2018年9月30日日曜日

2016年12月の123首。付け句祭り含む。

いまの夢を甘いものへと変えるため夜中にコップ一杯のコーラ

空想の否妄想の鷹や馬や海豚を走らせ捜すお前

その時にぼくは理解をしないだろう新しいってそういうことで

京橋で君と別れて片町線さびしき、今は違う名前か

根の深い悩みに母が住んでいてきみというより母からと聞く

気を抜けばクリスマスソング流れたる受付できみが気を抜いている

君は今日朝から違うと思ったら��が出ている感じじゃないの

クラスタの涯まできみを連れてゆくつもりが行けど行けど中心

ポジフィルムと同じ情報量であるネガフィルムで今日のあなたは

右に回し左に回して出でこないスティックのりを、塗れば使えた

不孝ゆえに孝をまぶしく見えるのに彼の家は当時光ってたのに

今だけを生きていたいと言っていたそういう過去を懐かしむとは

まっすぐの飛行機雲もだんだんとほどかれてゆく文明もかく

身に負えぬミスを成したる帰り道ドクダミの花を見惚れて立てる

夏生まれですってバイトのリムくんの熱帯地域のいつの夏だよ

悪意でもみどりに芽吹くことがあるこの雨でそれが元気にふたば

人間の命は甘美—。ゴータマの悟りはつまりこのことなるか

笑いあり涙ありの物語にて新参なのでぎこちないです

うすい膜をつついてとろり感情はつられはせぬよ垂らしつつ噛む

じゃあキミはほとんど東京娘じゃんと言われたらそういう顔だよね

会うときはいつも飛行機が飛んでいてそういう土地ときみにさよなら

出たー! 妖怪スマホいじりー! と子供が叫ぶ、大人が焦る

泣くときに鼻も流れる生き物としてある限り鼻垂らし泣く

約束をまだらに思い出している動物園の檻の夢にて

鍋の中に昨夜のおでんが残ってて貨幣価値ではいくらよこのちくわ

三上寛と山下達郎が交互にてかかるスマホに悪意を感じ

悲しいことをよく言う人だと思ったら作品なんだ、なんだ損した

老いのはなし健康のはなしする姉よ男の話は生々しいな

「ガンバロー」から「バカヤロー」になるまでをたしかに頑張っていた柊(ひいらぎ)

プライドは猫背のように、治ったら自分でなくなるようにもみえて

この指で人を差すのが失礼な時代も出しっぱなしで示指は

#追悼の前田短歌(2首)
結論はすでに出ていた、きみのみらいの幸せにまえだまえだはいない

厳密にはまえだまえだの兄であるまえだまえだの兄じゃないけど


天才の主人の苦悩を眺めたる犬のバンクオー長き舌をしまう

生命は生まれやすくて逝きやすい波なき湯舟をずばりとあがる

そもそもが反乱なのだ折りたたみ傘ではしのげぬ雨を行きつつ

どの線の人身事故か新宿が膨れあがってまるまる暑い

生存戦略を知らぬ子供が裸だと叫ぶ大人は止めねばならぬ

かき氷のサクレ食いつつ思わずに思うモンマルトルの誓いは

#空にはぷかりえびフライ雲(11首)
転校生の笑顔があると思いきや空にはぷかりえびフライ雲

犯人を雲で当てたる能力者、空にはぷかりえびフライ雲

神々も昼時は腹が減るだらう空にはぷかりえびフライ雲

予言では恐怖の大王くだる日の空にはぷかりえびフライ雲

とろろ蕎麦もけっしてまずくなかったが空にはぷかりえびフライ雲

(嫌なこと)ー(良かったこと)の本数で空にはぷかりえびフライ雲

あぁ聞いたことある豊作の年の空にはぷかりえびフライ雲

この呪いを誰かになすりつけるまで空にはぷかりえびフライ雲

僕の愛がきみには少し重そうで空にはぷかりえびフライ雲

遠距離のきみの写真のとなり誰よ空にはぷかりえびフライ雲

包まれていたのは僕のほうだった空にはぷかりえびフライ雲


精神の住所は近いようなるに肉体のそれが二人を分かつ

愛情は彼女にだってあったのだ、悪となるほど下手ではあった

ごりごりと固き抵抗に遭うまでは甘やかに裂くわたしのナイフ

パラリンとオリンできみが略すからふわっとネルフの地下の気配す

残念だこの「人間の評価関数」はかなりの精度にみえる

分身の術が使えるきみが好きだけど最近薄いね影が

ご当地の何もないけど白色のオイル時計をお土産にする

ありがたい疲れたぼくに満月が死の銀色をわれに届かす

離れればこの星もひとつ金色の光になるよわれわれもいつか

上弦の月でびいんと矢をはなち、射止めついでに殺してもいい

それはまるで奥田民生のカバー曲でみんな民生っぽくなるような

何色の字で惜別を書きましょう時代は口開けるだけで過ぎゆく

頑固なる汚れになってこびりつく恋と呼びいし黒いかたまり

水面からちゃぷちゃぷ底が見えぬように底流も上がよく分からない

一週間がこんなに早いということは世界が〆に入りたるかも

たすけてと叫びたいとき浮かびたる顔、顔、アイコン、顔、今日は止む

大事な時にいる人間に成るために今はさよなら、会えればうれし

正直に生きてええことあるかいな全部自分のせいにされんで(誠実に生きればいいというけれど自己責任の落とし穴あり)

塩分をこんなにとった夜の夢に白い地球であがく人類

土のような砂漠が続き2000年の雨に濡れつつ遺跡は黙(もだ)す

臭い物に蓋をするのだカラフルで匂いを忘れる強い力の

善ということではなくてわれならぬ命を守るとき生きている

何もかも投げ出したいと思う日のスープレックス、空が無窮だ

培養短歌2首
泣きながらきみのかけらを培養しそのコロニーに於母影をみる

寒空の、いな寒天に隔てられふたりは近くいながら逢えぬ

付け句祭り10首(#整理できたらいいのだけれど)
アカシックレコード? うちにありますよ整理できたらいいのだけれど

ケータイの切り替えとカレがずれててん整理できたらいいのだけれど

男女間の友情ある派ありえぬ派整理できたらいいのだけれど

安定剤的スイーツと別腹と整理できたらいいのだけれど

天国も地獄も和洋折衷で整理できたらいいのだけれど

死んだらば恥かく主体は無いけれど整理できたらいいのだけれど

断捨離とトキメキを二冊買う決意整理できたらいいのだけれど

一日は納得せねば終わらない整理できたらいいのだけれど

ハリーポッターとカバン? と石? の謎? 整理できたらいいのだけれど

このダンボールは引越しの時だけ開ける整理できたらいいのだけれど


神の世を説きし約翰(ヨハネ)のはるかのち天国はないと歌いいし約翰(ジョン)

何も考えず歩こう何も考えず、考えぬとはどういうことか

軽自動車でふたりで眠るあの時が一番友情がやばかった

結審のあとににやりとオレにだけなぜオレにだけ今でも思う

休日の午後の路地裏なつかしいわが諦めたバイエル流る

下駄箱の手を置くところのサボテンをずらせばその日に妻が戻せり

現実を上げるか下げるか透明の米の由来の水を注ぎつつ

助手席は彼女の寝場所だったから起きてられるとまだぎこちない

レトリーバーのドヤ顔、飼い主との散歩たぷたぷときみの満足つづけ

イブになってうろうろドンキホーテにて物色したる男が二、三

動き出した電車に人は手を振って日常はなんと黄金に満つ

情報の商材として短歌とは一首5円になかなかならぬ

タイムラインが幸せなイブの日よもっと難しいこと考えようぜ

コンビニのケーキが最近うまいんで今日もこれですフヒヒ、サーセン

ふいに君との絆を試されるように並ぶビニール傘よ、わからん!

この家の寒天のようなかなしさとよそよそしさよ外で息する

5回くらい大きくぶつかることにより丁度良くなる、星の話ね

伸びるかもしれぬ心よ、伸びるならどこまで大きくなるものなるか

ブルターニュは島根みたいなとこだよと言われて分かったような分からん

#レなんとか看板
レなんとか看板レなんとか看板この石橋を叩くのヤメレ

レなんとか看板レなんとか看板この死神はレを振り上げる


意志がつよいことはさびしも鋭くも陽(ひ)に喜んでしたたる氷柱

恋のつぎに憎しみがきていいじゃない、やがて懐かしい無関心まで

松飾り並べはじめた花屋にも奥には美しくシクラメン

中華まんと缶コーヒーをまだ寒い車の中で食べたらバイト

どの神に従いたれば醜(しこ)となり賤(しず)となること望みて人は

我が内にギブミーチョコレイティズムとう心理のありて師走の夜寒

六時には百分待ちの回る寿司御用納めに消えるエビたち

自己嫌悪の薄暗い火を受けとってこの火は身を焼きながら凍える

それはいまのあなたの最新情報で次の更新はいつ頃ですか

あの世とのあいだに深い森があり行きたがる子は長生きしない

背景にさびしさ満ちている男、話しかけたらややこしそうだ

道の向こうで待つきみの上にいる紳士、赤く光ってまだ進めない

いつも通り悔いと希望を残しつつちょっと苦しく痛いくらいで

いままでで今年が一番いい年であるのだ進歩ということでなく

戦争に負けそうなころ思うべしこの国はやはり以和為貴まで

縁側に二匹の白い芝犬が足踏みしつつ散歩を待てり

青空に笑顔、の代わりにツイッターのアイコン、なんてならないように

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