2019年11月10日日曜日

2017年05月の自選。

自選。
BitchesBrewのような屁が出て人間はそんなに俗になっても平気

国際人は無国籍とは異なると学校新聞に書きし若さぞ

この人もミモザの花をうたうときレイヤがひとつうわずる人だ

売れ残りの金箔入りの酒を舐めおめでたかった日々のきらきら

生きている意味って何だ、長い猫は今日も一日ゆっくり長い

自分にはもっと素敵な嘘をつけけっこう騙されやすいんだから

たんぽぽは根っこがとても深いので踏んでも踏んでも死なないのです

死に場所でオレの形は決まるから桜、いや海、いや君の膝

その気持ち百年経って気づいたら涙がつたり、誰も無き夜に

最新鋭だった天文機器で見る宇宙がとても、最新だった

ただ単なる善人は役にたたざると本間俊平信徒を語りき

強情に負けてよかった、山奥のダムの水面(みなも)に遅めの桜

歴史上の歌人もボットでよみがえりみな横書きを強制されつ

この犬が五月の昼のぬるま水で命をつなぐ愛の記憶と

この星の腐る匂いがわからない? そうかこの星生まれだもんね

こんなにも尊い人間存在が新宿ホームにうじゃうじゃといる

襲いたい襲われたいと気づかずに善意すぎない善意を話す

正しさの為に悪まで身を落とし君はもう考えたりしない

生き物はずっと脆弱、脆弱がぜいぜい言ってお前を守る

大木が宇宙にいっぽん叫びたいほどの孤独だこれがいのちか

浅はかな修辞に飽きて朝飯の納豆がすこしざりりとうまい

パブリックを一日抜け出す名作をパブリックなき俺らが真似す

エイプリルフールの日にも苦し紛れの醜い嘘を言ってた君よ

嘘泣きのゔぉえーの声が思うより深かったので悲しくなりぬ

生きてれば幾分眠いということでかの聖哲もあくびする夜

あたたかいほのぼのねばねばした気持ちでスニッカーズのような電車で

助かったサギは田植えの機械から離れて蛙の浮かぶのを待つ

ピンペルル、ガウケルルには才能は関係なくて飼い主が好き

誰からも好かれたいからどうとでもとれる短歌ぞ、お互い無傷

走る女の胸を見るのはセックスをしたからだろう死ぬまでつづく

あやまちではあるのだけれど侮辱にもニコニコしててきみというやつ

右も見ず左も見ずに生きてればそれもけっこう羨ましいよ

B面にオートリバースする時の途切れも覚えてしまった脳よ

ほんとうだ死んだら足が要らないねえだけどなかなか進めないねえ

かなぶんの死骸を避けて境内でシャツを絞って、ふいのくちづけ

教えられた事が出来ない後輩が透明な笑顔している午前

水族館の魚のようにタイムラインのぼくは君には触れられず寄る

「愛情するより友情したい」という歌の意味を子供に訊いてきた母

#俳句
有終の美とはいやらし盛り藤

チューリップ自然のなんと作り物

春の月落下はとうにあきらめた

鈴蘭が渇く政局みぎひだり

藤終わり主(あるじ)ばかりの見ゆる棚

春月夜あしたはだしを見せましょう

どくだみにそれは言わないあっぷっぷ

春の窓に包丁かざす、しかも比喩

黒豆茶春の速度で二人きり

酩酊のごとき死、初夏の缶ビール

キスの日ぞジントニックは三杯目

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