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2019年10月22日火曜日

2017年05月の107首と、その他もろもろ。

クオリティ・オブ・デスのこと考えてこの席を気をつかいて離る

BitchesBrewのような屁が出て人間はそんなに俗になっても平気

国際人は無国籍とは異なると学校新聞に書きし若さぞ

この人もミモザの花をうたうときレイヤがひとつうわずる人だ

秩父ってちちちちじゃんと思おえど鳥取の話みたいでやめる

元気そうでよかったなんてみなで言う皮肉はなくてわりと素直に

売れ残りの金箔入りの酒を舐めおめでたかった日々のきらきら

生きている意味って何だ、長い猫は今日も一日ゆっくり長い

和であれば貴(とうと)しと為せ、思想とはルール少なきほど強くして

自分にはもっと素敵な嘘をつけけっこう騙されやすいんだから

たんぽぽは根っこがとても深いので踏んでも踏んでも死なないのです

高速の渋滞にいる、映画なら危機から逃げて間に合わぬモブ

死に場所でオレの形は決まるから桜、いや海、いや君の膝

その気持ち百年経って気づいたら涙がつたり、誰も無き夜に

四本の丸太のような母象のどんな形にでも母はなる

それぞれの心に林立してるから何度も振り返らざる塔(あららぎ)

歌会詠草
食べ放題で別れ話になるなんて負け戦じゃん元が取れても

最新鋭だった天文機器で見る宇宙がとても、最新だった

次も負けてきょうぼくは生まれ変わりたいマトリョーシカの見下ろす部屋で

食べものの好き嫌い語るとき人は存在論的嫌な顔する

夕方にアイガタメール会いがたく御託を述べるノベルの如き

のり弁と第三のビール買い帰る道すがら五月つつじ茂(も)く開(さ)く

二時の男二時になりせば独り身の理由を述べてお開きにする

そのブースの売り子ニコニコ可愛くて帰ったらこんな毒売りやがる

そう鈴木蘭々のように君は言うくろせか、らんらんにもう決めたと

切り詰めた数文字も口語短歌ならすぐ使っちゃう現代短歌

ただ単なる善人は役にたたざると本間俊平信徒を語りき

強情に負けてよかった、山奥のダムの水面(みなも)に遅めの桜

同じことが繰り返されて繰り返しの終わるころ俺は生命だった

異文化の尊重を問うそう言えば左で手刀を切る朝青龍

マイノリティは世を怨むべしそしていつか向こうになってこちらを潰せ

縦書きの短歌を書けば気取ってると言われたリアルな歌会の帰り

リアル歌会は「対人歌会」の意味に代わりAI「定家」に歌を教わる

歴史上の歌人もボットでよみがえりみな横書きを強制されつ

ポンデリングわづかに勝てりおつさんが食べてもはつかかはいい感じ

もうすぐだオレが世界に現れて取り替えられてゴミ箱だでは!

あきらかに短歌の呪いに苦しんでいるならやめたら褒めるよ僕は

この犬が五月の昼のぬるま水で命をつなぐ愛の記憶と

ぬるま湯でこのまま溶けてしまいたくてでもぬるま湯にぬるく拒まる

公園で鳩に混じってパン屑を狙うスズメよ欲望は五分

粗製濫造されてきたかの思想あるポピュリズムとう言葉の裏に

ポエジーな気分のときにごーしちご、きみが欲しくてごーしちごーしち

はやく凡庸になりたいと叫ぶ妖怪の、凡庸の壁はボヨヨンとして

めんどくさそうな言い方だけなんだ私が君を許せないのは

呑舟の魚を呼ぶべく優遇せよ、それから厳罰化も考えて

この星の腐る匂いがわからない? そうかこの星生まれだもんね

こんなにも尊い人間存在が新宿ホームにうじゃうじゃといる

ビッグバン以前というも次元とか時間もない始まりはさびしそ

襲いたい襲われたいと気づかずに善意すぎない善意を話す

処理手順が異なるだけで変化する世界はきっと僕らのために

生きる意味が数名ほどに絞られてわりと普通と思う丑満

酔いよいと夜道をあるく僕たちのこの永遠も過ぎるのだろう

正しさの為に悪まで身を落とし君はもう考えたりしない

自分には価値なんてないと思う夜連絡をせぬ君の幸運

根がリリカルでないからおれはうたうのだリリカルなやつがうたえばそりゃあ

生き物はずっと脆弱、脆弱がぜいぜい言ってお前を守る

大木が宇宙にいっぽん叫びたいほどの孤独だこれがいのちか

現在に飽き飽きと初夏、もう少し賢くなれば不満も減らむ

めづらしい存在として生き延びよ韻律もちて意思疎通する

浅はかな修辞に飽きて朝飯の納豆がすごしざりりとうまい

神様もダーウィニズムを受け入れて人間の知恵に教えられいつ

パブリックを一日抜け出す名作をパブリックなき俺らが真似す

いきものがかりを二人がかりで歌はれて二人ともうまく神がかりをり

(こっそりと見知らぬ女の尻を触る)男はその場で殺せる法を

手塚治虫の漫画のように地震(なゐ)ふるれお前を叫ぶこの期に及び

エイプリルフールの日にも苦し紛れの醜い嘘を言ってた君よ

嘘泣きのゔぉえーの声が思うより深かったので悲しくなりぬ

#ランサム短歌
泣きたいのはおれの方だよWannaCry彼女が今夜飛行機に乗る

善意さえ人をたやすく追い込んで引っこ抜かれた田螺が乾く

触れた手を引っ込めるのもそのままにするのも意味が、ジェンダーめんど

生きてれば幾分眠いということでかの聖哲もあくびする夜

ヲカム読テイ書ラカラチド
   バレス択選ニ的想思
      レカワキシ悲

あたたかいほのぼのねばねばした気持ちでスニッカーズのような電車で

許されて金曜はありご褒美のごときドクぺを飲む君ののど

助かったサギは田植えの機械から離れて蛙の浮かぶのを待つ

ピンペルル、ガウケルルには才能は関係なくて飼い主が好き

生まれきたからには何を残そうか君の笑顔を見たかった顔を

たとうればパトリオティズム、共存が出来そうにしてやっぱりぼくは

オープニングで主人公われは水中を沈んで深さを暗示したくも

誰からも好かれたいからどうとでもとれる短歌ぞ、お互い無傷

スマホにはあぶらが付いて我々は汚れを憎む自責するまで

惚れるのは作品までだ、人間に惚れたら水のしたたる批評

雨の予報でないから窓を開けて寝る君が来るならそれでもいいし

最後にはモノクロームの道をゆくモノローグさえなきエピローグ

走る女の胸を見るのはセックスをしたからだろう死ぬまでつづく

苦の衆生、古き書物にかく呼ばれ女はいまは苦しまざるか

あやまちではあるのだけれど侮辱にもニコニコしててきみというやつ

姫ハブに注意とガイド、笑うおっさんの沖縄バスのツアーにひとり

くだらない〇〇〇とか〇〇はツイッターでやれ、(だからいいのだ)

俺だけが楽しみだった毎月の組み立て  雑誌途中で終わる

右も見ず左も見ずに生きてればそれもけっこう羨ましいよ

ショパンの綴りをChopinを受け入れる時に偏見の幅ひとつひろがる

B面にオートリバースする時の途切れも覚えてしまった脳よ

ほんとうだ死んだら足が要らないねえだけどなかなか進めないねえ

かなぶんの死骸を避けて境内でシャツを絞って、ふいのくちづけ

矛盾とはいわば忍耐、複数の錠剤飲み込むように祈りも

笠置シヅ子の東京ブギウギ明るくて不器用はいつも明るき武器ぞ

教えられた事が出来ない後輩が透明な笑顔している午前

和製英語より酷いのに慣れているアベノミクス、シロガネーゼ、タカラジェンヌ

人生の積分値きみと見せ合ってあっ僕たちは離れなければ

音楽がやがて思い出になることもさびし、時間が音楽である

水族館の魚のようにタイムラインのぼくは君には触れられず寄る

自画像を描く自画像を描く自画像描く像画自画く自く画像

「愛情するより友情したい」という歌の意味を子供に訊いてきた母

また別れがくるのでせうね、きみはもう正しい歌だけうたつてなさい

電波天文学者の彼は自己紹介で電波を外す、あやしいからだ

希望なき人たちが起こす革命の成功率も出るがっかりさ


#俳句
アチョーアチョー憲法記念日にぼくら

砕氷斧(さいひょうふ)のごとく犬歯であずきバー

あずきバー犯人はいまだ逃走中

有終の美とはいやらし盛り藤

春疲労春の枕もやる気なし

ツイッター春ばかりだがお前冬

たんぽぽの綿毛よいつまで付いてくる

オフィーリアのひたいに綿毛ともりたり

チューリップ自然のなんと作り物

春ゾンビ当社比ながらやや元気

春の月落下はとうにあきらめた

花水木チャンバラ童子の背(せな)に降る

腥風(せいふう)のぬっくりと都市のこの季節

鈴蘭が渇く政局みぎひだり

春満月(みつき)やらかす人をほの照らす

藤終わり主(あるじ)ばかりの見ゆる棚

春月夜あしたはだしを見せましょう

どくだみにそれは言わないあっぷっぷ

春の窓に包丁かざす、しかも比喩

スプーンで竹輪ざっくり春の幕

土星にも局地的には高い春

黒豆茶春の速度で二人きり

北海道のさくらのさいごのさいご、これ

春ミミズ地上に興味どう持てと

酩酊のごとき死、初夏の缶ビール

キスの日ぞジントニックは三杯目


#川柳
ドーピングきみが夫婦を超えてゆく

新宿に住めば世界がラビリンス

おにぎりの握られざれば孤児に似て


#パロディ短歌
短歌ではない短歌ではない短歌本歌取りではない本歌取り


#パロディ偶然短歌
学校のコンセントなどの焦げ跡はピンセットによるいたずらなどの

消火器は複数で使用することで鎮圧効果を増大させる


#結句を「ふいのくちづけ」にする
ひんがしの野にかぎろいのたつみえてかえりみすればふいのくちづけ


#不自由律短歌「8153」
別れが近づく日明るいな君は

2019年6月29日土曜日

2017年04月の自選。


自選。
またひとつ場所奪われて生き物は死ぬか逃げるか隠れるかする

現地人も神を信じるのだろうか蝋燭の火に揺れるラス・カサス

文字なんか残すものかとアンデスの文明は謎がニヤリとひかる

どの道も棲み分け論にいたる朝、公園の鳩がおこぼれを待つ

さかづきに桜と雪が落ちてきて、あれからやはり余生であった

手を汚したくないだけの反戦と好戦の二人気まずくなりぬ

茂吉翁の丸い背中の半纏(はんてん)に問う短歌また国家に資すや

排泄と喜怒哀楽がある限り人間平和の希望は捨てぬ

明るいが感情の起伏大きくてアン・シャーリーがこだわる綴(つづ)り

23時も新宿駅はうじゃうじゃでふたつめのじゃのあたりにわたし

内心の自由それから外心の不自由はとても笑顔がやさし

職場では「はい喜んで」「喜んで!」仕事終わったもう喜ばぬ

スワンボート人の少ないそれゆえに桜の少ない方へ切る舵

思い出にご笑納下さいってか上着を脱げばひとつ花びら

野良猫のような心を抱(いだ)こうとする野良猫のように逃げらる

桜より華やいで君ら若者が外側にあるもの愛でやすき

満員電車をエンジョイしてる白人の「ゴメンナサーイ」がほんといい顔

等身よりすこし大きい化け物と戦うときの人は舞うなり

天国の暮らしもここと変わらんよファミマもあるし金持ちもいる

AIに君のデータを流し込み人権が付与される日を待つ

テロリストもその被害者も運ばれてテロリストを先に助けてよいか

終わりまで楽しむことが知性だと生を叱られ泣いている夢

演歌だと君は心地もよさそうに「あなたについて行くわ」と唄う

強烈な破壊のあとに、ゆっくりとあなたを見つめる時間が出来た

争闘性を引けと鑑三記せるも流されざれば日蓮成るや

ほんとうにこの詰め将棋の詰まるのかわからぬままにそれではあばよ

人間がもっとけものになるまでを象は待ちおり鼻長くして

クレヨンに貼り付いた紙の内側でコクっと折れるような失恋

わたくしの知らない世界を調べよう、知らない単語で検索するだけ

産屋での座位分娩でひりだされおんならに見下ろされて命は

舌鋒の甘い男でいいじゃないか意見を求められるなき世に

夜のライトに我が目がぎらり、いつまでも平和にならぬ世界睨(ね)めつけ

人生が眠いと君が言っているつらいとき僕もそう言い換えた

君がいるのを待っていたような夕方のやっぱりカレーの匂いする路地
#中本速生誕祭

青空が爽やかだから寝転がりたんぽぽ指ではじく失踪

食べ物に霊位を与え食べる世にあらぬ、すなわちすべて食べ物

ああどうも八重桜さん昨年は醜い修羅場を見せちゃいました

原水協、核禁会議、原水禁、10年で分裂した願い

感動的な紋切り型でぼくたちはけっこう寒い海をみている

いい女が通りゆくまで道路工事のおっさんら目で見送る時間

馬の目のうるうるうると透明の涙の膜ぞ今から走る

社会学がかたっぱしから名付けゆく現象に名前ついてないのか?

石なげて人を追いやる思い出をこの村は忘れ春の夜昏し

狭いせまい空間で子と暮らしてるきみを連れ出す花一匁

大きくも小さくもなるが男とはやっぱりどこか丸大ハムだ

一行のよくわからないテキストをいつも書いてる人だ、あれなに?

僕の中に永遠をひとつ飼っていて僕が逝くとき笑ってみてる

異国語でわが感情を抱くことの月があり犬がいてわれいずこ

強い風をつよい気持ちで進みゆく目はモザイクを見るときにして

生きる気力のないのに生きるロジックはよ、国が生かしておくロジックはよ

なんとでも短歌にするよ悲しみも裏返したりやや逸らしたり

キジバトが窓の外では鳴いている彼らには人間をも自然

#自由律
花の盛りをほったらかして仕事

#無季を強引に季語化する
味噌汁が落ち着いてゆき春宇宙

#尻子玉俳句
第二ボタンください、それと尻子玉

おじいちゃんと二度目の別れ尻子玉

火にかけると一応あばれる尻子玉

#言うべきことはほかにあるのに
僕の方があなたのことを好きだった言うべきことはほかにあるのに

#今日もすてきな一日でした
ゴミ、たから、ゴミ、ゴミ、たから、たから、たから、今日もすてきな一日でした

生贄の美女に今年も選ばれず今日もすてきな一日でした

2019年6月23日日曜日

2017年04月の114首と、その他もろもろ。

この土偶の性別であるが胸か尻か腹が大きくあるなら女

永遠の命がなんと八千円激安過ぎてちょっと心配

塩胡椒かけつつあどけない話、東京には節操が無いという

前髪がちょろんの赤子、人類のカイロス(機会)となるか我の亡き世に

ふた回り上の奴らに馬鹿にされ彼女は仕事の出来ない女

その「脳」は人類の道を示したり人類はそれを紐解いて生く

続ければ優れた歌人になるだろうけれども恋を選ぶのだろう

またひとつ場所奪われて生き物は死ぬか逃げるか隠れるかする

現地人も神を信じるのだろうか蝋燭の火に揺れるラス・カサス

文字なんか残すものかとアンデスの文明は謎がニヤリとひかる

戦いの前線にいて役に立つ気持ちはなんとうれしくかなし

どの道も棲み分け論にいたる朝、公園の鳩がおこぼれを待つ

種の掟にて引き裂かれたる動物のオーナメントで次に進めず

さかづきに桜と雪が落ちてきて、あれからやはり余生であった

手を汚したくないだけの反戦と好戦の二人気まずくなりぬ

ダッカにはダッカの秩序、ナインボールの一打目のごときリキシャのわれも

茂吉翁の丸い背中の半纏(はんてん)に問う短歌また国家に資すや

カレー食べてる時に謝らないでくれ謝れば見立てられゆくカレー

排泄と喜怒哀楽がある限り人間平和の希望は捨てぬ

ティファールの湯の沸く音に包まれて週末は40度あったよ

救いなどない、教室の午後もまた僕無しで進むのを見る時間

明るいが感情の起伏大きくてアン・シャーリーがこだわる綴(つづ)り

23時も新宿駅はうじゃうじゃでふたつめのじゃのあたりにわたし

夢だった、ツイッターなんてまだ無くてすべてが妄想だったのだという

むすぶのかちぎるのかどちらでもよくてこの糸の先にまた、あなたか

春だから男もスカートどうだろう、剃る剃らないに迷うなオレよ

内心の自由それから外心の不自由はとても笑顔がやさし

職場では「はい喜んで」「喜んで!」仕事終わったもう喜ばぬ

可能性を残すのは気持ちいいけれど天才はただ量産をする

マシュマロというより白子あの日からもう膨らまぬメンタルの絵は

スワンボート人の少ないそれゆえに桜の少ない方へ切る舵

スワンボートで前線へ行け、もっと漕げ、形勢不利の革命のため

思い出にご笑納下さいってか上着を脱げばひとつ花びら

人間の浅ければかくも浅からんレイヤを超えんとする決意さて

野良猫のような心を抱(いだ)こうとする野良猫のように逃げらる

落研の合宿のあの殺伐と過酷と悲壮が生む面白さ

桜より華やいで君ら若者が外側にあるもの愛でやすき

タイムラインズの向こうで君がいるけれど君もこちらを気にするうわさ

シャットアウト機能で避けたほんとうは強く見つめた方が正解

人間は目に見えぬものに死にもする両の手をびしょびしょに濡らしつ

満員電車をエンジョイしてる白人の「ゴメンナサーイ」がほんといい顔

等身よりすこし大きい化け物と戦うときの人は舞うなり

下の句が午後にはけっこう降っていてビニール傘でしのぐ定型

無条件に尊いために必要な思想とその他、その他はあるか

天国の暮らしもここと変わらんよファミマもあるし金持ちもいる

人道も正義も措いて人間がこの地上にて描く地獄絵図

まだ食べてないなら少し遅いけど行こうよぼくもおなかすいたい

沈黙の多い電話が切れたんだ電波を見たら圏外のわれ

AIに君のデータを流し込み人権が付与される日を待つ

テロリストもその被害者も運ばれてテロリストを先に助けてよいか

終わりまで楽しむことが知性だと生を叱られ泣いている夢

演歌だと君は心地もよさそうに「あなたについて行くわ」と唄う

マストドンに君も行くのかミクシィのような廃墟でボットとわれは

強烈な破壊のあとに、ゆっくりとあなたを見つめる時間が出来た

争闘性を引けと鑑三記せるも流されざれば日蓮成るや

ほんとうにこの詰め将棋の詰まるのかわからぬままにそれではあばよ

新宿のビルの小さい一室に空想の象が定員を超ゆ

人間がもっとけものになるまでを象は待ちおり鼻長くして

クレヨンに貼り付いた紙の内側でコクっと折れるような失恋

きみに注ぐ愛もわずかに回しおり粉コーヒーに湯を注ぐごと

表現に上限おけばこの一首でほんとによいか迷ういちにち

わたくしの知らない世界を調べよう、知らない単語で検索するだけ

われのその後同じうするべき山阿などあるであろうか五柳先生

一万首めがその人の初段とかそういう時代の歌人の歌会

産屋での座位分娩でひりだされおんならに見下ろされて命は

舌鋒の甘い男でいいじゃないか意見を求められるなき世に

宇宙から現れたのに端末から「地球外から失礼します」って

縄文の遺伝子ふいに発芽して一万年をやり直そうか

このカバに「カバスケ」と名を付けている動物園よ次はどうする 「バスケ」

夜のライトに我が目がぎらり、いつまでも平和にならぬ世界睨(ね)めつけ

人生が眠いと君が言っているつらいとき僕もそう言い換えた

君がいるのを待っていたような夕方のやっぱりカレーの匂いする路地
#中本速生誕祭

青空が爽やかだから寝転がりたんぽぽ指ではじく失踪

食べ物に霊位を与え食べる世にあらぬ、すなわちすべて食べ物

ああどうも八重桜さん昨年は醜い修羅場を見せちゃいました

ポラロイドにはピースが似合うと言ったのにピースしないのかよ、これ欲しい

ルビはおまえルビなんだから並走はしてもいいけどこっちに来んな

縦書きと横書きの本が攻めてきて真ん中あたりにピラフ(猫)の居場所

原水協、核禁会議、原水禁、10年で分裂した願い

人間は縦になれなくなったならもう覚悟しておこうじゃないか

天才は無差別に殺人しつつオレだって頑張ってると言う

音楽を今でも耳に転送しでもこのメディアはそう長くない

渡鬼にキムタクが出る夢だけどキムタク全然ゆずらなかった

感動的な紋切り型でぼくたちはけっこう寒い海をみている

いい女が通りゆくまで道路工事のおっさんら目で見送る時間

お湯割の梅干しは箸の一本でつつき破れて政治の喩え

うふふあはは海辺でゾンビに追われたるこの絵は何か間違っている

馬の目のうるうるうると透明の涙の膜ぞ今から走る

サイモンとガーファンクルのサイモンは俺がやるからガーは任せた

社会学がかたっぱしから名付けゆく現象に名前ついてないのか?

方向音痴なんかじゃなくて大山が西にない東京がおかしい

石なげて人を追いやる思い出をこの村は忘れ春の夜昏し

狭いせまい空間で子と暮らしてるきみを連れ出す花一匁

大きくも小さくもなるが男とはやっぱりどこか丸大ハムだ

シャウティーなベイビーがいる車両にて生のかなしみ行き渡りゆく

道端に名札が一つ落ちていて伊藤をやめた彼はいずこへ

ジュテームモアノンプリュを二人で聴いている興奮しても笑っても負け

一行のよくわからないテキストをいつも書いてる人だ、あれなに?

僕の中に永遠をひとつ飼っていて僕が逝くとき笑ってみてる

異国語でわが感情を抱くことの月があり犬がいてわれいずこ

強い風をつよい気持ちで進みゆく目はモザイクを見るときにして

生クリームとブロッコリーはやめたから! 彼女は普通に目覚めたという

シトロニーナにするべきだよと思いつつレモンジーナで割るトリス呑む

生きる気力のないのに生きるロジックはよ、国が生かしておくロジックはよ

引っ越しの食器のダンボールが鳴って満員電車のようにかちゃかちゃ

ルマンドを連れて行こうか関西へルマンドが逢いたがっているのだ

春菊と生姜の香り混ぜながらブリ大根はじゅるじゅる美味し

公園のサクラのとなりで咲いている桜でない木の桜でない花

宝くじの使い道など悩むように俺ならどんながんがいいかな

なんとでも短歌にするよ悲しみも裏返したりやや逸らしたり

チャイナ風のメロディはわりと春の曲、日本の歌はいつの季節か

平和とはその象徴の鳩たちに常にパン屑落ちてる世界

キジバトが窓の外では鳴いている彼らには人間をも自然


#爪楊枝短歌
びっしりと容器に詰めて爪楊枝、出撃の覚悟あるが出にくい
爪楊枝みたいに箸がびっしりと詰められエコノミークラス吉野家
びっしりと箸、びっしりと爪楊枝、お前らも俺を拒むつもりか
あの中に父さんがいる、爪楊枝が箸を見るけどプラスチックだ


#自由律
指折りかぞえて自由律

自由律であらねばならぬ不自由

自己表出してるから自由律

花の盛りをほったらかして仕事

歌を作らなくていい花見

タイムラインがまずい海嘯


#パロディ短歌
日本脱出オーケー! 全肯定ペンギンも全肯定ペンギン飼育係も

ひむがしの野にかぎろいの立つはずで返りみたけど、どっちがひがし?

吸ひさしの煙草で北を指すときの北違ければどこよ望郷

馬鈴薯が小さいくせに店先でえっへんおっほん値上がりしてる

長ぐつにカブで大根運びきたる老後、ないか、今は新橋


#パロディ自由律
すごい咳をしても一人

咳をすると? 二人!

優勝しても一人


#パロディ詩句
自分の短歌観くらい
自分でつくれ
和歌者よ


#川柳
来世には君に会えないパピプペポ

パピプペポそこまで僕は言ってない

パピプペポ今日は納豆三個目だ

君のことパピプ好きペポ 救急車

パピ今日の君はステキだ是非プペポ

すぐきみはエッチにはしるパピプペポ

柿ピーの
禁止用語の
パピプペポ

パピプペポ? 
パピプペポ、いや、
パピプペポぅ

失礼です。
自粛ムード。の
パピプペポ


#無季を強引に季語化する
まだ少しはやいひんやり春便座

蛍光の母子ともに春クロックス

からんだら友達面(づら)の春リプライ

天気予報の通りに寒し春我慢

記号論で季語がめちゃくちゃ夏の春

なんとなくいい人みたい春変態

キジバトの昼にもなって春ホッホー

味噌汁が落ち着いてゆき春宇宙

あずきバー春の夜には硬いまま


#尻子玉俳句
春痴漢ダメここで出すべき尻子玉

透明な夏の霊そして尻子玉

299回腕立て――尻子玉。

第二ボタンください、それと尻子玉

ああ、だめだ、もう怒られる尻子玉

わたしきみの尻子玉まで愛してる

シリコダマ、ああ間違えたシリカゲル

とてたての春の最初の尻子玉

ゆうくんの方がきれいな尻子玉

抱きしめてもきみはあかるい尻子玉

おじいちゃんと二度目の別れ尻子玉

火にかけると一応あばれる尻子玉

尻子玉飛び交ってやや美しき

もしかして「「入れ替わってるー!!」」尻子玉



#言うべきことはほかにあるのに
僕の方があなたのことを好きだった言うべきことはほかにあるのに

さくらばな集めて掬(すく)って食べている言うべきことはほかにあるのに

二階の子に気兼ねしながらキュウリ食う言うべきことはほかにあるのに

育毛剤もドーピングにひっかか! る⋯⋯、って⋯⋯。(言うべきことはほかにあるのに

たぶんもう会えそうにないキスのあと言うべきことはほかにあるのに


#季重ね
ひと眠りふた眠りして春春眠(はるしゅんみん)

春のポピーポピポピ少し浮いている


#今日もすてきな一日でした
ぼくも死後もう三年は経ったかな今日もすてきな一日でした

ゴミ、たから、ゴミ、ゴミ、たから、たから、たから、今日もすてきな一日でした

プリンプールの底でカラメル啜る夢今日もすてきな一日でした

フリスクとコーヒーやはり合わぬなあ今日もすてきな一日でした

生贄の美女に今年も選ばれず今日もすてきな一日でした

マルクス=エンゲルス全集が安くない今日もすてきな一日でした

2019年5月19日日曜日

2017年03月の自選と雑感。

宮柊二だったっけ、短歌は小市民の文学というふうに規定していたような。こういう規定は、定義があいまいな上に、どこか引け目を開き直った物言いになるので、反発を受けやすい。

そもそも小市民というのはマスクス主義の言葉で、その前に市民階級というのがフランスの階級にあって、フランスの階級社会では、市民階級とは貴族階級と労働階級の間にあるものであったが、マルクス主義によると経済生産性の目から貴族階級と市民階級は同じ資本家市民階級まとめられて労働者と対立する概念になり、資本家ではないが労働階級とも言えない存在を、プチブルジョワ、つまり小市民と呼ぶようになったわけで、まずこの階級感が日本とは違うので、小市民と言われても、日本人には、嘉門達夫の、マイホーム主義な尖った表現を好まない凡庸さの謂(いい)として使われている。小市民ということが。

つぎに、文学だ。ロックンロールイズデッドじゃないが、文学は、文学とは現代において何であろうか。現代において、文学は、表現をおこなうにさいして、絵や音や形でなく、文字を選んだというだけのエンターテイメントなのではないか。エンタメでなければ、自己表現、あるいは、新しい物語創作。

文学って、なんなんだっけ。目の構造が、「見える」ということを規定するように、文学は、なにを規定するんだっけ。

文学は、まだ、生きているか。青いゾンビの肌をして、いないだろうか。青い肌だったら、ちゃんと殺してあげなくちゃ。



自選
いつまでも当選番号さがすようにスマートフォンをきみは見ている

カルピスは何倍がいい? きみのくれる短歌の濃度くらいでもいい?

個性などなくてよかつた夕ぐれのユーグレナけふ(今日)すじりもじりし

この歌を3回声に出したあと、夜の0時に鏡を見るな

この歌を3回声に出したあと、夜の0時に鏡を見るな

この歌を3回声に出したあと、夜の0時に鏡を見たな

知の呪縛のように不可逆、玉手箱の白い煙のごとき認識

犯罪者が刑のかたちを決める夜人権はまだ生きてるつもり

月を取ろうとして海に入(い)り溺れたる猿を看取ってくれたる海月

合成の歌声じつに小気味よく火星探査車石蹴って往く

肩揉みが天才的にうまけれどロジックがない男を知れり

百年前は新宿だって牛飼いと牛がいたんだ都庁のあたり

キャッチーな詩を書くゆえかきみはあのまどみちおの絵が部屋にいちまい

のれんの絵を描いたのれんが飾られて向こうがなくてさみしいのれん

静脈がおれを認識しなくって、あれ、おれいつから甘んじて俺

食べ物を見る目をしてた、食べ物が権利を主張する間じゅう

称賛か失脚か風の吹き上がりやすい時代に目がすぐ乾く

電柱を描くか描かぬか写実的風景絵画の懐かしい嘘

春のころこの道を老婆ひとりゆきその道の果てにあり老梅樹

小学生を殺すほど認知あやしくてなお生き延びて人生ながし

洋服に洋画の陰影描き分けて夷酋列像(いしゅうれつぞう)赤き直立(すぐだ)ち

この国の混声合唱「死にたい」はスウェーデンとは異なるひびき

ビキニからの原爆マグロを眠らせて築地の朝はさっきまで夜

それゃあもうおれは「なかなか言いにくいことをおっしゃるご主人」だもの

自爆テロリストのVR映像を、終えて現実(リアル)がとても汚い

上等の日本酒舐めてきゅうと言うそういう男の列に連なる

美しい言葉と思う、運命を開くいのちを真剣と呼ぶ

エクレアのふわっとかなし人生のだれのせいにもせぬ指のチョコ

善人用優先席にみかけにはよらない人が足組んで座る

サンドボックスゲームをしつつ思い至る西洋のヒューマニズムの孤独

ジョルジュ・ビゼーは時代の何を飛び越えてぼくの意外な耳朶楽します

建物ごと虚空に上がる心地して窓全面を降るさくらばな

白目みたいな歌だよねってなんだようやっぱり短歌わかってんじゃん

星空を眺むるも科学なりし世に法則嗤うごとき極光(アウロラ)

この町の盛衰あるいは玄関が引き戸の率など知りたく歩く

ごきぶりや蚊が叩きつぶされるころダンプが野良を轢く日曜日

生命は波打ち際のなみがしら、吸ったぶんだけぶくぶくわらう

ガラス片敷かれた風呂に入るように過去のいじめを語る痛みは

一日休めば三日遅れる練習のエントロピーめエピメニデスめ

あまじょっぱい経口補水液のみてわが病身の内を濡らしつ

そうやって明るいきみに厳(かざ)られてゆくものをすこしうらやんでいる

アパートの庭にふたりは足浮かせにんげんのしあわせを語った

UFOは地球をながめ知的生命かつて有りきとして過ぎゆけり

二十代で国のかたちを先見し国成るまでに落ちたる椿

ぼくの部屋の階段をのぼる音がする音がしたまま部屋へ届かず

ビッグバン説まことしやかに否定する時代もありき、忘れられき

洗脳の装置とかいいながら観る、低レベルだと嗤いつつ観る

果敢だが彼は失敗するだろうその時のきみに届かぬ歌を

優しさはその後も優しくあるゆえに弱さとは似て非なる朝焼け

俳句
春菊の貼り付いて眠るまでの宵

半跏思惟像この春じゃないらしい

永遠の命をこばむほどに春

さっぷーけーおまへの部屋におまへと春

2019年5月18日土曜日

2017年03月の108首ほか、パロディ短歌、俳句川柳。

生を生き、死も生きるような大きさで朝決意して夕べに忘る

いつまでも当選番号さがすようにスマートフォンをきみは見ている

ダイハツのCMに残るかすかなる大阪文明(文明ちゃうわ!

ある胞子は夜の温度でまだ春でないことを知る、春待つ仕組み

考えていることすべてとろかして人間はゆくひとつところへ

カルピスは何倍がいい? きみのくれる短歌の濃度くらいでもいい?

才能もなくてお金も足りなくて人の子どもに変な顔する

個性などなくてよかつた夕ぐれのユーグレナけふすじりもじりし

ウルトラマンになりそこなった風邪引きがヘァッヘァッてもう帰んなよ

ひな壇の15人にもいるのかもカムアウトせずすまし顔して

この歌を3回声に出したあと、夜の0時に鏡を見るな

この歌を3回声に出したあと、夜の0時に鏡を見るな

この歌を3回声に出したあと、夜の0時に鏡を見たな

学生がちょっと小ばかにするけどね時々読み返したりフロムを

引き出しから未来のロボがやってきた! (打ち上げられた魚のような)

消え去らぬ老兵をいつか一掃しスカスカの街が見たそうなきみ

楽しさが幸福である現代の張りぼての裏を揶揄しておりぬ

知の呪縛のように不可逆、玉手箱の白い煙のごとき認識

犯罪者が刑のかたちを決める夜人権はまだ生きてるつもり

悲しさがこういうときはツインビーのBGMをずっとずっとずっと

勁草も泣くことだってありますと昔の会話を覚えてたのか

地図の上●●●に黒々と秋風の吹く、次は誰の死

バーナーで燃えてゆく窯、釉薬の垂れては生まれ変われるごとし

誇りなくファミマに変わるサンクスの今までサンクス、ふっくだらない

あさましくて父ちゃんなみだ出てくらい、人目気にして損得ずくで

伝統は乗り越えることが継ぐことでソニックブームを知るか知らぬか

モナリザを左に倒して飾りおれば観る人すべて顔倒すなり

あんなにも可愛がってた芝犬のデータはとても出たがっていて

紅白のしまうま常に怒りつつそれも目出度さ扱いされて

めためたにメタモルフォーゼ繰り返し再会したるふたり、きみかも

月を取ろうとして海に入(い)り溺れたる猿を看取ってくれたる海月

煙突のない家なので真っ黒なぼくをからかう彼女もいない

ほんとうに蓋を開けると終わることもあるんだもうすぐ春が来るんだ

合成の歌声じつに小気味よく火星探査車石蹴って往く

いざという時に役には立たぬためのことばをえらぶ、墓標を立てる

肩揉みが天才的にうまけれどロジックがない男を知れり

百年前は新宿だって牛飼いと牛がいたんだ都庁のあたり

キャッチーな詩を書くゆえかきみはあのまどみちおの絵が部屋にいちまい

それを話せば終わりが来るいうそれを早く見つけたいのか饒舌

生きることの意味問うときに深くふかく円(まる)いルールが一瞬まぶし

のれんの絵を描いたのれんが飾られて向こうがなくてさみしいのれん

我は白きみは赤なるくちなはのまがまがしくて見た目めでたし

充電の切れたる古い端末の電源は神の啓示のごとし

人間界はそれを隠して回るのだ◯肉◯食ランチでひとり

一枚の布だけ残る文明をおもう、彼らの生活が見える

静脈がおれを認識しなくって、あれ、おれいつから甘んじて俺

久々に座れた満員電車だがまるで立ってるのと同じじゃん

壮大な赤ちゃんプレイは待っている変態と言ってくれるひとりを

食べ物を見る目をしてた食べ物が権利を主張する間じゅう

死んでから愛するような愚はすまい夕べに死すともかなり悔ゆれば

称賛か失脚か風の吹き上がりやすい時代に目がすぐ乾く

八百年で絹はほどけてゆくというシルクロードも風に薄れつ

電柱を描くか描かぬか写実的風景絵画の懐かしい嘘

控え室で彼らは思う蛇の道を、まともな人間ほどの変人

何層のレイヤをかさね我がいてふつふつとよろこぶやつがいる

春のころこの道を老婆ひとりゆきその道の果てにあり老梅樹

終末は週末よりも頻繁で終電去れば朝まで廃墟

美男美女はなるべく顔をゆがませぬようにしてきた悲しき成果

小学歳を殺すほど認知あやしくてなお生き延びて人生ながし

洋服に洋画の陰影描き分けて夷酋列像赤き直立(すぐだ)ち

官邸デモを語る和歌山大学のドイツ人教授の信憑性

生まれ変わる生まれ変われる挨拶をドレミファソーのソーの高さで

右巻きの昼顔ぼくはスイカズラのきみを抱き取るつもりであった

基本無料の世界は基本下劣にていささか値上げすべきスマイル

この国の混声合唱「死にたい」はスウェーデンとは異なるひびき

生き物は水の記憶に頼りながら生き物として次世代にゆく

ビキニからの原爆マグロを眠らせて築地の朝はさっきまで夜

それゃあもうおれは「なかなか言いにくいことをおっしゃるご主人」だもの

週末にアニメを消化するだけの青春、きみはわりあいに好き

自爆テロリストのVR映像を、終えて現実(リアル)がとても汚い

上等の日本酒舐めてきゅうと言うそういう男の列に連なる

美しい言葉と思う、運命を開くいのちを真剣と呼ぶ

批判するわれわれもまた閉じていて悪人がポアされない世界

思い知ってないだろうこのおっさんはおっさんというzombieのことを

エクレアのふわっとかなし人生のだれのせいにもせぬ指のチョコ

善人用優先席にみかけにはよらない人が足組んで座る

何者であるのかなども不明瞭な己(おのれ)が朝の日を受けている

サンドボックスゲームをしつつ思い至る西洋のヒューマニズムの孤独

ジョルジュ・ビゼーは時代の何を飛び越えてぼくの意外な耳朶楽します

建物ごと虚空に上がる心地して窓全面を降るさくらばな

#ひとりで決める桜前線
家の前に弧を描くように横たわりひとりで決める桜前線

バスケットボール蹴ったら足痛しひとりで決める桜前線


配送業がパンク寸前中指を立てるか否か桜前線

「クアラルンプールはいまは9時頃か」「まだ8時だよ!」のやりとり5年

白目みたいな歌だよねってなんだようやっぱり短歌わかってんじゃん

星空を眺むるも科学なりし世に法則嗤うごとき極光(アウロラ)

この町の盛衰あるいは玄関が引き戸の率など知りたく歩く

ごきぶりや蚊が叩きつぶされるころダンプが野良を轢く日曜日

生命は波打ち際のなみがしら、吸ったぶんだけぶくぶくわらう

ガラス片敷かれた風呂に入るように過去のいじめを語る痛みは

どのようなふうにも生きると思わしめ内側にきみの目が見ておれば

どの家庭にもある洗脳装置にて洗脳じゃない気分もセット

ネットにも友情のなきたましいが目つむりまもなく眠らんとする

目を細め貫禄はかく作り出す久しき日本の横綱をみる

一日休めば三日遅れる練習のエントロピーめエピメニデスめ

あまじょっぱい経口補水液のみてわが病身の内を濡らしつ

そうやって明るいきみに厳(かざ)られてゆくものをすこしうらやんでいる

ツイッターで書けないことを書くためのなんとかったーを欲しがってったー

チックの謎スチロールの謎口に入れぶふふと笑うふたりしあわせ

アパートの庭にふたりは足浮かせにんげんのしあわせを語った

UFOは地球をながめ知的生命かつて有りきとして過ぎゆけり

二十代で国のかたちを先見し国成るまでに落ちたる椿

ぼくの部屋の階段をのぼる音がする音がしたまま部屋へ届かず

ビッグバン説まことしやかに否定する時代もありき、忘れられき

洗脳の装置とかいいながら観る、低レベルだと嗤いつつ観る

果敢だが彼は失敗するだろうその時のきみに届かぬ歌を

ふた回り下の奴から馬鹿にされ彼は仕事が出来ない男

優しさはその後も優しくあるゆえに弱さとは似て非なる朝焼け



#パロディ短歌
「嫁さんになれよ」だなんて缶チューハイ二本じゃだめか、焼酎にする?  

川柳、俳句
さんぐゎつの弱気な季語が見当たらぬ

スイートピー、パ行たしかに春のおと

花疲れ大の字分のさようなら

山笑うおれの真顔を責めもせず

春菊の貼り付いて眠るまでの宵

半跏思惟像この春じゃないらしい

永遠の命をこばむほどに春

さっぷーけーおまへの部屋におまへと春

二月なら春にときどき勝てもした

2019年2月9日土曜日

2017年02月の98首ほか、返歌、付け句、俳句、川柳など。

ほんとうは終わって欲しくないのかも生死の葛藤というわが青

出会いって基本は誤解のことだから左官みたいな笑顔すんなよ

世の中の秘密を秘密のままにしてまた来るような終わりむつかし

うたうのだみんなシャラララみなウォウオ、最終電車でわれら殿(しんがり)

底で闇で零で黒なるうたびとの負のちからプラスにいたれかし

胴体を草が貫きたる鳥がわれを慕ってくる夢かなし

正しさが試されている、にんまりと枇杷色の歯を見せる老婆に

忘れられる権利さておき千年前のテンションたかき恋歌を読む

身体から毒を出したらすっきりとするというおぞましき空想

東京は圧倒的で若き日に東京に負けた悔しさが、へっ

ビジネス支援モードをOFFにし忘れてきみとのバランスシートが浮かぶ

いつになれば変わりたくなるその時に変わりたくない自分を措いて

歌が上手い歌手がだんだんビブラートがうわずってゆくあわれなりけり

冷めているゴーヤチャンプルそぼそぼと見解がもう合わないにがみ

球体では妄想しにくいことだけど裏の地球にきみはいるかな

人間(じんかん)が人間(にんげん)になりぼくたちは愛を0だと勘違いする

人の命を預かるときにおぼろげに偉大さという地平がみえて

それは目に見えねば言葉を網にしてひっかかるまで投げるしかない

釜玉に続いてぶっかけ小を食い寝る夢はついヤマタノオロチ

貧すればどんどん鈍してわが指も一本くらい食べて困らぬ

ウイルスかウィルスかビールかヴァイラスかどれでもよいが具合が悪い

離反者も弟子の振りする、フリスクをかじりつつ途中まで言わせとく

テトリスの埋め損ないの顔をしてゲームオーバーまで消えられぬ

ほんとうの歌をいくほど残すだろう体裁のよき歌の背後に

寝る前にこれ今生の別れとぞ涙ながしてすっきりと寝る

ぶよぶよの大地を生きる民としてステップは苦手手振りは得意

おでこから搔き上げてかぶる水泳帽、25メートル泳げた自信

1tと書かれたハンマー振りおろすようなしぐさに驚いている

スライムを倒すだけなら魔王の世は終わらぬし経験値もしょぼい

人間に生まれ変われるつもりかいメイクアメリカグレートアゲイン

この店の料理がとてもうまいのよ隣の駐車場におうけど

生き物は最後は耳になるらしき声をきければゆけるとおもう

透明なあやとりをつづけていたよ不在になったきみの番まで

深夜いっせい死者よみがえりくるごとく歌人のボットが並びはじめる

報いへの期待のせいで識らずしらず堕ちてゆく木にかかる風船

美人あつかいされた自慢は(わかったよ//知ってるよ)あときみまろのCD返せ

死ぬ日まで空を仰いで、弾圧のない現代詩にない空の青

振り返るきみに笑まざるわれなりき大事なことは一瞬なのに

空の青うみのあお海の中のブルー青鮫の青ざめざる一世(ひとよ)

さびしいと深夜ツイートするきみのオレじゃないので笑みつつスルー

舞台裏から声は電波のごとくきてどの声を聞く受信器われは

ムーンリバーが流れてきみといたのです年をとったら泣くんだろうな

親父は喜び母は悲しむ一日(ひとひ)なり出家の決意述べてしまえば

近づけば差異は広がる、1ミリの思想の崖にとまどうわれは

踏み込めば極楽になる一歩とはあのあたりかな、会社へむかう

チョコレート以前以後にて人類は強くなったしズルくもなった

バタフライエフェクトとして今きみの微笑みが遠い吾をがんばらす

ありがとうもう梅が咲いてくれている枝ばかりなるけさのわたしに

王朝はつね永遠の夢を見る火種を赤き水で消しつつ

誰もみなたった特別になりたくて自分の名前は逆からも言える

ほとんどの人にはあまり意味のない点灯夫今日も灯りをともす

今回はぼくが短歌をすり抜けるはずだったのに奴がうなぎだ

わがうちに白野弁十郎がいてそろそろ記憶が薄らぐところ

武満徹と山下達郎の音楽が好きっていうのは音楽だけか

人類のいない野原で猫も鳥も一瞬かれらの夢をみるなり

十代の呼び方でふたり会っていて弱音にならぬ言葉すくなし

幼児用椅子に描かれたミッフィーのやぶけて黄色いスポンジが出る

甲子園がきらいな彼は短歌甲子園をいやがりながら気になる

ブルーナの陶器のような鳥の絵があなたの部屋にあるとうれしい

稲荷橋のバス停できみはバスを待つさつきの涙はさっきで終わり

偉大なる私利なき権力者のためにかわいいナイトキャップあるべし

北へ向かう魂やよし、問題は魂を運ぶ乗り物がない

知らざればググりてお助けおじさんの好意と善意は敗(ま)けゆくことを

あの川はどこだったっけ舗道にて亀が楽観的だが急ぐ

簡単に書いたものゆえ簡単に残らないのかもう消せらせら

どちらかが足りなかったということじゃないんだ、別れのあとのメールに

ニアレストデュティ(手近な義務)がつまり人生でその他はだれかの夢のまぼろ

正確な正方形で鋭すぎずなめらか過ぎぬむらのない色

短歌ってなんだったんか、きみと始めてきみいなき世にいななく一首

戦争はたとへば愛の行き詰まゐゐぢやなくてゑゑうまく言へないんだらう

20世紀ドイツメルヘン読んでいるメンヘルの妙に似合うゴスロリ

草の中もぞもぞ動きすっきりと風呂上がりみたいに汚れて犬よ

固まって構えてわれを見つめたる野良猫よ、そう、われらは敵だ

腹見せて浮かぶ魚が捨てられた「花壇」にただよう生臭き香は

色黒の手首に白いGショックして色恋のくだらぬ少女

短歌とはメフィストフェレス=むく犬のマルガレーテが引き上げるまでの

宇宙人と仲良くしよう地球には狂った奴らばっかりだから

火力発電ですら皇居に作るかよ塚本さんも時々イタい

夜のドライブ真っ黒な田舎に灯(とも)る二階都会に出たくて学んでいるか

プレミアムフライやで〜ってもうすでにほくそ笑んでるオカンが見える

一応は乗るねんけども値が下がる一日ずれた頃にオカンは

歌をうたい雲をながめて町を渡る来訪神に迎えびとなく

信念を貫くことにとても似て長生きは馬脚のはじまり

死をえらぶ日の案の定美しい世界だけども騙されないよ

地上から黒きごつごつ割り出でてその末端につつましき白

インド煮とオランダ煮あと肉じゃがのどれが食べたい? 笑顔で彼女

人間は未来になんて進めないくるくるぐるぐる生きているだけ

脳内に惑星がある、しばらくはランデブーする軌跡がうれし

ひとり抜けふたり抜けいつかしづかなるタイムラインよ、夜ひらく梅

魔王にはヒューマニズムが一滴の毒となり角を漏るるワイン

背景にゴジラを重ねおくだけで街がセットになってしまえり

徒手空拳ではなく素振り、そのようなチョップがいつか胸まで届く

森内と東浩紀のモーフィングの途中のようなおっす、石橋

ここでいまテレビを流し向かい合い食事をしている、深い意味がある

往年の国民作家は笑むときに労働者めく吉川英治

この星は5国の力に営まれ平和主義とは下位の概念

人間を信じるという冒険を空あおき今朝またはじめるか

良し悪しはじゃあ投票で決めましょう一票よりも二票のが良し


#都々逸
 人の評価は気にするなって書き込んだあと「イイね」待ち

#川柳
えほー巻き
心の準備が
パピプペポ

#パロディ短歌
人間よおれはいわゆる動物のうんこだ話しかけんでくれよ

この味がいいねときみが言ったから2月14日もサラダ記念日

絶唱にちかき一首を書きとめつ階下突然カレーのにほひ

#かしくらゆうがやらかしそうだ
あやかしというにはどうもセクシーでかしくらゆうがやらかしそうだ

#ちょこたん
チョコフォンデュの海に飛びこみ甘酸っぱいきみとほろ苦いぼく、やな夢だ

新宿駅を歩く人らよ格差とは胃の腑でいまだ溶けざるチョコだ

社内便でこういうものを送るなよわざわざ「義理」に訂正印押して

23:59までこばむなよ濃い愛に負けてもたれたれども

#ぼくらは絶えず苦悩に生きてる
下の句は二足歩行の足みたいぼくらは絶えず苦悩に生きてる

#ラーメンについて西村曜さんと
麺類は人類が好き、掛けられて昇華してゆくときの恍惚

シルクロードを隊商(キャラバン)がゆく、足跡のように小麦を伸ばし延ばして 

高次元の存在にわれはすすられて加速してゆく、どこへでもゆけ

刺すか刺されるかもしくはすすらるか、カフカ書かれふか城は白いか

麺類史四千年をすすりいる人類のその腹のわたつみ

麺類の誘惑まさに巻きつかれ苦しむ夢を見たんだ昨夜

そのたうり、われらはいのる麺類をラーメン、右手を軽く掲げて

きみのからだマッサージして夢中にて人類を麺類にするとこだった

#ブラタンカ
野良ブラは生意気だけど選ぶのだ飼い主をそのちょうどの幸(さち)を

#乗っ取りLINEについてtoijimaさんと
ほんたうにそれは友達? もしかして恋人なのか(ポジティブ過ぎだ)

ポジティブもネガティヴも既読スルーしてあとから一枚モルディブの海

#つかまえられずただ見つめてる
つかまえたらもう君のこと見ないから
つかまえられずただ見つめてる

#俳句
茂吉忌に知己にもち吉持ち寄りき

#原理主義川柳
エキスパンダー曲げても戻る原理主義

原理主義のバージョンアップ追いつかず

原理主義に養成されて魔球投ぐ

現実を原理に曲げてストレート

ゲーデルも論破できるさ原理主義

原理主義は川柳でなく春の季語

2018年12月24日月曜日

2017年01月の自選と雑感。

先日、ついツイッターで川柳を読んで、感想を書いてしまって、「生きとったんかワレ」扱いになってしまったテルヤです(笑)。

最近はあくまで個人視点のタイムラインながら、短歌よりも川柳が元気がよいような印象があります。

さて来年。来年は何をやろうかなと思ったりしながら、今年の残りをうろうろしています。とはいえ、あれだ、まず、こうやって過去分を整理しないとだな。

  うろうろとわれの理屈も着ぶくれて寒くないけどからかわれたい  沙流堂

自選。

夜の列車は体内の光り漏らしつつ血走る馬よりも速く冷たし

人生は遠路にあればぺこぺことよろしくお願いしながら進め

自分自身を愛せることが出来るまで出られぬ檻のわれに、きみの手

豊かさは苦しいなあと見上げれば楽だがひもじいカラスかあかあ

感情が行動になる途中にて歌生れば歌で済むことのあり

三本腕の聖カジミエルの教会の無神論博物館なりし頃

外国人犯罪のニュース流れいて観葉植物身じろぎもせず

新成人が五十万をきる未来、ゾンビを撃つゲームは禁止され

鉄作品アーティストは肩身がせまく戦争で鉄が不足するころ

今日の麩とわかめの味噌汁いつもより海が近いと思うが言わず

生きることが何の象徴たりうるか平日くたくた休日ぐだぐだ

丁寧にスマホを拭いてなんというわれのあぶらに包まれて生

ばっくりとヘラで赤福食べるとき子供心に生(あ)るる背徳

歌人の夫、俳人の妻がオリンピックパラリンピックを別々に観る

殉教を弱さと強さに仕分けするヒヨコでいえばいずれオスだが

雑木林野原公園ゴミ捨て場ソーラーパネル、で雑木林

飴玉を昼食として少し寝るわが人生はこれでよし子さん

けっきょくは一つになれないぼくたちを暗示してピコ太郎のけぞる

ウスゲって読んでいいのかハクモウと気をつかいつつ読んでいたけど

心臓が次で止まるとなるときにあの後悔はなくならずあれ

当事者にあらざれば災害詠のどううたっても歌のよしあし

厚い紙うすい紙からレコードを取り出すまえに手を洗いたり

一色になる直前のマーブルの自分でなくなるおびえうつくし

アイルランドに似ている海に近き町きみの野辺送りに間に合いぬ

残り時間となってはじめて未来とは輝く不在を指していたのか

巡礼路ひとが歩いて道になり道は祈りの流れたる川

吉祥寺を歩いた変な思い出だフォークダンスのこゆびつなぎで

自分だけの言語できみは生きてゆくだんだん世界が合わなくなって

ネクタイがビシッと巻けて今日はもういい日にしないと申し訳ない

CR北斗の拳の「お前はもう死んでいる」との声が離れず

四振の妖刀並びあやかしに優劣あらばいささかたのし

この蔵に灯(ひ)を入れるまで闇がいて跋扈しおるもいま壺の影

会うたびにきみは疑問を持っていて「質問1」から始まる時間

カニバリズム、カニをバリバリするような想像をしたきみの顔だが

愛を説く教えが公認されるまでの三百年の殉(したが)いを思う

葛飾応為はレンブラントの明暗を思わせてたぶん勝気なるひと

2018年12月23日日曜日

2017年01月の101首。

夜の列車は体内の光り漏らしつつ血走る馬よりも速く冷たし

14日24日をきみもまた「よっか」と読むか、だけど好きだよ

新しき年の始めに思うどちすべてがずっと新しいまま

広島弁が売り切れていると空目して思う、言語の売却費など

ジャズピアニストその祖父が造りし建物が少年刑務所として在りて

人生は遠路にあればぺこぺことよろしくお願いしながら進め

ミサイルに愛国と名付けるときの誇らしさには罪ひとつない

自分自身を愛せることが出来るまで出られぬ檻のわれに、きみの手

馬鹿に付ける薬はあるか本当にあるかも知れぬと思う、馬鹿だから

豊かさは苦しいなあと見上げれば楽だがひもじいカラスかあかあ

親バカとバカ親はわりと似てはいてだが子にすればかなしく親で

くらやみを怖がる鳥にわれはもや神のごとくにスイッチを入れ

らしさなど気にせぬ現代人はせず接待テレビで明るきヤング

感情が行動になる途中にて歌生れば歌で済むことのあり

三本腕の聖カジミエルの教会の無神論博物館なりし頃

外国人犯罪のニュース流れいて観葉植物身じろぎもせず

子ども時代すくなくあればあのように子どものようにわめいて泣くか

咳をしてそのまま緑の吐瀉をしたヒロキの思い出それが思い出

プログラムアルゴリズムにおぼろげに神々しさが構築される

ガラパゴス詩人は残り少なくてニュアンスが伝えられない未来

民主主義は嫉妬をうまく殺せない孤高の者を孤立させては

休日になんの救済、大江戸線は江戸に着くほど地下を潜って

持ち寄った手の中で泣くグリーフをお互いみせてまたしまうなり

夢というこの目の前の水すらも飲めぬまぼろしにてきみと居る

ディレッタントゆえの誠実さは措いてレンタルショップの暖簾くぐらず

何になるか分からないから寝られないブループリントのきみのブルー

この国は誰かがモザイクをかけて誰かが陰謀論を憎みつ

新成人が五十万をきる未来、ゾンビを撃つゲームは禁止され

#よい一年でありますように
新しい職場は足がスースーしよい一年でありますように

あといくつうたうだろうかありふれて例えば白線の内側のうた

鉄作品アーティストは肩身がせまく戦争で鉄が不足するころ

人間が、いなコンピュータが人間を持つ時代、検索中のきみよ

原因の見出せぬなやみあることを絵画を描くきみに見ており

今日の麩とわかめの味噌汁いつもより海が近いと思うが言わず

生きることが何の象徴たりうるか平日くたくた休日ぐだぐだ

路地裏のネコ対カラスどちらともがんばれ負けたら傷が深まる

丁寧にスマホを拭いてなんというわれのあぶらに包まれて生

ばっくりとヘラで赤福食べるとき子供心に生(あ)るる背徳

歌人の夫、俳人の妻がオリンピックパラリンピックを別々に観る

ツイキャスを覗くときキャス主もまたきみの入室を覗くしくみなの?

殉教を弱さと強さに仕分けするヒヨコでいえばいずれオスだが

雑木林野原公園ゴミ捨て場ソーラーパネル、で雑木林

ロシア人は驚くだろうソーセージのDHAが遺伝子に見え

飴玉を昼食として少し寝るわが人生はこれでよし子さん

けっきょくは一つになれないぼくたちを暗示してピコ太郎のけぞる

誰が短歌がキューブラーロスが言うようなプロセスでぼくが作ると言うか

不気味の谷フェチの男が探しいる初期型アンドロイド似のきみ

ウスゲって読んでいいのかハクモウと気をつかいつつ読んでいたけど

江戸時代の混浴に似て人を押して電車に入って無罪の時代

ディスプレイの幽人と夜の花ひらく一杯一杯そして一杯

終わらせる日を思いいて街に流る、来来来世に誰をみかける

人工知能「聖(ひじり)」が語る神託(オラクル)の旧バージョンを彼は選びき

金銀はひかりのなまえ、あかがねの男はいつか一つを選ぶ

心臓が次で止まるとなるときにあの後悔はなくならずあれ

当事者にあらざれば災害詠のどううたっても歌のよしあし

子を生むとよろこんでバカになるものを摂理と思う、醤油のかおり

厚い紙うすい紙からレコードを取り出すまえに手を洗いたり

人工知能「定家」がつくる連作の受賞理由は「時代の感性」

サムテイラーのサキソフォーンもむせび泣き政男のマンドリンにもむせぶ

不在なる世界のために残しておくものがあといくつ⋯⋯笑顔くらいか

一色になる直前のマーブルの自分でなくなるおびえうつくし

アイルランドに似ている海に近き町きみの野辺送りに間に合いぬ

残り時間となってはじめて未来とは輝く不在を指していたのか

常に一手足りないままの勝負にて二手欲しくなる、頭を下げる

ひょっとして見逃しツイートあるかもとエゴサして、並ぶ自分とボット

巡礼路ひとが歩いて道になり道は祈りの流れたる川

吉祥寺を歩いた変な思い出だフォークダンスのこゆびつなぎで

人類も褒めて伸ばそう、伸びぬなら? コンビニの前でタバコをくわえ

自分だけの言語できみは生きてゆくだんだん世界が合わなくなって

塚本の彼の夢枕に立ちてその表情は読み取りがたし

セックス(愛する事)が罪だなんてとシャルロットゲンズブールがフィルムで泣きぬ

後頭にただよふ蜂を箒にて払ひそれでも刺される夢だ

ネクタイがビシッと巻けて今日はもういい日にしないと申し訳ない

CR北斗の拳の「お前はもう死んでいる」との声が離れず

四振の妖刀並びあやかしに優劣あらばいささかたのし

才能という欠陥を褒められて欠陥だから少し苦しい

からからの鳥はいつかは会うために飛びつづけくちばしは割れても

シュルレアリスム作家の展示に挟まれて常識はかく遥かなる嶺(みね)

この優しさ言葉にせねば非在して真実すれすれまで来て離れ

どきどきと僕のトマトがあたたまり「やめなよ」という僕の声聞く

きみのヴァル/ネラビリティの/せいである/切るぼくの悪/切れるきみ、悪/

かわいくて政治リツイが痛いきみ、そうやってわれは避けられいるか

レトロとは不便のことで、ぼくたちはゆっくりゆっくりレトロな愛で

ホモソーシャルな飲み会にいてどこまでか乗り切れてたかヘテロのわれは

キャバクラでは建前は剥がれないんだとおっしゃる、なるほど(知ったことかよ

朝鳥だ、家の外には幾十の錆びたるドアの開閉しきり

おそらくはそんなにうまくはいってないだろうけど強がりに付き合う

7つしか正解のない二枚の絵、サンジャヤのごとき深き疑い

界隈にあらわる妖怪「これいいな」お初の方はお見知り置きを

「芸術は飾りではなく武器なのだ」っておれの机の壁に貼るなよ

妻の名を祈りの言葉にしていると2件目で聞く、よし受けて立つ

何回の奇跡できみは人類の積み重ねたる見地を捨てる

今はもう動かぬ時計おじいさん亡きあと一応修理に出しぬ

一瞬のちエピタフになるかもしれぬタイムラインはもう止まざりき

この蔵に灯(ひ)を入れるまで闇がいて跋扈しおるもいま壺の影

会うたびにきみは疑問を持っていて「質問1」から始まる時間

カニバリズム、カニをバリバリするような想像をしたきみの顔だが

極めるということは特化することで特化とはつまりdeformである

愛を説く教えが公認されるまでの三百年の殉(したが)いを思う

葛飾応為はレンブラントの明暗を思わせてたぶん勝気なるひと

森の中で木を隠すべく火の中でマッチを擦って見ゆるまぼろし

2018年1月8日月曜日

2017年12月うたの日自選と雑感。

新年あけましておめでとうございます!

というのは、もう書きましたね。今日はもう成人式ですし。
今年の成人は123万人で、昨年の出生数は100万を割ったニュースがありました。
今日の成人が40歳になる20年後は、80万人を割るかもしれない。そうすると出生数は75万人を割る。
もちろん未来には何が起こるかわからないので、上昇に転ずることがあるかもしれない。

今年の成人で、こんご、短詩型文学に深くかかわる人はどれくらいいるだろう。

現代は、娯楽が多い時代なので、その時間を、短歌に使う人は、決して多くない。今年、短歌は、どんな変化をするであろうか。それとも、しないであろうか。


自選。

「順」
先どうぞお先にどうぞ西の空が染まって沈み順番どおり

「凡」
いてふさえ同じ形にあらざるに凡そわたしは誰かの代わり

「自由詠」
おおかたが道を誤りゆくときにモアイ職人は良くモアイ磨く

「惜」
惜しまれることなく去っていきました私のことをちょっと見ました

「鼻」
一年が見下ろせそうな高さからわかった、鼻の差だったじゃん愛

「はちみつ」
はちみつの甘さに甘く包まれてやがて身動き出来ない甘さ

「さん」
ざらめ降るあられ食べつつ吉岡さんの指輪がないこと気づいてしまう

「たっぷり」
そうあしたたっぷりリンゴが届くので電話をするよ喜ぶだろう

「幻」
地図にない幻の島をぼくはつくりきみに食べさす、もんじゃともいう

2017年12月のうたの日の自作品31首。

「走」
犯人は逃走中でぼくは膝を落としてガチョーンのような手つきで

「希望」
レアチーズケーキにエスポワールとかたいそうな名の(ひと口)マジだ

「順」
先どうぞお先にどうぞ西の空が染まって沈み順番どおり

「プランクトン」
「オッケーグーグル、プランクトンの作り方」「あなたはもしや神になる気で?」

「利」
兄弟だもんなあこんな状態で利害はひとまず置いた笑顔で

「凡」
いてふさえ同じ形にあらざるに凡そわたしは誰かの代わり

「堅」
山茶花の花よりも葉を思わせて触れて実感したき堅さは

「電話」
聴き取れぬほどかすかなる告白もエシュロンにしかと傍受されおり

「砂糖」
あの雲が砂糖となって降ってこいベタつかないさメルヘンだもの

「自由詠」
おおかたが道を誤りゆくときにモアイ職人は良くモアイ磨く

「罪」
地下の壁を濡らして苔も生えているが光りはしない罪のバレねば

「惜」
惜しまれることなく去っていきました私のことをちょっと見ました

「絆」
箸で上げると絆がぶらり繋がってる、端から順に食べるからいいよ

「自由詠」
気まぐれなきみの気ままな左目に生真面目だった記憶がきらり

「左」
左翼右翼がうまくばたばたやり合ってほんとにこれは飛べるだろうか

「銀」
きわまった世界のようだ銀色にスプレーされた樹木おそろし

「章」
間違ってもあははって言えばうれしくて章魚(たこ)はどの手で頭かくかな

「鼻」
一年が見下ろせそうな高さからわかった、鼻の差だったじゃん愛

「園」
一瞥で恋を知るまでマリユスはもの思いつつゆく苗木園

「マッハ」
きみのもとへ心はマッハで飛んでゆく、かなりうるさいけど受けとめて

「同」
この道を同じ思想で歩みいしがこの先も同じ道は歩こう

「酸」
褒められて嬉しいときの酸っぱそうな顔があなたの来歴いとし

「はちみつ」
はちみつの甘さに甘く包まれてやがて身動き出来ない甘さ

「七面鳥」
極東のわれら犠牲は少なくて年の瀬サンダース氏に遥拝

「さん」
ざらめ降るあられ食べつつ吉岡さんの指輪がないこと気づいてしまう

「象」
鼻もないきみたち人の悲しみも大きいなんて鼻で笑った

「たっぷり」
そうあしたたっぷりリンゴが届くので電話をするよ喜ぶだろう

「事」
思うのだロフトからしろい顔を出し「来る?」って言われ断ったこと

「コタツ」
申し訳ございませんと言いたげにコタツから覗くきみカタツムリ

「幻」
地図にない幻の島をぼくはつくりきみに食べさす、もんじゃともいう

「暮」
残る日はになにをくれるというだろう暮れてゆくのをおろおろ待てり

2017年12月16日土曜日

2017年11月うたの日自選と雑感。

今年も2週間ほどになって、来年はなにをしようかなーなどとぼんやり考えてみる。来年のことを言えば鬼が笑うというが、それは何月くらいの話だろうか。

まだ特にはっきり固まっているようなものはない。

先月のうたの日は、なんとなく、自分の前日の歌から「いちごつみ」しながら作ろうとしていたのだが、あらためて見ると、一語を摘めてなかったのもところどころある。

いちごつみは、いい企画だよね。ただ、マッチングをランダムにしてくれるようなページがあると、登録して、え~この人とかよ、というのも面白いかもしれない。え~この人側のような気がするけど(笑)。

自選。

「意味」
もう中年ラスコリニコフに意味を問う詩のような目の斧もつ少女

「医」
「この中に」(医者か?)「詩人はいませんか?」「歌人でしたら」「歌人は、ちょっと」

「性」
参考になるものですか二足歩行の一過性なる文明なんて

「火曜日」
なにごともない火曜日の男、窓の南天の実が揺れぬのを見つ

「ブレーキ」
踏んだのはブレーキだった、綾鷹を買って一つの終わり宣言


2017年12月9日土曜日

2017年11月のうたの日の自作品30首。

「入」
ブリューゲルの村の踊りに入りぬれば君かもしれぬ村娘いて

「いい」
娘にはいいことがあれ、おっさんはそうだな詩心(しごころ)など持てばいい

「意味」
もう中年ラスコリニコフに意味を問う詩のような目の斧もつ少女

「医」
「この中に」(医者か?)「詩人はいませんか?」「歌人でしたら」「歌人は、ちょっと」

「再」
うたびとの声がふたたび戻るまで話題の若手の話NG

「擬音」
建設の槌音ダダダこれは壁完成したらもう戻らない

「ブックカバー」
裏返したブックカバーの参考書もうきみはここに飽きたのだろう

「性」
参考になるものですか二足歩行の一過性なる文明なんて

「レンガ」
きみの名の列火(れんが)の部分が燃えている文明もときに欲しがる野蛮

「自由詠」
ゆらゆらの長き焔(ほむら)に守られていな塞がれて現在のあり

「穴」
白鳥の穴場であったこの池も現在は長い目が追いかける

「ギリギリ」
腐っても鯛と男は呟いてギリギリ腐りながら長旅

「僕」
歴史上に名前がのぼったことがない僕の先祖の半分が男

「火曜日」
なにごともない火曜日の男、窓の南天の実が揺れぬのを見つ

「弓」
実際に突然ラブストーリーあらばかく弓なりの小田和正よ

「黄」
家の窓を黄色に塗ったさっきの子が抱えるストーリーが気になる

「杖」
玄関にニスつややかに塗られたる杖ありあるじを待つにあらねど

「チャンス」
誰もいない今がチャンスと角を曲がる監視カメラがさあ待っている

「馴」
からころも来つつ馴れにし君にあればカメラ越しには見知らぬ美人

「アレルギー」
守りたきつよき願いに苛まれ闇に逢いつつわが美男美女

「赤ちゃん言葉」
秋ゆえの無闇矢鱈の寂しさを寒さにすり替え生きており、ばぶ

「品」
要するに人畜無害、交替が宣言されても上品に笑み

「ブレーキ」
踏んだのはブレーキだった、綾鷹を買って一つの終わり宣言

「つむじ」
終わってもつむじの向きで伸びるだろう、もちろん髪があればではある

「待」
寝て待って待てど暮らせど果報とは縁遠いのに南向きの部屋

「凸」
男嫌いのきみのなかではぼくもただの凸なんだろう、遠すぎだ春

「ドレス」
華やかで嫌いなドレス着せられて幸せそうな笑顔じゃないの

「大学」
大学で汚れたんです幸せをシャーペンでカリカリガリガリと

「渦」
愛憎は渦なして減る、浴槽の湯が抜けたあとふやけた汚れ

「蔓」
鏡から蔓草伸びてくるほどにミュシャ的美人でふやけたニート

2017年12月2日土曜日

2017年10月うたの日自選と雑感。

今年も残りひと月となりましたが、ま、12月というのはおまけのようなものとして、のんびりまいりましょう。

このところ、ツイッターでは、「名刺代わりの自選3首」というタグがあって、みなさん、自選の3首を挙げておられます。で、どれもみな、非常にいい作品で、これはちょっと重要な事実なんじゃないかと考えています。

というのも、歴史上から現在までの歌人を並べても、有名な歌人といっても、数首の名作があれば、それはもう立派な歌人じゃないかと思うわけです。逆に10首以上そらんじる作品を作った歌人なんて、どれだけいるのかとも思います。まあ、私は全然短歌を、自他ともに覚えていないのですが。

万葉集には、その歌一首だけで、名前が残っている人もいますからね。それ以外、まったく何もわからない人。いや、そんなことを言えば、詠み人知らずは、名前もわからない。

短歌は、どういう形になりたがっているのだろうか。

自選など。

「四面楚歌」
虞や虞やときみにしなだれかかってももうすぐドラマが始まる時間

「勢」
うれしさを勢いに代え散歩前につい噛みついて怒られて犬

「ホーホーホッホー」
この仕事ホーホーホッホー続けてもきみのおとうさホーホーホッホー

「やばい」
みんなには内緒やけどな魔貫光殺砲ウチな、ちょっと出るねん

「麦」
麦を食う生き物のいない惑星で麦はもの憂げなる繁茂せり

「ペン」
痛いところをそのペン先は突いてくるもうひと突きで赤いのが出る

「そこから1300m向こうの歌」
年の差が七光年もあるからねこんな距離なら平気で歩く

「メロン」
お見舞いのメロンの周りのキラキラの紙そうめんを姪っ子にあげる

「胃」
口論の勝利のあとも怯えてる胃袋にさ湯、言い過ぎたかも

2017年12月1日金曜日

2017年10月うたの日の自作品31首。

「ドングリ」
新しい話でなくていいですよ「ドングリとドングラ」なんてちょっと気になる

「街」
かつて住んだ街が新たに栄えいてわれの歩むは追憶の街

「島」
手紙には「心は君と共にある」、孤島の鬼になりきれぬのだ

「老」
昔話ではない玉手箱がありもう一つ目は開けてしまった

「四面楚歌」
虞や虞やときみにしなだれかかってももうすぐドラマが始まる時間

「菱」
洋梨のような香りの日本酒は「見返り美人」に房総を酔う

「勢」
うれしさを勢いに代え散歩前につい噛みついて怒られて犬

「ホーホーホッホー」
この仕事ホーホーホッホー続けてもきみのおとうさホーホーホッホー

「秒」
にじゅうびょう、いち、に、後手「今度箱根の星野リゾートはどう?」

「自由詠」
スイッチが目の前にある切り替わるのが何か知らないのに押してみる

「やばい」
みんなには内緒やけどな魔貫光殺砲ウチな、ちょっと出るねん

「肩」
肩で押されて彼女に話しかけたのだそのスマホいい割れ方だねえ

「麦」
麦を食う生き物のいない惑星で麦はもの憂げなる繁茂せり

「ペン」
痛いところをそのペン先は突いてくるもうひと突きで赤いのが出る

「好きなおかず」
マルシンのハンバーグがあればいいと言う改めて食べて、変わらぬ味だ

「顔色」
これからも顔色をうかがいながら生きてけそうな公約をさがす

「従」
「⋯⋯従って私はきみが好きである」「わたしはそういうところが、ゴメン」

「豊」
アウェーって呼ぶ前はなんて言ったっけ? 日産ディーラー豊田市支店

「応」
「応答セヨ。イシヤキイモからモンブラン。帰宅」「了解。ザッ。ショウガヤキ」

「布」
仕えたる楽しき記憶過去として董卓を己が手で刺して呂布

「そこから1300m向こうの歌」
年の差が七光年もあるからねこんな距離なら平気で歩く

「メロン」
お見舞いのメロンの周りのキラキラの紙そうめんを姪っ子にあげる

「芋煮会」
寒き日の河川敷にてあたたかき湯気の醤油(か味噌)の香うれし

「情熱」
失ってからが情熱、武蔵野の林をあるく泣いてはいない

「アロエ」
来世にはアロエになるのも悪くない有用性もほどほどにして

「冴」
水鏡のおもて冴え冴えしき朝の冴えない顔よ、あしたもそうか

「喪」
神さまの子どもぴょんぴょん楽しげに数えておりぬ喪ったものを

「胃」
口論の勝利のあとも怯えてる胃袋にさ湯、言い過ぎたかも

「踊」
人間は踊りながらは泣けないからやってみたら? ってやると思うか

「天使」
ブランコで天使の悩みを聞いている絵としてはオレの方がやばいが

「変」
いつからか変な感じの自分対自分の環境、行くか逃げるか

2017年10月14日土曜日

2017年09月うたの日自選と雑感。

ツイッターのタイムラインで、「自分にとって短歌は趣味か」云々の話題が流れているのを見た。こういうのは、カッコイイことを答えたいけど、カッコよすぎるのもよくない気がする。というか、カッコイイカッコよくないとかじゃないか。

短歌、まあ俳句や川柳その他短詩型文学の人口がどれくらいか、はっきりしたことはわからないが、たとえば日本のツイッターのユーザ数を人体に模したら(どんな比喩じゃ)、くるぶしくらいのユーザ数なんじゃないかな、と思うのよね、しょせん。

だから、仲良くできればいいなって。いや、そうじゃなくて(そうなんだけど)、短歌クラスタと呼ばれている若い人たちは、間違いなく短詩型文学の未来を担う人たちなんだろうな、と思う。担うっていうのは、有名になるってことでもあるし、短歌を辞めてしまっても、その短歌的な感性を、メンデル遺伝のように、潜性させてゆくことも、広い「担い」なんだと思う。

自選など。

「形」
褒められているのは形、まんざらでもないけどわりとしんどい形

「散」
この夏の花火大会は土砂降りで散々だった彼女ができた

「カマキリ」
カマキリは首かたむけて憶いだせぬ殺してやりたい人がいたこと

「店」
友よ寝るな! 浜崎あゆみ大音量の店は遭難したる雪山

「栗」
栗きんとんケーキと説明されたけどばあちゃんモンブラン知ってるよ

「ススキ」
きみは月だぼくはススキだきみが好きだぼくは佐々木だ君も佐々木に

「イカ」
イカのワタをホイルで焼いて日本酒で嘗める、ほんとにここは地獄か?

「ビタミン」
この人を耳の裏まで食べながら寝る前に別にビタミンは摂る

「彼」
元彼にフォローされてるアカウントの私の日々は充実してる

「同情」
同情も4割くらいありまして残りは全部メロンパンです

「首」
首の皮一枚で繋がっている関係ですね、さようなら首

2017年09月うたの日自作品の30首。

「デビュー」
クレジットカードデビューはわかるけど二本の指で挟むのはよせ

「ブーツ」
片足のブーツに引きこもったまま覗くときどき目があう、いいよ

「形」
褒められているのは形、まんざらでもないけどわりとしんどい形

「芋」
さつまいも二本が食事だったころの白米の夢、もう見ぬ夢か

「散」
この夏の花火大会は土砂降りで散々だった彼女ができた

「三日月」
天体の運行なかば狂気にて快方に向かう鬱の三日月

「曇」
しとしとと涙ふりだしさうな日の曇りだ、さうだ、サウナに行かう

「パラドックス」
ふたご座は二重人格とか言うがおとめの他は人格もない

「カマキリ」
カマキリは首かたむけて憶いだせぬ殺してやりたい人がいたこと

「自由詠」
現代に短歌を詠むということの君に見せるということの意味

「膿」
身内から出るからだろう、膿(うみしる)のくさい匂いに少し優しい

「店」
友よ寝るな! 浜崎あゆみ大音量の店は遭難したる雪山

「栗」
栗きんとんケーキと説明されたけどばあちゃんモンブラン知ってるよ

「送」
送り火の終わった夜にさびしさを不法投棄に君が来てくれた

「ススキ」
きみは月だぼくはススキだきみが好きだぼくは佐々木だ君も佐々木に

「黄色い花」
ひまわりは気狂い花だと言う父の息子と嫁の好きなひまわり

「イカ」
イカのワタをホイルで焼いて日本酒で嘗める、ほんとにここは地獄か?

「泡」
波頭の白は無数の泡にしてこころもち点々と筆置く

「ビタミン」
この人を耳の裏まで食べながら寝る前に別にビタミンは摂る

「松茸」
コンビニが教えてくれて秋だから松茸ごはん弁当にする

「水玉」
擦りつけた額の功徳、ここだけの撮影禁止の水玉でした

「なぞなぞ」
降参する大人がみたい甥っ子が即席したるずるいなぞなぞ

「ゴッホ」
過激なる伝道の過去を思い出しのたうちまわったベッドも描く

「唾」
欄干からぺっと吐き出すわたくしの遺伝情報、レゾンデートル?

「彼」
元彼にフォローされてるアカウントの私の日々は充実してる

「同情」
同情も4割くらいありまして残りは全部メロンパンです

「夕餉」
自分には自分の時間いくつある夕餉のかたち決めてから、うた

「返」
もう一度会うのだろうな、それまでに返信願望失くしておこう

「喜」
爪ほどの歓喜のためにぼくたちは——。雨が閉じゆく海を見ている

「首」
首の皮一枚で繋がっている関係ですね、さようなら首

2017年10月1日日曜日

2017年08月うたの日自選と雑感。

10月になって、さすがに少し涼しくなってきました。
8月の短歌を読んで、そこに「暑い」と書かれていても、そんな暑かったっけ? みたいになる。つまり、人間の脳とか心は、現在の身体の影響をものすごく受けるので、一生懸命記憶を呼び起こさないと、もう夏もわからない。

あと、鎌倉時代なんかは北の方はシベリアのように寒かった、みたいな話もあって、「暑い」「寒い」というのは、きわめて相対的なものなので、100年後に今の暑さを伝えることなんて、むずかしい。数値を示せばいいよ、という話ではないですよ。

自選など。

「暑」
冷房のおかげで暑くない夜だ魚にはもうなれない二人

「蝉」
ぼくたちの宇宙は蝉の腹のなか、とても儚い命だそうだ

「好きなアイス」
自転車できみの町まで来てしまいガリガリ君を食べたら帰る

「戦」
ながい長い永いいくさだ、このからだナマコとなっていくらか平安

「トカゲ」
こうやって止まってトカゲ、いのちとは動くか動かないことである

「漁」
メヌエットばかり弾いてたお嬢さん漁師に嫁いで幸せと聞く

「槍」
僧侶キャラの武器をしずかに考える槍と棍ではどちらが慈悲か

2017年08月うたの日自作品の31首。

「暑」
冷房のおかげで暑くない夜だ魚にはもうなれない二人

「立」
刀剣の錆泡泡と包みいて立つものあればかく群がるを

「蝉」
ぼくたちの宇宙は蝉の腹のなか、とても儚い命だそうだ

「蜃気楼」
振り返ると彼はいなくて紙切れに蜃気楼2ノ5ノ1とあり

「浮き輪」
「溺れる者は"わら"って"water"のことかしら?」「発音良すぎほらっ浮き輪だ」

「厳島」
定番といえどもネタも古いので選ばずなりきもみじ饅頭

「あきらめ」
あきらめてないんだってね偉いなあそれじゃあぼくはあきらめようか

「真顔」
動物は動物みたいに生きていて真顔であるよ、人はどうして

「港」
パトカーが半円形で待っている港のような今日の告白

「自由詠」
あまりにも多忙な為に不善すら為せない日々よ、善はるかなる

「甲子園」
「めざせ甲子園!」の色紙が本棚にあるけどたぶん本人の字だ

「踏」
踏み込んだ話のできる関係にないぼくたちにやむ天気雨

「巣」
巣の中にこんまいたからもの入れてあるじが戻るからたからもの

「好きなアイス」
自転車できみの町まで来てしまいガリガリ君を食べたら帰る

「戦」
ながい長い永いいくさだ、このからだナマコとなっていくらか平安

「故郷」
ふるさとで終わらなかった生なだけ、簡易マックで何の涙ぞ

「の日」
カレンダーにクルトンの日と書いてありニワトリのように動揺しおり

「禁」
かあちゃんもとうちゃんもぼくも禁止事項を守っていれば幸せ家族

「風鈴」
ありていに言って地獄の毎日に風鈴のような君ではないか

「トカゲ」
こうやって止まってトカゲ、いのちとは動くか動かないことである

「よく」
頑張ると自分からよく言ったなあ金出したいのはおれだったのに

「漁」
メヌエットばかり弾いてたお嬢さん漁師に嫁いで幸せと聞く

「綾」
綾なしているは憂いや悲しみや面倒くささや君抱きたさや

「控」
控えめにいられることも強運だ鳴く蝉も鳴かぬ蝉もみえない

「歯」
歯を噛んで平気な顔をしています口角をうぃっと上げたりもして

「ほんの」
もう折れていたものだからきみのほんのちょっとの笑みに吹き出して泣いた

「髭」
状況はよくないけれど今朝の髭はきれいに揃えられたのである

「踵」
踵から地面に付ける走り方を「かかと時代」と呼ぶのが歴史

「誠」
誠実な人と書くのは止めましたサンボマスター二人続いて

「銭」
銭男はすべてを銭でみる男、上空を過ぎてゆく20億

「槍」
僧侶キャラの武器をしずかに考える槍と棍ではどちらが慈悲か

2017年9月10日日曜日

2017年07月うたの日自選と雑感。

月が変わると、先月のうたの日の作品をまとめるのと、2年前の先月の短歌をまとめてブログにあげていたのだが、いま7月の分をやっているということは、さぼっておったのである。

当たり前の話だが、短歌を”選ぶ”とき、その歌の良し悪しとともに、どの文脈で選んでいるのか、というのが、実は”選ぶ”という行為の、ほとんどすべてであったりする。

以前も書いたが、それは食べ物に似ていて、3時のおやつの時間に刺し身を出しても不評だし、夕食に新製品のポッキーを出しても、そりゃ確かにおいしいけど、そうじゃないだろう、となる。

だから、”選ぶ”という行為は、実は、いい歌を作る、という行為よりも、いい歌を作る行為かもしれない。なんのこっちゃ。

自選。

「与」
余剰生産物が文化を生み出して与ひょうの言葉がつうに届かず

「沖縄」
先生はとてもこの地を愛したが胡椒を必ず持参してきた

「つまずき」
つまずいてもんどりうったその刹那、星座のようなポーズだったよ

「賞」
人生は変わりゆくのでこんな時ものほほんとして揺れていま賞

「三葉虫」
愛し合った三葉虫のふたひらの化石、彼女は奴を選んだ

「扇風機」
夏休み父と息子が宇宙人、父は宇宙に行けなくていい

「チャーハン」
この冷めたチャーハンまでも愛されて私はけっこう幸せである

2017年9月9日土曜日

2017年07月うたの日自作品の31首。

「飛行機」
飛行機で隣の街に行くような勢いは愛プラス性欲

「茄子」
茄子の身に染みとおりたるあじわいがわが身に沁みとおりたる壮年

「与」
余剰生産物が文化を生み出して与ひょうの言葉がつうに届かず

「泥」
貯水池の底の泥地が噛みついた長靴ぜんぜん味がしないよ

「沖縄」
先生はとてもこの地を愛したが胡椒を必ず持参してきた

「団地」
お孫さんの手紙と写真に囲まれてチヱさん一人の団地に西日

「パチンコ」
この店を決して覗いちゃいけません、恩返し出来ぬ鶴がわらわら

「鎖骨」
撤退のみじめな気持ちに泣いているきみの鎖骨が収まるのを待つ

「国境または腕時計」
国境を超えた瞬間腕時計の妖精も「ぐりゅえつぃ」と気取って

「自由詠」
今日ひと日考えたこと、多摩川の水なら何キロ分の水嵩

「国境または腕時計」
腕時計をつけるしぐさも似ているかこだわりのない父のシチズン

「斧」
各々が己が道ゆくその奥に斧でも切れぬ遠き戦き

「午前12時/午後12時」
午前12時/午後12時を同じ顔で過ごしてそうな君が心配

「つまずき」
つまずいてもんどりうったその刹那、星座のようなポーズだったよ

「賞」
人生は変わりゆくのでこんな時ものほほんとして揺れていま賞

「黄」
金色(こんじき)になりそこなったのだろうかそれともこれから光るたましい

「入道雲」
入道雲ぱかっと開(あ)いて夏の神が現れいづる前から暑い

「かき氷」
喩えてもいいけどそれは冷たくてシロップをかけると溶けて無くなる

「移」
移動しても付いてくるもの、影、自分、優しいきみを振り切ったこと

「三葉虫」
愛し合った三葉虫のふたひらの化石、彼女は奴を選んだ

「ロボット」
ロボットに心があるとしたならば電源のことは触れないでおく

「エイ」
底辺を生きるすがたは地味にしてその裏側の白き柔肉(やわにく)

「素麺」
流しそうめんの下流で腹が満たされた者から語れトリクルダウン

「扇風機」
夏休み父と息子が宇宙人、父は宇宙に行けなくていい

「避」
避難指示の矢印ふたつ、落ち着くんだ今からおれはこの主人公

「LEGO」
異能力、生き物をレゴブロックに変える男は敵か味方か

「球」
球種では負けていたけど羨ましい彼は勝手に飽きてしまって

「チャーハン」
この冷めたチャーハンまでも愛されて私はけっこう幸せである

「袋」
待ち人は来ないいけふくろうの前待ち人もいないここは何年?

「嵐」
この雨が嵐になるかならないかぼくらはずっとやっていけるか

「家」
ホームタウンと地球を呼べば住みやすい星に記憶が上書きされて