2020年4月20日月曜日

ふらくた連句#5

ふらくた連句「今宵は雨に」の巻

照屋沙流堂・・・沙流
野原豆・・・豆
袴田朱夏・・・朱夏
くらげただよう・・・洋
寿々多実果・・・多実果
小澤ほのか・・・ほのか
石川聡・・・聡
おふうちゃん・・・ふう
珈琲と俳句・・・珈俳

1 おぼろなり今宵は雨に散るさくら
沙流

2 涙を拭い踏み出す一歩

3 帽子は忘れたけどくれてやる
沙流

4 しゃらしゃらと葉を揺らす雨嫋やかに

5 また来年も春に逢いたい

6 狼は丘に立ちて、のち去る
沙流

7 蝙蝠の群れて一家は夕焼けに
朱夏

8 シチューのような窓の明るさ
沙流

9 回さずにじっと眺める月球儀

10 あなたの見ているほうが裏です
朱夏

11 着るときに表にしろと畳む服
多実果

12 雨ふるまえの部屋のしずけさ
沙流

13 夏燕飛びゆく空に雲はなく
ほのか

14 アスファルトより黒々と影

15 すりむいたひざの分だけ少年は
朱夏

16 濤乱刃なる小刀かくす

17 「おいそこの顔を見せない配送員!」
沙流

18 「これが素顔」とのっぺらぼうは

19 ペッパー君が甲高い声であやまって
沙流

20 繰り返されるオンライン飲み

21 白いマスクにU字への字の口を書き
多実果

22 同僚の死を占っている
朱夏

23 77度の焼酎売りだされ春暖

24 チューリップらは首を失う

25 拾うのは薔薇の援軍赤母衣衆

26 足りぬ足りぬと九尾の狐

27 心臓がいくつあっても死は一度
沙流

28 銀の弾丸込めてかまえる

29 座禅する師匠の背中壁のごとく
沙流

30 崩されるのは無実の豆腐

31 祖母山も切羽も詰まる頃なれど

32 実家暮らしの姫の退屈
沙流

33 手すさびにレースなんかを編んでみる
ほのか

34 終焉までの橙の日々
朱夏

35 もうリンゴ食べ飽きたなとアダム、エヴァ

36 あばら骨から矢じりをつくる

37 マンモスの倒れた時の地の響き
沙流

38 かき消してゆくヒトの雄叫び

39 本日も正義の感染者が増えて
沙流

40 日が沈んでくインカ帝国

41 ものうげなアルパカの耳が笛を聞き
沙流

42 長いまつげが微かに揺れる
多実果

43 五月雨の檻に囲まれ夜が来る

44 置き時計には横顔の月
沙流

45 豆苗の二度萌え激し月眠る

46 白南風の尾を掴めぬままで

47 狐には化かされまくりのお爺さん
ほのか

48 宇宙に向かってひとりにこにこ
沙流

49 素麺が流れ続ける天の川

50 誰にも見えぬむらさきの糸
朱夏

51 ひっぱってくれたらついていきたいよ
沙流

52 くじ引き引いて残念賞を

53 虚しさは仕舞い忘れた夜に降る

54 ひきだしの奥にわずかな希望
沙流

55 ドラえもん色につま先染めて

56 サンダル買いにスキップでいく
多実果

57 ひとめぼれこれはおそらく両想い
沙流

58 米を買うならコシヒカリだな

59 握り飯なかへひとつぶ愛をうめ

60 交わす言葉に花がほころぶ

61 あちこちで蛙合戦
ふう
🐸始まりぬ
62 つはものどもが水掻きの跡

63 空っぽになったカレー皿をどけ

64 福神様がお出ましになる
ふう

65 珍客を喫茶店主は能くいなし
珈俳

66 河岸につきたる宝船から

67 焼肉かカレーか迷う餅あわい
ふう

68 体重計がお乗りなさいと

69 罪悪感洗い流してくれ珈琲
珈俳

70 そう言うわりにフレッシュ入れる
朱夏

71 ミディアムのレアーを切れば薔薇色の

72 花咲くことのエロティシズムは
沙流

73 はつ夏の珈琲店のささめごと
珈俳

74 座敷童も見て見ぬふりで
朱夏

75 物置でこそこそ話し声がする
沙流

76 雛の包みは開けられぬまま
ふう

77 床の間で埃かぶったお目出度さ
沙流

78 この掛け軸の裏から逃げて
沙流

79 雪舟の山水の河くだる漁夫

80 お日さま浴びて鼻唄混じり
ほのか

81 パラソルだ、ほんとに白いパラソルだ
沙流

82 太陽に怒られている夏
朱夏

83 朝顔としょんぼり顔でご挨拶

84 おねしょのこども、二日酔いのパパ
多実果

85 水難の相があるよと占い師

86 私もですと付け加えおり
朱夏

87 大型のキャットフィッシュが生あくび
沙流

88 やがて鳴門の大渦になり
朱夏

89 泉には鯰のごとき我が顔が

90 怒りを選べとささやいてくる
沙流

91 革命は天変地異の赤い花
沙流

92 花粉のせいで自転が止まる
朱夏

93 骨董の壺から飛び出す大魔王

94 マスクはとてもとても小さい
朱夏

95 君の目と眉が本音のかたちして
沙流

96 弁舌よりも爽やかであり
ほのか

97 てのひらでフタを開けたり梅酒瓶
沙流

98 ハンドパワーが流行らなくなり
朱夏

99 手を洗うなぜか反省する心地
沙流

100 湯気を立ててる白飯うまし

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