2019年5月4日土曜日

2017年02月の自選と雑感

令和っすね! 平成中はお世話になりました。いまこうしてこれを読んでくれている人と出会えたことは(ほとんど直接出会ってはないだろうけれど)、不思議で、ありがたいことです。

令和時代の表現がどこへ行くのかわからないし、自分の表現もどこへゆくのかといぶかしい日々です。
照屋沙流堂の作品も、あと1年ちょっと分を、はやくツイッターからここのブログに移動してしまわねばなりません。今回は98首を自選して33首だけれど、こういう作品って、どのように読まれるのかしら。時々評判が気になったりします。楽しく読んでもらえるとよいのだが。


自選。

底で闇で零で黒なるうたびとの負のちからプラスにいたれかし

胴体を草が貫きたる鳥がわれを慕ってくる夢かなし

正しさが試されている、にんまりと枇杷色の歯を見せる老婆に

忘れられる権利さておき千年前のテンションたかき恋歌を読む

身体から毒を出したらすっきりとするというおぞましき空想

歌が上手い歌手がだんだんビブラートがうわずってゆくあわれなりけり

冷めているゴーヤチャンプルそぼそぼと見解がもう合わないにがみ

それは目に見えねば言葉を網にしてひっかかるまで投げるしかない

釜玉に続いてぶっかけ小を食い寝る夢はついヤマタノオロチ

ウイルスかウィルスかビールスかヴァイラスかどれでもよいが具合が悪い

離反者も弟子の振りする、フリスクをかじりつつ途中まで言わせとく

ほんとうの歌をいくほど残すだろう体裁のよき歌の背後に

ぶよぶよの大地を生きる民としてステップは苦手手振りは得意

人間に生まれ変われるつもりかいメイクアメリカグレートアゲイン

透明なあやとりをつづけていたよ不在になったきみの番まで

深夜いっせい死者よみがえりくるごとく歌人のボットが並びはじめる

死ぬ日まで空を仰いで、弾圧のない現代詩にない空の青

振り返るきみに笑まざるわれなりき大事なことは一瞬なのに

ムーンリバーが流れてきみといたのです年をとったら泣くんだろうな

親父は喜び母は悲しむ一日(ひとひ)なり出家の決意述べてしまえば

王朝はつね永遠の夢を見る火種を赤き水で消しつつ

誰もみなたった特別になりたくて自分の名前は逆からも言える

ほとんどの人にはあまり意味のない点灯夫今日も灯りをともす

幼児用椅子に描かれたミッフィーのやぶけて黄色いスポンジが出る

稲荷橋のバス停できみはバスを待つさっきの涙はさっきで終わり

簡単に書いたものゆえ簡単に残らないのかもう消せらせら

短歌ってなんだったんか、きみと始めてきみいなき世にいななく一首

草の中もぞもぞ動きすっきりと風呂上がりみたいに汚れて犬よ

信念を貫くことにとても似て長生きは馬脚のはじまり

人間は未来になんて進めないくるくるぐるぐる生きているだけ

ひとり抜けふたり抜けいつかしづかなるタイムラインよ、夜ひらく梅

ここでいまテレビを流し向かい合い食事をしている、深い意味がある

往年の国民作家は笑むときに労働者めく吉川英治

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