2013年9月11日水曜日

歌人論

歌人論

複雑な緻密繊細荘厳のタペストリーの端がくすぶる

 歌人とは世界の布の切れ端の糸をするりと抜く指を持ち

幾ペタのビットが文字を成す朝(あした)、恋のようなるものの文字化け

 歌人とは知識にあらず、辿り着かずいつも"調べ"ているとう冗句

気がつけば轟音のする世界にも慣れてキャベツをわしわし食す

 歌人とはその言霊を響かせて逆に喰われて手負いて啼(な)けり

鎌首を擡(もた)げて舌をチロチロと出して貴様の名前は希望

 歌人とはついに謡(うた)いをやめるとき心底深き闇にいるなり

辺獄か煉獄か悩むわたくしに距離置いて少しほほえむあなた

 歌人とは沼地の泡がぶくぶくと弾(はじ)けはじけて愛おしみおり

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