2017年7月6日木曜日

抜粋抄

  6月23日「まくらことば」 

ぬばたまの夜の瓦礫に月光が異国のように降り注ぐなり 

凶悪な人工元素を捏(こ)ね上げてちはやぶる神も立ち退かせはや 

避難所にたらちねの母を置きしまま連絡の頻度減りゆく息子 

一時帰宅は線香の束をたづさえてしろたへの防護服で鎮めに 

くさまくら度々ホームページ見て線量を教えくれる同僚 

あをによし並んでガスを贖(あがな)いて脱出の準備して気が済めり 

原発の安全性はあまざかるド田舎の立地も理由の一つ 

あしひきの山の斜面の茶畑の新茶みづみづしく放射せり 

線量の閾値(しきいち)について説明し安全と言えばあかねさす君 

広島もその全容はほのぼのと明かし尽くされたるわけでなし 

ひさかたの光のどけき春の日にしづ心にて爆発を見ゆ 

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