自選。
「肺」
きょうもよく吸っては吐いていたことよ良くないことも考えながら
「肺」
お父さんは会社で残業ばかりなり人工心肺みたいに孤独
「ヒーロー」
もうきみのヒーローでない平日のホームセンターでしずかな会釈
「自由詠」
シソの葉はすべてバッタに食べられてシソ味のオンブバッタのその後
「美」
休日をなんにもせずに終えんとす、あ、メガネのレンズは美しくした
「町」
閑かなる町立郷土資料館のガラスケースに蜂の形骸
「葡萄色」
ワイン飲んで葡萄色なる二人なのにきみは芋焼酎まで頼む
「服」
問い詰めたら不服な猫になったので捕まえようとしたのに逃げた
「倍」
明るくて空も青くて手を振ればさよならの悲しみはバイバイ
2018年11月17日土曜日
2018年09月うたの日の自作品21首。
「口紅」
狙撃手が弾丸を吟味するやうに彼女の紅を選ぶ女は
「ちびまる子ちゃん」
平成が終わらんとする日曜の夕方もこまっしゃくれた昭和
「食」
食べながらぼくがどうして悲しいか話す伝わらないかもしれぬ
「くしゃみ」
おそらくは二万年前の大苦沙弥時代の先祖返りのくしゃみ
「肺」
きょうもよく吸っては吐いていたことよ良くないことも考えながら
「肺」
お父さんは会社で残業ばかりなり人工心肺みたいに孤独
「豚」
人間は肥えると豚に似てくるね互いに笑いあったらぶひひ
「乙女」
名も持たぬ乙女などにはなるものかそういう怒った目をした乙女
「ヒーロー」
もうきみのヒーローでない平日のホームセンターでしずかな会釈
「自由詠」
シソの葉はすべてバッタに食べられてシソ味のオンブバッタのその後
「自由業」
じいうげふにあらざればわがせいくわつは規則正しい舊假名のごと
「乗」
一対の生き物ずらりこの列車、逆方舟(はこぶね)に乗ったみたいだ
「美」
休日をなんにもせずに終えんとす、あ、メガネのレンズは美しくした
「煮」
煮沸して洗い流せば清潔で再利用可能なまで死滅
「町」
閑かなる町立郷土資料館のガラスケースに蜂の形骸
「葡萄色」
ワイン飲んで葡萄色なる二人なのにきみは芋焼酎まで頼む
「敬」
気がつけば敬老される側にいて昔話を出られぬおのれ
「罰」
外は雨、傘まで早い者勝ちで濡れるほかない、だが罰でない
「服」
問い詰めたら不服な猫になったので捕まえようとしたのに逃げた
「西」
死と生が地続きの朝、僕だけの思いは西方なる君にまで
「倍」
明るくて空も青くて手を振ればさよならの悲しみはバイバイ
狙撃手が弾丸を吟味するやうに彼女の紅を選ぶ女は
「ちびまる子ちゃん」
平成が終わらんとする日曜の夕方もこまっしゃくれた昭和
「食」
食べながらぼくがどうして悲しいか話す伝わらないかもしれぬ
「くしゃみ」
おそらくは二万年前の大苦沙弥時代の先祖返りのくしゃみ
「肺」
きょうもよく吸っては吐いていたことよ良くないことも考えながら
「肺」
お父さんは会社で残業ばかりなり人工心肺みたいに孤独
「豚」
人間は肥えると豚に似てくるね互いに笑いあったらぶひひ
「乙女」
名も持たぬ乙女などにはなるものかそういう怒った目をした乙女
「ヒーロー」
もうきみのヒーローでない平日のホームセンターでしずかな会釈
「自由詠」
シソの葉はすべてバッタに食べられてシソ味のオンブバッタのその後
「自由業」
じいうげふにあらざればわがせいくわつは規則正しい舊假名のごと
「乗」
一対の生き物ずらりこの列車、逆方舟(はこぶね)に乗ったみたいだ
「美」
休日をなんにもせずに終えんとす、あ、メガネのレンズは美しくした
「煮」
煮沸して洗い流せば清潔で再利用可能なまで死滅
「町」
閑かなる町立郷土資料館のガラスケースに蜂の形骸
「葡萄色」
ワイン飲んで葡萄色なる二人なのにきみは芋焼酎まで頼む
「敬」
気がつけば敬老される側にいて昔話を出られぬおのれ
「罰」
外は雨、傘まで早い者勝ちで濡れるほかない、だが罰でない
「服」
問い詰めたら不服な猫になったので捕まえようとしたのに逃げた
「西」
死と生が地続きの朝、僕だけの思いは西方なる君にまで
「倍」
明るくて空も青くて手を振ればさよならの悲しみはバイバイ
2018年8月3日金曜日
2016年09月自選や雑感。
雑感といっても、こう毎日暑いと、暑いなあ、という雑感しかない。
人が物申すときは、申したい”物”の他に、申すべき”スタンス”、それから、申すのを聞く”人”があって、人は物申す。申したい”物”があっても、案外、人は、他の条件が満たされず、黙っていってしまうものなのだろう。
自選。
月桂樹はアポロンが植えたかもしれず永遠の拒否の記念のために
誰でない自分がわれを励ましてそれをようよう生きると呼ぶぞ
人間のすることはまるで何一つ他人事(ひとごと)のように二人は暮らす
にっぽんが大変なとき陰にいてうなじに顔をすりつけていた
悪いとは思いもするがひとつ潜(もぐ)りふたつ潜って我関せず焉(えん)
オムニバス(omnibus)に乗ってぼくらはどこへ行くすべての人を乗せれなかった
人間にみなうまいこと化けている高島屋日本橋店の夏
心とう袋は言葉で傷が付く、中には思いの液がこぼれる
初恋の人に捧げたフレーズをまた使う日ぞベルリオーズも
牛舎にて牛にもたれて泣く夜の人よりも牛の優しさ沁みる
三匹の妖怪に邪魔をされてると法師はついに思うていたり
地獄へも共に行こうと決めたのに姿を消した友を探せず
人という異形に果てたぼくだけど秘めておくこともなんとか出来る
表層のすべてが溶けてぼくたちがこんなに自由だなんて、嘘だ
思想詩はファストフードに食われゆく安いし上手いしみんなにわかる
こういう、そういう、ばかり繰り返しのらりくらりの雨の満月
その理論の底に渦巻くかなしみと憎悪について心配なのだ
辛そうで辛くない少し辛い人生(そっちの読み方なんだ)
言いました意味深っぽく奈良と나라(ナラ)のあたかも同じ語源のように
いまほしいものを考え引き窓を押し上げるようなこころなど欲し
たましひと発音したくてたましひと書けばみなたましいと呼ぶ秋
時代から離れてペイネの絵に呼ばる、星を研ぐのは詩人の仕事
芸術は爆発じゃない、彼もまたみじめなほどに生き抜いていた
くちなわをえいっえいっと踏みつける夢から覚めるうわ泣いている
人が物申すときは、申したい”物”の他に、申すべき”スタンス”、それから、申すのを聞く”人”があって、人は物申す。申したい”物”があっても、案外、人は、他の条件が満たされず、黙っていってしまうものなのだろう。
自選。
月桂樹はアポロンが植えたかもしれず永遠の拒否の記念のために
誰でない自分がわれを励ましてそれをようよう生きると呼ぶぞ
人間のすることはまるで何一つ他人事(ひとごと)のように二人は暮らす
にっぽんが大変なとき陰にいてうなじに顔をすりつけていた
悪いとは思いもするがひとつ潜(もぐ)りふたつ潜って我関せず焉(えん)
オムニバス(omnibus)に乗ってぼくらはどこへ行くすべての人を乗せれなかった
人間にみなうまいこと化けている高島屋日本橋店の夏
心とう袋は言葉で傷が付く、中には思いの液がこぼれる
初恋の人に捧げたフレーズをまた使う日ぞベルリオーズも
牛舎にて牛にもたれて泣く夜の人よりも牛の優しさ沁みる
三匹の妖怪に邪魔をされてると法師はついに思うていたり
地獄へも共に行こうと決めたのに姿を消した友を探せず
人という異形に果てたぼくだけど秘めておくこともなんとか出来る
表層のすべてが溶けてぼくたちがこんなに自由だなんて、嘘だ
思想詩はファストフードに食われゆく安いし上手いしみんなにわかる
こういう、そういう、ばかり繰り返しのらりくらりの雨の満月
その理論の底に渦巻くかなしみと憎悪について心配なのだ
辛そうで辛くない少し辛い人生(そっちの読み方なんだ)
言いました意味深っぽく奈良と나라(ナラ)のあたかも同じ語源のように
いまほしいものを考え引き窓を押し上げるようなこころなど欲し
たましひと発音したくてたましひと書けばみなたましいと呼ぶ秋
時代から離れてペイネの絵に呼ばる、星を研ぐのは詩人の仕事
芸術は爆発じゃない、彼もまたみじめなほどに生き抜いていた
くちなわをえいっえいっと踏みつける夢から覚めるうわ泣いている
2018年8月1日水曜日
2016年09月の83首。
思想ではなくてあなたが好きだったあなたが一番嫌がることの
9月からいいことづくめの人生になることでしょう、そう占おう
鼻の下に皺寄るきみを見ることか今世(こんぜ)今世紀の楽として
表現でなくて彼女はひゃわらげんをしているという、何ヒョワラゲン?
可視化されるまえの不可視化されていたきみしか知らぬノートの短歌
月桂樹はアポロンが植えたかもしれず永遠の拒否の記念のために
沸騰をさせといてここで水なんや、お前がびっくりしてどうするよ
うなうまう、んむうーうーむ、うぉうわお、わーうわーうる、なんにゃんんんん
訳 飯食ってる時にちょっかいだすなオラ。
生と死がエロスのように入れ替わる夏きたるわれも汗に溶けつつ
誰でない自分がわれを励ましてそれをようよう生きると呼ぶぞ
二・二六事件ののちに「今からでも遅くない」とう流行語生(あ)り
人間のすることはまるで何一つ他人事(ひとごと)のように二人は暮らす
気にすれば立ち食いそば屋の啜る音、みなうつむいて泣きいるごとし
にっぽんが大変なとき陰にいてうなじに顔をすりつけていた
悪いとは思いもするがひとつ潜(もぐ)りふたつ潜って我関せず焉(えん)
因なのか果なのか知らず功徳とは座に連なっているいまのこと
オムニバス(omnibus)に乗ってぼくらはどこへ行くすべての人を乗せれなかった
40はこわいぞと40が言う何がこわいか聞かないでおく
人間にみなうまいこと化けている高島屋日本橋店の夏
メリークリスマスMrローレンス聞きながら夏蝉燃えている昼をゆく
銃殺刑の理由は姿勢なんだって、つまりそういうことなんですよ
飲み干して替え玉無料の張り紙がつまりそういうことなんですよ
人と違ふ告白に短歌贈るとか、つまりさういふことなんですよ
(付句祭り? 3首)
一本のミドリの瓶の謎おいてもう少し酔って眠るとしよう
片栗粉のあの独特の光沢を語るきみ、ぼくは目を反らし聞く
一日にそんなにたくさんうたったら乗っ取られます、すぐやめましょう
心とう袋は言葉で傷が付く、中には思いの液がこぼれる
初恋の人に捧げたフレーズをまた使う日ぞベルリオーズも
盈溢(えいいつ)するこれはなにもの、無表情の帰りの電車で次に進まず
遺伝子があきらめている生体の湯にふかぶかとつからざる夏
牛舎にて牛にもたれて泣く夜の人よりも牛の優しさ沁みる
アブノーマライゼーションにこの街がなるころここにまた来たるらん
精緻なる言葉の建造なしながらここに二人は住めそうもない
反省すれば減刑されるロジックがいま現にある時代とおもう
破壊とは自由にかぎりなく近く気取って言えばチャーチガーデン(教会の庭)
小さくて甘くてかたい梅干しをしょっぱく食べる、しょっぱい違いの
1個目のボタンが大事、終盤の選択肢にはいずれもはずれ
三匹の妖怪に邪魔をされてると法師はついに思うていたり
単価の高い短歌作ってなんになる、詩胆(したん)は体よりも安くて
この先にルートがないと知っていてかよわい声で一首を謌(うた)う
地獄へも共に行こうと決めたのに姿を消した友を探せず
それは食い使って流すここちする「肉」を「ロウ」とう読み方すれば
人という異形に果てたぼくだけど秘めておくこともなんとか出来る
表層のすべてが溶けてぼくたちがこんなに自由だなんて、嘘だ
この場所も架空のモンスターに満ちてモンスターなる人間遊ぶ
キャディのようについていくのだ、振り向いてもう忘れいて笑ってるのだ
イタリアンの今夜の彼女を引き止めず帰って我はゲームして寝る
思想詩はファストフードに食われゆく安いし上手いしみんなにわかる
悪人が罪に応じてめった打ちにされてるユートピア、ディストピア
ひそかにて彼は扉を開けたり数カ所だけの迅(と)きやり方を
悲しみと喪失感にまようのでグリーフと呼ぶ、真意は知らず
こういう、そういう、ばかり繰り返しのらりくらりの雨の満月
その理論の底に渦巻くかなしみと憎悪について心配なのだ
辛そうで辛くない少し辛い人生(そっちの読み方なんだ)
きみの長い髪を躍らせ突風が後ろからぼくらを引き離す
言いました意味深っぽく奈良と나라(ナラ)のあたかも同じ語源のように
#そんなのはうそに決まっているでしょう
そんなのはうそに決まっているでしょう川べりに魚並ばせてあり
そんなのはうそに決まっているでしょうクラシック聴かせた牛肉パック
そんなのはうそに決まっているでしょうスナイパー特価のブルーベリー
そんなのはうそに決まっているでしょう男子水泳ポロリもあるよ
そんなのはうそに決まっているでしょううそうそほんと、すききらいすき
そんなのはうそに決まっているでしょう尾頭ヒロミ綾波レイ説
そんなのはうそに決まっているでしょう今年の出来が最高ボジョレー
そんなのはうそに決まっているでしょう4K対応心霊動画
そんなのはうそに決まっているでしょう自然科学の棚にあるムー
そんなのはうそに決まっているでしょう好きなタイプはお客さん、かあ
おっさんは語らずにゆく、語るのも湿地のような希望のあらば
未来から来ました(?)かばんに入ってます(??)短歌人です(これはいいのか)
別アカに歌を上げたる夢を見て起きて一応確認をする
自己肯定の究極にわれがおく祈り、いつしか他者へと至り
その手段が目的にいつか変わるときを魔境と呼べり、きみを観ていて
線遠近で写実されたる世界から逃げゆくぼくら落書きみたく
いまほしいものを考え引き窓を押し上げるようなこころなど欲し
乳房(ちちふさ)がこんなに効果あるなんて逆に怖いわ今度の人生
たましひと発音したくてたましひと書けばみなたましいと呼ぶ秋
時代から離れてペイネの絵に呼ばる、星を研ぐのは詩人の仕事
芸術は爆発じゃない、彼もまたみじめなほどに生き抜いていた
散らばった人形の四肢を拾いおり息ふき返す一文字のため
意味なくてコーヒー吹いてそののちのスマホキラキラ、きれいきたない
くちなわをえいっえいっと踏みつける夢から覚めるうわ泣いている
承認欲求のようにふくらむおっぱいの、年々大きくなる彼の絵の
歯の抜けた吾子をみており歯抜けフェチのあいつもたしか娘がいたな
たましいのランキング無料鑑定のスパムなのだが、何番だろう
9月からいいことづくめの人生になることでしょう、そう占おう
鼻の下に皺寄るきみを見ることか今世(こんぜ)今世紀の楽として
表現でなくて彼女はひゃわらげんをしているという、何ヒョワラゲン?
可視化されるまえの不可視化されていたきみしか知らぬノートの短歌
月桂樹はアポロンが植えたかもしれず永遠の拒否の記念のために
沸騰をさせといてここで水なんや、お前がびっくりしてどうするよ
うなうまう、んむうーうーむ、うぉうわお、わーうわーうる、なんにゃんんんん
訳 飯食ってる時にちょっかいだすなオラ。
生と死がエロスのように入れ替わる夏きたるわれも汗に溶けつつ
誰でない自分がわれを励ましてそれをようよう生きると呼ぶぞ
二・二六事件ののちに「今からでも遅くない」とう流行語生(あ)り
人間のすることはまるで何一つ他人事(ひとごと)のように二人は暮らす
気にすれば立ち食いそば屋の啜る音、みなうつむいて泣きいるごとし
にっぽんが大変なとき陰にいてうなじに顔をすりつけていた
悪いとは思いもするがひとつ潜(もぐ)りふたつ潜って我関せず焉(えん)
因なのか果なのか知らず功徳とは座に連なっているいまのこと
オムニバス(omnibus)に乗ってぼくらはどこへ行くすべての人を乗せれなかった
40はこわいぞと40が言う何がこわいか聞かないでおく
人間にみなうまいこと化けている高島屋日本橋店の夏
メリークリスマスMrローレンス聞きながら夏蝉燃えている昼をゆく
銃殺刑の理由は姿勢なんだって、つまりそういうことなんですよ
飲み干して替え玉無料の張り紙がつまりそういうことなんですよ
人と違ふ告白に短歌贈るとか、つまりさういふことなんですよ
(付句祭り? 3首)
一本のミドリの瓶の謎おいてもう少し酔って眠るとしよう
片栗粉のあの独特の光沢を語るきみ、ぼくは目を反らし聞く
一日にそんなにたくさんうたったら乗っ取られます、すぐやめましょう
心とう袋は言葉で傷が付く、中には思いの液がこぼれる
初恋の人に捧げたフレーズをまた使う日ぞベルリオーズも
盈溢(えいいつ)するこれはなにもの、無表情の帰りの電車で次に進まず
遺伝子があきらめている生体の湯にふかぶかとつからざる夏
牛舎にて牛にもたれて泣く夜の人よりも牛の優しさ沁みる
アブノーマライゼーションにこの街がなるころここにまた来たるらん
精緻なる言葉の建造なしながらここに二人は住めそうもない
反省すれば減刑されるロジックがいま現にある時代とおもう
破壊とは自由にかぎりなく近く気取って言えばチャーチガーデン(教会の庭)
小さくて甘くてかたい梅干しをしょっぱく食べる、しょっぱい違いの
1個目のボタンが大事、終盤の選択肢にはいずれもはずれ
三匹の妖怪に邪魔をされてると法師はついに思うていたり
単価の高い短歌作ってなんになる、詩胆(したん)は体よりも安くて
この先にルートがないと知っていてかよわい声で一首を謌(うた)う
地獄へも共に行こうと決めたのに姿を消した友を探せず
それは食い使って流すここちする「肉」を「ロウ」とう読み方すれば
人という異形に果てたぼくだけど秘めておくこともなんとか出来る
表層のすべてが溶けてぼくたちがこんなに自由だなんて、嘘だ
この場所も架空のモンスターに満ちてモンスターなる人間遊ぶ
キャディのようについていくのだ、振り向いてもう忘れいて笑ってるのだ
イタリアンの今夜の彼女を引き止めず帰って我はゲームして寝る
思想詩はファストフードに食われゆく安いし上手いしみんなにわかる
悪人が罪に応じてめった打ちにされてるユートピア、ディストピア
ひそかにて彼は扉を開けたり数カ所だけの迅(と)きやり方を
悲しみと喪失感にまようのでグリーフと呼ぶ、真意は知らず
こういう、そういう、ばかり繰り返しのらりくらりの雨の満月
その理論の底に渦巻くかなしみと憎悪について心配なのだ
辛そうで辛くない少し辛い人生(そっちの読み方なんだ)
きみの長い髪を躍らせ突風が後ろからぼくらを引き離す
言いました意味深っぽく奈良と나라(ナラ)のあたかも同じ語源のように
#そんなのはうそに決まっているでしょう
そんなのはうそに決まっているでしょう川べりに魚並ばせてあり
そんなのはうそに決まっているでしょうクラシック聴かせた牛肉パック
そんなのはうそに決まっているでしょうスナイパー特価のブルーベリー
そんなのはうそに決まっているでしょう男子水泳ポロリもあるよ
そんなのはうそに決まっているでしょううそうそほんと、すききらいすき
そんなのはうそに決まっているでしょう尾頭ヒロミ綾波レイ説
そんなのはうそに決まっているでしょう今年の出来が最高ボジョレー
そんなのはうそに決まっているでしょう4K対応心霊動画
そんなのはうそに決まっているでしょう自然科学の棚にあるムー
そんなのはうそに決まっているでしょう好きなタイプはお客さん、かあ
おっさんは語らずにゆく、語るのも湿地のような希望のあらば
未来から来ました(?)かばんに入ってます(??)短歌人です(これはいいのか)
別アカに歌を上げたる夢を見て起きて一応確認をする
自己肯定の究極にわれがおく祈り、いつしか他者へと至り
その手段が目的にいつか変わるときを魔境と呼べり、きみを観ていて
線遠近で写実されたる世界から逃げゆくぼくら落書きみたく
いまほしいものを考え引き窓を押し上げるようなこころなど欲し
乳房(ちちふさ)がこんなに効果あるなんて逆に怖いわ今度の人生
たましひと発音したくてたましひと書けばみなたましいと呼ぶ秋
時代から離れてペイネの絵に呼ばる、星を研ぐのは詩人の仕事
芸術は爆発じゃない、彼もまたみじめなほどに生き抜いていた
散らばった人形の四肢を拾いおり息ふき返す一文字のため
意味なくてコーヒー吹いてそののちのスマホキラキラ、きれいきたない
くちなわをえいっえいっと踏みつける夢から覚めるうわ泣いている
承認欲求のようにふくらむおっぱいの、年々大きくなる彼の絵の
歯の抜けた吾子をみており歯抜けフェチのあいつもたしか娘がいたな
たましいのランキング無料鑑定のスパムなのだが、何番だろう
2017年10月14日土曜日
2017年09月うたの日自選と雑感。
ツイッターのタイムラインで、「自分にとって短歌は趣味か」云々の話題が流れているのを見た。こういうのは、カッコイイことを答えたいけど、カッコよすぎるのもよくない気がする。というか、カッコイイカッコよくないとかじゃないか。
短歌、まあ俳句や川柳その他短詩型文学の人口がどれくらいか、はっきりしたことはわからないが、たとえば日本のツイッターのユーザ数を人体に模したら(どんな比喩じゃ)、くるぶしくらいのユーザ数なんじゃないかな、と思うのよね、しょせん。
だから、仲良くできればいいなって。いや、そうじゃなくて(そうなんだけど)、短歌クラスタと呼ばれている若い人たちは、間違いなく短詩型文学の未来を担う人たちなんだろうな、と思う。担うっていうのは、有名になるってことでもあるし、短歌を辞めてしまっても、その短歌的な感性を、メンデル遺伝のように、潜性させてゆくことも、広い「担い」なんだと思う。
自選など。
「形」
褒められているのは形、まんざらでもないけどわりとしんどい形
「散」
この夏の花火大会は土砂降りで散々だった彼女ができた
「カマキリ」
カマキリは首かたむけて憶いだせぬ殺してやりたい人がいたこと
「店」
友よ寝るな! 浜崎あゆみ大音量の店は遭難したる雪山
「栗」
栗きんとんケーキと説明されたけどばあちゃんモンブラン知ってるよ
「ススキ」
きみは月だぼくはススキだきみが好きだぼくは佐々木だ君も佐々木に
「イカ」
イカのワタをホイルで焼いて日本酒で嘗める、ほんとにここは地獄か?
「ビタミン」
この人を耳の裏まで食べながら寝る前に別にビタミンは摂る
「彼」
元彼にフォローされてるアカウントの私の日々は充実してる
「同情」
同情も4割くらいありまして残りは全部メロンパンです
「首」
首の皮一枚で繋がっている関係ですね、さようなら首
短歌、まあ俳句や川柳その他短詩型文学の人口がどれくらいか、はっきりしたことはわからないが、たとえば日本のツイッターのユーザ数を人体に模したら(どんな比喩じゃ)、くるぶしくらいのユーザ数なんじゃないかな、と思うのよね、しょせん。
だから、仲良くできればいいなって。いや、そうじゃなくて(そうなんだけど)、短歌クラスタと呼ばれている若い人たちは、間違いなく短詩型文学の未来を担う人たちなんだろうな、と思う。担うっていうのは、有名になるってことでもあるし、短歌を辞めてしまっても、その短歌的な感性を、メンデル遺伝のように、潜性させてゆくことも、広い「担い」なんだと思う。
自選など。
「形」
褒められているのは形、まんざらでもないけどわりとしんどい形
「散」
この夏の花火大会は土砂降りで散々だった彼女ができた
「カマキリ」
カマキリは首かたむけて憶いだせぬ殺してやりたい人がいたこと
「店」
友よ寝るな! 浜崎あゆみ大音量の店は遭難したる雪山
「栗」
栗きんとんケーキと説明されたけどばあちゃんモンブラン知ってるよ
「ススキ」
きみは月だぼくはススキだきみが好きだぼくは佐々木だ君も佐々木に
「イカ」
イカのワタをホイルで焼いて日本酒で嘗める、ほんとにここは地獄か?
「ビタミン」
この人を耳の裏まで食べながら寝る前に別にビタミンは摂る
「彼」
元彼にフォローされてるアカウントの私の日々は充実してる
「同情」
同情も4割くらいありまして残りは全部メロンパンです
「首」
首の皮一枚で繋がっている関係ですね、さようなら首
2017年09月うたの日自作品の30首。
「デビュー」
クレジットカードデビューはわかるけど二本の指で挟むのはよせ
「ブーツ」
片足のブーツに引きこもったまま覗くときどき目があう、いいよ
「形」
褒められているのは形、まんざらでもないけどわりとしんどい形
「芋」
さつまいも二本が食事だったころの白米の夢、もう見ぬ夢か
「散」
この夏の花火大会は土砂降りで散々だった彼女ができた
「三日月」
天体の運行なかば狂気にて快方に向かう鬱の三日月
「曇」
しとしとと涙ふりだしさうな日の曇りだ、さうだ、サウナに行かう
「パラドックス」
ふたご座は二重人格とか言うがおとめの他は人格もない
「カマキリ」
カマキリは首かたむけて憶いだせぬ殺してやりたい人がいたこと
「自由詠」
現代に短歌を詠むということの君に見せるということの意味
「膿」
身内から出るからだろう、膿(うみしる)のくさい匂いに少し優しい
「店」
友よ寝るな! 浜崎あゆみ大音量の店は遭難したる雪山
「栗」
栗きんとんケーキと説明されたけどばあちゃんモンブラン知ってるよ
「送」
送り火の終わった夜にさびしさを不法投棄に君が来てくれた
「ススキ」
きみは月だぼくはススキだきみが好きだぼくは佐々木だ君も佐々木に
「黄色い花」
ひまわりは気狂い花だと言う父の息子と嫁の好きなひまわり
「イカ」
イカのワタをホイルで焼いて日本酒で嘗める、ほんとにここは地獄か?
「泡」
波頭の白は無数の泡にしてこころもち点々と筆置く
「ビタミン」
この人を耳の裏まで食べながら寝る前に別にビタミンは摂る
「松茸」
コンビニが教えてくれて秋だから松茸ごはん弁当にする
「水玉」
擦りつけた額の功徳、ここだけの撮影禁止の水玉でした
「なぞなぞ」
降参する大人がみたい甥っ子が即席したるずるいなぞなぞ
「ゴッホ」
過激なる伝道の過去を思い出しのたうちまわったベッドも描く
「唾」
欄干からぺっと吐き出すわたくしの遺伝情報、レゾンデートル?
「彼」
元彼にフォローされてるアカウントの私の日々は充実してる
「同情」
同情も4割くらいありまして残りは全部メロンパンです
「夕餉」
自分には自分の時間いくつある夕餉のかたち決めてから、うた
「返」
もう一度会うのだろうな、それまでに返信願望失くしておこう
「喜」
爪ほどの歓喜のためにぼくたちは——。雨が閉じゆく海を見ている
「首」
首の皮一枚で繋がっている関係ですね、さようなら首
クレジットカードデビューはわかるけど二本の指で挟むのはよせ
「ブーツ」
片足のブーツに引きこもったまま覗くときどき目があう、いいよ
「形」
褒められているのは形、まんざらでもないけどわりとしんどい形
「芋」
さつまいも二本が食事だったころの白米の夢、もう見ぬ夢か
「散」
この夏の花火大会は土砂降りで散々だった彼女ができた
「三日月」
天体の運行なかば狂気にて快方に向かう鬱の三日月
「曇」
しとしとと涙ふりだしさうな日の曇りだ、さうだ、サウナに行かう
「パラドックス」
ふたご座は二重人格とか言うがおとめの他は人格もない
「カマキリ」
カマキリは首かたむけて憶いだせぬ殺してやりたい人がいたこと
「自由詠」
現代に短歌を詠むということの君に見せるということの意味
「膿」
身内から出るからだろう、膿(うみしる)のくさい匂いに少し優しい
「店」
友よ寝るな! 浜崎あゆみ大音量の店は遭難したる雪山
「栗」
栗きんとんケーキと説明されたけどばあちゃんモンブラン知ってるよ
「送」
送り火の終わった夜にさびしさを不法投棄に君が来てくれた
「ススキ」
きみは月だぼくはススキだきみが好きだぼくは佐々木だ君も佐々木に
「黄色い花」
ひまわりは気狂い花だと言う父の息子と嫁の好きなひまわり
「イカ」
イカのワタをホイルで焼いて日本酒で嘗める、ほんとにここは地獄か?
「泡」
波頭の白は無数の泡にしてこころもち点々と筆置く
「ビタミン」
この人を耳の裏まで食べながら寝る前に別にビタミンは摂る
「松茸」
コンビニが教えてくれて秋だから松茸ごはん弁当にする
「水玉」
擦りつけた額の功徳、ここだけの撮影禁止の水玉でした
「なぞなぞ」
降参する大人がみたい甥っ子が即席したるずるいなぞなぞ
「ゴッホ」
過激なる伝道の過去を思い出しのたうちまわったベッドも描く
「唾」
欄干からぺっと吐き出すわたくしの遺伝情報、レゾンデートル?
「彼」
元彼にフォローされてるアカウントの私の日々は充実してる
「同情」
同情も4割くらいありまして残りは全部メロンパンです
「夕餉」
自分には自分の時間いくつある夕餉のかたち決めてから、うた
「返」
もう一度会うのだろうな、それまでに返信願望失くしておこう
「喜」
爪ほどの歓喜のためにぼくたちは——。雨が閉じゆく海を見ている
「首」
首の皮一枚で繋がっている関係ですね、さようなら首
2017年10月9日月曜日
2015年09月の作品と雑感。
この、2年前の2015年09月は、テルヤにとって大きな出会いがあった。それまで3年間、あまり人と関わら(れ)ずに短歌を作ってきたが、ある同人に誘われ、参加しようとしたのだ。その起ち上げ0号が、大阪文フリで配られるというので、誰も知っている人がいなかったが、大阪の文フリに新幹線で行ったのだった。
その同人に他に誘われていた人は、いま思うとなんという豪華な人たちだったと思うのだが、テルヤはそのあたりの事情を知っていなくて、文フリの同人誌も、どれが何なのか、あまりよく分からずに、ほとんど買ってなかったと思う。
結局その同人からはテルヤは抜けたし、その後の状況はあまり聞かない、というのも、一説によるとテルヤが壊したのかもしれない。そして、それが大きな出会いだったのではない。
その出会いとは「うたの日」というサイトであった。そういえば、ツイッターで、なんか誰かが呟いているのを見たことがある、くらいの認識だった。題詠を歌会形式で投稿、選評できるサイトで、その同人で知り合った人から説明され、文フリの翌日に、投稿してみた。
ん、これ、とりとめの無い話だな。
自選など。
あたまごちーんごっこ続けてその次にひたい寄せれば神妙に待つ
その同人に他に誘われていた人は、いま思うとなんという豪華な人たちだったと思うのだが、テルヤはそのあたりの事情を知っていなくて、文フリの同人誌も、どれが何なのか、あまりよく分からずに、ほとんど買ってなかったと思う。
結局その同人からはテルヤは抜けたし、その後の状況はあまり聞かない、というのも、一説によるとテルヤが壊したのかもしれない。そして、それが大きな出会いだったのではない。
その出会いとは「うたの日」というサイトであった。そういえば、ツイッターで、なんか誰かが呟いているのを見たことがある、くらいの認識だった。題詠を歌会形式で投稿、選評できるサイトで、その同人で知り合った人から説明され、文フリの翌日に、投稿してみた。
ん、これ、とりとめの無い話だな。
自選など。
あたまごちーんごっこ続けてその次にひたい寄せれば神妙に待つ
宇宙論突き詰めてもうぼくたちは時間がとまっているかもしれ
湯舟にて十匹の鳩と目が合えり十一匹目はもしかしておれ
ばきばきにびしびしにそしてぺきぺきに割れたスマホで君が告ぐ愛
その犬はきれいに円を描きつつ首輪をつなぐ杭を逃げおり
ピンチはチャンスチャンスはピンチピチチャプチャプ蛇の目でお迎え来たるのは誰
救いなどいらぬといえる若さなくやや多めなるカレーをすくう
人間界では人間の顔せねばならぬ通勤の朝聴くノクターン
NIMBYでないとばかりに正義とは後頭部から声出す感じ
ひるがえしOKサインをうつくしく重ねて赤き曼珠沙華咲く
作業着のままがっついて食う飯の、余生もまたは作業のひとつ
一瞥に結論ありて、これはもう宇宙をくらくただよえる岩
血飛沫の代わりに綿(わた)がはらわたからこぼれて、これって、オレって、もしや
ああ、それから、この月に、パロディ短歌のハッシュタグを作っている。
この味がいいねと君が言ったからそれからずっとサラダ記念日
問十三 前問の解を用いつつまだ赤くない秋を見つけよ
ああ、それから、この月に、パロディ短歌のハッシュタグを作っている。
この味がいいねと君が言ったからそれからずっとサラダ記念日
問十三 前問の解を用いつつまだ赤くない秋を見つけよ
2015年09月の60首とパロディ短歌2首。
キーホルダーに地球がひとつぶら下がり彼女の名前をひとつ思えり
ひょうきんなぼくは横断歩道にて両手をあげる、姉ちゃんが笑う
あたまごちーんごっこ続けてその次にひたい寄せれば神妙に待つ
宇宙論突き詰めてもうぼくたちは時間がとまっているかもしれ
気がつけばいつもの名物ばあさんもいつものままに老けてゆくなる
一匹だけ遅れてやってきた蝉の鳴いても鳴いてもオレだけらしい
半分は寝たら解決することでそのほかはもう多めに笑う
湯舟にて十匹の鳩と目が合えり十一匹目はもしかしておれ
権力を揶揄するときにどうしても揶揄ゆえにわが性癖の出づ
この夜の街灯やわらかく灯(とも)りちから尽きゆくごきぶりである
ばきばきにびしびしにそしてぺきぺきに割れたスマホで君が告ぐ愛
たたかいの相手は悪いほうがいい不正を憎むオレたちなれば
世界から取り残されるようにして早めに眠る、練習のごと
ビル風にあおられながらキアゲハのつよさのような羽ばたきをみる
漕ぎ出でな漕ぎ出でなとて一日の終わりにはたぶん熟田津が待つ
すべからく思想一周するまでに断言したる過去恥ずるべし
誰にでも長所はあると、惜しまれず去りたる人の次を思いつ
吠え声がしずかにひびく雨の夜、威嚇とはなかば負傷の覚悟
未来っぽい過去のデザインああこれは子供がなりたかった大人だ
止まぬ雨はないことは知っているけれど今ずぶぬれのおれにそれ言う?
ジャンプして彼岸に着地できぬまま落下する見ゆ、遊泳に似て
その犬はきれいに円を描きつつ首輪をつなぐ杭を逃げおり
音楽を聴くよりも耳を塞ぐため両側に垂らす白き銅線
断ち切れば痛みはどこだ、鋭利なる刃(は)がまるで赤き血をしたたらす
生き物に黙って家を出でにけり見届けて消えてゆく死者のごと
ピンチはチャンスチャンスはピンチピチチャプチャプ蛇の目でお迎え来たるのは誰
わが前を野良猫がすこし先導し、人の敷地に行けばさよなら
姪っ子に箴言めいた話して途中から聴いちゃいねえ夢みる
耳の後ろを赤くしてなんと少女とは女より凶暴なるけもの
ゆっくりと生きてぽろぽろこぼれゆく再来世(さらいせ)あたりにみつかればいい
早朝の父子の打撃練習の父子は去りぬ広場静寂
曼珠沙華の歌をいくほど詠んだろう乾いたわれと土に咲く花
救いなどいらぬといえる若さなくやや多めなるカレーをすくう
個室にてトランクスごとずり下ろし汗でめくれているうちは夏
人間界では人間の顔せねばならぬ通勤の朝聴くノクターン
公園の三角屋根のベンチにて雨を見ている永遠である
一日の間に冷えていく風に身をさらしいつ身は冷えていく
戦時中もぼくらは日々の、下手したら相聞なんか書いているんだ
本当はわかっているよなんか妙な敗北感と言って笑って
犯罪者になったあいつはもしかして共食いモルフ、いや感傷だ
中身などアメ玉ふたつほどあればよいとも思うわれのうつわは
コミカルなインベイダーが襲い来て隠れてるだけの怖い夢みる
継承をあきらめた父と飲む酒の心であやまりながら、生意気
NIMBYでないとばかりに正義とは後頭部から声出す感じ
僕と君はたとえば青い、ヤシの木の描かれたシャツで遠くへ行こう
ひとすくいの氷にウイスキーをかけチョコをかじって夜は液へと
びっくりするほど遠い未来で会う君と小さいことで今をいさかう
日常をひきちぎるようにわれだけが感じた別れ、きみよバイなら
自分への関心を待ちおしゃべりの止むのを待って見上げいる犬
ひるがえしOKサインをうつくしく重ねて赤き曼珠沙華咲く
その時は死にたくないと言うだろうさんざん嘆いて嘘はなけれど
作業着のままがっついて食う飯の、余生もまたは作業のひとつ
どこの秋の赤き野点(のだて)の傘のしたあかい影した顔を並べた
なんちゃってアールデコ的絵の象が葡萄をつかむ、食うかなぶどう
鳥よ鳥もいのちささげて悔いのなき瞬間のため二度生まれたる
一瞥に結論ありて、これはもう宇宙をくらくただよえる岩
夕焼けが反射してまるで終わりゆく街に見えおりそんなはずなく
端末でみるおっぱいとベランダからの下着の違いと言えば分か、らん?
ポンチョ着て雨がうれしい少女なり、音楽のようないのちの時期よ
血飛沫の代わりに綿(わた)がはらわたからこぼれて、これって、オレって、もしや
#パロディ短歌
この味がいいねと君が言ったからそれからずっとサラダ記念日
問十三 前問の解を用いつつまだ赤くない秋を見つけよ
ひょうきんなぼくは横断歩道にて両手をあげる、姉ちゃんが笑う
あたまごちーんごっこ続けてその次にひたい寄せれば神妙に待つ
宇宙論突き詰めてもうぼくたちは時間がとまっているかもしれ
気がつけばいつもの名物ばあさんもいつものままに老けてゆくなる
一匹だけ遅れてやってきた蝉の鳴いても鳴いてもオレだけらしい
半分は寝たら解決することでそのほかはもう多めに笑う
湯舟にて十匹の鳩と目が合えり十一匹目はもしかしておれ
権力を揶揄するときにどうしても揶揄ゆえにわが性癖の出づ
この夜の街灯やわらかく灯(とも)りちから尽きゆくごきぶりである
ばきばきにびしびしにそしてぺきぺきに割れたスマホで君が告ぐ愛
たたかいの相手は悪いほうがいい不正を憎むオレたちなれば
世界から取り残されるようにして早めに眠る、練習のごと
ビル風にあおられながらキアゲハのつよさのような羽ばたきをみる
漕ぎ出でな漕ぎ出でなとて一日の終わりにはたぶん熟田津が待つ
すべからく思想一周するまでに断言したる過去恥ずるべし
誰にでも長所はあると、惜しまれず去りたる人の次を思いつ
吠え声がしずかにひびく雨の夜、威嚇とはなかば負傷の覚悟
未来っぽい過去のデザインああこれは子供がなりたかった大人だ
止まぬ雨はないことは知っているけれど今ずぶぬれのおれにそれ言う?
ジャンプして彼岸に着地できぬまま落下する見ゆ、遊泳に似て
その犬はきれいに円を描きつつ首輪をつなぐ杭を逃げおり
音楽を聴くよりも耳を塞ぐため両側に垂らす白き銅線
断ち切れば痛みはどこだ、鋭利なる刃(は)がまるで赤き血をしたたらす
生き物に黙って家を出でにけり見届けて消えてゆく死者のごと
ピンチはチャンスチャンスはピンチピチチャプチャプ蛇の目でお迎え来たるのは誰
わが前を野良猫がすこし先導し、人の敷地に行けばさよなら
姪っ子に箴言めいた話して途中から聴いちゃいねえ夢みる
耳の後ろを赤くしてなんと少女とは女より凶暴なるけもの
ゆっくりと生きてぽろぽろこぼれゆく再来世(さらいせ)あたりにみつかればいい
早朝の父子の打撃練習の父子は去りぬ広場静寂
曼珠沙華の歌をいくほど詠んだろう乾いたわれと土に咲く花
救いなどいらぬといえる若さなくやや多めなるカレーをすくう
個室にてトランクスごとずり下ろし汗でめくれているうちは夏
人間界では人間の顔せねばならぬ通勤の朝聴くノクターン
公園の三角屋根のベンチにて雨を見ている永遠である
一日の間に冷えていく風に身をさらしいつ身は冷えていく
戦時中もぼくらは日々の、下手したら相聞なんか書いているんだ
本当はわかっているよなんか妙な敗北感と言って笑って
犯罪者になったあいつはもしかして共食いモルフ、いや感傷だ
中身などアメ玉ふたつほどあればよいとも思うわれのうつわは
コミカルなインベイダーが襲い来て隠れてるだけの怖い夢みる
継承をあきらめた父と飲む酒の心であやまりながら、生意気
NIMBYでないとばかりに正義とは後頭部から声出す感じ
僕と君はたとえば青い、ヤシの木の描かれたシャツで遠くへ行こう
ひとすくいの氷にウイスキーをかけチョコをかじって夜は液へと
びっくりするほど遠い未来で会う君と小さいことで今をいさかう
日常をひきちぎるようにわれだけが感じた別れ、きみよバイなら
自分への関心を待ちおしゃべりの止むのを待って見上げいる犬
ひるがえしOKサインをうつくしく重ねて赤き曼珠沙華咲く
その時は死にたくないと言うだろうさんざん嘆いて嘘はなけれど
作業着のままがっついて食う飯の、余生もまたは作業のひとつ
どこの秋の赤き野点(のだて)の傘のしたあかい影した顔を並べた
なんちゃってアールデコ的絵の象が葡萄をつかむ、食うかなぶどう
鳥よ鳥もいのちささげて悔いのなき瞬間のため二度生まれたる
一瞥に結論ありて、これはもう宇宙をくらくただよえる岩
夕焼けが反射してまるで終わりゆく街に見えおりそんなはずなく
端末でみるおっぱいとベランダからの下着の違いと言えば分か、らん?
ポンチョ着て雨がうれしい少女なり、音楽のようないのちの時期よ
血飛沫の代わりに綿(わた)がはらわたからこぼれて、これって、オレって、もしや
#パロディ短歌
この味がいいねと君が言ったからそれからずっとサラダ記念日
問十三 前問の解を用いつつまだ赤くない秋を見つけよ
2016年10月9日日曜日
2016年09月うたの日自作品と雑感。
9月にkindle unlimitedを登録たんだけど、けっこう大変なことになっていてかなしい。
登録の決め手のひとつであった光文社古典新訳文庫がごっそり削除されているし。復活してほしいものだ。
歌集がいくつか読めるので、ふだん歌集を読まないテルヤは、この登録を機に頑張って読んでいます。もっと読める歌集が増えてほしいですね。
というか、unlimitedは、漫画喫茶を目指すんじゃなくて、図書館に向かっていった方がよいのではないか。漫画、写真集、人気書籍は入れずに(入れてもニコニコみたいに人数制限か課金式)、むしろ絶版書籍などをフォーマット化してゆくとか。
いや、図書館がそういうサービスしてくれたら一番いいんだけどね。
9月作品の自選やコメント。
「東」
この汽車は山あいを秋へ走りゆく途中魁夷の絵を通りぬけ
※これはよくよく考えると題詠としては厳しいですね。東山魁夷の苗字を入れずに「東」というのは。
「跡」
恋愛話きみは笑って404NotFoundを表示している、おそらく跡地
※404NotFoundというのは、そのページはありません、という意味。これは403とか503とか他にもいろいろあって、「権限がない」とか「忙しい」とかメッセージごとに意味が異なる。ここでは、過去の恋話が「ない」ことになっているけど、ないんじゃなくて、削除されたんだな、と思っている、という意味ですね。
「踏切」
決断を引き延ばす夜の踏切を車過ぐときふたりうなづく
※でこぼこした踏切を過ぎるときに、体が上下に揺すられることがあるが、それって、車の中のシチュエーションとは関係がないよね、という歌。
「九月」
膝立ちで見送ったあと倒れこむ上等じゃんか九月の独り
※これも、内面の強気と状況のギャップがポイントですかね。
「洗濯」
「善と悪を遠心分離しちゃうからお札はすこし縮んじゃうのよ」
※これ、どっちが残ってるんでしょう。
「憲法第900条で定めたいこと」
お月見は定めたる日に月棲人(げつせいじん)のプライバシーを侵害せずに
※無茶苦茶な題でっしゃろ。もうこれは地球全体の憲法ということにして、何百条目からは、地球人と地球外人との取り決めにするしかないなーという発想でした。
「優」
娘には優しい人と怒ってる人らし、優しい人なら渡る
※何歳くらいの娘の設定でしょうか。歩行者用信号をそういう感情でとらえる子供の発想、みたいな歌。
「核」
雪山で眠い一人を起こしつつあきらめかけている抑止論
※いきなり、一番大きな主語で話すと、現代の人類の最後の敵は、内にはニヒリズム、外には核、なんだと思っている。逆にいうと、ニヒリズムと核によって「現代」は誕生し、この問題の解決をもって「現代」は終わるだろう。そして現代人類は、いまのところなかなか劣勢である、という歌。
「魔法」
ぼくの魔法(チカラ)は時をしばらく止めること、ぼくも動けはしないけれどね
※考えること、は出来るのかな、時間が止まっているあいだ。だとしたら、人より多く考えることが出来る魔法ということかな。
「丘」
へんなかたちの美術館にはへんな絵の丘のふもとに入り口がある
※ちょっとエッシャー風の世界を言葉で作ってみたかった感じ? 拡大を続けるGIF画像みたいな。
「彼」
ささみとか芋が続いてはまってる彼のおかげで昼のラーメン
※なにかダイエット的なものに彼がはまっているのでしょう。で、「おかげ」だから、彼女もそれにつきあって効果が出てるのでしょう。でも昼のラーメンはヤバイぜ、と思うよ(笑)。
「銃」
自死のために多くが購入するだろうおかしな民よ、かなしい民よ
※この国で銃の購入が許可されたら、少なからず自分に銃口を向ける人がいるような気がする。
「悩」
二杯目に悩んでをりぬかうばしい未来とみづのやうな真実
※酒って、2杯め以降からその飲み方の性質が決まりますよね。今日は2杯めどうしようかな、の連続が、人生か。
ところで、テルヤはツイッターのサブアカウントを持っていて、1年ほど寝かしているんだけど、こういう自選したものなんかをボットで流そうかなと考えたりしているんだけど、それって管理が大変なのだろうか。簡単でおすすめのサービスとかあったらどうぞご教示ください。ツイッターアカウント(@teruyasarudo)にでも。
登録の決め手のひとつであった光文社古典新訳文庫がごっそり削除されているし。復活してほしいものだ。
歌集がいくつか読めるので、ふだん歌集を読まないテルヤは、この登録を機に頑張って読んでいます。もっと読める歌集が増えてほしいですね。
というか、unlimitedは、漫画喫茶を目指すんじゃなくて、図書館に向かっていった方がよいのではないか。漫画、写真集、人気書籍は入れずに(入れてもニコニコみたいに人数制限か課金式)、むしろ絶版書籍などをフォーマット化してゆくとか。
いや、図書館がそういうサービスしてくれたら一番いいんだけどね。
9月作品の自選やコメント。
「東」
この汽車は山あいを秋へ走りゆく途中魁夷の絵を通りぬけ
※これはよくよく考えると題詠としては厳しいですね。東山魁夷の苗字を入れずに「東」というのは。
「跡」
恋愛話きみは笑って404NotFoundを表示している、おそらく跡地
※404NotFoundというのは、そのページはありません、という意味。これは403とか503とか他にもいろいろあって、「権限がない」とか「忙しい」とかメッセージごとに意味が異なる。ここでは、過去の恋話が「ない」ことになっているけど、ないんじゃなくて、削除されたんだな、と思っている、という意味ですね。
「踏切」
決断を引き延ばす夜の踏切を車過ぐときふたりうなづく
※でこぼこした踏切を過ぎるときに、体が上下に揺すられることがあるが、それって、車の中のシチュエーションとは関係がないよね、という歌。
「九月」
膝立ちで見送ったあと倒れこむ上等じゃんか九月の独り
※これも、内面の強気と状況のギャップがポイントですかね。
「洗濯」
「善と悪を遠心分離しちゃうからお札はすこし縮んじゃうのよ」
※これ、どっちが残ってるんでしょう。
「憲法第900条で定めたいこと」
お月見は定めたる日に月棲人(げつせいじん)のプライバシーを侵害せずに
※無茶苦茶な題でっしゃろ。もうこれは地球全体の憲法ということにして、何百条目からは、地球人と地球外人との取り決めにするしかないなーという発想でした。
「優」
娘には優しい人と怒ってる人らし、優しい人なら渡る
※何歳くらいの娘の設定でしょうか。歩行者用信号をそういう感情でとらえる子供の発想、みたいな歌。
「核」
雪山で眠い一人を起こしつつあきらめかけている抑止論
※いきなり、一番大きな主語で話すと、現代の人類の最後の敵は、内にはニヒリズム、外には核、なんだと思っている。逆にいうと、ニヒリズムと核によって「現代」は誕生し、この問題の解決をもって「現代」は終わるだろう。そして現代人類は、いまのところなかなか劣勢である、という歌。
「魔法」
ぼくの魔法(チカラ)は時をしばらく止めること、ぼくも動けはしないけれどね
※考えること、は出来るのかな、時間が止まっているあいだ。だとしたら、人より多く考えることが出来る魔法ということかな。
「丘」
へんなかたちの美術館にはへんな絵の丘のふもとに入り口がある
※ちょっとエッシャー風の世界を言葉で作ってみたかった感じ? 拡大を続けるGIF画像みたいな。
「彼」
ささみとか芋が続いてはまってる彼のおかげで昼のラーメン
※なにかダイエット的なものに彼がはまっているのでしょう。で、「おかげ」だから、彼女もそれにつきあって効果が出てるのでしょう。でも昼のラーメンはヤバイぜ、と思うよ(笑)。
「銃」
自死のために多くが購入するだろうおかしな民よ、かなしい民よ
※この国で銃の購入が許可されたら、少なからず自分に銃口を向ける人がいるような気がする。
「悩」
二杯目に悩んでをりぬかうばしい未来とみづのやうな真実
※酒って、2杯め以降からその飲み方の性質が決まりますよね。今日は2杯めどうしようかな、の連続が、人生か。
ところで、テルヤはツイッターのサブアカウントを持っていて、1年ほど寝かしているんだけど、こういう自選したものなんかをボットで流そうかなと考えたりしているんだけど、それって管理が大変なのだろうか。簡単でおすすめのサービスとかあったらどうぞご教示ください。ツイッターアカウント(@teruyasarudo)にでも。
2016年10月8日土曜日
2016年09月うたの日自作品の30首
「かも」
効くのかも効かないのかも分からないナントカ菌の多めを選ぶ
「駄菓子屋」
現代の日蔭のような駄菓子屋にまだ売れ残りたる夏休み
「東」
この汽車は山あいを秋へ走りゆく途中魁夷の絵を通りぬけ
「跡」
恋愛話きみは笑って404NotFoundを表示している、おそらく跡地
「リズム」
生活のリズムはぼくは偶数できみはどうやら七の倍数
「うん」
肯定と信じてたけどいま思えば「ううん」か「うーん」と答えていたか
「紙飛行機」
紙飛行機まで退化して人類の機銃掃射のない永い秋
「踏切」
決断を引き延ばす夜の踏切を車過ぐときふたりうなづく
「九月」
膝立ちで見送ったあと倒れこむ上等じゃんか九月の独り
「自由詠」
平日の祭りは微妙、道を占め遠慮がちなる神輿わっしょい
「心」
心に棲む生き物をひとつ描きなさい、かわいさとかはなくていいです
「洗濯」
「善と悪を遠心分離しちゃうからお札はすこし縮んじゃうのよ」
「溝」
「深くても溝なんだから降りてけばつながるんだろ?」あきらめわろし
「倍」
ツイン以上ダブル未満と思いしが二部屋取られていたでござる、ニンニン
「隣」
隣りには物乞いのような神様が試す、物乞いかもしれぬけど
「憲法第900条で定めたいこと」
お月見は定めたる日に月棲人(げつせいじん)のプライバシーを侵害せずに
「優」
娘には優しい人と怒ってる人らし、優しい人なら渡る
「ノー」
あの時の笑顔でわたしはポイントオブノータリン、いや、それで合ってます
「ハイヒール」
ハイヒール、眠っていますわたくしと世界がしっくり合う日のために
「腐」
生きることが時間についに追い越されやさしくわれは腐(くた)されてゆく
「核」
雪山で眠い一人を起こしつつあきらめかけている抑止論
「魔法」
ぼくの魔法(チカラ)は時をしばらく止めること、ぼくも動けはしないけれどね
「かわいい」
やりすぎた水でふやけてしまいたるサボテン、かわいいけれど棄てよう
「丘」
へんなかたちの美術館にはへんな絵の丘のふもとに入り口がある
「彼」
ささみとか芋が続いてはまってる彼のおかげで昼のラーメン
「勝」
人類の勝ち組側にいるんよなあ、コンビニ弁当旨きひとりも
「幅」
狭くなってゆく一本の青い道、遠近法でも比喩でもなくて
「銃」
自死のために多くが購入するだろうおかしな民よ、かなしい民よ
「さあ」
今日はちょっと頭痛がひどくて休みます、さあ何しよう病人だけど!
「悩」
二杯目に悩んでをりぬかうばしい未来とみづのやうな真実
効くのかも効かないのかも分からないナントカ菌の多めを選ぶ
「駄菓子屋」
現代の日蔭のような駄菓子屋にまだ売れ残りたる夏休み
「東」
この汽車は山あいを秋へ走りゆく途中魁夷の絵を通りぬけ
「跡」
恋愛話きみは笑って404NotFoundを表示している、おそらく跡地
「リズム」
生活のリズムはぼくは偶数できみはどうやら七の倍数
「うん」
肯定と信じてたけどいま思えば「ううん」か「うーん」と答えていたか
「紙飛行機」
紙飛行機まで退化して人類の機銃掃射のない永い秋
「踏切」
決断を引き延ばす夜の踏切を車過ぐときふたりうなづく
「九月」
膝立ちで見送ったあと倒れこむ上等じゃんか九月の独り
「自由詠」
平日の祭りは微妙、道を占め遠慮がちなる神輿わっしょい
「心」
心に棲む生き物をひとつ描きなさい、かわいさとかはなくていいです
「洗濯」
「善と悪を遠心分離しちゃうからお札はすこし縮んじゃうのよ」
「溝」
「深くても溝なんだから降りてけばつながるんだろ?」あきらめわろし
「倍」
ツイン以上ダブル未満と思いしが二部屋取られていたでござる、ニンニン
「隣」
隣りには物乞いのような神様が試す、物乞いかもしれぬけど
「憲法第900条で定めたいこと」
お月見は定めたる日に月棲人(げつせいじん)のプライバシーを侵害せずに
「優」
娘には優しい人と怒ってる人らし、優しい人なら渡る
「ノー」
あの時の笑顔でわたしはポイントオブノータリン、いや、それで合ってます
「ハイヒール」
ハイヒール、眠っていますわたくしと世界がしっくり合う日のために
「腐」
生きることが時間についに追い越されやさしくわれは腐(くた)されてゆく
「核」
雪山で眠い一人を起こしつつあきらめかけている抑止論
「魔法」
ぼくの魔法(チカラ)は時をしばらく止めること、ぼくも動けはしないけれどね
「かわいい」
やりすぎた水でふやけてしまいたるサボテン、かわいいけれど棄てよう
「丘」
へんなかたちの美術館にはへんな絵の丘のふもとに入り口がある
「彼」
ささみとか芋が続いてはまってる彼のおかげで昼のラーメン
「勝」
人類の勝ち組側にいるんよなあ、コンビニ弁当旨きひとりも
「幅」
狭くなってゆく一本の青い道、遠近法でも比喩でもなくて
「銃」
自死のために多くが購入するだろうおかしな民よ、かなしい民よ
「さあ」
今日はちょっと頭痛がひどくて休みます、さあ何しよう病人だけど!
「悩」
二杯目に悩んでをりぬかうばしい未来とみづのやうな真実
2016年10月2日日曜日
2014年09月作品雑感。
9月というのは、テルヤにとって、アカウントが誕生した月であるので、なにかそわそわする感じがあって、あたらしいこと(短歌的な)をやってみようかなと思ったりするのだが、やりたいこと、できること、なすべきことのバランスがうまく調整できず、結局なにもしなかったりするので、そういうそわそわ感である。
この2014年は、まだうたの日もやっていず、この月のツイート数が72で、歌の数が70だから、短歌以外のツイートは2つ。9/10の「毎日つくって2年になった。ゆっくりとうれしい。いつも読んでくださる方に、感謝しています。」と、フォローした方からの挨拶の返事。今よりもずっとbotっぽかったに違いない。ずっとぼっと。ほっともっと。
自選のような、自註のような。
水底でほほ笑むような刑なりき或いはあれだ、ゼリーのプール
※ゼリーのプールって泳げるんかな。
どの虫も生きようとして無数なる牙むき出せる、慈悲となるまで
※生き物が生き物を食う、あるいは食われるというのは、けっこう慈悲的だ。
レゴリスに覆われて君の惑星は息かからねば暗く遠のく
※レゴリスは、岩石の表面を覆う堆積層。人はみなそういう惑星をもっている。
何か僕に出来ることなど「ないですよ」向こうも予期せぬ強い調子で
※声にして感情がはじめて本人にもわかるって、あるよね。
死ぬこわさが三(み)つほどあって日によって程度違いていずれもこわし
※死ぬのが怖いって、いろいろあると思うんだけど、3つくらいはあるよね? たとえば、死ぬ痛みの怖さとか、死んだあと自分が世界にいないっていうこわさとか、死んだあとどうなるかわからない怖さとか、死んでも世界にはちっとも影響がない怖さとか(4つやん)。もっとあると思うけど、ふつうあまり掘り下げないけど。
生命は進化というか無機物の慈悲のおこぼれみたく流れて
※上でも慈悲についてうたってるけど、生命って、無生物の世界の慈悲があって存在できてるよね。無生物の慈悲ってなんやねんという話だけど。
アーモンドを奥歯で噛みてきしきしとやがて悔しき敵(かたき)のように
クレヨンを途中で折りて引き抜いて包み紙ついている方をくれき
※上の二つは、まあ感触の歌ですね。クレヨンに付いているぱさぱさの紙、クレヨンを折っても一緒にやぶれない感じ。
トルストイをト翁と呼びし日本の文人のその親しみ遠し
※シェイクスピアを沙翁とかね。文字数もあるんだろうけど、あの尊敬と親しみとなれなれしさ、今書けないよなあ。
「夏休みが終わるのを嫌がりながら給食を僕はほっとしていた」
※貧困の問題は、やはりどこかには存在しつづけるのだろう。夏休みは、給食、しっかりした食事がない期間、とも言える。
復讐譚として読む『国家』、巻物の中でも嘲笑される師描く
※プラトンの『国家』を読むと、目を閉じてソクラテスとの日々を思い出すプラトンの絵が浮かぶし、そういう感情が文章の底流にある。
もし鳥よ僕の不在に気づいたら小首をひとつかしげておくれ
※忘れないのもいいけど、忘れるのもいい。
文化滅ぶ、川面の端に渦なして澱みたるもの流るるごとく
※どばーって水流すと、よどみはなくなるけど、よどみって、本当に不要なのか。
後になって切なく思い出されたる要領を得ぬ夜の電話は
※その時にわかるというのは、それはそれで錯覚なのかもね。
夢の中も変わらぬわれの日常に懐かしい人が邪魔せずにいる
※脳はそういうシーンを、たぶん気まぐれに組合せては捨ててゆく。ひょっとしてとても大切なシーンが出来る場合もあるのに。
時が来ればすくりと伸びてその先が染まりてひらく群れまんずさげ
※今年は曼珠沙華まだうたってないような。うたわないという選択もありだな。
なにかこう引きちぎられているような痛みのあとのような朝雲
過ぎ去ればまた一年は文字のみの、朽ち木の匂い、かぶとむし、夏
※この辺は季節感の歌ですね。
エンディングなきゲームほど明日にでも理由なく止む生に似てゆく
※最近のゲームは明確なエンディングがなくて、それはつまり、いつでも止めうる、という意味でもある。
本当はもう知っているデュシェンヌの微笑を与えられぬふたりは
※デュシェンヌの微笑というのは、笑おうとして出る笑いでなく、漏れ出るような笑みで、使われる筋肉が違うらしいのね。
腐った匂いの腐った街にいるゆえに腐った人になるすなおさよ
※逆は逆で怖いけどね。松平定信かよって。
この2014年は、まだうたの日もやっていず、この月のツイート数が72で、歌の数が70だから、短歌以外のツイートは2つ。9/10の「毎日つくって2年になった。ゆっくりとうれしい。いつも読んでくださる方に、感謝しています。」と、フォローした方からの挨拶の返事。今よりもずっとbotっぽかったに違いない。ずっとぼっと。ほっともっと。
自選のような、自註のような。
水底でほほ笑むような刑なりき或いはあれだ、ゼリーのプール
※ゼリーのプールって泳げるんかな。
どの虫も生きようとして無数なる牙むき出せる、慈悲となるまで
※生き物が生き物を食う、あるいは食われるというのは、けっこう慈悲的だ。
レゴリスに覆われて君の惑星は息かからねば暗く遠のく
※レゴリスは、岩石の表面を覆う堆積層。人はみなそういう惑星をもっている。
何か僕に出来ることなど「ないですよ」向こうも予期せぬ強い調子で
※声にして感情がはじめて本人にもわかるって、あるよね。
死ぬこわさが三(み)つほどあって日によって程度違いていずれもこわし
※死ぬのが怖いって、いろいろあると思うんだけど、3つくらいはあるよね? たとえば、死ぬ痛みの怖さとか、死んだあと自分が世界にいないっていうこわさとか、死んだあとどうなるかわからない怖さとか、死んでも世界にはちっとも影響がない怖さとか(4つやん)。もっとあると思うけど、ふつうあまり掘り下げないけど。
生命は進化というか無機物の慈悲のおこぼれみたく流れて
※上でも慈悲についてうたってるけど、生命って、無生物の世界の慈悲があって存在できてるよね。無生物の慈悲ってなんやねんという話だけど。
アーモンドを奥歯で噛みてきしきしとやがて悔しき敵(かたき)のように
クレヨンを途中で折りて引き抜いて包み紙ついている方をくれき
※上の二つは、まあ感触の歌ですね。クレヨンに付いているぱさぱさの紙、クレヨンを折っても一緒にやぶれない感じ。
トルストイをト翁と呼びし日本の文人のその親しみ遠し
※シェイクスピアを沙翁とかね。文字数もあるんだろうけど、あの尊敬と親しみとなれなれしさ、今書けないよなあ。
「夏休みが終わるのを嫌がりながら給食を僕はほっとしていた」
※貧困の問題は、やはりどこかには存在しつづけるのだろう。夏休みは、給食、しっかりした食事がない期間、とも言える。
復讐譚として読む『国家』、巻物の中でも嘲笑される師描く
※プラトンの『国家』を読むと、目を閉じてソクラテスとの日々を思い出すプラトンの絵が浮かぶし、そういう感情が文章の底流にある。
もし鳥よ僕の不在に気づいたら小首をひとつかしげておくれ
※忘れないのもいいけど、忘れるのもいい。
文化滅ぶ、川面の端に渦なして澱みたるもの流るるごとく
※どばーって水流すと、よどみはなくなるけど、よどみって、本当に不要なのか。
後になって切なく思い出されたる要領を得ぬ夜の電話は
※その時にわかるというのは、それはそれで錯覚なのかもね。
夢の中も変わらぬわれの日常に懐かしい人が邪魔せずにいる
※脳はそういうシーンを、たぶん気まぐれに組合せては捨ててゆく。ひょっとしてとても大切なシーンが出来る場合もあるのに。
時が来ればすくりと伸びてその先が染まりてひらく群れまんずさげ
※今年は曼珠沙華まだうたってないような。うたわないという選択もありだな。
なにかこう引きちぎられているような痛みのあとのような朝雲
過ぎ去ればまた一年は文字のみの、朽ち木の匂い、かぶとむし、夏
※この辺は季節感の歌ですね。
エンディングなきゲームほど明日にでも理由なく止む生に似てゆく
※最近のゲームは明確なエンディングがなくて、それはつまり、いつでも止めうる、という意味でもある。
本当はもう知っているデュシェンヌの微笑を与えられぬふたりは
※デュシェンヌの微笑というのは、笑おうとして出る笑いでなく、漏れ出るような笑みで、使われる筋肉が違うらしいのね。
腐った匂いの腐った街にいるゆえに腐った人になるすなおさよ
※逆は逆で怖いけどね。松平定信かよって。
2016年10月1日土曜日
2014年09月の70首
水底でほほ笑むような刑なりき或いはあれだ、ゼリーのプール
どこまでを何までをわれは書きつけてそのふところへほどけてゆくか
行為から存在へ至る老害のラオハイと不意に中国読みで
銀色のその髪に似て輝きぬスポーツカーに乗りはにかまぬ
ノスタルジーひと盛りいくら、昭和歌謡はこんな未来のためにか甘し
心象の年齢を同期する先にこの人を思う、師の字を思う
どの虫も生きようとして無数なる牙むき出せる、慈悲となるまで
意識低いどころかもはや無意識系中年の吐く正論こわし
レゴリスに覆われて君の惑星は息かからねば暗く遠のく
何か僕に出来ることなど「ないですよ」向こうも予期せぬ強い調子で
死ぬこわさが三(み)つほどあって日によって程度違いていずれもこわし
感情の確証はきっと得られなくその満面の微妙な笑みの
芋焼酎(いも)の甘さとデュフィの赤に卑屈なる心なぐさめられながら酔う
メタのないライフストーリーに動じつつ参考としてはひそかに外す
生命は進化というか無機物の慈悲のおこぼれみたく流れて
アーモンドを奥歯で噛みてきしきしとやがて悔しき敵(かたき)のように
寂しさの満喫といえグラウコンへのかの説得が心に入らず
謙虚さに気がほぐれつつ何周目のことであろうか訊きたくなりつ
ためのゆえの、ためのゆえのと両の手で水を掬うように心をさだむ
水しぶきの中から君が現れていつかどこかの記憶のごとし
クレヨンを途中で折りて引き抜いて包み紙ついている方をくれき
土の匂いを臭がる子にも驚いてアスファルト=プレパラートの家路
雨のなかのみずうみは白くうっすらと無音と思うまで雨を受く
性善説の悪人と性悪説の善人と表情のその苦さにて似つ
中秋の名月は雨、脳裏には前々のまだ成らぬ満月
トルストイをト翁と呼びし日本の文人のその親しみ遠し
言い切ったはずだが舌の違和感は虫歯のようにぐらぐらしおり
「夏休みが終わるのを嫌がりながら給食を僕はほっとしていた」
メロディは知らず母より教わりきつくし誰の子、雑草を抜く
いつの日か叶わなくてもいい夢に国際列車の寝台に寝る
復讐譚として読む『国家』、巻物の中でも嘲笑される師描く
書簡詩の節句を読みて韻律に宿りしものの痕跡かすか
穴という穴から子孫生まれ出て身を朽(く)ちて神となるのもたのし
経験を騙し取られて憤するも時間とは地面剥(は)がし行(ゆ)く球(たま)
もし鳥よ僕の不在に気づいたら小首をひとつかしげておくれ
汲めど尽きぬもののあふれる芸術のレイヤを見おり位置ゲーのごと
ジンゴイズムの主義の主軸は排外か愛国かしばし目が止まりいて
有名人でもないのに歩く東京のテレビと同じ店を見渡す
"い"の"ち"とはとうとかりけり、なぜ人を殺してならぬかなど付するほど
やる気さえネガティブな言で示すのでその目と声を聴かねばならぬ
霧に見えぬ不安もあわせ夢のように進みつつ名前叫んでいたり
文字だけが思いの先に行かぬよう詩になりたがる言葉を叩く
光熱費かからぬほうの青春を過ごしていたが大差なき生
生命進化の末裔についぞ遠からん擬人化の弛(ゆる)みなきコモノート
マジョリティへの欲求として独立はありけむ、やがて苦しくならむ
文化滅ぶ、川面の端に渦なして澱みたるもの流るるごとく
癒すのが意味か音かもあいまいに涙を出せば意外に泣けり
人生のよしあしをどこで決めようか過去でも今でも未来でもなく
斜め上から見下ろしている人生のひとつひとつのシーンが、嘘だ
木工玩具の球のストンと納得の因果があれば人生はよし
後になって切なく思い出されたる要領を得ぬ夜の電話は
夢の中も変わらぬわれの日常に懐かしい人が邪魔せずにいる
時が来ればすくりと伸びてその先が染まりてひらく群れまんずさげ
宇宙人いるわけないが人間は夜に小さい光を探す
なにかこう引きちぎられているような痛みのあとのような朝雲
過ぎ去ればまた一年は文字のみの、朽ち木の匂い、かぶとむし、夏
話終わりて「おわり」と付ける剽軽に一同の肩は少しほぐれて
過ぎたので遅かったのでその過去を意味を変容するべく勇む
case of you を聴く為にあと一杯をトクトクと注(つ)ぐ、秋の夜長に
性自認に悩みいしことを就職の決まりし姪にはじめて聞けり
大五郎サイズのウイスキーを購(か)い割って飲みおり、少し寂しき
巻き込みを逃れるためのレイヤ化と謂(い)う君の目のミサントローポス
親ひとり子ひとりの旅の心地して浮舟のような部屋にて抱けり
エンディングなきゲームほど明日にでも理由なく止む生に似てゆく
饒舌のあとにさびしき、テーブルの食べ散らかしたゴミ手に包み
本当はもう知っているデュシェンヌの微笑を与えられぬふたりは
久しぶりに強く酔いたる鏡にて見知らぬ顔よ、お前は誰だ?
腐った匂いの腐った街にいるゆえに腐った人になるすなおさよ
人ばかりなる新宿のホームにてあきつがひとつ低くさまよう
確信は不抜にいたりわが生のかたちみちゆきひとつと成せれ
どこまでを何までをわれは書きつけてそのふところへほどけてゆくか
行為から存在へ至る老害のラオハイと不意に中国読みで
銀色のその髪に似て輝きぬスポーツカーに乗りはにかまぬ
ノスタルジーひと盛りいくら、昭和歌謡はこんな未来のためにか甘し
心象の年齢を同期する先にこの人を思う、師の字を思う
どの虫も生きようとして無数なる牙むき出せる、慈悲となるまで
意識低いどころかもはや無意識系中年の吐く正論こわし
レゴリスに覆われて君の惑星は息かからねば暗く遠のく
何か僕に出来ることなど「ないですよ」向こうも予期せぬ強い調子で
死ぬこわさが三(み)つほどあって日によって程度違いていずれもこわし
感情の確証はきっと得られなくその満面の微妙な笑みの
芋焼酎(いも)の甘さとデュフィの赤に卑屈なる心なぐさめられながら酔う
メタのないライフストーリーに動じつつ参考としてはひそかに外す
生命は進化というか無機物の慈悲のおこぼれみたく流れて
アーモンドを奥歯で噛みてきしきしとやがて悔しき敵(かたき)のように
寂しさの満喫といえグラウコンへのかの説得が心に入らず
謙虚さに気がほぐれつつ何周目のことであろうか訊きたくなりつ
ためのゆえの、ためのゆえのと両の手で水を掬うように心をさだむ
水しぶきの中から君が現れていつかどこかの記憶のごとし
クレヨンを途中で折りて引き抜いて包み紙ついている方をくれき
土の匂いを臭がる子にも驚いてアスファルト=プレパラートの家路
雨のなかのみずうみは白くうっすらと無音と思うまで雨を受く
性善説の悪人と性悪説の善人と表情のその苦さにて似つ
中秋の名月は雨、脳裏には前々のまだ成らぬ満月
トルストイをト翁と呼びし日本の文人のその親しみ遠し
言い切ったはずだが舌の違和感は虫歯のようにぐらぐらしおり
「夏休みが終わるのを嫌がりながら給食を僕はほっとしていた」
メロディは知らず母より教わりきつくし誰の子、雑草を抜く
いつの日か叶わなくてもいい夢に国際列車の寝台に寝る
復讐譚として読む『国家』、巻物の中でも嘲笑される師描く
書簡詩の節句を読みて韻律に宿りしものの痕跡かすか
穴という穴から子孫生まれ出て身を朽(く)ちて神となるのもたのし
経験を騙し取られて憤するも時間とは地面剥(は)がし行(ゆ)く球(たま)
もし鳥よ僕の不在に気づいたら小首をひとつかしげておくれ
汲めど尽きぬもののあふれる芸術のレイヤを見おり位置ゲーのごと
ジンゴイズムの主義の主軸は排外か愛国かしばし目が止まりいて
有名人でもないのに歩く東京のテレビと同じ店を見渡す
"い"の"ち"とはとうとかりけり、なぜ人を殺してならぬかなど付するほど
やる気さえネガティブな言で示すのでその目と声を聴かねばならぬ
霧に見えぬ不安もあわせ夢のように進みつつ名前叫んでいたり
文字だけが思いの先に行かぬよう詩になりたがる言葉を叩く
光熱費かからぬほうの青春を過ごしていたが大差なき生
生命進化の末裔についぞ遠からん擬人化の弛(ゆる)みなきコモノート
マジョリティへの欲求として独立はありけむ、やがて苦しくならむ
文化滅ぶ、川面の端に渦なして澱みたるもの流るるごとく
癒すのが意味か音かもあいまいに涙を出せば意外に泣けり
人生のよしあしをどこで決めようか過去でも今でも未来でもなく
斜め上から見下ろしている人生のひとつひとつのシーンが、嘘だ
木工玩具の球のストンと納得の因果があれば人生はよし
後になって切なく思い出されたる要領を得ぬ夜の電話は
夢の中も変わらぬわれの日常に懐かしい人が邪魔せずにいる
時が来ればすくりと伸びてその先が染まりてひらく群れまんずさげ
宇宙人いるわけないが人間は夜に小さい光を探す
なにかこう引きちぎられているような痛みのあとのような朝雲
過ぎ去ればまた一年は文字のみの、朽ち木の匂い、かぶとむし、夏
話終わりて「おわり」と付ける剽軽に一同の肩は少しほぐれて
過ぎたので遅かったのでその過去を意味を変容するべく勇む
case of you を聴く為にあと一杯をトクトクと注(つ)ぐ、秋の夜長に
性自認に悩みいしことを就職の決まりし姪にはじめて聞けり
大五郎サイズのウイスキーを購(か)い割って飲みおり、少し寂しき
巻き込みを逃れるためのレイヤ化と謂(い)う君の目のミサントローポス
親ひとり子ひとりの旅の心地して浮舟のような部屋にて抱けり
エンディングなきゲームほど明日にでも理由なく止む生に似てゆく
饒舌のあとにさびしき、テーブルの食べ散らかしたゴミ手に包み
本当はもう知っているデュシェンヌの微笑を与えられぬふたりは
久しぶりに強く酔いたる鏡にて見知らぬ顔よ、お前は誰だ?
腐った匂いの腐った街にいるゆえに腐った人になるすなおさよ
人ばかりなる新宿のホームにてあきつがひとつ低くさまよう
確信は不抜にいたりわが生のかたちみちゆきひとつと成せれ
2015年12月20日日曜日
2013年09月作品雑感。
この9月でてるやさるどうがツイッターで短歌を作りはじめて1年となる。
この作品もすでにブログには載せていて、「アニバーサリー、メモリアル」というタイトルをつけている。9月の記念日を題詠にしたものであった。
なんの記念日だったか書き留めておかなかったので、調べてみたが、だいたいこういう記念日だったと思う。
1「防災の日」
2「靴の日」
3「ホームラン記念日」
4「くしの日」
5「石炭の日」
6「クロスワードの日」
7「CMソングの日」
8「国際識字デー」
9「救急の日」
10「カラーテレビ放送記念日」
11「公衆電話の日」
12「水路記念日」
13「世界法の日」
14「コスモスの日」
15「大阪寿司の日」
16「マッチの日」
17「モノレール開業記念日」
18「かいわれ大根の日」
19「苗字の日」
20「バスの日」
21「世界アルツハイマーデー」
22「カーフリーデー」
23「万年筆の日」
24「畳の日」
25「主婦休みの日」
26「ワープロの日」
27「世界観光の日」
28「パソコン記念日」
29「洋菓子の日」
30「クレーンの日」
記念日を書かなかったのは、題詠がそうなのだが、その題をどう織り込んだか、という視点が発生するからで、それを避ける気持ちがあったかもしれない。もっとも、タイトルに記念日を匂わせているので、何の記念日を歌っているのか、という別の視点が発生してしまう難点もあるのだろうが。
自選。
非常食の美味しすぎない配慮など少し可笑しくのち、しん、となる
気持ちではなくて気分がわかるらし手櫛で髪を調(ととの)えおれば
水門の湛える水のその中で始まり終わる生を思えり
モノレール高架の下で雨を避(よ)けいつ止(や)むべきか分からぬ、生も
世界中を観光に巡りめぐりはて近所のお堂の梁(はり)見上げ泣く
クレーンの指す方向に月ありて意義深き時を居る心地する
この作品もすでにブログには載せていて、「アニバーサリー、メモリアル」というタイトルをつけている。9月の記念日を題詠にしたものであった。
なんの記念日だったか書き留めておかなかったので、調べてみたが、だいたいこういう記念日だったと思う。
1「防災の日」
2「靴の日」
3「ホームラン記念日」
4「くしの日」
5「石炭の日」
6「クロスワードの日」
7「CMソングの日」
8「国際識字デー」
9「救急の日」
10「カラーテレビ放送記念日」
11「公衆電話の日」
12「水路記念日」
13「世界法の日」
14「コスモスの日」
15「大阪寿司の日」
16「マッチの日」
17「モノレール開業記念日」
18「かいわれ大根の日」
19「苗字の日」
20「バスの日」
21「世界アルツハイマーデー」
22「カーフリーデー」
23「万年筆の日」
24「畳の日」
25「主婦休みの日」
26「ワープロの日」
27「世界観光の日」
28「パソコン記念日」
29「洋菓子の日」
30「クレーンの日」
記念日を書かなかったのは、題詠がそうなのだが、その題をどう織り込んだか、という視点が発生するからで、それを避ける気持ちがあったかもしれない。もっとも、タイトルに記念日を匂わせているので、何の記念日を歌っているのか、という別の視点が発生してしまう難点もあるのだろうが。
自選。
非常食の美味しすぎない配慮など少し可笑しくのち、しん、となる
気持ちではなくて気分がわかるらし手櫛で髪を調(ととの)えおれば
水門の湛える水のその中で始まり終わる生を思えり
モノレール高架の下で雨を避(よ)けいつ止(や)むべきか分からぬ、生も
世界中を観光に巡りめぐりはて近所のお堂の梁(はり)見上げ泣く
クレーンの指す方向に月ありて意義深き時を居る心地する
2013年09月の30首
非常食の美味しすぎない配慮など少し可笑しくのち、しん、となる
靴下を靴に押し込み海までの数メートルの裸足だけ夏
ホームランの数を競いて戦後とは明るくなりぬ、昭和の話
気持ちではなくて気分がわかるらし手櫛で髪を調(ととの)えおれば
大森林が石炭層になるように我が生もいつか少し役立て
クロスワードのアルファベットを並べたら「ミルマエニトベ」そんな無体な
CMソングを口ずさみつつ席を立つ分かられづらい怒り見せずに
槃特は文字がいかにも読めなくて悩みはするが過ぎれば笑(え)めり
救急車が増えてゆく街、サイレンに揺れいるごとし菊の花酒
カラーテレビ誕生までは世界には色なかりしと思わざれども
銅貨を落とす擬音で始まる外国の「公衆電話」という曲ありき
水門の湛える水のその中で始まり終わる生を思えり
法による世界平和を惟(おもんみ)るレイヤを渡る群れの車内で
人もまた外来にして群生の破壊の種なる、コスモスの揺(ゆ)る
ぎっしりと詰められて大阪寿司の帰途で食いつつ泣く、鼻腔(はな)痛く
海を恋う心地にも似て玄関で捨てるマッチを燃やしては消す
モノレール高架の下で雨を避(よ)けいつ止(や)むべきか分からぬ、生も
カイワレの栽培棚に長く立ち吾も辛き味の満員電車
苗字とか住所の話をせぬままに分かり合いしが思い出せずき
非悲劇的な乗り物なのでさよならも少し寂しくない深夜バス
我がかたちも記憶こぼれるまでという切なる願いもこぼれていくか
プライドのように輝く自動車の休日、終日洗う男の
ぬるま湯に万年筆のペン先を溶(と)けばただよう昔日(せきじつ)のあを
青春の清しき終わり六畳のアパート解体ののちの跡地は
主婦休みにすることもなく結局は片付けている無言なる午後
わが文字を活字にできる驚きもそのワープロも今はあらずや
世界中を観光に巡りめぐりはて近所のお堂の梁(はり)見上げ泣く
許可を得て父の書斎に友と入りゲームで遊びきパソコンサンデー
道の端の落ち葉踏みつつ洋菓子店を過ぎ、引き返してミルフイユ購(か)う
クレーンの指す方向に月ありて意義深き時を居る心地する
靴下を靴に押し込み海までの数メートルの裸足だけ夏
ホームランの数を競いて戦後とは明るくなりぬ、昭和の話
気持ちではなくて気分がわかるらし手櫛で髪を調(ととの)えおれば
大森林が石炭層になるように我が生もいつか少し役立て
クロスワードのアルファベットを並べたら「ミルマエニトベ」そんな無体な
CMソングを口ずさみつつ席を立つ分かられづらい怒り見せずに
槃特は文字がいかにも読めなくて悩みはするが過ぎれば笑(え)めり
救急車が増えてゆく街、サイレンに揺れいるごとし菊の花酒
カラーテレビ誕生までは世界には色なかりしと思わざれども
銅貨を落とす擬音で始まる外国の「公衆電話」という曲ありき
水門の湛える水のその中で始まり終わる生を思えり
法による世界平和を惟(おもんみ)るレイヤを渡る群れの車内で
人もまた外来にして群生の破壊の種なる、コスモスの揺(ゆ)る
ぎっしりと詰められて大阪寿司の帰途で食いつつ泣く、鼻腔(はな)痛く
海を恋う心地にも似て玄関で捨てるマッチを燃やしては消す
モノレール高架の下で雨を避(よ)けいつ止(や)むべきか分からぬ、生も
カイワレの栽培棚に長く立ち吾も辛き味の満員電車
苗字とか住所の話をせぬままに分かり合いしが思い出せずき
非悲劇的な乗り物なのでさよならも少し寂しくない深夜バス
我がかたちも記憶こぼれるまでという切なる願いもこぼれていくか
プライドのように輝く自動車の休日、終日洗う男の
ぬるま湯に万年筆のペン先を溶(と)けばただよう昔日(せきじつ)のあを
青春の清しき終わり六畳のアパート解体ののちの跡地は
主婦休みにすることもなく結局は片付けている無言なる午後
わが文字を活字にできる驚きもそのワープロも今はあらずや
世界中を観光に巡りめぐりはて近所のお堂の梁(はり)見上げ泣く
許可を得て父の書斎に友と入りゲームで遊びきパソコンサンデー
道の端の落ち葉踏みつつ洋菓子店を過ぎ、引き返してミルフイユ購(か)う
クレーンの指す方向に月ありて意義深き時を居る心地する
2015年11月3日火曜日
2015年9月うたの日作品雑感。
うたの日、というハッシュタグはそれまでちらほら見たことがあるような印象だったが、それについて詳しく聞いたのは9月20日の大阪文フリだった。
うたの日(http://utanohi.everyday.jp/)とはネット上で行なう、誰でも参加可能な歌会で、昼と夜に題が出てくるので、どちらか一つに詠草を投稿する。投稿の〆切(24時間)を過ぎたら次は投票の時間(3時間)で、ハートをひとつ、音符とコメントは好きなだけ投票できる。ハートの数が一番多い人が花束となる、というようなしくみのようだ。(他にもいくつかコーナーがあるが、その辺はまだ詳しく知らない)
照屋は、あまり題詠に得意意識をもっていないので、大変な気もしたが、せっかくだから、やってみようと思ったのだ。
この月は、「ごっこ」と「ぬいぐるみ」にハートを3ついただいた。投票の際にひとつしか持っていないハートをつけてくれるのは、やはり嬉しい。
うたの日(http://utanohi.everyday.jp/)とはネット上で行なう、誰でも参加可能な歌会で、昼と夜に題が出てくるので、どちらか一つに詠草を投稿する。投稿の〆切(24時間)を過ぎたら次は投票の時間(3時間)で、ハートをひとつ、音符とコメントは好きなだけ投票できる。ハートの数が一番多い人が花束となる、というようなしくみのようだ。(他にもいくつかコーナーがあるが、その辺はまだ詳しく知らない)
照屋は、あまり題詠に得意意識をもっていないので、大変な気もしたが、せっかくだから、やってみようと思ったのだ。
この月は、「ごっこ」と「ぬいぐるみ」にハートを3ついただいた。投票の際にひとつしか持っていないハートをつけてくれるのは、やはり嬉しい。
「ごっこ」
何年も孤独ごっこを演じいるやめたらただの孤独になるし
「ぬいぐるみ」
ぼくたちはさいわい生きていないから笑ったままで破(やぶ)かれてゆく
短歌というのは、すべて何かしらの題詠、と言えるかもしれない。あるいは、題へ到ろうとするこころみの、まだ題になっていないことが短歌である場合もある。
だから、なんとなくだけど、題が最初にある題詠って、すこし気恥ずかしい感じがして、上にも「得意意識をもっていない」みたいな、変な表現になる。嫌いじゃないし、苦手ってわけでもないと思うんだけどね。
ときどき、自分のなかに無い語彙が題になったりすると、ほんとうに言葉が動かなくて困ることがある。でもそのしんどさは、題詠の面白いところでもある。
この月の自選は、これかなあ。
「遅刻」
遅刻した罰としてきみはカバになり間にあってトリのぼくは啼きおり
2015年9月うたの日作品の10首
「原チャリ」
放置されて白き原チャリ、ご主人を待つような泣ける話もなくて
「人」
鳥一羽人間ひとり住んでいるあの家の、鳥は変わらぬらしい
「うまい棒」
うまさとは人それぞれでそもそもに筒じゃないか、と流暢なきみ
「コピー」
コピペって言葉はあれね貼るときの擬態語が、あと加トちゃん、あるね
「ごっこ」
何年も孤独ごっこを演じいるやめたらただの孤独になるし
「ぶどう」
皿の上のぶどうがホネになるを見つ、どれだけの房を食ったオトコか
「料理」
小麦粉を水で溶きいてスプーンの背でつぶすダマ、生き延びさせず
「ぬいぐるみ」
ぼくたちはさいわい生きていないから笑ったままで破(やぶ)かれてゆく
「遅刻」
遅刻した罰としてきみはカバになり間にあってトリのぼくは啼きおり
「煙草」
ため息を紫煙に混ぜて吐くそばで空気清浄機がみな吸えり
2015年11月1日日曜日
2012年9月作品雑感。
過去作品を読んで雑感など。
一年半原発の文字を追いつつも半減したる手応えもあり
照屋沙流堂の短歌は2012年9月11日に開始した。この日は東日本大震災から1年半で、震災まで反原発論者だった照屋が、震災後1年を経て、どうもこれは自分は間違っているんじゃないかと思い始め、そういう変化することも含めて、ツイッター上で短歌を書いていこうというのが動機だったような気がする。
でもこの月に原発のこと書いてるのは、2首だけだね。あ、陰謀論の短歌もあるか。
陰謀という名の君の世界への善側にいたい願いのかたち
今年の9月に、とある同人誌のお誘いをうけ、代表作を5首出す話があって、「代表作なんてないなあ」と思いながら自選しようと思ったが、自選よりも作った方が早くて楽だったので、
さめやらぬ地表に少し水落ちて最期は水で満ちると思う
この歌を元に5首を作って送った。その同人の会は、いろいろあって、創刊号の出る前に退会をした。
この月の短歌から自選したら、いくつあるだろう。
類似とは"べつべつ"のこと、やがて君とも類似の未来を歩むと思えば
昏き夜に船と船とがゆるやかに行き交うように君を思うよ
人生に弾圧もなく、眼前に入道雲が消えぬドライブ
去り際に少しく膝を曲げたのはご褒美なのか疑うトマス
夕方にリビングでひとり泣くような老後もありぬ、涙があれば
打率? そんなものは気にしないのさ。
一年半原発の文字を追いつつも半減したる手応えもあり
照屋沙流堂の短歌は2012年9月11日に開始した。この日は東日本大震災から1年半で、震災まで反原発論者だった照屋が、震災後1年を経て、どうもこれは自分は間違っているんじゃないかと思い始め、そういう変化することも含めて、ツイッター上で短歌を書いていこうというのが動機だったような気がする。
でもこの月に原発のこと書いてるのは、2首だけだね。あ、陰謀論の短歌もあるか。
陰謀という名の君の世界への善側にいたい願いのかたち
今年の9月に、とある同人誌のお誘いをうけ、代表作を5首出す話があって、「代表作なんてないなあ」と思いながら自選しようと思ったが、自選よりも作った方が早くて楽だったので、
さめやらぬ地表に少し水落ちて最期は水で満ちると思う
この歌を元に5首を作って送った。その同人の会は、いろいろあって、創刊号の出る前に退会をした。
この月の短歌から自選したら、いくつあるだろう。
類似とは"べつべつ"のこと、やがて君とも類似の未来を歩むと思えば
昏き夜に船と船とがゆるやかに行き交うように君を思うよ
人生に弾圧もなく、眼前に入道雲が消えぬドライブ
去り際に少しく膝を曲げたのはご褒美なのか疑うトマス
夕方にリビングでひとり泣くような老後もありぬ、涙があれば
打率? そんなものは気にしないのさ。
2012年9月11日〜30日の49首
一年半原発の文字を追いつつも半減したる手応えもあり
21世紀初日の如くして911は燃え上がりけり
言論に述志の気風消えうせて発電所の煙たなびくごとし
我の為に広告さえも選ばれてネットワークの外堀深し
「述志とかカッコつけてるだけよねえ」マックで女子高生らが笑う
病む友のおそらくは命からがらの明るいメールを息とめて見る
カクパトリックの貨幣石圏の熱の夢、可視化されねば今は無きごとし
カンブリア紀の大爆発と大虐殺の豊かで殺伐たる悲しみの
新宿駅の石もて追わるる貨物車両、車両なきあとも石は投げたし
魅惑とは"わからない"こと、また君がひとつベールを脱いでしまえり
類似とは"べつべつ"のこと、やがて君とも類似の未来を歩むと思えば
崩壊を感じつつ父は父として崩壊するか、百日紅まだ
大げさに空の青さを驚いてかつて歌人は見神の職
ルーチンという語の忌まわしさ、生命は終わる時こそ一瞬と知れば
同世代の活躍がちらほら見えてポッキー三本まとめてかじる
陰謀という名の君の世界への善側にいたい願いのかたち
「弱肉強食福祉社会」の到来に備えんとしてどちらか迷う
大丈夫すぐ降る雨はすぐに止む、永い悲しみのひとときに言う
さめやらぬ地表に少し水落ちて最期は水で満ちると思う
深淵で怪物に目を見らるごと端末は我を端末とせり
文学は救うと思うな、足跡に頬を付けたき心はあれど
咆吼にかたちがあらわ、勇敢より卑怯に依って生きたいのちの
髪をほどいて帰りを待つと思いしが帰らぬ、クリック音が響けり
孤独とは耳から糸を垂らしつつ誰のことをも思わぬ時間
私のは中心のない自由です、なんでもありでなんにもなしの
人間界に風がそよめき、このような嬉しさをメールには入れられず
たしかに死が解放であるならば苦楽の釣り合わぬ茜雲
消費の覚めないような夢に居て充実は指をこぼれるモーラ
天才に噛み付いて若き青年は中年となり、甘美もありぬ
生きがいのない日々となり小人は閑居するなり文明生活
昏き夜に船と船とがゆるやかに行き交うように君を思うよ
ドードーの最後の一羽の眠る時の夢を悲しむほどの感傷
人類と合わぬ種は弱小とされ、アスファルトにコアラの死のマーチ
生き物は心拍とともにドメインを渡る、誰かの呼ぶ声がする
世界とは心拍のこと、自分とは違うリズムに耳を付けたり
サルトルは文学に飢えた俺たちに何をくれたか考える朝
いっせいに磁石の赤は北を指しもう北について議論は出来ず
紫外線や磁性や超音波の国で衆生を度する仏もあらむ
五十億年後の膨張しきったる太陽は豚のように笑うか
思い出に十年ぶりに追記する夜のドライブ、奇跡を走る
ウェブ上で"友達"となりもうこれで関係は固定されて動かぬ
お祭りがあるのであろう神社から少し離れてあくびする猫
人生に弾圧もなく、眼前に入道雲が消えぬドライブ
去り際に少しく膝を曲げたのはご褒美なのか疑うトマス
脳みそが永遠を理解する頃にもう一度君に逢えると思う
夕方にリビングでひとり泣くような老後もありぬ、涙があれば
一日の終わりの終わり、休息が希望とならば死とはあるいは
知をかさね遂には信に至らずば掌(て)の一滴を二文字と知れり
肝心要は最初か最後、君だけが最後であればおおかたはよし
2013年9月30日月曜日
アニバーサリー、メモリアル
アニバーサリー、メモリアル
非常食の美味しすぎない配慮など少し可笑しくのち、しん、となる
靴下を靴に押し込み海までの数メートルの裸足だけ夏
ホームランの数を競いて戦後とは明るくなりぬ、昭和の話
気持ちではなくて気分がわかるらし手櫛で髪を調(ととの)えおれば
大森林が石炭層になるように我が生もいつか少し役立て
クロスワードのアルファベットを並べたら「ミルマエニトベ」そんな無体な
CMソングを口ずさみつつ席を立つ分かられづらい怒り見せずに
槃特は文字がいかにも読めなくて悩みはするが過ぎれば笑(え)めり
救急車が増えてゆく街、サイレンに揺れいるごとし菊の花酒
カラーテレビ誕生までは世界には色なかりしと思わざれども
銅貨を落とす擬音で始まる外国の「公衆電話」という曲ありき
水門の湛える水のその中で始まり終わる生を思えり
法による世界平和を惟(おもんみ)るレイヤを渡る群れの車内で
人もまた外来にして群生の破壊の種なる、コスモスの揺(ゆ)る
ぎっしりと詰められて大阪寿司の帰途で食いつつ泣く、鼻腔(はな)痛く
海を恋う心地にも似て玄関で捨てるマッチを燃やしては消す
モノレール高架の下で雨を避(よ)けいつ止(や)むべきか分からぬ、生も
カイワレの栽培棚に長く立ち吾も辛き味の満員電車
苗字とか住所の話をせぬままに分かり合いしが思い出せずき
非悲劇的な乗り物なのでさよならも少し寂しくない深夜バス
我がかたちも記憶こぼれるまでという切なる願いもこぼれていくか
プライドのように輝く自動車の休日、終日洗う男の
ぬるま湯に万年筆のペン先を溶(と)けばただよう昔日(せきじつ)のあを
青春の清しき終わり六畳のアパート解体ののちの跡地は
主婦休みにすることもなく結局は片付けている無言なる午後
わが文字を活字にできる驚きもそのワープロも今はあらずや
世界中を観光に巡りめぐりはて近所のお堂の梁(はり)見上げ泣く
許可を得て父の書斎に友と入りゲームで遊びきパソコンサンデー
道の端の落ち葉踏みつつ洋菓子店を過ぎ、引き返してミルフイユ購(か)う
クレーンの指す方向に月ありて意義深き時を居る心地する
2013年9月11日水曜日
歌人論
歌人論
複雑な緻密繊細荘厳のタペストリーの端がくすぶる
歌人とは世界の布の切れ端の糸をするりと抜く指を持ち
幾ペタのビットが文字を成す朝(あした)、恋のようなるものの文字化け
歌人とは知識にあらず、辿り着かずいつも"調べ"ているとう冗句
気がつけば轟音のする世界にも慣れてキャベツをわしわし食す
歌人とはその言霊を響かせて逆に喰われて手負いて啼(な)けり
鎌首を擡(もた)げて舌をチロチロと出して貴様の名前は希望
歌人とはついに謡(うた)いをやめるとき心底深き闇にいるなり
辺獄か煉獄か悩むわたくしに距離置いて少しほほえむあなた
歌人とは沼地の泡がぶくぶくと弾(はじ)けはじけて愛おしみおり
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