過去のデータを眺めてたら、ふっるい一人連句が見つかって、思わず笑ってしまった。夜勤の暇な時間に、だれも話せる人がいなくて、作ってたんだよな。決して、うまくはない。最近の人、みんなうまいもんなあ。
歌仙「夜勤」の巻
1999年皐月14日
表六句
発句 夏 夜勤明けに尖る心ぞ夏やつれ
脇句 夏 枇杷もぐ両の腕みづみづし
第三 雑 屋根裏を歩く楽しみ告げ難く
四句 雑 海水パンツ姿で立てり
月 秋 長月に神は出費を戒めて
折端 秋 墓参の後の声の大きさ
裏十二句
折立 秋 店長は蜻蛉の怖い人らしい
二句 恋 君の丸文字読み返しいる
三句 恋 羚羊が断崖を恋う都会にて
四句 雑 あやとりをする母につき合う
五句 雑 テトラポットが砂浜になる未来まで
六句 雑 基地に隠れて砂糖舐めおり
月 冬 一途とは裸体の事か冬の月
八句 冬 鮫さめざめと迷う大洋
九句 雑 欠伸噛み教授は次を促すも
十句 雑 納豆飯の続く月末
花 待合室の老い花ならむ人生の
折端 春 山笑うまま男泣きする
名残表十二句
折立 春 サンダルも記憶にまみれ受難節
二句 雑 むく犬がついてくるどこまでも
三句 雑 「哲学はあちらの角にございます」
四句 雑 その口元は筑紫哲也か
五句 夏 香港で甘き冷麦のみ下す
六句 夏 軒風鈴のまとう緑青
七句 雑 夕方にキリコの路地へ迷い込み
八句 恋 海女の恋唄かすかに聞こゆ
九句 恋 脇をもち君を布団へはこぶ朝
十句 雑 カラスがじっと俺を見ていた
月 秋 秋の月ぶらんこでやるコップ酒
折端 秋 軽自動車が紅葉掃き行く
名残裏六句
折立 秋 運動会かずおの父はスーツ着て
二句 雑 上空二千メートルの青
三句 雑 契約の署名を終えて般若面
四句 雑 ついでにハンモックも一揃え
花 桜吹雪に出発の決意固まれば
挙句 春 懐かしい日の春炬燵かな
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