短歌が表現の極北だったような時代はもう過ぎたんだけど、じゃあ自分の短歌を文学に興味のない人に見せておもしろいのかというと、そうでもないだろうね。自分の短歌がおもしろくない、という話とはちょっと違う話としてね。
短歌など。
昨晩のチータラがより乾きおりおれも渇いて今日のはじまり
王族ではもちろんないが今日もバルス明日もバルスお前もバルス
プロトコルをプロトコールと言う彼のトリコロールのセーターを見る
人を殺せる速度の車で会いにゆききみを助ける、殺せる速度で
キットカットは受験生にはいいだろう窓際の社員さびしくかじる
フルートをぴーひゃらと言われ怒ってた彼女が奴とつき合っている
自販機の缶コーヒーの「しにた〜い」に「ころした〜い」が加わって秋
四季即ち季節の死なる、秋の裏で一つ一つの腐(くた)れゆく菜(さい)
なしてなん? なしてあんたは出ていくん? そういう声を聞いた背中か
クリープとコーヒー 焼酎 ティファールのキッチンの森に遊ぶ飼い鳥
ちちははに記別与えるときのため若かりし日の話聴きおり
ツイッターで1行半の文章を韻律で読む、短歌じゃないじゃん
セスナではなくてデハビラントなのか、まあまた来てよ待ってるからさ
金出せば焼肉食える国で思うゲバラ、ゲバラの焼肉のたれ
東北で芋煮が語られるときのバベルのごとき神の制裁
#困らせることばかり言うから
父ちゃんが蟷螂拳のポーズする困らせることばかり言うから
お守りキャラが急にオトコにならないで困らせることばかり言うから
5次請けの男らの目の野生味よ困らせることばかり言うから
beliefの語の変遷が気になってちょっと汚れてしまったこころ
(この歌はツイッターより結社誌だな)ちょっと汚れてしまったこころ
甘くないペーストを餡と言う時のちょっと汚れてしまったこころ
週はじめはうまい昼めしいのちとはときどき褒めてやらねばならぬ
な、なんと、コンビニたちが次々と? コンビニたちが合体してゆく!
ディスカウント理髪店にてAMラジオの政治批判よ、もみあげは残す
われにとり詩はおならだと言う人の「とり」のところが天皇みたい
小さいとすぐ死ぬそして大きいとすぐに死なない、ではグッドラック!
クロソイドカーブを曲がり高速へ君のつむじを掌(て)で包むため
男らはついにはらまぬものだから永遠に詩がおもちゃのちゃちゃちゃ
定型ってげにお手頃な詩形にて寒くなったらつい記す秋
みなそこで貝はぱくぱく唄うのだ身のほどなんて興味ないのだ
書を捨てよ街に出よう、書を買いに街へ出よう、街を出よう
案の定新宿ラビリンスで迷う地上はどこだ、今何年だ
色とりどりの傘に頭を覆いつつ人はしずくに弱い生きもの
ワゴンなき古本祭り、ブルーシートが文字を隠してつい海のふり
最初からきれいに踏んでくれるのでここでもぼくは二流なんだな
人生は前向きがいい断捨離と思えばさっぱり、すっかり、ぽっかり
#いちごつみより
大地からいろいろな色が湧き出して春ってなんだろうねえおじいちゃん
揺すったらどっぷんどっぷん悲しみを沸かして入ればなんかたのしい
旧駅舎の待合室のストーブの湿ったあたたかさを冬と呼ぶ
この長くゆれる吊り橋の真ん中で引き返すのもいやだ人生
あと処理がすべて終わって残りものの寿司にわさびが無いのに泣いた
川柳
あたたたた たたたたたたた たたか〜い
日曜にポエ散らかして雁渡る
俳句
急いだが回り込まれて秋あかき
収穫の喜び知らで秋まつり
恋人に飽き飽きと秋、柿ぬるん
秋の暮未来のための今でなし
新豆腐ことばがこころを斬るやうに
浴槽にはつか霧笛のようなもの
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