2016年12月10日土曜日

2016年11月うたの日自作品の30首

「速」
倍速で観るドキュメンタリーで泣くリプレイすればリプレイで泣く

「回」
憎しみがいつから首の綱になり回ってしまう離れきらずに

「北」
東にはいきおいが西はやすらぎが南はたのしさが、北は寒い

「集」
ゾウ好きな彼女が出来てゾウグッズを集めるお前、前はペンギン

「音」
山芋の千切りポン酢シャキシャキとモクシャキモクと、海苔は消音

「カード」
入館のカードのカバンを間違えて我もカバンも偽物である

「包」
うすぎぬのそれよりうすき物理的にみえないものが包むのが愛

「連絡」
まだたぶん地上にいると思うけど連絡電波を日に2度飛ばす

「棘」
出し入れの自由な棘を持っていてだいたいきみの距離まで伸ばす

「自由詠」
山賊焼きにかぶりつきつつ大国の七十歳の野心羨(とも)しき

「トランプ」
合宿の一日目だけトランプは盛り上がりたり残りはスマホ

「親」
親に向かって折りたたみ椅子を投げつけた痛みが親亡きあとに激痛

「?」
ジェンダーの話だろうか、なんとなく疑問で男、こたえはおんな

「私」
植物の枯れゆくようにどこからというでもなくて毀(こぼ)ちてわたし

「悪」
腹が減っては悪事もできぬとキッチンで袋麺さがす、正しく作る

「白菜」
情勢の意見にズレのある兄と浅漬けの白菜を突(つつ)きつ

「アスファルト」
ここからはアスファルト舗装されてないみみみちですすきだだききみがが

「象」
絶滅したらもう俺たちは捏造だこの長い鼻の骨なんてない

「枯れる」
霧吹きでもうやめようよびしょびしょの枯れる兆しのパンダガジュマル

「正義」
大募集:正義の味方,条件は悪を討つとき躊躇せぬこと

「飼」
三年で死んじゃったんだ、飼っていた想いはいつか弱りはじめて

「夫婦」
先進的過ぎない音を聴きながら夫婦の夜のゆるいドライブ

「ばね」
君の家けっこうでかいけっこうでかい二匹のばねのこれは歓迎?

「平仮名だけの歌」
もつもつともっともっとともつなべのいいたいことをいつまでもかむ

「じゃん」
サザン流れてかならず横浜民謡と言う店長の生まれ座間じゃん

「女子高生」
制服を着て女子高生になることの耐えられない日やすらかなる日

「魚偏」
生きることの双六でかなり間違えて魚偏まで戻されてゆく

「癒」
ティーバッグをきみは三杯目も好きで白湯に近づくあたりが癒し

「山手線」
吸って吐いて吸って吸って吐いて吸って山手線一時過ぎには全部吐ききる

「税」
大型のパロットだから分かるんだ税込価格がまた安くなる

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