複雑な緻密繊細荘厳のタペストリーの端がくすぶる
歌人とは世界の布の切れ端の糸をするりと抜く指を持ち
幾ペタのビットが文字を成す朝(あした)、恋のようなるものの文字化け
歌人とは知識にあらず、辿り着かずいつも"調べ"ているとう冗句
気がつけば轟音のする世界にも慣れてキャベツをわしわし食す
歌人とはその言霊を響かせて逆に喰われて手負いて啼(な)けり
鎌首を擡(もた)げて舌をチロチロと出して貴様の名前は希望
歌人とはついに謡(うた)いをやめるとき心底深き闇にいるなり
辺獄か煉獄か悩むわたくしに距離置いて少しほほえむあなた
歌人とは沼地の泡がぶくぶくと弾(はじ)けはじけて愛おしみおり
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