2018年1月8日月曜日

2017年12月のうたの日の自作品31首。

「走」
犯人は逃走中でぼくは膝を落としてガチョーンのような手つきで

「希望」
レアチーズケーキにエスポワールとかたいそうな名の(ひと口)マジだ

「順」
先どうぞお先にどうぞ西の空が染まって沈み順番どおり

「プランクトン」
「オッケーグーグル、プランクトンの作り方」「あなたはもしや神になる気で?」

「利」
兄弟だもんなあこんな状態で利害はひとまず置いた笑顔で

「凡」
いてふさえ同じ形にあらざるに凡そわたしは誰かの代わり

「堅」
山茶花の花よりも葉を思わせて触れて実感したき堅さは

「電話」
聴き取れぬほどかすかなる告白もエシュロンにしかと傍受されおり

「砂糖」
あの雲が砂糖となって降ってこいベタつかないさメルヘンだもの

「自由詠」
おおかたが道を誤りゆくときにモアイ職人は良くモアイ磨く

「罪」
地下の壁を濡らして苔も生えているが光りはしない罪のバレねば

「惜」
惜しまれることなく去っていきました私のことをちょっと見ました

「絆」
箸で上げると絆がぶらり繋がってる、端から順に食べるからいいよ

「自由詠」
気まぐれなきみの気ままな左目に生真面目だった記憶がきらり

「左」
左翼右翼がうまくばたばたやり合ってほんとにこれは飛べるだろうか

「銀」
きわまった世界のようだ銀色にスプレーされた樹木おそろし

「章」
間違ってもあははって言えばうれしくて章魚(たこ)はどの手で頭かくかな

「鼻」
一年が見下ろせそうな高さからわかった、鼻の差だったじゃん愛

「園」
一瞥で恋を知るまでマリユスはもの思いつつゆく苗木園

「マッハ」
きみのもとへ心はマッハで飛んでゆく、かなりうるさいけど受けとめて

「同」
この道を同じ思想で歩みいしがこの先も同じ道は歩こう

「酸」
褒められて嬉しいときの酸っぱそうな顔があなたの来歴いとし

「はちみつ」
はちみつの甘さに甘く包まれてやがて身動き出来ない甘さ

「七面鳥」
極東のわれら犠牲は少なくて年の瀬サンダース氏に遥拝

「さん」
ざらめ降るあられ食べつつ吉岡さんの指輪がないこと気づいてしまう

「象」
鼻もないきみたち人の悲しみも大きいなんて鼻で笑った

「たっぷり」
そうあしたたっぷりリンゴが届くので電話をするよ喜ぶだろう

「事」
思うのだロフトからしろい顔を出し「来る?」って言われ断ったこと

「コタツ」
申し訳ございませんと言いたげにコタツから覗くきみカタツムリ

「幻」
地図にない幻の島をぼくはつくりきみに食べさす、もんじゃともいう

「暮」
残る日はになにをくれるというだろう暮れてゆくのをおろおろ待てり

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