先日、ついツイッターで川柳を読んで、感想を書いてしまって、「生きとったんかワレ」扱いになってしまったテルヤです(笑)。
最近はあくまで個人視点のタイムラインながら、短歌よりも川柳が元気がよいような印象があります。
さて来年。来年は何をやろうかなと思ったりしながら、今年の残りをうろうろしています。とはいえ、あれだ、まず、こうやって過去分を整理しないとだな。
うろうろとわれの理屈も着ぶくれて寒くないけどからかわれたい 沙流堂
自選。
夜の列車は体内の光り漏らしつつ血走る馬よりも速く冷たし
人生は遠路にあればぺこぺことよろしくお願いしながら進め
自分自身を愛せることが出来るまで出られぬ檻のわれに、きみの手
豊かさは苦しいなあと見上げれば楽だがひもじいカラスかあかあ
感情が行動になる途中にて歌生れば歌で済むことのあり
三本腕の聖カジミエルの教会の無神論博物館なりし頃
外国人犯罪のニュース流れいて観葉植物身じろぎもせず
新成人が五十万をきる未来、ゾンビを撃つゲームは禁止され
鉄作品アーティストは肩身がせまく戦争で鉄が不足するころ
今日の麩とわかめの味噌汁いつもより海が近いと思うが言わず
生きることが何の象徴たりうるか平日くたくた休日ぐだぐだ
丁寧にスマホを拭いてなんというわれのあぶらに包まれて生
ばっくりとヘラで赤福食べるとき子供心に生(あ)るる背徳
歌人の夫、俳人の妻がオリンピックパラリンピックを別々に観る
殉教を弱さと強さに仕分けするヒヨコでいえばいずれオスだが
雑木林野原公園ゴミ捨て場ソーラーパネル、で雑木林
飴玉を昼食として少し寝るわが人生はこれでよし子さん
けっきょくは一つになれないぼくたちを暗示してピコ太郎のけぞる
ウスゲって読んでいいのかハクモウと気をつかいつつ読んでいたけど
心臓が次で止まるとなるときにあの後悔はなくならずあれ
当事者にあらざれば災害詠のどううたっても歌のよしあし
厚い紙うすい紙からレコードを取り出すまえに手を洗いたり
一色になる直前のマーブルの自分でなくなるおびえうつくし
アイルランドに似ている海に近き町きみの野辺送りに間に合いぬ
残り時間となってはじめて未来とは輝く不在を指していたのか
巡礼路ひとが歩いて道になり道は祈りの流れたる川
吉祥寺を歩いた変な思い出だフォークダンスのこゆびつなぎで
自分だけの言語できみは生きてゆくだんだん世界が合わなくなって
ネクタイがビシッと巻けて今日はもういい日にしないと申し訳ない
CR北斗の拳の「お前はもう死んでいる」との声が離れず
四振の妖刀並びあやかしに優劣あらばいささかたのし
この蔵に灯(ひ)を入れるまで闇がいて跋扈しおるもいま壺の影
会うたびにきみは疑問を持っていて「質問1」から始まる時間
カニバリズム、カニをバリバリするような想像をしたきみの顔だが
愛を説く教えが公認されるまでの三百年の殉(したが)いを思う
葛飾応為はレンブラントの明暗を思わせてたぶん勝気なるひと
2018年12月24日月曜日
2018年12月23日日曜日
2017年01月の101首。
夜の列車は体内の光り漏らしつつ血走る馬よりも速く冷たし
14日24日をきみもまた「よっか」と読むか、だけど好きだよ
新しき年の始めに思うどちすべてがずっと新しいまま
広島弁が売り切れていると空目して思う、言語の売却費など
ジャズピアニストその祖父が造りし建物が少年刑務所として在りて
人生は遠路にあればぺこぺことよろしくお願いしながら進め
ミサイルに愛国と名付けるときの誇らしさには罪ひとつない
自分自身を愛せることが出来るまで出られぬ檻のわれに、きみの手
馬鹿に付ける薬はあるか本当にあるかも知れぬと思う、馬鹿だから
豊かさは苦しいなあと見上げれば楽だがひもじいカラスかあかあ
親バカとバカ親はわりと似てはいてだが子にすればかなしく親で
くらやみを怖がる鳥にわれはもや神のごとくにスイッチを入れ
らしさなど気にせぬ現代人はせず接待テレビで明るきヤング
感情が行動になる途中にて歌生れば歌で済むことのあり
三本腕の聖カジミエルの教会の無神論博物館なりし頃
外国人犯罪のニュース流れいて観葉植物身じろぎもせず
子ども時代すくなくあればあのように子どものようにわめいて泣くか
咳をしてそのまま緑の吐瀉をしたヒロキの思い出それが思い出
プログラムアルゴリズムにおぼろげに神々しさが構築される
ガラパゴス詩人は残り少なくてニュアンスが伝えられない未来
民主主義は嫉妬をうまく殺せない孤高の者を孤立させては
休日になんの救済、大江戸線は江戸に着くほど地下を潜って
持ち寄った手の中で泣くグリーフをお互いみせてまたしまうなり
夢というこの目の前の水すらも飲めぬまぼろしにてきみと居る
ディレッタントゆえの誠実さは措いてレンタルショップの暖簾くぐらず
何になるか分からないから寝られないブループリントのきみのブルー
この国は誰かがモザイクをかけて誰かが陰謀論を憎みつ
新成人が五十万をきる未来、ゾンビを撃つゲームは禁止され
#よい一年でありますように
新しい職場は足がスースーしよい一年でありますように
あといくつうたうだろうかありふれて例えば白線の内側のうた
鉄作品アーティストは肩身がせまく戦争で鉄が不足するころ
人間が、いなコンピュータが人間を持つ時代、検索中のきみよ
原因の見出せぬなやみあることを絵画を描くきみに見ており
今日の麩とわかめの味噌汁いつもより海が近いと思うが言わず
生きることが何の象徴たりうるか平日くたくた休日ぐだぐだ
路地裏のネコ対カラスどちらともがんばれ負けたら傷が深まる
丁寧にスマホを拭いてなんというわれのあぶらに包まれて生
ばっくりとヘラで赤福食べるとき子供心に生(あ)るる背徳
歌人の夫、俳人の妻がオリンピックパラリンピックを別々に観る
ツイキャスを覗くときキャス主もまたきみの入室を覗くしくみなの?
殉教を弱さと強さに仕分けするヒヨコでいえばいずれオスだが
雑木林野原公園ゴミ捨て場ソーラーパネル、で雑木林
ロシア人は驚くだろうソーセージのDHAが遺伝子に見え
飴玉を昼食として少し寝るわが人生はこれでよし子さん
けっきょくは一つになれないぼくたちを暗示してピコ太郎のけぞる
誰が短歌がキューブラーロスが言うようなプロセスでぼくが作ると言うか
不気味の谷フェチの男が探しいる初期型アンドロイド似のきみ
ウスゲって読んでいいのかハクモウと気をつかいつつ読んでいたけど
江戸時代の混浴に似て人を押して電車に入って無罪の時代
ディスプレイの幽人と夜の花ひらく一杯一杯そして一杯
終わらせる日を思いいて街に流る、来来来世に誰をみかける
人工知能「聖(ひじり)」が語る神託(オラクル)の旧バージョンを彼は選びき
金銀はひかりのなまえ、あかがねの男はいつか一つを選ぶ
心臓が次で止まるとなるときにあの後悔はなくならずあれ
当事者にあらざれば災害詠のどううたっても歌のよしあし
子を生むとよろこんでバカになるものを摂理と思う、醤油のかおり
厚い紙うすい紙からレコードを取り出すまえに手を洗いたり
人工知能「定家」がつくる連作の受賞理由は「時代の感性」
サムテイラーのサキソフォーンもむせび泣き政男のマンドリンにもむせぶ
不在なる世界のために残しておくものがあといくつ⋯⋯笑顔くらいか
一色になる直前のマーブルの自分でなくなるおびえうつくし
アイルランドに似ている海に近き町きみの野辺送りに間に合いぬ
残り時間となってはじめて未来とは輝く不在を指していたのか
常に一手足りないままの勝負にて二手欲しくなる、頭を下げる
ひょっとして見逃しツイートあるかもとエゴサして、並ぶ自分とボット
巡礼路ひとが歩いて道になり道は祈りの流れたる川
吉祥寺を歩いた変な思い出だフォークダンスのこゆびつなぎで
人類も褒めて伸ばそう、伸びぬなら? コンビニの前でタバコをくわえ
自分だけの言語できみは生きてゆくだんだん世界が合わなくなって
塚本の彼の夢枕に立ちてその表情は読み取りがたし
セックス(愛する事)が罪だなんてとシャルロットゲンズブールがフィルムで泣きぬ
後頭にただよふ蜂を箒にて払ひそれでも刺される夢だ
ネクタイがビシッと巻けて今日はもういい日にしないと申し訳ない
CR北斗の拳の「お前はもう死んでいる」との声が離れず
四振の妖刀並びあやかしに優劣あらばいささかたのし
才能という欠陥を褒められて欠陥だから少し苦しい
からからの鳥はいつかは会うために飛びつづけくちばしは割れても
シュルレアリスム作家の展示に挟まれて常識はかく遥かなる嶺(みね)
この優しさ言葉にせねば非在して真実すれすれまで来て離れ
どきどきと僕のトマトがあたたまり「やめなよ」という僕の声聞く
きみのヴァル/ネラビリティの/せいである/切るぼくの悪/切れるきみ、悪/
かわいくて政治リツイが痛いきみ、そうやってわれは避けられいるか
レトロとは不便のことで、ぼくたちはゆっくりゆっくりレトロな愛で
ホモソーシャルな飲み会にいてどこまでか乗り切れてたかヘテロのわれは
キャバクラでは建前は剥がれないんだとおっしゃる、なるほど(知ったことかよ
朝鳥だ、家の外には幾十の錆びたるドアの開閉しきり
おそらくはそんなにうまくはいってないだろうけど強がりに付き合う
7つしか正解のない二枚の絵、サンジャヤのごとき深き疑い
界隈にあらわる妖怪「これいいな」お初の方はお見知り置きを
「芸術は飾りではなく武器なのだ」っておれの机の壁に貼るなよ
妻の名を祈りの言葉にしていると2件目で聞く、よし受けて立つ
何回の奇跡できみは人類の積み重ねたる見地を捨てる
今はもう動かぬ時計おじいさん亡きあと一応修理に出しぬ
一瞬のちエピタフになるかもしれぬタイムラインはもう止まざりき
この蔵に灯(ひ)を入れるまで闇がいて跋扈しおるもいま壺の影
会うたびにきみは疑問を持っていて「質問1」から始まる時間
カニバリズム、カニをバリバリするような想像をしたきみの顔だが
極めるということは特化することで特化とはつまりdeformである
愛を説く教えが公認されるまでの三百年の殉(したが)いを思う
葛飾応為はレンブラントの明暗を思わせてたぶん勝気なるひと
森の中で木を隠すべく火の中でマッチを擦って見ゆるまぼろし
14日24日をきみもまた「よっか」と読むか、だけど好きだよ
新しき年の始めに思うどちすべてがずっと新しいまま
広島弁が売り切れていると空目して思う、言語の売却費など
ジャズピアニストその祖父が造りし建物が少年刑務所として在りて
人生は遠路にあればぺこぺことよろしくお願いしながら進め
ミサイルに愛国と名付けるときの誇らしさには罪ひとつない
自分自身を愛せることが出来るまで出られぬ檻のわれに、きみの手
馬鹿に付ける薬はあるか本当にあるかも知れぬと思う、馬鹿だから
豊かさは苦しいなあと見上げれば楽だがひもじいカラスかあかあ
親バカとバカ親はわりと似てはいてだが子にすればかなしく親で
くらやみを怖がる鳥にわれはもや神のごとくにスイッチを入れ
らしさなど気にせぬ現代人はせず接待テレビで明るきヤング
感情が行動になる途中にて歌生れば歌で済むことのあり
三本腕の聖カジミエルの教会の無神論博物館なりし頃
外国人犯罪のニュース流れいて観葉植物身じろぎもせず
子ども時代すくなくあればあのように子どものようにわめいて泣くか
咳をしてそのまま緑の吐瀉をしたヒロキの思い出それが思い出
プログラムアルゴリズムにおぼろげに神々しさが構築される
ガラパゴス詩人は残り少なくてニュアンスが伝えられない未来
民主主義は嫉妬をうまく殺せない孤高の者を孤立させては
休日になんの救済、大江戸線は江戸に着くほど地下を潜って
持ち寄った手の中で泣くグリーフをお互いみせてまたしまうなり
夢というこの目の前の水すらも飲めぬまぼろしにてきみと居る
ディレッタントゆえの誠実さは措いてレンタルショップの暖簾くぐらず
何になるか分からないから寝られないブループリントのきみのブルー
この国は誰かがモザイクをかけて誰かが陰謀論を憎みつ
新成人が五十万をきる未来、ゾンビを撃つゲームは禁止され
#よい一年でありますように
新しい職場は足がスースーしよい一年でありますように
あといくつうたうだろうかありふれて例えば白線の内側のうた
鉄作品アーティストは肩身がせまく戦争で鉄が不足するころ
人間が、いなコンピュータが人間を持つ時代、検索中のきみよ
原因の見出せぬなやみあることを絵画を描くきみに見ており
今日の麩とわかめの味噌汁いつもより海が近いと思うが言わず
生きることが何の象徴たりうるか平日くたくた休日ぐだぐだ
路地裏のネコ対カラスどちらともがんばれ負けたら傷が深まる
丁寧にスマホを拭いてなんというわれのあぶらに包まれて生
ばっくりとヘラで赤福食べるとき子供心に生(あ)るる背徳
歌人の夫、俳人の妻がオリンピックパラリンピックを別々に観る
ツイキャスを覗くときキャス主もまたきみの入室を覗くしくみなの?
殉教を弱さと強さに仕分けするヒヨコでいえばいずれオスだが
雑木林野原公園ゴミ捨て場ソーラーパネル、で雑木林
ロシア人は驚くだろうソーセージのDHAが遺伝子に見え
飴玉を昼食として少し寝るわが人生はこれでよし子さん
けっきょくは一つになれないぼくたちを暗示してピコ太郎のけぞる
誰が短歌がキューブラーロスが言うようなプロセスでぼくが作ると言うか
不気味の谷フェチの男が探しいる初期型アンドロイド似のきみ
ウスゲって読んでいいのかハクモウと気をつかいつつ読んでいたけど
江戸時代の混浴に似て人を押して電車に入って無罪の時代
ディスプレイの幽人と夜の花ひらく一杯一杯そして一杯
終わらせる日を思いいて街に流る、来来来世に誰をみかける
人工知能「聖(ひじり)」が語る神託(オラクル)の旧バージョンを彼は選びき
金銀はひかりのなまえ、あかがねの男はいつか一つを選ぶ
心臓が次で止まるとなるときにあの後悔はなくならずあれ
当事者にあらざれば災害詠のどううたっても歌のよしあし
子を生むとよろこんでバカになるものを摂理と思う、醤油のかおり
厚い紙うすい紙からレコードを取り出すまえに手を洗いたり
人工知能「定家」がつくる連作の受賞理由は「時代の感性」
サムテイラーのサキソフォーンもむせび泣き政男のマンドリンにもむせぶ
不在なる世界のために残しておくものがあといくつ⋯⋯笑顔くらいか
一色になる直前のマーブルの自分でなくなるおびえうつくし
アイルランドに似ている海に近き町きみの野辺送りに間に合いぬ
残り時間となってはじめて未来とは輝く不在を指していたのか
常に一手足りないままの勝負にて二手欲しくなる、頭を下げる
ひょっとして見逃しツイートあるかもとエゴサして、並ぶ自分とボット
巡礼路ひとが歩いて道になり道は祈りの流れたる川
吉祥寺を歩いた変な思い出だフォークダンスのこゆびつなぎで
人類も褒めて伸ばそう、伸びぬなら? コンビニの前でタバコをくわえ
自分だけの言語できみは生きてゆくだんだん世界が合わなくなって
塚本の彼の夢枕に立ちてその表情は読み取りがたし
セックス(愛する事)が罪だなんてとシャルロットゲンズブールがフィルムで泣きぬ
後頭にただよふ蜂を箒にて払ひそれでも刺される夢だ
ネクタイがビシッと巻けて今日はもういい日にしないと申し訳ない
CR北斗の拳の「お前はもう死んでいる」との声が離れず
四振の妖刀並びあやかしに優劣あらばいささかたのし
才能という欠陥を褒められて欠陥だから少し苦しい
からからの鳥はいつかは会うために飛びつづけくちばしは割れても
シュルレアリスム作家の展示に挟まれて常識はかく遥かなる嶺(みね)
この優しさ言葉にせねば非在して真実すれすれまで来て離れ
どきどきと僕のトマトがあたたまり「やめなよ」という僕の声聞く
きみのヴァル/ネラビリティの/せいである/切るぼくの悪/切れるきみ、悪/
かわいくて政治リツイが痛いきみ、そうやってわれは避けられいるか
レトロとは不便のことで、ぼくたちはゆっくりゆっくりレトロな愛で
ホモソーシャルな飲み会にいてどこまでか乗り切れてたかヘテロのわれは
キャバクラでは建前は剥がれないんだとおっしゃる、なるほど(知ったことかよ
朝鳥だ、家の外には幾十の錆びたるドアの開閉しきり
おそらくはそんなにうまくはいってないだろうけど強がりに付き合う
7つしか正解のない二枚の絵、サンジャヤのごとき深き疑い
界隈にあらわる妖怪「これいいな」お初の方はお見知り置きを
「芸術は飾りではなく武器なのだ」っておれの机の壁に貼るなよ
妻の名を祈りの言葉にしていると2件目で聞く、よし受けて立つ
何回の奇跡できみは人類の積み重ねたる見地を捨てる
今はもう動かぬ時計おじいさん亡きあと一応修理に出しぬ
一瞬のちエピタフになるかもしれぬタイムラインはもう止まざりき
この蔵に灯(ひ)を入れるまで闇がいて跋扈しおるもいま壺の影
会うたびにきみは疑問を持っていて「質問1」から始まる時間
カニバリズム、カニをバリバリするような想像をしたきみの顔だが
極めるということは特化することで特化とはつまりdeformである
愛を説く教えが公認されるまでの三百年の殉(したが)いを思う
葛飾応為はレンブラントの明暗を思わせてたぶん勝気なるひと
森の中で木を隠すべく火の中でマッチを擦って見ゆるまぼろし
2018年3月31日土曜日
2018年1月うたの日自選と雑感。
ブログの更新をさぼっていましたねぇ。明日から四月なので、少し進めておきましょう。
舞踏とは、命がけで突っ立った死体である、と言ったのは、土方巽であるが、これはなかなかテクニカルな修辞の表現で、何を言っているかふつうわからない。何を言っているかわからないが、ある必死な、いのちの有りようは伝わる。そして、死体なのに命がけ、生きている人間がやるのに死体、という矛盾に満ちたなにものかこそ、舞踏である、と、言外に定義している言葉である。
ひるがえって、短歌とは、何であろうか。……いや、こういうのは、もうちょっと後の時代にやるのが面白いだろうね。
耳掃除しながら思う短歌とは、奥へ進めば痛い目をみる 沙流堂
自選。
「猛」
文字という猛毒のためすずりにて水をすりおり、さらに濃き濃く
「貴」
されば老舗の秘伝のタレの寸胴の汚れのごとし貴種守るとは
「蟹」
岩陰にじっとその身をひそめおり平和を待つことばかりでもなく
「側」
妖怪を引き連れてゆく旅なりきすべからく内側の物語
「飾」
心次第でとんとんになるこの時空に粉飾がないかじっと見ている
「粋」
目覚めれば朝か夕べか分からない汝(な)はしののめの純粋読者
舞踏とは、命がけで突っ立った死体である、と言ったのは、土方巽であるが、これはなかなかテクニカルな修辞の表現で、何を言っているかふつうわからない。何を言っているかわからないが、ある必死な、いのちの有りようは伝わる。そして、死体なのに命がけ、生きている人間がやるのに死体、という矛盾に満ちたなにものかこそ、舞踏である、と、言外に定義している言葉である。
ひるがえって、短歌とは、何であろうか。……いや、こういうのは、もうちょっと後の時代にやるのが面白いだろうね。
耳掃除しながら思う短歌とは、奥へ進めば痛い目をみる 沙流堂
自選。
「猛」
文字という猛毒のためすずりにて水をすりおり、さらに濃き濃く
「貴」
されば老舗の秘伝のタレの寸胴の汚れのごとし貴種守るとは
「蟹」
岩陰にじっとその身をひそめおり平和を待つことばかりでもなく
「側」
妖怪を引き連れてゆく旅なりきすべからく内側の物語
「飾」
心次第でとんとんになるこの時空に粉飾がないかじっと見ている
「粋」
目覚めれば朝か夕べか分からない汝(な)はしののめの純粋読者
2018年2月17日土曜日
2018年1月うたの日の自作品31首。
「平成30年の抱負」
友がみなわれより偉い日々なので邪魔にならないようにして飲む
「猛」
文字という猛毒のためすずりにて水をすりおり、さらに濃き濃く
「太陽」
地球族の宗教的な比喩としてあなたはオーマイサンシャインです
「貴」
されば老舗の秘伝のタレの寸胴の汚れのごとし貴種守るとは
「役」
星に手がとどくとこまできたふたりぼくの役目は手を焦がすこと
「相撲」
はっけよいのこったのこったわれひとり職場でなにに寄り切られつつ
「草」
「この時代の人々は興に入るときに」「草!」「正解! チャンピオン早い!」
「加」
柿の種にチョコを加えた毎日になるようにきみはピリ辛であれ
「マイナス」
マイナスの風に吹かれてマイナスの男がプラスの街にいる、いる?
「自由詠」
計画的陳腐化のようであるけれどもこのままチンプンカンプンならむ
「歩」
真上を向いて歩こうよ涙など一滴たりともこぼさぬように
「蟹」
岩陰にじっとその身をひそめおり平和を待つことばかりでもなく
「側」
妖怪を引き連れてゆく旅なりきすべからく内側の物語
「炭」
イタリアの塩に替えたりコーヒーを炭で焼いたりしてさびしがる
「人編」
天からの使いのような人なので性愛を防ぐヴェールが見える
「金屏風」
金屏風すごかったねと金屏風と金の屏風の話ばっかり
「飾」
心次第でとんとんになるこの時空に粉飾がないかじっと見ている
「由」
飛び降りた下にはちょうど幌馬車でお元気の由何よりでした
「チーム」
このチームの先頭から輝いていくぼくも光に入らなければ
「バスケットシューズ」
バスケットシューズじゃなかったのも理由、きみが見に来てくれなかったのも
「関」
ああやはり引き返すべきだったのだ関関と恋の鶯が鳴く
「粋」
目覚めれば朝か夕べか分からない汝(な)はしののめの純粋読者
「行ったことのない山」
この道を通るときいつも気にはなるが行ったことのない山田うどんだ
「青の時代」
トルストイ翁の家出まざまざ思いつつ納豆飯の青の時代は
「冬の海」
おい野菜、高いんじゃあああと叫びたくて来た冬の海、先客がいた
「鶴」
嬉しさをごまかすために鶴の構えをしているきみよ、ぼくは蛇拳だ
「萌」
萌えいづる草食男子の休日のハードディスクのアニメなるかも
「海老」
なぜオレはケチャップソースに絡められ辛い剥き身で死んでいるのか
「1400回くらい一緒にしたいこと」
星月夜の宇宙のなかで手をつなぎ言葉はつまらない帰り道
「塩」
野菜ならとにかく塩をかけた父、息子はドレッシングでごめん
「嫁」
「お義兄(にい)さん」とわれを呼ぶので好評価の弟の嫁が不倫して去りき
友がみなわれより偉い日々なので邪魔にならないようにして飲む
「猛」
文字という猛毒のためすずりにて水をすりおり、さらに濃き濃く
「太陽」
地球族の宗教的な比喩としてあなたはオーマイサンシャインです
「貴」
されば老舗の秘伝のタレの寸胴の汚れのごとし貴種守るとは
「役」
星に手がとどくとこまできたふたりぼくの役目は手を焦がすこと
「相撲」
はっけよいのこったのこったわれひとり職場でなにに寄り切られつつ
「草」
「この時代の人々は興に入るときに」「草!」「正解! チャンピオン早い!」
「加」
柿の種にチョコを加えた毎日になるようにきみはピリ辛であれ
「マイナス」
マイナスの風に吹かれてマイナスの男がプラスの街にいる、いる?
「自由詠」
計画的陳腐化のようであるけれどもこのままチンプンカンプンならむ
「歩」
真上を向いて歩こうよ涙など一滴たりともこぼさぬように
「蟹」
岩陰にじっとその身をひそめおり平和を待つことばかりでもなく
「側」
妖怪を引き連れてゆく旅なりきすべからく内側の物語
「炭」
イタリアの塩に替えたりコーヒーを炭で焼いたりしてさびしがる
「人編」
天からの使いのような人なので性愛を防ぐヴェールが見える
「金屏風」
金屏風すごかったねと金屏風と金の屏風の話ばっかり
「飾」
心次第でとんとんになるこの時空に粉飾がないかじっと見ている
「由」
飛び降りた下にはちょうど幌馬車でお元気の由何よりでした
「チーム」
このチームの先頭から輝いていくぼくも光に入らなければ
「バスケットシューズ」
バスケットシューズじゃなかったのも理由、きみが見に来てくれなかったのも
「関」
ああやはり引き返すべきだったのだ関関と恋の鶯が鳴く
「粋」
目覚めれば朝か夕べか分からない汝(な)はしののめの純粋読者
「行ったことのない山」
この道を通るときいつも気にはなるが行ったことのない山田うどんだ
「青の時代」
トルストイ翁の家出まざまざ思いつつ納豆飯の青の時代は
「冬の海」
おい野菜、高いんじゃあああと叫びたくて来た冬の海、先客がいた
「鶴」
嬉しさをごまかすために鶴の構えをしているきみよ、ぼくは蛇拳だ
「萌」
萌えいづる草食男子の休日のハードディスクのアニメなるかも
「海老」
なぜオレはケチャップソースに絡められ辛い剥き身で死んでいるのか
「1400回くらい一緒にしたいこと」
星月夜の宇宙のなかで手をつなぎ言葉はつまらない帰り道
「塩」
野菜ならとにかく塩をかけた父、息子はドレッシングでごめん
「嫁」
「お義兄(にい)さん」とわれを呼ぶので好評価の弟の嫁が不倫して去りき
2018年2月2日金曜日
2016年1月の自選と雑感。
2018年も、もう一ヶ月たったということだ。なんかしたか? 俺。
何もしてないのに壊れたから診てと夕ぐれのきみの上衣が落ちる 沙流堂
って、歌をつくる場所じゃなくて、雑感だ。
だいたい、正月は、アルコールに浸かって、そのまま、ひと月くらい酩酊状態だ。ツイッターでは、その間もネプリとかいろいろあったみたいだが、酩酊状態で、なにも落とせなかった。話題にもいまいち入りきれなくて、もう短歌クラスタじゃないような気もする。
まァ、もともとタイムラインをうろうろする妖怪なので、アース・ウィンド・アンド・ファイアーのLet's GrooveのPVのように、キラキラしながら宙を舞っているのが今年のイメージだ。
自選。
人なくば時間がとまりたがりたる年の始めの正午なる町
ふるさとは子が背をむけて去ってゆきあとは時々見にくるところ
洞穴で雨音きいて眠られぬ人類、過去にも未来にも似て
何を観たかあえて訊かぬが今頃にじぇじぇじぇとかいうお前をたのし
たまごボーロの代わりのようになめているビオフェルミンのほんのりあまし
ここはおれが食い止めるから早く行け、ぐはぁ、とついに降り出す雨は
どうしても少しは美化をする生のどうしても詩語を避けたる歌か
君のそのミード(蜂蜜酒)のようなくびすじの匂いを嗅げる男を思う
新雪を傘で刺したら君は決してひとりじゃないよたくさんの穴
ぶくぶくもがらがらもうがいだなんてひどいじゃないですかと詰め寄らる
楽しかったことを辿っておかしいぞ、君との苦しい日々ばかりなり
片耳を外して垂れるイヤホンの世界へ向けて微量の叫び
パヴァーヌのために亡くなる王女かも歴史の彼女いたましければ
タイムラインに裸足で入るものだから足首にへんなもの引っかかる
自力では自分を救えないことのモランをおもう、ほんとにおもう
くらやみの胎児のごとくそれでいて前向きなことが好きだ脳とは
あ、うたの人に提出した歌も挙げておこう。題は「楽」だった。
かに道楽の看板のかにが逃げたらし、無事海にたどり着けただろうか
何もしてないのに壊れたから診てと夕ぐれのきみの上衣が落ちる 沙流堂
って、歌をつくる場所じゃなくて、雑感だ。
だいたい、正月は、アルコールに浸かって、そのまま、ひと月くらい酩酊状態だ。ツイッターでは、その間もネプリとかいろいろあったみたいだが、酩酊状態で、なにも落とせなかった。話題にもいまいち入りきれなくて、もう短歌クラスタじゃないような気もする。
まァ、もともとタイムラインをうろうろする妖怪なので、アース・ウィンド・アンド・ファイアーのLet's GrooveのPVのように、キラキラしながら宙を舞っているのが今年のイメージだ。
自選。
人なくば時間がとまりたがりたる年の始めの正午なる町
ふるさとは子が背をむけて去ってゆきあとは時々見にくるところ
洞穴で雨音きいて眠られぬ人類、過去にも未来にも似て
何を観たかあえて訊かぬが今頃にじぇじぇじぇとかいうお前をたのし
たまごボーロの代わりのようになめているビオフェルミンのほんのりあまし
ここはおれが食い止めるから早く行け、ぐはぁ、とついに降り出す雨は
どうしても少しは美化をする生のどうしても詩語を避けたる歌か
君のそのミード(蜂蜜酒)のようなくびすじの匂いを嗅げる男を思う
新雪を傘で刺したら君は決してひとりじゃないよたくさんの穴
ぶくぶくもがらがらもうがいだなんてひどいじゃないですかと詰め寄らる
楽しかったことを辿っておかしいぞ、君との苦しい日々ばかりなり
片耳を外して垂れるイヤホンの世界へ向けて微量の叫び
パヴァーヌのために亡くなる王女かも歴史の彼女いたましければ
タイムラインに裸足で入るものだから足首にへんなもの引っかかる
自力では自分を救えないことのモランをおもう、ほんとにおもう
くらやみの胎児のごとくそれでいて前向きなことが好きだ脳とは
あ、うたの人に提出した歌も挙げておこう。題は「楽」だった。
かに道楽の看板のかにが逃げたらし、無事海にたどり着けただろうか
2016年1月の62首と、「うたの人」提出1首。
君もまた意外に死者に冷たくてまあいちばんは死者だけれども
人なくば時間がとまりたがりたる年の始めの正午なる町
素朴派のなにがナイーヴ、写実への無頓着さに胡座をかきつ
年越しに第九やボレロを欲したる日本をおもう、酔う新年に
雨に濡れ濃い色の鳩、人間の謳歌する世に小うまく生きて
消えたデータはもうさようならぼくもまた次のアプデの時にはおらず
難しい思索がつづくたぶんそれは接点がまた減ってきたため
信仰の必要のないところまでゲノムを切って生きたき君か
世界よりすこし下劣になるだけでこんなにも変わる地図かと思う
ふるさとは子が背をむけて去ってゆきあとは時々見にくるところ
洞穴で雨音きいて眠られぬ人類、過去にも未来にも似て
狩野派の松が雲間をうねる頃歌われし歌の思い浮かばず
うわ水だ逃げろとごとく飛び出して歩道で焦げる未来のみみず
何を観たかあえて訊かぬが今頃にじぇじぇじぇとかいうお前をたのし
君が深い歌を詠むとき歌もまた深淵の君を詠むのだ、にいちぇ
スターウォーズの黒人おらぬ宇宙より守銭奴呼ばわりされしハン・ソロ
知的だが勉強はせぬ君といてもったいないけど近いからよし
野良猫に目をぱちぱちと歯も隠し敵ではないと示す"人間"
たまごボーロの代わりのようになめているビオフェルミンのほんのりあまし
止まらない思考の馬車はやはり死を実感できぬ止まらないゆえ
ここはおれが食い止めるから早く行け、ぐはぁ、とついに降り出す雨は
どうしても少しは美化をする生のどうしても詩語を避けたる歌か
君の血とぼくの血混ぜてほんとうの拒絶をながめたかりしが、乾く
石はその一定の重さ超えたればイシもつだろう、そのような石
死後のための表のひとつか、入れっぱなしの電池の交換期限一覧
69のロック、駄洒落は抜きにして寂寞とした場所にもみえて
清潔をのぞんだだけの生活のなぜ子の顔のかぶれて赤し
"きみ"も"子"もゆらゆら虚構なる中で"われ"との関係だけは在りそう
その役が僕ではないという未来、時間よ止まれ血流でもいい
くにゅくにゅとインクが水に溶けてゆきかく薄まれりネットのことば
君のそのミード(蜂蜜酒)のようなくびすじの匂いを嗅げる男を思う
四十のセリフやないかもう一度愛や真心で立ち向かえとか
教訓も反省もオチもなくぼくは寝坊したまま連絡もせず
ひとまずは安心したがさみしいなもうすぐ弓を張る月が見え
階段に座ってワイン飲みながら明日につながることを思わず
車一台通らぬ道を全力で横切っていく野良猫いとし
人間が怖いのはもう知っていてカラスは怯えながらついばむ
新雪を傘で刺したら君は決してひとりじゃないよたくさんの穴
死んでから注目されるあれだから生きてるときはなるたけのごみ
一曲の音楽として人生があるとしてここをBメロとして
ぶくぶくもがらがらもうがいだなんてひどいじゃないですかと詰め寄らる
楽しかったことを辿っておかしいぞ、君との苦しい日々ばかりなり
シュレディンガーの猫の説明するときに君からの猫はいないけれども
悲観的な選手もきっといるだろう楽天イーグルスの一軍も
壮大な景色で君も存在が現象になるさびしさ知るか
安楽とアンラックとをルービックキューブのように練りつつおもう
片耳を外して垂れるイヤホンの世界へ向けて微量の叫び
組み立てては充分に鳴らすまでいかずまた仕舞いたる高価な楽器
桃色の顔をして泣くおさなごの角を曲がってまだ聞こえいる
ああきみの幸せが楽しみになる場所に立ちおり、われ満ち欠けて
豊かゆえ悩みがややこしくなりぬ貧しさはつよき簡潔なるが
楽園行きの満員電車にぐいぐいと押し込んでオレをなんとか乗せろ
パヴァーヌのために亡くなる王女かも歴史の彼女いたましければ
いくつ引いて倍にするとかしなくてもきみは楽勝できる、してるよ
引き止めているのはお金、そうやって悲しみを割り勘にする君
かゆき体も掻けぬけものとして生きていらいらといる食われたりする
タイムラインに裸足で入るものだから足首にへんなもの引っかかる
アカシアの雨が何かは知らないがこのまま僕もそうしまいたい
天動説の君にぼくらは遠くから目をパチパチとまたたくばかり
自力では自分を救えないことのモランをおもう、ほんとにおもう
好奇心がなければ曲がるはずだったこの坂を息をきらしつつゆく
くらやみの胎児のごとくそれでいて前向きなことが好きだ脳とは
うたの人『楽』提出作品
かに道楽の看板のかにが逃げたらし、無事海にたどり着けただろうか
人なくば時間がとまりたがりたる年の始めの正午なる町
素朴派のなにがナイーヴ、写実への無頓着さに胡座をかきつ
年越しに第九やボレロを欲したる日本をおもう、酔う新年に
雨に濡れ濃い色の鳩、人間の謳歌する世に小うまく生きて
消えたデータはもうさようならぼくもまた次のアプデの時にはおらず
難しい思索がつづくたぶんそれは接点がまた減ってきたため
信仰の必要のないところまでゲノムを切って生きたき君か
世界よりすこし下劣になるだけでこんなにも変わる地図かと思う
ふるさとは子が背をむけて去ってゆきあとは時々見にくるところ
洞穴で雨音きいて眠られぬ人類、過去にも未来にも似て
狩野派の松が雲間をうねる頃歌われし歌の思い浮かばず
うわ水だ逃げろとごとく飛び出して歩道で焦げる未来のみみず
何を観たかあえて訊かぬが今頃にじぇじぇじぇとかいうお前をたのし
君が深い歌を詠むとき歌もまた深淵の君を詠むのだ、にいちぇ
スターウォーズの黒人おらぬ宇宙より守銭奴呼ばわりされしハン・ソロ
知的だが勉強はせぬ君といてもったいないけど近いからよし
野良猫に目をぱちぱちと歯も隠し敵ではないと示す"人間"
たまごボーロの代わりのようになめているビオフェルミンのほんのりあまし
止まらない思考の馬車はやはり死を実感できぬ止まらないゆえ
ここはおれが食い止めるから早く行け、ぐはぁ、とついに降り出す雨は
どうしても少しは美化をする生のどうしても詩語を避けたる歌か
君の血とぼくの血混ぜてほんとうの拒絶をながめたかりしが、乾く
石はその一定の重さ超えたればイシもつだろう、そのような石
死後のための表のひとつか、入れっぱなしの電池の交換期限一覧
69のロック、駄洒落は抜きにして寂寞とした場所にもみえて
清潔をのぞんだだけの生活のなぜ子の顔のかぶれて赤し
"きみ"も"子"もゆらゆら虚構なる中で"われ"との関係だけは在りそう
その役が僕ではないという未来、時間よ止まれ血流でもいい
くにゅくにゅとインクが水に溶けてゆきかく薄まれりネットのことば
君のそのミード(蜂蜜酒)のようなくびすじの匂いを嗅げる男を思う
四十のセリフやないかもう一度愛や真心で立ち向かえとか
教訓も反省もオチもなくぼくは寝坊したまま連絡もせず
ひとまずは安心したがさみしいなもうすぐ弓を張る月が見え
階段に座ってワイン飲みながら明日につながることを思わず
車一台通らぬ道を全力で横切っていく野良猫いとし
人間が怖いのはもう知っていてカラスは怯えながらついばむ
新雪を傘で刺したら君は決してひとりじゃないよたくさんの穴
死んでから注目されるあれだから生きてるときはなるたけのごみ
一曲の音楽として人生があるとしてここをBメロとして
ぶくぶくもがらがらもうがいだなんてひどいじゃないですかと詰め寄らる
楽しかったことを辿っておかしいぞ、君との苦しい日々ばかりなり
シュレディンガーの猫の説明するときに君からの猫はいないけれども
悲観的な選手もきっといるだろう楽天イーグルスの一軍も
壮大な景色で君も存在が現象になるさびしさ知るか
安楽とアンラックとをルービックキューブのように練りつつおもう
片耳を外して垂れるイヤホンの世界へ向けて微量の叫び
組み立てては充分に鳴らすまでいかずまた仕舞いたる高価な楽器
桃色の顔をして泣くおさなごの角を曲がってまだ聞こえいる
ああきみの幸せが楽しみになる場所に立ちおり、われ満ち欠けて
豊かゆえ悩みがややこしくなりぬ貧しさはつよき簡潔なるが
楽園行きの満員電車にぐいぐいと押し込んでオレをなんとか乗せろ
パヴァーヌのために亡くなる王女かも歴史の彼女いたましければ
いくつ引いて倍にするとかしなくてもきみは楽勝できる、してるよ
引き止めているのはお金、そうやって悲しみを割り勘にする君
かゆき体も掻けぬけものとして生きていらいらといる食われたりする
タイムラインに裸足で入るものだから足首にへんなもの引っかかる
アカシアの雨が何かは知らないがこのまま僕もそうしまいたい
天動説の君にぼくらは遠くから目をパチパチとまたたくばかり
自力では自分を救えないことのモランをおもう、ほんとにおもう
好奇心がなければ曲がるはずだったこの坂を息をきらしつつゆく
くらやみの胎児のごとくそれでいて前向きなことが好きだ脳とは
うたの人『楽』提出作品
かに道楽の看板のかにが逃げたらし、無事海にたどり着けただろうか
2017年2月12日日曜日
2017年01月うたの日自作品と雑感。
ツイッターでも、noteでも間接的に書いていることだけど、「うたの日」というのは作成された方も、使用するユーザもかなり品の良い、レベルの高い運用がなされているので、つい、毎日ネットで歌会できるのが、当然のように考えてしまうことがあって、いかんいかんと思ったりする。
無料で使ってて言うのもなんだけど、いつまでも無料でよいのかな、と考えたり。
絵本の無料化の話題や、音楽教室の著作権使用料の話題なども世間を賑わせているけど、場の提供って、それ自体、ギャンブルで言うと胴元的なポジションであるべきかもなあ、と思う。胴元は決して損をしてはならないわけで。
赤字になってるツイッター社もそうだけど、無料だから使うんだけど、有料化しないと永続しない問題というのがあるよね。利潤の追求でなくて、労力の補償のレベルの話で。
ま、そのわりに「歌会の投票で順位を決めるシステムは、ポピュリズムだよね」とか言ったりもするんだけどね。
「よく、音楽は金銀銅とかそんな簡単に評価できないっていう人がいるけど、あれを言っていいのは、勝者だけだと思う(中略)だから結局、うまくなるしかないと思ってる」(『響け! ユーフォニアム2』高坂麗奈のセリフより)
シビアな言葉だよね。文学もそうなのか、よく分からないですが。
自選など。
「乗」
乗り遅れなかったきみは東雲(しののめ)の無人の地平で平気でいてよ
※無人の地平は、さびしいが、誰でもいけるわけではない。
「晴れ着」
明け方に大学新聞刷(す)りあげてやっと寝るきみはいまごろ晴れ着
※この人は成人式に出ないんでしょうね。徹夜明けで、新聞を刷って、今から寝る。成人式に晴れ着を着ている君を少し思いながら。
「自由詠」
廃品を覆う綿帽子のような雪、自然にはまだ還れない
※自然ではなくて、さりとて人工物としては廃品という場所に雪が降る。
「昼」
昼休みの図書室はとても神聖で君なんか来なければよかった
※知ってしまうともう戻れない、ということはある。君が来たから、彼は知ってしまったのだろう。
「姉妹」
お姉ちゃんになんで言うかな、なんでって泊めただけだし何もなかったし
※これだから妹はずるいんだよ、まったく。
「相撲」
国技館の温度湿度は決められて衝突事象は日々おこなわる
※これからも、この事象は続くだろう。
「沼」
裏山の底無し沼の対岸に河童がしかも白い河童が
※本当かねえ? 底なし沼だって、底があるわけだし。
「職員室」
職員室から吉田が戻ってくるまでを待っていたのにもう家にいた
※戻ってくる時にかならずここを通るはずなんだけどなあ。
「いらっしゃい」
いらっしゃいいつもと変わらないきみにルミノール反応の話をせねば
※この話をすると、きみはどのように変わるだろうか。
「段」
死をおもう気分をかかえ階段で足踏みはずす、死ぬかと思った
※ま、生きてるから死を思えるんだよな。
無料で使ってて言うのもなんだけど、いつまでも無料でよいのかな、と考えたり。
絵本の無料化の話題や、音楽教室の著作権使用料の話題なども世間を賑わせているけど、場の提供って、それ自体、ギャンブルで言うと胴元的なポジションであるべきかもなあ、と思う。胴元は決して損をしてはならないわけで。
赤字になってるツイッター社もそうだけど、無料だから使うんだけど、有料化しないと永続しない問題というのがあるよね。利潤の追求でなくて、労力の補償のレベルの話で。
ま、そのわりに「歌会の投票で順位を決めるシステムは、ポピュリズムだよね」とか言ったりもするんだけどね。
「よく、音楽は金銀銅とかそんな簡単に評価できないっていう人がいるけど、あれを言っていいのは、勝者だけだと思う(中略)だから結局、うまくなるしかないと思ってる」(『響け! ユーフォニアム2』高坂麗奈のセリフより)
シビアな言葉だよね。文学もそうなのか、よく分からないですが。
自選など。
「乗」
乗り遅れなかったきみは東雲(しののめ)の無人の地平で平気でいてよ
※無人の地平は、さびしいが、誰でもいけるわけではない。
「晴れ着」
明け方に大学新聞刷(す)りあげてやっと寝るきみはいまごろ晴れ着
※この人は成人式に出ないんでしょうね。徹夜明けで、新聞を刷って、今から寝る。成人式に晴れ着を着ている君を少し思いながら。
「自由詠」
廃品を覆う綿帽子のような雪、自然にはまだ還れない
※自然ではなくて、さりとて人工物としては廃品という場所に雪が降る。
「昼」
昼休みの図書室はとても神聖で君なんか来なければよかった
※知ってしまうともう戻れない、ということはある。君が来たから、彼は知ってしまったのだろう。
「姉妹」
お姉ちゃんになんで言うかな、なんでって泊めただけだし何もなかったし
※これだから妹はずるいんだよ、まったく。
「相撲」
国技館の温度湿度は決められて衝突事象は日々おこなわる
※これからも、この事象は続くだろう。
「沼」
裏山の底無し沼の対岸に河童がしかも白い河童が
※本当かねえ? 底なし沼だって、底があるわけだし。
「職員室」
職員室から吉田が戻ってくるまでを待っていたのにもう家にいた
※戻ってくる時にかならずここを通るはずなんだけどなあ。
「いらっしゃい」
いらっしゃいいつもと変わらないきみにルミノール反応の話をせねば
※この話をすると、きみはどのように変わるだろうか。
「段」
死をおもう気分をかかえ階段で足踏みはずす、死ぬかと思った
※ま、生きてるから死を思えるんだよな。
2017年2月11日土曜日
2017年01月うたの日自作品の31首
「平成二十九年の抱負」
とりあえず明日遅刻をせぬように話の途中であくびせぬよう
「明」
雑煮には餅明るくてめでたさの比喩としてふさわしきもちもち
「参」
参加することに異議とか田作りの魚を舌の酒に泳がせ
「繭」
思い出を繭に包んで栄養を与えずおれば軽々として
「乾」
仕事始めのああ初日から目も舌も乾いて足の蒸れしおっさん
「乗」
乗り遅れなかったきみは東雲(しののめ)の無人の地平で平気でいてよ
「七草」
レインボーフラッグのひとつ足りなくてそれもありだな粥をすすりて
「パリ」
ここはかつて花の都と呼ばれてね、ああこれは撞着語じゃなくって
「晴れ着」
明け方に大学新聞刷(す)りあげてやっと寝るきみはいまごろ晴れ着
「自由詠」
廃品を覆う綿帽子のような雪、自然にはまだ還れない
「かばん」
マグリットのりんごを赤くするためにかばんに日光詰めてミュゼへと
「毛糸」
運命の赤い毛糸が丈夫だし帯電しやすい、たぶん混紡
「方」
虹色の雪が降る日は窓あけて方舟=湯舟に浸かりて待たむ
「昼」
昼休みの図書室はとても神聖で君なんか来なければよかった
「配」
夢は無限ということにして配分を放(ほう)って眠る帰りの電車
「赤ちゃん」
眠りいる赤ちゃんの中に含まれてふにゃふにゃでぷくぷくだ、未来が
「角度」
劣化したシリコン面をずり落ちてスマホもきみの電話がうれし
「姉妹」
お姉ちゃんになんで言うかな、なんでって泊めただけだし何もなかったし
「都合」
ご都合はいかがでしょうか思い出の視界にだいたいこれがいるのは
「チャイム」
ペナペナとドアのチャイムも切れていてテツヤの家は裏から呼べり
「名」
4階の岸さん亡くなったってマジ? 下の名前は知らないけれど
「相撲」
国技館の温度湿度は決められて衝突事象は日々おこなわる
「萌」
あたたかくなれば善悪抜きにして萌えいづるなりもう萌え萌えに
「無」
無くなったと誤字を見つけてああそうだもう内側のきみだけなんだ
「沼」
裏山の底無し沼の対岸に河童がしかも白い河童が
「香」
お風呂上がりのような香りでおっさんがいるので春よもうはやく来い
「職員室」
職員室から吉田が戻ってくるまでを待っていたのにもう家にいた
「いらっしゃい」
いらっしゃいいつもと変わらないきみにルミノール反応の話をせねば
「ツナマヨ」
ツナマヨを食べさせてくれぬツナマヨは抗議の声を出す猫である
「金魚」
人に言う特技じゃないが金魚なら何考えてるかだいたい分かる
「段」
死をおもう気分をかかえ階段で足踏みはずす、死ぬかと思った
とりあえず明日遅刻をせぬように話の途中であくびせぬよう
「明」
雑煮には餅明るくてめでたさの比喩としてふさわしきもちもち
「参」
参加することに異議とか田作りの魚を舌の酒に泳がせ
「繭」
思い出を繭に包んで栄養を与えずおれば軽々として
「乾」
仕事始めのああ初日から目も舌も乾いて足の蒸れしおっさん
「乗」
乗り遅れなかったきみは東雲(しののめ)の無人の地平で平気でいてよ
「七草」
レインボーフラッグのひとつ足りなくてそれもありだな粥をすすりて
「パリ」
ここはかつて花の都と呼ばれてね、ああこれは撞着語じゃなくって
「晴れ着」
明け方に大学新聞刷(す)りあげてやっと寝るきみはいまごろ晴れ着
「自由詠」
廃品を覆う綿帽子のような雪、自然にはまだ還れない
「かばん」
マグリットのりんごを赤くするためにかばんに日光詰めてミュゼへと
「毛糸」
運命の赤い毛糸が丈夫だし帯電しやすい、たぶん混紡
「方」
虹色の雪が降る日は窓あけて方舟=湯舟に浸かりて待たむ
「昼」
昼休みの図書室はとても神聖で君なんか来なければよかった
「配」
夢は無限ということにして配分を放(ほう)って眠る帰りの電車
「赤ちゃん」
眠りいる赤ちゃんの中に含まれてふにゃふにゃでぷくぷくだ、未来が
「角度」
劣化したシリコン面をずり落ちてスマホもきみの電話がうれし
「姉妹」
お姉ちゃんになんで言うかな、なんでって泊めただけだし何もなかったし
「都合」
ご都合はいかがでしょうか思い出の視界にだいたいこれがいるのは
「チャイム」
ペナペナとドアのチャイムも切れていてテツヤの家は裏から呼べり
「名」
4階の岸さん亡くなったってマジ? 下の名前は知らないけれど
「相撲」
国技館の温度湿度は決められて衝突事象は日々おこなわる
「萌」
あたたかくなれば善悪抜きにして萌えいづるなりもう萌え萌えに
「無」
無くなったと誤字を見つけてああそうだもう内側のきみだけなんだ
「沼」
裏山の底無し沼の対岸に河童がしかも白い河童が
「香」
お風呂上がりのような香りでおっさんがいるので春よもうはやく来い
「職員室」
職員室から吉田が戻ってくるまでを待っていたのにもう家にいた
「いらっしゃい」
いらっしゃいいつもと変わらないきみにルミノール反応の話をせねば
「ツナマヨ」
ツナマヨを食べさせてくれぬツナマヨは抗議の声を出す猫である
「金魚」
人に言う特技じゃないが金魚なら何考えてるかだいたい分かる
「段」
死をおもう気分をかかえ階段で足踏みはずす、死ぬかと思った
2017年2月5日日曜日
2015年01月作品と雑感。
ちょっと今年に入って環境が変わったところがあるので、今までと同じようにどこまでやれることやら。
テルヤはツイッターアカウントで短歌を詠んでいて、こうして2年前の短歌をこのブログでまとめてます。うたの日の作品は先月のものを上げていますが。
この2015年の9月くらいに、このアカウントのテルヤが何人かの人とはじめて会うまで、これは私はコミュ障なのでしょうか、あまり気さくなやりとりなどは出来てなくて(今でもそうか)、この1月などは、62首の短歌をあげている他には、連作を一つ上げていて、合計63ツイート。短歌しかツイートしてない(笑)。先月なんて510ツイートですからね。
「心のやさしいサルのうちです。どなたでもおいでください。おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます」とか立て札たてようかしら。
自選や自注など。
にいちゃんが一日家にいてたのし放電はじめるほどの末っ子
※子供がいる新年というものはよいものです。
寝静まる家に缶チューハイ開けて黙って飲めば少し新年
崩れないジェンガがやっと立つような一行の詩か、崩れるべきか
東京の駐車場には空が有るとややしんみりと冗談を言う
何事か成し遂げられる心地してこのまま去りていくのもありか
猫に遭うまえから揺れてねこじゃらし、待ち受けている未来へ向けて
※最近「レトロニム」という言葉が話題になった。再命名というやつで、電話はダイヤルしかなかったのが、プッシュ式が誕生すると、ダイヤル電話という言葉が生まれた(再命名)というもので、でも1980年代の造語らしい。猫とねこじゃらしは、レトロニムというよりは、飛行機と紙飛行機、電話と糸電話のような関係であろうけれども。
全力で愛を表現するだけでよいのだ尻尾を振り続く犬
父の若き語りに母の現れてそこからはテクニカラーの景色
この景の解像度を思うドット絵のキャラが自分のドット見えぬがに
短詩など二度読むように浴槽の栓をやさしく訊く音声は
へべれけと二度言って酔いをたしかめるエ行音とは軽いたのしみ
ランドセルに迷う子どもの"らしさ"にも"だてら"にも寄らず選びたる黒
さいわいをめざしてあゆむ生き物の時にオドントグリフス(歯のはえた謎)のかたち
悟りたる衆生のなくば須扇多(しゅせんだ)は法説かぬまま滅に入るなり
シャベルカーが古い家屋を食べてゆく休日はその途中で止まる
バージェスの種の負け戦(いくさ)はらはらとページをめくる、かたちは愛(は)しき
変わりせば仕事は記憶淡くして一つの長い夢に似ていて
くちびるの紅のみどりにひかるまで差したきものを女と思う
テルヤはツイッターアカウントで短歌を詠んでいて、こうして2年前の短歌をこのブログでまとめてます。うたの日の作品は先月のものを上げていますが。
この2015年の9月くらいに、このアカウントのテルヤが何人かの人とはじめて会うまで、これは私はコミュ障なのでしょうか、あまり気さくなやりとりなどは出来てなくて(今でもそうか)、この1月などは、62首の短歌をあげている他には、連作を一つ上げていて、合計63ツイート。短歌しかツイートしてない(笑)。先月なんて510ツイートですからね。
「心のやさしいサルのうちです。どなたでもおいでください。おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます」とか立て札たてようかしら。
自選や自注など。
にいちゃんが一日家にいてたのし放電はじめるほどの末っ子
※子供がいる新年というものはよいものです。
寝静まる家に缶チューハイ開けて黙って飲めば少し新年
崩れないジェンガがやっと立つような一行の詩か、崩れるべきか
東京の駐車場には空が有るとややしんみりと冗談を言う
何事か成し遂げられる心地してこのまま去りていくのもありか
猫に遭うまえから揺れてねこじゃらし、待ち受けている未来へ向けて
※最近「レトロニム」という言葉が話題になった。再命名というやつで、電話はダイヤルしかなかったのが、プッシュ式が誕生すると、ダイヤル電話という言葉が生まれた(再命名)というもので、でも1980年代の造語らしい。猫とねこじゃらしは、レトロニムというよりは、飛行機と紙飛行機、電話と糸電話のような関係であろうけれども。
全力で愛を表現するだけでよいのだ尻尾を振り続く犬
父の若き語りに母の現れてそこからはテクニカラーの景色
この景の解像度を思うドット絵のキャラが自分のドット見えぬがに
短詩など二度読むように浴槽の栓をやさしく訊く音声は
へべれけと二度言って酔いをたしかめるエ行音とは軽いたのしみ
ランドセルに迷う子どもの"らしさ"にも"だてら"にも寄らず選びたる黒
さいわいをめざしてあゆむ生き物の時にオドントグリフス(歯のはえた謎)のかたち
悟りたる衆生のなくば須扇多(しゅせんだ)は法説かぬまま滅に入るなり
シャベルカーが古い家屋を食べてゆく休日はその途中で止まる
バージェスの種の負け戦(いくさ)はらはらとページをめくる、かたちは愛(は)しき
変わりせば仕事は記憶淡くして一つの長い夢に似ていて
くちびるの紅のみどりにひかるまで差したきものを女と思う
2017年2月4日土曜日
2015年01月の62首
にいちゃんが一日家にいてたのし放電はじめるほどの末っ子
寝静まる家に缶チューハイ開けて黙って飲めば少し新年
ぱっさぱさの雪のようでもよろしくてわれらのうえにいや重(し)け吉事(よごと)
雪を見る窓の内側濡れたればいつぞやの冬休みの景色
雪踏めばその跡に雪、やがてすべて覆うと言える晒すと言える
シンプルなメッセージほど伝わってこわし隠してせいぜいひとつ
崩れないジェンガがやっと立つような一行の詩か、崩れるべきか
その時に鳴らされるべき鐘の音(ね)のどの立ち位置で知るひびきなる
東京の駐車場には空が有るとややしんみりと冗談を言う
何事か成し遂げられる心地してこのまま去りていくのもありか
夢でなお脇役なんてなにごとか、次があるなら飛び込んでやる
しきい値があるのだろうかゴミ部屋とお前と分ける主客未分に
正月も三日過ぎればカウンターの牛丼多めに紅生姜積む
猫に遭うまえから揺れてねこじゃらし、待ち受けている未来へ向けて
全力で愛を表現するだけでよいのだ尻尾を振り続く犬
父の若き語りに母の現れてそこからはテクニカラーの景色
この景の解像度を思うドット絵のキャラが自分のドット見えぬがに
オールトの雲玉ひとつ眺めいる瞑想よりも早めに寝ろよ
短詩など二度読むように浴槽の栓をやさしく訊く音声は
闇もまたうつろにあらで密度濃きゆえ暗黒となりし星雲
生活をブログで消費するように立ち入り禁止柵つま先でまたぐ
君の目の星空という比喩にてもコールサック(石炭袋)を視認しており
幸福な人間はまるくありていにいえばデブへと文明は行く
蛍光灯を明るき昼に点けるとき影なき昏(くら)さ小さく爆ぜる
へべれけと二度言って酔いをたしかめるエ行音とは軽いたのしみ
かみさまが落としてくれたコーラ瓶と土手の斜面でへたばるわれと
ランドセルに迷う子どもの"らしさ"にも"だてら"にも寄らず選びたる黒
北海の青い水への懐かしいきもちは誰の記憶割り込む
黒い翼をクラゲのように広げ閉じカラスが朝のあおそら泳ぐ
ささくれを突つかれながら寝るまでを本読みながら鳥と居るなり
この山に近づく鳥は燃えていく身の焼けるとき金色(こんじき)に見え
幼名はカシアスクレイ、新しい名を名のるとき名が体を為す
鋭(するど)めのウォシュレットだが気がねなく居(い)れたのだからよしとするなる
さいわいをめざしてあゆむ生き物の時にオドントグリフス(歯のはえた謎)のかたち
4つめのプロムナードを行く彼のその悲しみと醒めたこころと
幸せのブルーバードと名付けおり青くはないし鳥でもないが
虚空よく物を容(い)るのでいくらでもわれに詰め込みいる君以外
紅涙が白紙を点じ書かれきし文字も電子化すれば意味のみ
悟りたる衆生のなくば須扇多(しゅせんだ)は法説かぬまま滅に入るなり
日常詠を軽んずなかれさんざんに嗤いしかつての罰にして詠む
過呼吸的速やかと君が間違える時のまさしく息吸い過ぎの
今朝のような寒い外より夏の朝の涼しい方が死骸は多し
シャベルカーが古い家屋を食べてゆく休日はその途中で止まる
バージェスの種の負け戦(いくさ)はらはらとページをめくる、かたちは愛(は)しき
接待のやさしさをすこし身につけて若者らしさの似合う若者
同義反復的根拠にておおかたはおらねばならぬと思いておりぬ
音楽はひどく悲しい現象になるのであるよ、もう次の曲
災害を引き起こし終えて吹く風の擬人化しても悪意などなく
15歳の机の奥に遺言が隠されているような明るさ
田舎ってひとつの理由になるからねいいんじゃないの(また消えていく)
消しゴムの甘い匂いを嗅ぐことで試験の前の緊張を消す
根菜を茹でる匂いが夕方にわれの座標をしめしただよう
焼き大根じゅわっというかさくさくと噛みてかつての於朋花(おほね)を思う
スランプの時代としたら、崖っぷちの町と我とはこつこつ繋げ
もう少し斜線散らせばよかったと悔いて抽象画の微調整
変わりせば仕事は記憶淡くして一つの長い夢に似ていて
未明起きて階段を暗く降りるときふとこのような孤独かもしれ
水曜に酔いたる酒で見る夢の居心地を少し変えたる世界
育ってきた環境が違う君と食うサキサキと今が旬のセロリー
くちびるの紅のみどりにひかるまで差したきものを女と思う
宇宙にて自分一人を感じおりこういう時は飲まねばならぬ
人間の社会を縫ってゆく母子のねこびえた、いやひねこびた野良
寝静まる家に缶チューハイ開けて黙って飲めば少し新年
ぱっさぱさの雪のようでもよろしくてわれらのうえにいや重(し)け吉事(よごと)
雪を見る窓の内側濡れたればいつぞやの冬休みの景色
雪踏めばその跡に雪、やがてすべて覆うと言える晒すと言える
シンプルなメッセージほど伝わってこわし隠してせいぜいひとつ
崩れないジェンガがやっと立つような一行の詩か、崩れるべきか
その時に鳴らされるべき鐘の音(ね)のどの立ち位置で知るひびきなる
東京の駐車場には空が有るとややしんみりと冗談を言う
何事か成し遂げられる心地してこのまま去りていくのもありか
夢でなお脇役なんてなにごとか、次があるなら飛び込んでやる
しきい値があるのだろうかゴミ部屋とお前と分ける主客未分に
正月も三日過ぎればカウンターの牛丼多めに紅生姜積む
猫に遭うまえから揺れてねこじゃらし、待ち受けている未来へ向けて
全力で愛を表現するだけでよいのだ尻尾を振り続く犬
父の若き語りに母の現れてそこからはテクニカラーの景色
この景の解像度を思うドット絵のキャラが自分のドット見えぬがに
オールトの雲玉ひとつ眺めいる瞑想よりも早めに寝ろよ
短詩など二度読むように浴槽の栓をやさしく訊く音声は
闇もまたうつろにあらで密度濃きゆえ暗黒となりし星雲
生活をブログで消費するように立ち入り禁止柵つま先でまたぐ
君の目の星空という比喩にてもコールサック(石炭袋)を視認しており
幸福な人間はまるくありていにいえばデブへと文明は行く
蛍光灯を明るき昼に点けるとき影なき昏(くら)さ小さく爆ぜる
へべれけと二度言って酔いをたしかめるエ行音とは軽いたのしみ
かみさまが落としてくれたコーラ瓶と土手の斜面でへたばるわれと
ランドセルに迷う子どもの"らしさ"にも"だてら"にも寄らず選びたる黒
北海の青い水への懐かしいきもちは誰の記憶割り込む
黒い翼をクラゲのように広げ閉じカラスが朝のあおそら泳ぐ
ささくれを突つかれながら寝るまでを本読みながら鳥と居るなり
この山に近づく鳥は燃えていく身の焼けるとき金色(こんじき)に見え
幼名はカシアスクレイ、新しい名を名のるとき名が体を為す
鋭(するど)めのウォシュレットだが気がねなく居(い)れたのだからよしとするなる
さいわいをめざしてあゆむ生き物の時にオドントグリフス(歯のはえた謎)のかたち
4つめのプロムナードを行く彼のその悲しみと醒めたこころと
幸せのブルーバードと名付けおり青くはないし鳥でもないが
虚空よく物を容(い)るのでいくらでもわれに詰め込みいる君以外
紅涙が白紙を点じ書かれきし文字も電子化すれば意味のみ
悟りたる衆生のなくば須扇多(しゅせんだ)は法説かぬまま滅に入るなり
日常詠を軽んずなかれさんざんに嗤いしかつての罰にして詠む
過呼吸的速やかと君が間違える時のまさしく息吸い過ぎの
今朝のような寒い外より夏の朝の涼しい方が死骸は多し
シャベルカーが古い家屋を食べてゆく休日はその途中で止まる
バージェスの種の負け戦(いくさ)はらはらとページをめくる、かたちは愛(は)しき
接待のやさしさをすこし身につけて若者らしさの似合う若者
同義反復的根拠にておおかたはおらねばならぬと思いておりぬ
音楽はひどく悲しい現象になるのであるよ、もう次の曲
災害を引き起こし終えて吹く風の擬人化しても悪意などなく
15歳の机の奥に遺言が隠されているような明るさ
田舎ってひとつの理由になるからねいいんじゃないの(また消えていく)
消しゴムの甘い匂いを嗅ぐことで試験の前の緊張を消す
根菜を茹でる匂いが夕方にわれの座標をしめしただよう
焼き大根じゅわっというかさくさくと噛みてかつての於朋花(おほね)を思う
スランプの時代としたら、崖っぷちの町と我とはこつこつ繋げ
もう少し斜線散らせばよかったと悔いて抽象画の微調整
変わりせば仕事は記憶淡くして一つの長い夢に似ていて
未明起きて階段を暗く降りるときふとこのような孤独かもしれ
水曜に酔いたる酒で見る夢の居心地を少し変えたる世界
育ってきた環境が違う君と食うサキサキと今が旬のセロリー
くちびるの紅のみどりにひかるまで差したきものを女と思う
宇宙にて自分一人を感じおりこういう時は飲まねばならぬ
人間の社会を縫ってゆく母子のねこびえた、いやひねこびた野良
2016年2月7日日曜日
2016年01月うたの日作品雑感。
1月の作品と関係ないけれど、短歌作者の筆名が話題になっている。
短歌が一人称の文芸である以上、名前がもつ印象が作品に影響をあたえるのはたしかにあって、それは作品の演出を強固にもするし、制限もする。
もちろんそれは相互的なものでもあるので、どんなに作品と名前の組合せが奇異であっても、名声が確立してしまえば、その奇異さが忘れられてしまうこともよくあるのだ。
照屋沙流堂も筆名なのだが、今おもうと、かなり沖縄っぽい感じがあるかもしれない。あるいは、沙流の文字から、北海道っぽい感じもあるかもしれない。しかし沖縄にも、北海道にも、ほとんど縁もゆかりもなかった。
「コンピューター」
人間がワレワレを神と仰ぐ日を待ちおれど人は怠惰に過ぎる
シンギュラリティという言葉も耳新しくなくなったすごい時代を生きていて、生きているうちに、実況で、さあ今、シンギュラリティがきました、ばんざーい!(電気かよ) みたいなことを体験してみたい気もするが、たぶんそういうのはなくて、後世の歴史学者は、スマートフォンの普及の2007年あたりを、もうシンギュラリティの到達と書くような気もする。あるいは、もっとざっくり、2001年とか、1995年とか。鎌倉幕府がいつか、みたいな。
ああ、短歌はコンピュータ側からの目線で、はやく支配したいけれど、人間が怠惰なのでなかなかシンギュラリティを越えないじゃないか、という不満を歌ったもので、要するに、コンピュータの支配を避けるために、人はもっと怠けようじゃないか、という意味の歌です。
「腕」
きみは鳥と知ってあわててこの腕を枝に変えたが見抜かれており
この歌のコメントに文屋亮さんが『ぼくにげちゃうよ』という絵本を紹介してくださり、後日書店でみつけました。とてもやさしい絵本で、絵本文化はふところの深いところがたまらないですね。
自選
「果」
砕けたる結果をあつめ金継ぎという復活を待つのもありか
「羽」
エンジェルも翼か羽かどちらかを与えられうら思いのありぬ
「雪」
雪の夜はどこにいるのか野良猫のJはしっぽが名前の由来
「印」
この星にいい印象をもつような笑顔を君はときどきするね
短歌が一人称の文芸である以上、名前がもつ印象が作品に影響をあたえるのはたしかにあって、それは作品の演出を強固にもするし、制限もする。
もちろんそれは相互的なものでもあるので、どんなに作品と名前の組合せが奇異であっても、名声が確立してしまえば、その奇異さが忘れられてしまうこともよくあるのだ。
照屋沙流堂も筆名なのだが、今おもうと、かなり沖縄っぽい感じがあるかもしれない。あるいは、沙流の文字から、北海道っぽい感じもあるかもしれない。しかし沖縄にも、北海道にも、ほとんど縁もゆかりもなかった。
「コンピューター」
人間がワレワレを神と仰ぐ日を待ちおれど人は怠惰に過ぎる
シンギュラリティという言葉も耳新しくなくなったすごい時代を生きていて、生きているうちに、実況で、さあ今、シンギュラリティがきました、ばんざーい!(電気かよ) みたいなことを体験してみたい気もするが、たぶんそういうのはなくて、後世の歴史学者は、スマートフォンの普及の2007年あたりを、もうシンギュラリティの到達と書くような気もする。あるいは、もっとざっくり、2001年とか、1995年とか。鎌倉幕府がいつか、みたいな。
ああ、短歌はコンピュータ側からの目線で、はやく支配したいけれど、人間が怠惰なのでなかなかシンギュラリティを越えないじゃないか、という不満を歌ったもので、要するに、コンピュータの支配を避けるために、人はもっと怠けようじゃないか、という意味の歌です。
「腕」
きみは鳥と知ってあわててこの腕を枝に変えたが見抜かれており
この歌のコメントに文屋亮さんが『ぼくにげちゃうよ』という絵本を紹介してくださり、後日書店でみつけました。とてもやさしい絵本で、絵本文化はふところの深いところがたまらないですね。
自選
「果」
砕けたる結果をあつめ金継ぎという復活を待つのもありか
「羽」
エンジェルも翼か羽かどちらかを与えられうら思いのありぬ
「雪」
雪の夜はどこにいるのか野良猫のJはしっぽが名前の由来
「印」
この星にいい印象をもつような笑顔を君はときどきするね
2016年01月うたの日作品の31首とうたの人1首
「平成二八年の抱負」
一日は二日酔いなる頭にて三日坊主の決意など述べ
「東」
吐く息の今年はみじかく二日には上り線では渋滞となる
「光」
二日以降の日の出はまるで以下同文の多くも少なくもない光
「コンピューター」
人間がワレワレを神と仰ぐ日を待ちおれど人は怠惰に過ぎる
「準」
近未来お袋の味も正式にISO(国際標準化機構)の決めし肉じゃが
「腕」
きみは鳥と知ってあわててこの腕を枝に変えたが見抜かれており
「UFO」
かなしみを耐えているとき夜の窓に映るUFO、われに付きあう
「焼」
鼻悪き男が家を焼いて去る20世紀の迷信として
「弓」
年が明けても寒くない街あずさゆみ春待つこころ薄らぐさむさ
「活字」
中吊りの広告の文字多ければ読むというでもなく読んでいる
「二十歳」
ドップラー効果のように二十歳(はたち)とは過ぎるまでその高さを知らず
「肌」
たましいを包む素材が肌なのかたましいが肌をあざむく花か
「泡」
あわーゆきーねぇ心まで、違うっけ、結構好きな曲だったけど
「明」
明らかな錯誤じゃないか生きるためのお金稼ぎが楽しいなんて
「果」
砕けたる結果をあつめ金継ぎという復活を待つのもありか
「蒼」
中一のくせに厨二にあこがれる甥のアカウントに蒼の文字
「ココア」
暖かくなるまでに飲みきらぬけれど冬には常備されたるココア
「羽」
エンジェルも翼か羽かどちらかを与えられうら思いのありぬ
「低」
中年のおなかまわりの低燃費よなか近所を巡りてもなお
「雪」
雪の夜はどこにいるのか野良猫のJはしっぽが名前の由来
「木」
一本の木の下でずっと待っている気がする、誰かはとうに忘れて
「印」
この星にいい印象をもつような笑顔を君はときどきするね
「レンズ」
ぼくの持つ二つのレンズがいま君をさかさまにして網膜へ貼る
「平凡」
せんり、ちさとの平凡をうたう名曲にオーノを入れて法則(ルール)とならず
「はちみつ」
隠し味にまずはちみつを入れてみる君の前世か来世をおもう
「面」
舗道(ほどう)の端に残った雪の汚れとか言わずに面と向かって、苦(くる)し
「並」
こんなのはなかった地元の並じゃない広さのひまわり畑、あかるし
「髪」
ナチュラルに見られるようにいつまでも鏡でメトロノームの男
「ルール」
この男いくつのルールで出来ていてどこを突(つつ)けばかわいくなるか
「線」
星の夜を線路づたいに帰りたる少年の君をぼくだけがまだ
「斜」
斜めにも動けるようにしておくれ毎日を地味に生きるぼくらに
うたの人
「楽」
かに道楽の看板のかにが逃げたらし、無事海にたどり着けただろうか
2016年2月6日土曜日
2014年01月作品雑感。
もう2月になって、暦の上ではディセンバー、じゃなくて、春になりましたね。まだ寒いですけどね。
さて。2014年、2年前の1月の短歌です。この年から、1日1首じゃなくて、2首にしたようです。
この雑感は、あまり自選することがない自身のために、自選をする場として設けているんだけど、確たる基準がなくて中途半端になっている。で、作品について語ってもいいんだけど、それって、作品が語れていないみたいで、口ごもってしまう。たとえば、
二十代を過ぎれば彼は二十代の作品と呼ぶものを作れず
という当たり前のことを書いている歌があって、これはなんというか、いろいろ編集や加工が出来る現代ではあるけれど、30代になると、20代にこんな作品を作っていたかったという事実がもう決して作れない、人生が俯瞰できるようになってはじめて、人生が俯瞰できない時にすべきだったことが分かってしまう、というような不可逆的な生への驚きが作品の趣旨なんだけど、これ、書いちゃったらダメだよね(笑)。で、これの趣旨が驚きなんだったら、もっと副詞を使ったり一人称で体験的に書いたり、ちゃんと驚きを伝える工夫をすべきところを、そうせずに、驚いてないみたいに書くことで、驚きの説明でなく、驚きの経験にアクセスできるように迷彩を張ってあるのが表現上の工夫なんだけれど、もうここまで書いちゃうと、この歌はかえるの解剖となってしまって、良し悪しがよく観察できるけど、心臓は止まってるよね。
自選。
団欒にはやくも飽きて子供部屋の学習机で缶ビール飲む
厳粛なる死の威容にて中央道に富士が右から左から来る
ため息にやや嬉しさが含まれていたような気がしないでもない
御衣黄(ぎょいこう)の咲く頃までにこの時を進まねばならぬ時間ではなく
演奏がだんだんうまくなってゆくパンクバンドの時系列あはれ
わしづかみ引っ張るように電車らは無線電波の尾を引いてゆく
回復をはじめる自然、電線の鳥のはなしはそのことである
すれすれの幸運で人は生きていてほどける前は解けそうもなく
さて。2014年、2年前の1月の短歌です。この年から、1日1首じゃなくて、2首にしたようです。
この雑感は、あまり自選することがない自身のために、自選をする場として設けているんだけど、確たる基準がなくて中途半端になっている。で、作品について語ってもいいんだけど、それって、作品が語れていないみたいで、口ごもってしまう。たとえば、
二十代を過ぎれば彼は二十代の作品と呼ぶものを作れず
という当たり前のことを書いている歌があって、これはなんというか、いろいろ編集や加工が出来る現代ではあるけれど、30代になると、20代にこんな作品を作っていたかったという事実がもう決して作れない、人生が俯瞰できるようになってはじめて、人生が俯瞰できない時にすべきだったことが分かってしまう、というような不可逆的な生への驚きが作品の趣旨なんだけど、これ、書いちゃったらダメだよね(笑)。で、これの趣旨が驚きなんだったら、もっと副詞を使ったり一人称で体験的に書いたり、ちゃんと驚きを伝える工夫をすべきところを、そうせずに、驚いてないみたいに書くことで、驚きの説明でなく、驚きの経験にアクセスできるように迷彩を張ってあるのが表現上の工夫なんだけれど、もうここまで書いちゃうと、この歌はかえるの解剖となってしまって、良し悪しがよく観察できるけど、心臓は止まってるよね。
自選。
団欒にはやくも飽きて子供部屋の学習机で缶ビール飲む
厳粛なる死の威容にて中央道に富士が右から左から来る
ため息にやや嬉しさが含まれていたような気がしないでもない
御衣黄(ぎょいこう)の咲く頃までにこの時を進まねばならぬ時間ではなく
演奏がだんだんうまくなってゆくパンクバンドの時系列あはれ
わしづかみ引っ張るように電車らは無線電波の尾を引いてゆく
回復をはじめる自然、電線の鳥のはなしはそのことである
すれすれの幸運で人は生きていてほどける前は解けそうもなく
2014年01月の62首
新しき年の寒さよ、掌(て)の中のゼブラフィンチとここに来たれり
細雪まばらに窓を吹き上がり詩情のごとくタイヤを思う
団欒にはやくも飽きて子供部屋の学習机で缶ビール飲む
山の中雪の木曽まで辿るなくウェブの木曽路に漬物を買う
はればれと気温3度の町に立つ都会に出たき子にはつまらぬ
厳粛なる死の威容にて中央道に富士が右から左から来る
訊かれねば抱負はいまだ願い以上決意未満の午後のまどろみ
排ガスに薄汚れたる生垣のつばき、真白き雪にあわずき
年の暮と同じ寒さもどことなく淋しいものがひそみたる街
連休も終わりになって長編をつい読み始む、逃避とも云う
あたたかいホームはいくつ、高台を下る深夜に地上なる星
物倦(ものう)みと思いて見しがポロックの次第にかたちを恋えるラインは
朝マックコーヒーいつもの味がして我もいつもにならねばならぬ
芋粥を飽くほど飲みてそののちの夢なき生を作家は書かず
イースターというよりポンペイ型がよし人という種の滅ぶるときは
根菜の地味なる滋味ぞ、先天的に地上のものはうまき味覚か
二十代を過ぎれば彼は二十代の作品と呼ぶものを作れず
花びらの散るを見つけて山茶花ではないかと思うバス停を過ぐ
白湯飲んでテレビを消して存在が非在のごとく包まん夕べ
ため息にやや嬉しさが含まれていたような気がしないでもない
願はくは花の下にて春死なん安楽死法成立までは
卑下もまた国粋に似て個人詩はマーチのゴーストノートに沈む
食べ終わる菓子の袋の端を引き覗きこみおり、銀色の闇
一月の走り出したき気分にはシューズ買いたき気分も含む
人間の二十年とは眩しくて満ちいるものと褒めそうになる
うろうろと天使ただようレイヤにて滲み吸われていくひとつ色
部屋で一人飲む時に運ぶ中型のデュラレックスは赤くかがやく
あたたかく乾燥したる図書館の匂える隅にある本を探す
珈琲にプロパガンダの白を混ぜ途中まで聴くヴィオラ・ダ・ガンバ
再開発エリアを示す囲い塀の一本路地に人従いぬ
期待なく湯のみに差したつぼみなるポピーの花がぱっくりとさく
この毒は時間で薄めゆきながら消え去りはせぬがないものとする
悲しみの明確でないかなしみに酒量の少しずつ増えてゆく
その音の奏でる側と聴く側のいずれの尋(ひろ)の深さとや見む
歌の次に言葉をなくし思念などもやがては黒き、白き日々なる
つけっぱなしのテレビのせいで一応は笑いの絶えぬ家庭にはなる
手袋をせぬ手は冷えて自転車は再起のように信号を待つ
若さとも老いとも離れ君というイデアをやはり目で見んとする
寒の水てのひらに受け背中まで震えて今朝を新しくせり
御衣黄(ぎょいこう)の咲く頃までにこの時を進まねばならぬ時間ではなく
錦華鳥がチュルヂュルひとりごちている少ない記憶の苦楽取り出し
演奏がだんだんうまくなってゆくパンクバンドの時系列あはれ
育てるのが樹木であればもう少し優しく教えるだろう君も樹(き)
桟橋を寒く歩いて不健全な恋の終わりもみえていたっけ
決意した富楼那に問いは容赦なく答えるたびに階を降れり
楽しさは結果よりなお因なのでこのひきつった笑顔も笑顔
握りこぶしをいまだひらかぬ寒にいて蝋梅の黄の咲く報を聞く
わしづかみ引っ張るように電車らは無線電波の尾を引いてゆく
交通機関乱るれば三時間立ちて身のほどを思うよい機会なり
回復をはじめる自然、電線の鳥のはなしはそのことである
段ボール箱のフラップに「ネコ」と書かれいて朝の歩道におさめてぞあり
動かぬをおそれおずおず覗きこみ次いで生きいることをおそれき
すれすれの幸運で人は生きていてほどける前は解けそうもなく
離縁してかつての趣味を始めたる友の、メールとメールの間
舞い上がる雲雀の一句隠し持ち飛び降りた友と隔つ五年か
特筆の才なくば知性とは機嫌にこにこする他なき老後くる
五十まで世を捨てずなる長明の世に捨てられる感慨はなきや
朝明くる速度で夜は去ってゆきまどろみの暗き思念手放す
口ずさむ管弦楽(オーケストラ)の音階の曖昧なるは曖昧に過ぐ
愚痴なども胃袋にいれ時間遅き飯のコロッケ、愛撫のごとし
あたたかい寒さとなるもおのずからすくまる肩をひらけばひらく
音曲こそ現代ひとの生の知よ、千代に八千代に残す何ある
細雪まばらに窓を吹き上がり詩情のごとくタイヤを思う
団欒にはやくも飽きて子供部屋の学習机で缶ビール飲む
山の中雪の木曽まで辿るなくウェブの木曽路に漬物を買う
はればれと気温3度の町に立つ都会に出たき子にはつまらぬ
厳粛なる死の威容にて中央道に富士が右から左から来る
訊かれねば抱負はいまだ願い以上決意未満の午後のまどろみ
排ガスに薄汚れたる生垣のつばき、真白き雪にあわずき
年の暮と同じ寒さもどことなく淋しいものがひそみたる街
連休も終わりになって長編をつい読み始む、逃避とも云う
あたたかいホームはいくつ、高台を下る深夜に地上なる星
物倦(ものう)みと思いて見しがポロックの次第にかたちを恋えるラインは
朝マックコーヒーいつもの味がして我もいつもにならねばならぬ
芋粥を飽くほど飲みてそののちの夢なき生を作家は書かず
イースターというよりポンペイ型がよし人という種の滅ぶるときは
根菜の地味なる滋味ぞ、先天的に地上のものはうまき味覚か
二十代を過ぎれば彼は二十代の作品と呼ぶものを作れず
花びらの散るを見つけて山茶花ではないかと思うバス停を過ぐ
白湯飲んでテレビを消して存在が非在のごとく包まん夕べ
ため息にやや嬉しさが含まれていたような気がしないでもない
願はくは花の下にて春死なん安楽死法成立までは
卑下もまた国粋に似て個人詩はマーチのゴーストノートに沈む
食べ終わる菓子の袋の端を引き覗きこみおり、銀色の闇
一月の走り出したき気分にはシューズ買いたき気分も含む
人間の二十年とは眩しくて満ちいるものと褒めそうになる
うろうろと天使ただようレイヤにて滲み吸われていくひとつ色
部屋で一人飲む時に運ぶ中型のデュラレックスは赤くかがやく
あたたかく乾燥したる図書館の匂える隅にある本を探す
珈琲にプロパガンダの白を混ぜ途中まで聴くヴィオラ・ダ・ガンバ
再開発エリアを示す囲い塀の一本路地に人従いぬ
期待なく湯のみに差したつぼみなるポピーの花がぱっくりとさく
この毒は時間で薄めゆきながら消え去りはせぬがないものとする
悲しみの明確でないかなしみに酒量の少しずつ増えてゆく
その音の奏でる側と聴く側のいずれの尋(ひろ)の深さとや見む
歌の次に言葉をなくし思念などもやがては黒き、白き日々なる
つけっぱなしのテレビのせいで一応は笑いの絶えぬ家庭にはなる
手袋をせぬ手は冷えて自転車は再起のように信号を待つ
若さとも老いとも離れ君というイデアをやはり目で見んとする
寒の水てのひらに受け背中まで震えて今朝を新しくせり
御衣黄(ぎょいこう)の咲く頃までにこの時を進まねばならぬ時間ではなく
錦華鳥がチュルヂュルひとりごちている少ない記憶の苦楽取り出し
演奏がだんだんうまくなってゆくパンクバンドの時系列あはれ
育てるのが樹木であればもう少し優しく教えるだろう君も樹(き)
桟橋を寒く歩いて不健全な恋の終わりもみえていたっけ
決意した富楼那に問いは容赦なく答えるたびに階を降れり
楽しさは結果よりなお因なのでこのひきつった笑顔も笑顔
握りこぶしをいまだひらかぬ寒にいて蝋梅の黄の咲く報を聞く
わしづかみ引っ張るように電車らは無線電波の尾を引いてゆく
交通機関乱るれば三時間立ちて身のほどを思うよい機会なり
回復をはじめる自然、電線の鳥のはなしはそのことである
段ボール箱のフラップに「ネコ」と書かれいて朝の歩道におさめてぞあり
動かぬをおそれおずおず覗きこみ次いで生きいることをおそれき
すれすれの幸運で人は生きていてほどける前は解けそうもなく
離縁してかつての趣味を始めたる友の、メールとメールの間
舞い上がる雲雀の一句隠し持ち飛び降りた友と隔つ五年か
特筆の才なくば知性とは機嫌にこにこする他なき老後くる
五十まで世を捨てずなる長明の世に捨てられる感慨はなきや
朝明くる速度で夜は去ってゆきまどろみの暗き思念手放す
口ずさむ管弦楽(オーケストラ)の音階の曖昧なるは曖昧に過ぐ
愚痴なども胃袋にいれ時間遅き飯のコロッケ、愛撫のごとし
あたたかい寒さとなるもおのずからすくまる肩をひらけばひらく
音曲こそ現代ひとの生の知よ、千代に八千代に残す何ある
2015年11月21日土曜日
2013年01月作品雑感。
短歌におけるハレとケについて書いてきたけど、じっさいに正月というハレの日にどんなのを歌ったんやこのサルは、というとこんなのだった。
よろよろの足まで揮発する酔いの今年の決意もう置き忘れ
一年を描きつつ飲む日本酒の酔いては事をし損ずるかも
うたびとのくせにろくろく寿がずテレビの皮肉たのし、三ヶ日
酒のんでテレビ見とるだけやないか。まあ、そういうのがお正月です。
でもたしか2013年は「一人自由連句365」(http://goo.gl/O1WQ1g)というのもやって、出来はともかく、毎日歌を作るリズムみたいなものに挑戦はしたのだった。
最近ヨーロッパの方が物騒だが、人が人と衝突して自分を知るように、国家も国家とぶつかってはっきりするものなのだろう。
国家ひとたび自我障害に陥ればぶつかりながら形をみるか
そして、そういう深刻さからは、遠いままでいたい自分もいるにはいるよね。
肝心の時に寝ている男にて人生舐めたまま死ぬもよし
自分の短歌は、わりと作ったそばから思い出せなくなるタイプなので、こんな風に今の心境の文章に折り込むと、当時の自分からそうではないと怒られそうな気もしますが、死人に口なし、なので、よしとしたり。
自選。
寒い日に病みて動かぬかたまりよ、爬虫のごとき貌(かお)かもしれぬ
天球という言葉のせいで一枚のオリオンの下を帰途につくなり
ユーミンのたいらな声の流れたるモールは宗教施設のごとし
首の裏に寂しさは載りたがるので上向いて肩を揺すって落とす
よろよろの足まで揮発する酔いの今年の決意もう置き忘れ
一年を描きつつ飲む日本酒の酔いては事をし損ずるかも
うたびとのくせにろくろく寿がずテレビの皮肉たのし、三ヶ日
酒のんでテレビ見とるだけやないか。まあ、そういうのがお正月です。
でもたしか2013年は「一人自由連句365」(http://goo.gl/O1WQ1g)というのもやって、出来はともかく、毎日歌を作るリズムみたいなものに挑戦はしたのだった。
最近ヨーロッパの方が物騒だが、人が人と衝突して自分を知るように、国家も国家とぶつかってはっきりするものなのだろう。
国家ひとたび自我障害に陥ればぶつかりながら形をみるか
そして、そういう深刻さからは、遠いままでいたい自分もいるにはいるよね。
肝心の時に寝ている男にて人生舐めたまま死ぬもよし
自分の短歌は、わりと作ったそばから思い出せなくなるタイプなので、こんな風に今の心境の文章に折り込むと、当時の自分からそうではないと怒られそうな気もしますが、死人に口なし、なので、よしとしたり。
自選。
寒い日に病みて動かぬかたまりよ、爬虫のごとき貌(かお)かもしれぬ
天球という言葉のせいで一枚のオリオンの下を帰途につくなり
ユーミンのたいらな声の流れたるモールは宗教施設のごとし
首の裏に寂しさは載りたがるので上向いて肩を揺すって落とす
2013年01月の31首
「ことよろ」
よろよろの足まで揮発する酔いの今年の決意もう置き忘れ
一年を描きつつ飲む日本酒の酔いては事をし損ずるかも
うたびとのくせにろくろく寿がずテレビの皮肉たのし、三ヶ日
肉体を物理が漸(やや)くほどきゆくひと日よ進め、心は進め
あと何度跳ねたる我か湯の面(おもて)叩けば鈍い音ひとつして
一句一偈を求めて走る修行者の風受けて鳴る袋のごとし
古き良き時代を尋ね結局は若さのことを時代とか呼ぶ
摘んだこと無くて七草、食材は購入すれば済む人生か
オンリーワンかつひとりじゃない想定の聴衆に漏れて孤独きわだつ
年古れば馬鹿も難し、冗談を書き込む前に少し数える
被災地の空にあまたの折鶴を描きし影絵のうその優しさ
本年は幾たび世界が滅亡し日本の終わりを聞くか想えり
多摩川にさらす赤貧さらさらに貧しき暮しのここだかなしき
勇気のない顔を照らしてキンセンカの暖色が我の内側を呼ぶ
バリシャリと側道の雪を楽しんで騒ぐ子供はかわいかるべし
雑巾のように勇気を絞りだしほぼキモさから始まるものを
古生代の爆発に似た心地して読めない子供の名を聞いており
寒い日に病みて動かぬかたまりよ、爬虫のごとき貌(かお)かもしれぬ
悲しいことはくるものなので楽しみを遣らねばならぬ、匙を混ぜおり
肝心の時に寝ている男にて人生舐めたまま死ぬもよし
国家ひとたび自我障害に陥ればぶつかりながら形をみるか
天球という言葉のせいで一枚のオリオンの下を帰途につくなり
罵って溜飲を下げている彼の耳の在り処を探しあぐねる
機械が回る前の未明の青色の町ぞ、今日また今日が来るなり
コボルトの魔法のようにこごえたる未明の町の我も青色
藁を編まぬ民族となりやさし手の心ばかりがささくれ立ちぬ
ユーミンのたいらな声の流れたるモールは宗教施設のごとし
鳥よけのCDを選ぶ数秒の季節にあった曲を探せり
寒椿の赤にかすかに積む雪の演歌を許すような楽しさ
薬しか効かぬポケットと知りながら言葉の力を探してもいる
首の裏に寂しさは載りたがるので上向いて肩を揺すって落とす
よろよろの足まで揮発する酔いの今年の決意もう置き忘れ
一年を描きつつ飲む日本酒の酔いては事をし損ずるかも
うたびとのくせにろくろく寿がずテレビの皮肉たのし、三ヶ日
肉体を物理が漸(やや)くほどきゆくひと日よ進め、心は進め
あと何度跳ねたる我か湯の面(おもて)叩けば鈍い音ひとつして
一句一偈を求めて走る修行者の風受けて鳴る袋のごとし
古き良き時代を尋ね結局は若さのことを時代とか呼ぶ
摘んだこと無くて七草、食材は購入すれば済む人生か
オンリーワンかつひとりじゃない想定の聴衆に漏れて孤独きわだつ
年古れば馬鹿も難し、冗談を書き込む前に少し数える
被災地の空にあまたの折鶴を描きし影絵のうその優しさ
本年は幾たび世界が滅亡し日本の終わりを聞くか想えり
多摩川にさらす赤貧さらさらに貧しき暮しのここだかなしき
勇気のない顔を照らしてキンセンカの暖色が我の内側を呼ぶ
バリシャリと側道の雪を楽しんで騒ぐ子供はかわいかるべし
雑巾のように勇気を絞りだしほぼキモさから始まるものを
古生代の爆発に似た心地して読めない子供の名を聞いており
寒い日に病みて動かぬかたまりよ、爬虫のごとき貌(かお)かもしれぬ
悲しいことはくるものなので楽しみを遣らねばならぬ、匙を混ぜおり
肝心の時に寝ている男にて人生舐めたまま死ぬもよし
国家ひとたび自我障害に陥ればぶつかりながら形をみるか
天球という言葉のせいで一枚のオリオンの下を帰途につくなり
罵って溜飲を下げている彼の耳の在り処を探しあぐねる
機械が回る前の未明の青色の町ぞ、今日また今日が来るなり
コボルトの魔法のようにこごえたる未明の町の我も青色
藁を編まぬ民族となりやさし手の心ばかりがささくれ立ちぬ
ユーミンのたいらな声の流れたるモールは宗教施設のごとし
鳥よけのCDを選ぶ数秒の季節にあった曲を探せり
寒椿の赤にかすかに積む雪の演歌を許すような楽しさ
薬しか効かぬポケットと知りながら言葉の力を探してもいる
首の裏に寂しさは載りたがるので上向いて肩を揺すって落とす
2015年1月21日水曜日
戦争周辺論
戦争周辺論
「あの映像を、観た時僕は、まるでやっと、歴史に目を止め、られた気がした」
10人を超えるであろう濃き赤のぬくい血流すその映像は
表現は義憤に燃えて規制派が案ずるほどに戦時は健全
ボードリヤールの予言ちまちま外れいてそれでも君に聞きたい言葉
8500キロの距離こそ平安の根拠であったと今は知ってる
人権が無限大へと膨らんで具体的には1円にならぬ
こんな歌まで国を憂いているような涙、別離も変容すれば
過去からの学習といえば慰安的不謹慎的表現の保護
剣呑の隣国もいまや足並みが揃う思わぬ戦さの評価
役に立たぬ者から熱くなる夏の無料で配られたるガリガリくん
この国の第二形態、あといくつ変身をのこし丁寧語なる
空気より強い信仰持ちたればもう結論は殉教ひとつ
同じナイフが品切れになるほど売れて同胞の胸にしずかに入る
周辺が中心であるドーナツの左にかじりうろぼろこぼす
漠然であるゆえ強くこの国の勝利を疑わざりしほほえみ
日常をぺらとめくってきたようにこの状況をめくる人待つ
正義と正義が戦うように悪と悪も争う場所で強さを量(はか)る
出生率か出征率のいずれかに貢献せねばいけない感じ
その頃は火の玉アゲインなんていうスローガンにも感心しきり
許す側も許される側も立てなくて運良き方に従(つ)きたるが勝ち
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