自選。
「肺」
きょうもよく吸っては吐いていたことよ良くないことも考えながら
「肺」
お父さんは会社で残業ばかりなり人工心肺みたいに孤独
「ヒーロー」
もうきみのヒーローでない平日のホームセンターでしずかな会釈
「自由詠」
シソの葉はすべてバッタに食べられてシソ味のオンブバッタのその後
「美」
休日をなんにもせずに終えんとす、あ、メガネのレンズは美しくした
「町」
閑かなる町立郷土資料館のガラスケースに蜂の形骸
「葡萄色」
ワイン飲んで葡萄色なる二人なのにきみは芋焼酎まで頼む
「服」
問い詰めたら不服な猫になったので捕まえようとしたのに逃げた
「倍」
明るくて空も青くて手を振ればさよならの悲しみはバイバイ
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