もちろん未来には何が起こるかわからないので、上昇に転ずることがあるかもしれない。

今年の成人で、こんご、短詩型文学に深くかかわる人はどれくらいいるだろう。

現代は、娯楽が多い時代なので、その時間を、短歌に使う人は、決して多くない。今年、短歌は、どんな変化をするであろうか。それとも、しないであろうか。


自選。

「順」
先どうぞお先にどうぞ西の空が染まって沈み順番どおり

「凡」
いてふさえ同じ形にあらざるに凡そわたしは誰かの代わり

「自由詠」
おおかたが道を誤りゆくときにモアイ職人は良くモアイ磨く

「惜」
惜しまれることなく去っていきました私のことをちょっと見ました

「鼻」
一年が見下ろせそうな高さからわかった、鼻の差だったじゃん愛

「はちみつ」
はちみつの甘さに甘く包まれてやがて身動き出来ない甘さ

「さん」
ざらめ降るあられ食べつつ吉岡さんの指輪がないこと気づいてしまう

「たっぷり」
そうあしたたっぷりリンゴが届くので電話をするよ喜ぶだろう

「幻」
地図にない幻の島をぼくはつくりきみに食べさす、もんじゃともいう

2017年12月のうたの日の自作品31首。

「走」
犯人は逃走中でぼくは膝を落としてガチョーンのような手つきで

「希望」
レアチーズケーキにエスポワールとかたいそうな名の(ひと口)マジだ

「順」
先どうぞお先にどうぞ西の空が染まって沈み順番どおり

「プランクトン」
「オッケーグーグル、プランクトンの作り方」「あなたはもしや神になる気で?」

「利」
兄弟だもんなあこんな状態で利害はひとまず置いた笑顔で

「凡」
いてふさえ同じ形にあらざるに凡そわたしは誰かの代わり

「堅」
山茶花の花よりも葉を思わせて触れて実感したき堅さは

「電話」
聴き取れぬほどかすかなる告白もエシュロンにしかと傍受されおり

「砂糖」
あの雲が砂糖となって降ってこいベタつかないさメルヘンだもの

「自由詠」
おおかたが道を誤りゆくときにモアイ職人は良くモアイ磨く

「罪」
地下の壁を濡らして苔も生えているが光りはしない罪のバレねば

「惜」
惜しまれることなく去っていきました私のことをちょっと見ました

「絆」
箸で上げると絆がぶらり繋がってる、端から順に食べるからいいよ

「自由詠」
気まぐれなきみの気ままな左目に生真面目だった記憶がきらり

「左」
左翼右翼がうまくばたばたやり合ってほんとにこれは飛べるだろうか

「銀」
きわまった世界のようだ銀色にスプレーされた樹木おそろし

「章」
間違ってもあははって言えばうれしくて章魚(たこ)はどの手で頭かくかな

「鼻」
一年が見下ろせそうな高さからわかった、鼻の差だったじゃん愛

「園」
一瞥で恋を知るまでマリユスはもの思いつつゆく苗木園

「マッハ」
きみのもとへ心はマッハで飛んでゆく、かなりうるさいけど受けとめて

「同」
この道を同じ思想で歩みいしがこの先も同じ道は歩こう

「酸」
褒められて嬉しいときの酸っぱそうな顔があなたの来歴いとし

「はちみつ」
はちみつの甘さに甘く包まれてやがて身動き出来ない甘さ

「七面鳥」
極東のわれら犠牲は少なくて年の瀬サンダース氏に遥拝

「さん」
ざらめ降るあられ食べつつ吉岡さんの指輪がないこと気づいてしまう

「象」
鼻もないきみたち人の悲しみも大きいなんて鼻で笑った

「たっぷり」
そうあしたたっぷりリンゴが届くので電話をするよ喜ぶだろう

「事」
思うのだロフトからしろい顔を出し「来る?」って言われ断ったこと

「コタツ」
申し訳ございませんと言いたげにコタツから覗くきみカタツムリ

「幻」
地図にない幻の島をぼくはつくりきみに食べさす、もんじゃともいう

「暮」
残る日はになにをくれるというだろう暮れてゆくのをおろおろ待てり

2018年1月2日火曜日

2015年12月の自選と雑感。

謹賀新年。本年も、ゆるゆると、おつきあいいただければ、さいわいでございます。

結局、昨年を振り返るのも中途半端になってしまって、いろいろありましたですね。

何が有りましたっけ? 歌会こわいなどの時評問題などの、新聞、雑誌、結社誌からの話題がツイッターで急速に消化されるような現象がちょいちょいありましたね。

テルヤ的には、万葉読みを中断し、うたよみんのあいうえお短歌を5周で終え、日付と時事短歌を止めました。それから、不自由律短歌や、返歌球を試みたり、いちごつみに乗っかったりしました。noteで連作の試みもしてたな。
あ、コレイイナたんが誕生したのが、一番大きいかも(笑)。

今年も、わたしも、あなたも、ちょっといいよそ見の時間がありますように。


2015年12月の自選。

思い出の消去ボタンが作られて、今間違えて消した気がする

人生は有限だった、日常が無限っぽくていつも忘れる

この山はドクロの花が咲くらしいああこれツツジと読むのか、だよね

ドクロ山の坂の途中でませていた君にほっぺを舐められたこと

眠るとは死んでいるんだ明日はやく生まれるために今日はやく死ぬ

木守柿にはあらざれど点々とだいだい色の灯る夕暮れ

人生は肯定された! あとはまぁ長からず楽しんでおいでよ

死に方の未確定なるひとびとの孤独だったりじゃれあうを見る

夜の空があまりに黒い色なのでもうぼくたちは死んでいたのか

ひさかたのひたひたの雨、植物が嬉しそうにてわれは冷えおり

横断歩道歩き出したるセキレイの半ばにてやはり飛びたちにけり

入力の指が「ひゃほお」と打ち込んでヤフーが出るのでひゃほおと思う

もう前に進みたくないぼくといて君が隠れて見ている明日

ぼくはぼくの天才歌人万葉のジャンルでいえば挽歌に近き

飛び降りて君はすぐ死ねただろうか森の夜の冷たい雨おもう

ときおりに君に流れる方言のすこし遅めの空間を好く

退屈とスリルのはざま、バッハとはたしかに憧れいたる青年

ぼくたちは空を見上げずうなだれて端末に明日の天気を訊けり

しずかなる家に砧の音たてて人待つような君にあらなく

内臓が同じつくりであることが不思議、機能のうえに生きつつ

一村とアンリルソーの東西というか南北の違いをおもう

いろいろをぼくは忘れて生きている被害よりなお加害について

年末のオレンジ色の空もいい、人間にとって終わりの時期に

思わずに呼びかけている神様よ一気にどんとやってくれぬか

2018年1月1日月曜日

2015年12月の62首。

にんげんに蛇の道とか蝶の道、わが眼前に自然はひらけ

天才的敗戦処理のピッチャーのその才能を潰す努力は

きみの上をすべり落ちてくぼくはまだ言葉を立てているのだけれど

思い出の消去ボタンが作られて、今間違えて消した気がする

人生は有限だった、日常が無限っぽくていつも忘れる

人ひとり入れたらさみし、いちまいの風景の奥を歩いてゆかむ

ピラミッドパワー信じていた頃の四角錐から逃げしバッタよ

体調がとても良いので休みますやりたいことがなにもないほど

清志郎の上目遣いの顔をするオランウータンとやや見つめあう

この山はドクロの花が咲くらしいああこれツツジと読むのか、だよね

身に付けた金属だけが光りおり帰り道ついに言ってしまえば

ドクロ山の坂の途中でませていた君にほっぺを舐められたこと

眠るとは死んでいるんだ明日はやく生まれるために今日はやく死ぬ

木守柿にはあらざれど点々とだいだい色の灯る夕暮れ

飴なめるときくちびるを尖らせる君はまんざらでもないデート

人生は肯定された! あとはまぁ長からず楽しんでおいでよ

関係がぶち切られそこの痛みつる傷口は見えねども赤かり

そうやってすぐに自分をいじめるのパノプティコンっていうんだってさ

愛情を一方的に求めては叫ぶ一羽の鳥から習う

浴槽でくしゃみをすれば大波の被害甚大にて顔沈む

黒髪の黒い長靴の女の子頭を振って踊りはじめる

朝の鼻をかんで赤きが混じるとき検索をする加湿器がある

死に方の未確定なるひとびとの孤独だったりじゃれあうを見る

夜の空があまりに黒い色なのでもうぼくたちは死んでいたのか

人生がメロディとして、上昇も下降ももがき来て無伴奏

いさましき高温が耳を通りぬけ朝から平沢進はたのし

もうちょっとタナトスの水を浴びながら暗闇で目の光るのを待つ

芸術で飯を食ってはいけないと売らねば半泥子の名はあるか

小首傾(かし)げてみみずは思うこの時代の是非とそれから小首のことも

ひさかたのひたひたの雨、植物が嬉しそうにてわれは冷えおり

われを追い階段を登り来るサメの身の剥げてゆくあかき夢みる

人生のもろもろに「ごっこ」つけてゆきそれがイヤならそれが犯人

僕たちは比喩に覆われ剥きゆけばこんなに柔らかい生(せい)はジェル

横断歩道歩き出したるセキレイの半ばにてやはり飛びたちにけり

死ぬときにその後の世界を見せられてこれ知ってると思うべからず

福山を聴いているときイケメンの成分みたいなもの入らぬか

現実より景色を少し優先し書きとめている詩人のことよ

入力の指が「ひゃほお」と打ち込んでヤフーが出るのでひゃほおと思う

もう前に進みたくないぼくといて君が隠れて見ている明日

続くことを美徳にしてはならぬのでアプリの催促もスルーする

ぼくはぼくの天才歌人万葉のジャンルでいえば挽歌に近き

飛び降りて君はすぐ死ねただろうか森の夜の冷たい雨おもう

繊細な心いちいち傷ついてまだメリットの多ければなり

エゴとしていくさの遠いところにてくだらぬ生をたのしみたかり

オルガンが電気の音にひびくときバロックはふと前衛にあり

ときおりに君に流れる方言のすこし遅めの空間を好く

退屈とスリルのはざま、バッハとはたしかに憧れいたる青年

毎日を地味に地道に行く君に西洋長屋銀座へ誘う

火山とは火を吹ける穴、地の奥の黄色い闇は情熱に似て

グールドと嘉門達夫を勧めくるアマゾンよおまえ(すごい/ひどい)な

ぼくたちは空を見上げずうなだれて端末に明日の天気を訊けり

メゾチントで何度も強く押し込んだ闇のようなる夜かとおもう

親しきに礼あるごとく飼い鳥のつばさに触れる間もなく逃げる

しずかなる家に砧の音たてて人待つような君にあらなく

内臓が同じつくりであることが不思議、機能のうえに生きつつ

一村とアンリルソーの東西というか南北の違いをおもう

いろいろをぼくは忘れて生きている被害よりなお加害について

年末のオレンジ色の空もいい、人間にとって終わりの時期に

思わずに呼びかけている神様よ一気にどんとやってくれぬか

フォネティックコードの君のアドレスと気づいたけれど地雷であるか

ぼくの目が君を見るとき笑っちゃうほどみどりなり形容として

スライドショーに小田和正が流れいて現代の走馬灯であるか