2020年5月8日金曜日

ふらくた連句#9

ふらくた連句「今宵は雨に」の巻

照屋沙流堂・・・沙流
野原豆・・・豆
袴田朱夏・・・朱夏
くらげただよう・・・洋
寿々多実果・・・多実果
小澤ほのか・・・ほのか
石川聡・・・聡
おふうちゃん・・・ふう
珈琲と俳句・・・珈俳
瓦すずめ・・・すずめ

1 おぼろなり今宵は雨に散るさくら
沙流

2 涙を拭い踏み出す一歩

3 帽子は忘れたけどくれてやる
沙流

4 しゃらしゃらと葉を揺らす雨嫋やかに

5 また来年も春に逢いたい

6 狼は丘に立ちて、のち去る
沙流

7 蝙蝠の群れて一家は夕焼けに
朱夏

8 シチューのような窓の明るさ
沙流

9 回さずにじっと眺める月球儀

10 あなたの見ているほうが裏です
朱夏

11 着るときに表にしろと畳む服
多実果

12 雨ふるまえの部屋のしずけさ
沙流

13 夏燕飛びゆく空に雲はなく
ほのか

14 アスファルトより黒々と影

15 すりむいたひざの分だけ少年は
朱夏

16 濤乱刃なる小刀かくす

17 「おいそこの顔を見せない配送員!」
沙流

18 「これが素顔」とのっぺらぼうは

19 ペッパー君が甲高い声であやまって
沙流

20 繰り返されるオンライン飲み

21 白いマスクにU字への字の口を書き
多実果

22 同僚の死を占っている
朱夏

23 77度の焼酎売りだされ春暖

24 チューリップらは首を失う

25 拾うのは薔薇の援軍赤母衣衆

26 足りぬ足りぬと九尾の狐

27 心臓がいくつあっても死は一度
沙流

28 銀の弾丸込めてかまえる

29 座禅する師匠の背中壁のごとく
沙流

30 崩されるのは無実の豆腐

31 祖母山も切羽も詰まる頃なれど

32 実家暮らしの姫の退屈
沙流

33 手すさびにレースなんかを編んでみる
ほのか

34 終焉までの橙の日々
朱夏

35 もうリンゴ食べ飽きたなとアダム、エヴァ

36 あばら骨から矢じりをつくる

37 マンモスの倒れた時の地の響き
沙流

38 かき消してゆくヒトの雄叫び

39 本日も正義の感染者が増えて
沙流

40 日が沈んでくインカ帝国

41 ものうげなアルパカの耳が笛を聞き
沙流

42 長いまつげが微かに揺れる
多実果

43 五月雨の檻に囲まれ夜が来る

44 置き時計には横顔の月
沙流

45 豆苗の二度萌え激し月眠る

46 白南風の尾を掴めぬままで

47 狐には化かされまくりのお爺さん
ほのか

48 宇宙に向かってひとりにこにこ
沙流

49 素麺が流れ続ける天の川

50 誰にも見えぬむらさきの糸
朱夏

51 ひっぱってくれたらついていきたいよ
沙流

52 くじ引き引いて残念賞を

53 虚しさは仕舞い忘れた夜に降る

54 ひきだしの奥にわずかな希望
沙流

55 ドラえもん色につま先染めて

56 サンダル買いにスキップでいく
多実果

57 ひとめぼれこれはおそらく両想い
沙流

58 米を買うならコシヒカリだな

59 握り飯なかへひとつぶ愛をうめ

60 交わす言葉に花がほころぶ

61 あちこちで蛙合戦
ふう
🐸始まりぬ
62 つはものどもが水掻きの跡

63 空っぽになったカレー皿をどけ

64 これがお目当てセットの珈琲
珈俳

65 早起きをすればポチ鳴く裏の畑
ふう

66 フードをかぶった男あやしき
沙流

67 情報を得るならばあの地下喫茶
珈俳

68 ブルーの角砂糖が合図だ
朱夏

69 颯爽とジェイムズ・ボンド美女と行く

70 英国紳士で珈琲党で
珈俳

71 あの鳥はいったい誰が殺したの
ふう

72 名探偵のお手を拝借

73 マライヒの淹れる珈琲は苦い
珈俳

74 この橋を渡りきれば埼玉
沙流

75 ゴリゴリと観測船が割りゆけば
朱夏

76 部屋でギャン弾きするエアギター
沙流

77 「あんた何やってるのん」と母は問う
ほのか

78 青春以外立ち入り禁止!
沙流

79 若き日を楽しんできたオトナたち
ほのか

80 老いても事を仕損じている
沙流

81 年齢を乱数表で指定する
朱夏

82 社長室には女子高生が

83 地球儀を回すましろくながい指
沙流

84 日付変更線に逆らい

85 遊星の軌道たのしく鳴るパチカ
朱夏

86 修正できぬ検事法案

87 灰色の砂消しゴムですぐ破れ
沙流

88 青い砂漠の夜の後悔
沙流

89 もう二度と会えないことを知りながら
沙流

90 詩集を借りる雨傘を貸す
多実果

91 飲み込んだ言葉の行き先はどこか

92 山羊さんの胃袋の中へと
ほのか

93 初夏のコロポックルのペンライト
すずめ

94 きみを待ってるきのこの椅子で

95 笑茸かもしれないと毒味して
多実果

96 ぐねぐねしたる子の握り飯
すずめ

97 わがままな幼い神は電池切れ
沙流

98 夢でもすぐに遊びのつづき
沙流

99 思い出す粘土細工に遊びし日
ほのか

100 その要領で明日の手づくり
沙流

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