2020年5月6日水曜日

ふらくた連句#7

ふらくた連句「今宵は雨に」の巻

照屋沙流堂・・・沙流
野原豆・・・豆
袴田朱夏・・・朱夏
くらげただよう・・・洋
寿々多実果・・・多実果
小澤ほのか・・・ほのか
石川聡・・・聡

1 おぼろなり今宵は雨に散るさくら
沙流

2 涙を拭い踏み出す一歩

3 帽子は忘れたけどくれてやる
沙流

4 しゃらしゃらと葉を揺らす雨嫋やかに

5 また来年も春に逢いたい

6 狼は丘に立ちて、のち去る
沙流

7 蝙蝠の群れて一家は夕焼けに
朱夏

8 シチューのような窓の明るさ
沙流

9 回さずにじっと眺める月球儀

10 あなたの見ているほうが裏です
朱夏

11 着るときに表にしろと畳む服
多実果

12 雨ふるまえの部屋のしずけさ
沙流

13 夏燕飛びゆく空に雲はなく
ほのか

14 アスファルトより黒々と影

15 すりむいたひざの分だけ少年は
朱夏

16 濤乱刃なる小刀かくす

17 「おいそこの顔を見せない配送員!」
沙流

18 「これが素顔」とのっぺらぼうは

19 ペッパー君が甲高い声であやまって
沙流

20 繰り返されるオンライン飲み

21 白いマスクにU字への字の口を書き
多実果

22 同僚の死を占っている
朱夏

23 77度の焼酎売りだされ春暖

24 チューリップらは首を失う

25 拾うのは薔薇の援軍赤母衣衆

26 足りぬ足りぬと九尾の狐

27 心臓がいくつあっても死は一度
沙流

28 銀の弾丸込めてかまえる

29 座禅する師匠の背中壁のごとく
沙流

30 崩されるのは無実の豆腐

31 祖母山も切羽も詰まる頃なれど

32 実家暮らしの姫の退屈
沙流

33 手すさびにレースなんかを編んでみる
ほのか

34 終焉までの橙の日々
朱夏

35 もうリンゴ食べ飽きたなとアダム、エヴァ

36 あばら骨から矢じりをつくる

37 マンモスの倒れた時の地の響き
沙流

38 かき消してゆくヒトの雄叫び

39 本日も正義の感染者が増えて
沙流

40 日が沈んでくインカ帝国

41 ものうげなアルパカの耳が笛を聞き
沙流

42 長いまつげが微かに揺れる
多実果

43 五月雨の檻に囲まれ夜が来る

44 置き時計には横顔の月
沙流

45 豆苗の二度萌え激し月眠る

46 白南風の尾を掴めぬままで

47 狐には化かされまくりのお爺さん
ほのか

48 宇宙に向かってひとりにこにこ
沙流

49 素麺が流れ続ける天の川

50 誰にも見えぬむらさきの糸
朱夏

51 ひっぱってくれたらついていきたいよ
沙流

52 くじ引き引いて残念賞を

53 君と会うさだめにあった僕たちは
ほのか

54 季節の中で殴りあってる

55 夕焼けに響き渡った笑い声

56 砂はねてゆく濡れたサンダル
沙流

57 思い出はテトラポットの向こう側
沙流

58 未練の砂を時計に詰める

59 白髪でも伸びていきますあなたまで
朱夏

60 浦島太郎の眉の小筆で

61 筆ペンのインクが切れて墨を磨り
多実果

62 試し書きほど上手いあるある
沙流

63 話すことはないし切れない長電話
沙流

64 地球の裏はいつもブラジル
沙流

65 翻訳を関西弁にしたき顔
沙流

66 げに柔らかきたこ焼きソース
沙流

67 小麦粉がなく片栗粉買い占める

68 とろみが足りぬ世論のために
沙流

69 固まってネイルアートになる光
朱夏

70 ホタル捉える合掌の手で

71 お勤めのりんの響きが消えてから
多実果

72 開眼すれば脳漿の澄む
朱夏

73 去年今年繋ぐ棒きれ百八つ

74 PPAPのおれはどのP
沙流

75 ドロンパの視線の先にふわふわと

76 ペロリンキャンディのぐるぐるピンク
沙流

77 点Pが仲間を呼んで合体し
朱夏

78 海わたる蝶のはるばる紙ふぶき
沙流

79 天を数える単位を問えばもう冬で
朱夏

80 ベテルギウスが燃え尽きてゆく

81 恒星の起こす爆発予想して
ほのか

82 ロングシュートをねらうキャプテン
沙流

83 翼があれば岬までゆく

84 それまでは顔面ブロック石の崎にて
朱夏

85 咳をして一人が消える海沿いの
朱夏

86 低い霧笛がひびく空腹
沙流

87 マドロスに憧れて横縞のシャツ
沙流

88 幼な児は言う「ウォーリーがいる」
ほのか

89 赤いメガネの度が合わなくて

90 月はもう朧というか貴方と一緒
朱夏

91 謝ってくるだろうから許さない
沙流

92 背中に書いてあるかのように
朱夏

93 そのむかし男は無口だったとか
沙流

94 チャックがこわれはみ出して

95 このあとは地図の要らない時間です
朱夏

96 今夜の君は北極星で

97 見上げれば空いっぱいのことばたち
沙流

98 祈りであったことを湛えて
朱夏

99 壺のインクは静かに揺れる

100 言の葉を螺旋に孕むガラスペン
多実果

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