2016年4月9日土曜日

2016年03月うたの日作品の31首

「時」
時分の花、マリオの無敵状態のつい行き過ぎて切れて落ちにき

「イヤリング」
イヤリングはメイン武器ではないけれど補助魔法にはなるのよ、ほらね

「ナイス」
ナイス地蔵のご利益を今日も訊かれいて話せば想像通りと言わる

「片想い」
片想いを三年かけて均(なら)しゆきここの更地に何を置こうか

「結晶」
結晶となったふたりは一日に一度の光で世にもうつくし

「梅」
梅のつぼみも急いでるかもしれぬのにゆっくりと言われながらほころぶ

「ある」
あるところに老いた夫婦がおりまして偶数は竹、奇数は桃で

「心」
心にはひとつの細い舟があり君に向かってうしろへ進む

「泣」
泣きながら魚は海を渡りゆく老衰という死を逃げるため

「自由詠」
自由詠たとえばブログに上がらない即席麺の夕食の夜

「奥」
奥まったところにあるよいついつもへらへらしてるきみの決意は

「長」
長安の出身という蒋さんに春の夜、ジョブの異常を告げる

「王」
王たるもの父たるものは感情を表さないがないわけでない

「男」
男だけの話ったって食い物とゲームとガチャじゃさびしからずや

「牛乳」
牛乳をレンジで温(ぬく)め酒飲まぬ日のましろなる理性を啜(すす)る

「ピンク」
ピンク色のモンブラン三時に食べて文明はきみがいなくても春

「魚」
魚には涙腺なんて持たぬから泣くわけないよ食われるときも

「雲」
雲行きが真っ黒なのは母性なんて非科学的な言葉のせいだ

「学」
学問のない世界ではニッコリという表情は怖い意味です

「卒業」
卒業はいつも他人事(ひとごと)みたいにて感激に水は差さないように

「春」
春だから機嫌がいいぞノリノリのドヴォルザークの口ぶえ聞こゆ

「レコード」
レコードのかすかにうねる縁(ふち)の上(え)に針置くときに確かに未知は

「せい」
せいにして生きていくのだ僕という感情よりもずるい世界の

「みんな」
みんなから元気を分けてもらうとき惜しみたる者物足りぬ者

「パーカー」
パーカーの中に苺と蛇がいてファスナーを下げるときどちらかの

「導」
導かれ補陀落世界へ行く弟子をわれはまことに悲しみいるか

「唐揚げ」
唐揚げのこの味がいいと言ったのにサラダになるし日付も違う

「競争」
競争をともに避けつつ生きてゆく友人に勝ち、すなわち負ける

「分」
分かりたくないのでしょうねcoke freeのJ・フォックスのごとき正論

「いくら」
いくらにも五分の魂があるとしてぷっとわたしへ香(か)を反抗す

「丸」
丸文字は冬の字らしいこの春の「さよなら」という字の大人びて

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