2024年6月21日金曜日

2017年09月の短歌など

あるきっかけがあって、2年以上して、自作のサルベージをひさしぶりにする。サルベージして、自選もしていたが、2017年07月からは、自選だけを載せているようだ。さぁて、どうなることやらら。


真夜中に髭を剃りだすこのわれを無視してやさしき家族のありぬ

どこでもドアを手に入れたのでこれからはすぐに駅までいけて嬉しい

薬と水溺れそうにて飲んでいる水飲むの下手でやや可愛らし

きみに似たたましいの子がかつていてごめんその子をしばらくおもう

存在を宇宙で一番この俺を肯定しなきゃならないところ

再びのバラバラのため進化せよインターネットという孤立主義

定型はある種の元気、そこまででないものは自由律のタグつけて

立っている後ろ姿の靴底のいびつな減りも切なき景色

いきるのはつらつらつらしつぶらなるひとみのひかりまたひとつきえ

ペンネームにも人格あらばこの表現はちょっと作者に相談しよう

明日からも消え入りそうに生きていく決意を込めて、おやすみなさい

逃げ場所があればいいけどぼくはぼくをルービックキューブみたいに変えて

さまざまな色で描かれたカニだからさまざまな明日をまっすぐ横へ

外人と朝のホームを並走すアーユーハッピイ? アイムぼちぼち

この電車はもうとめませんお客様のご理解ご協力ご覚悟を

"J"を冠してさも新しい感覚の時代があった、J日本人

JジャパンにまたJを付けまたJを付けて、これじゃぁおみおつけじゃん!

ごきぶりが夕方の町を飛んでいる僕らも平和を希求している

遅々として生きると決めたこの俺の足並みを真似してもいいけど

認めたくないのだわれの青春のソリティアやってた分の遅れは

かなしいじゃあーりませんか人間がいまいるところがつらいだなんて

今日もきみは薄く笑ってでもそれはダイジョウブルー、水底(みなそこ)の青

人はまた権威に帰りゆくを見るエーデルワイスをハミングしたし

Blackbirdのイントロを弾く、ぼくだけが覚えてそうな思い出のため

生命に危険及ばぬ詩を憂いて佐佐木幸綱のさかずきの酒

革命中に詩は生まれぬと言ったのは魯迅だったか、まだ在るのか、詩

奪はれるのは言葉だけかは、愛国の印に和歌のよみがへる明日

きな臭いのきなってなんなの? きぬ擦れの君に尋ねて喃語のごとし

愛し合うのに身体がいるのとあまりにも真顔で訊かれて嘘を答える

もう死にたいと子に漏らし笑う 子の我も微笑んでこの話は終わり

心臓がトマトだったと見つかってもう学校で広まっていた

シジフォスの昼の休みは短くて缶コーヒーを数分で飲む #ギリシャ神話ただごと歌

自撮り中に水に落ちたるナルキッソス、B612の文字消し忘る #ギリシャ神話ただごと歌

秒でファボ、分、時間そして日にてファボ、年のファボやがてその死へのファボ

ポエ爺もポエ婆もいま目の前のゆふちふ婆ほど稼ぐ能わず

パンが無いからケーキを食って革命だ、銀の食器で牛丼を食え

ビルほどの耐震構造もたざれば屹立ったってか細き一首

絶唱にならなくたって短歌とはつまりひとりであるってことだ

新宿の沖縄居酒屋おれたちもミミガー! ミミガー! こよいの祭り  #ラピュタ

きみとバルスしたい世界にきみはいず手もつなげずにほんと、バルスだ #ラピュタ

おまいさん今夜バルスを決行よ品川心中くらいの覚悟 #ラピュタ

実在を疑っているラピュタよりシータやパズーのような純粋 #ラピュタ

今日のうちにバルすかバルさぬかを決めてバルさんとする、害虫は死ぬ #ラピュタ

「チョコレートクリームチップフラペチーノ」覚者は七歩あるきて云へり

この夏も田舎のばあちゃん特製のチョコレートクリームチップフラペチーノだ!

雅とは牙をかくまうことならば書いた時点で隠せていない

君はきっと他にはいないという意味でオンリーユーと言ったオンリーミー


長歌「絶唱」

絶唱と 呼ぶべき一首 成したれば 死して悔いなき ものなるか  さあれ昨夜の こと切れし 歌人の胸に 絶唱の ひらめきおれば 惜しまれて よきかなしみか さだかならぬも

 反歌

絶唱を胸にいだけば短歌とは何首必要なる人生ぞ


川柳

誕生日のろうそくに太陽フレア

太陽フレアのせいで太陽フレアの句

素潜りのぷはっと太陽フレアかな

職探しは太陽フレア過ぎてから

市民課に太陽フレア相談室


俳句

曼珠沙華揺らした風にダンプカー

竈馬なみだにつゆも興味なし