2018年3月31日土曜日

2018年1月うたの日自選と雑感。

ブログの更新をさぼっていましたねぇ。明日から四月なので、少し進めておきましょう。

舞踏とは、命がけで突っ立った死体である、と言ったのは、土方巽であるが、これはなかなかテクニカルな修辞の表現で、何を言っているかふつうわからない。何を言っているかわからないが、ある必死な、いのちの有りようは伝わる。そして、死体なのに命がけ、生きている人間がやるのに死体、という矛盾に満ちたなにものかこそ、舞踏である、と、言外に定義している言葉である。

ひるがえって、短歌とは、何であろうか。……いや、こういうのは、もうちょっと後の時代にやるのが面白いだろうね。

  耳掃除しながら思う短歌とは、奥へ進めば痛い目をみる  沙流堂


自選。

「猛」
文字という猛毒のためすずりにて水をすりおり、さらに濃き濃く

「貴」
されば老舗の秘伝のタレの寸胴の汚れのごとし貴種守るとは

「蟹」
岩陰にじっとその身をひそめおり平和を待つことばかりでもなく

「側」
妖怪を引き連れてゆく旅なりきすべからく内側の物語

「飾」
心次第でとんとんになるこの時空に粉飾がないかじっと見ている

「粋」
目覚めれば朝か夕べか分からない汝(な)はしののめの純粋読者


0 件のコメント:

コメントを投稿