「うたの日」のサイトが今月の25日で、1000日を迎えるということで、おめでとうございます。すごいことだし、運営の方の見えない苦労が偲ばれます。
テルヤは去年から参加させていただき、447日参加しているとのことなので、だいたい半分くらい、お目汚ししているわけです。追い出されないだけでも、ありがたいことなのです。
短歌投稿のウェブサイトは、他にも「うたよみん」や「うたのわ」というのもあり、それぞれ、特色があったりして、その違いがシステムによるのか、他の要因があるのかわからないけれど、結社と、同人、新聞・雑誌投稿とはまた違った地歩を固めつつあって、面白いことだと思う。
短歌のそれぞれを見るときに、無意識の位階序列があるのかもしれない。それは「短歌は文学だ」意識みたいなもので、その強度順に、システムが決定されてゆくようである。
いわく、
①選歌→②批評→③投票→④自由、の順に、文学性が高まっていく(と信じられている)。
「うたの日」は、ちょうど③の投票を軸に、②の批評、コメントに少し足をかけているシステムと言える。とはいえ、④の参加フリーの形態もあるので、ネガティブな批評を受け止める関係を、参加者が作れないところがある。
だいたい、しっかりした関係が築けていないのに、上からお説教したり、お節介な添削などはしてはいけないものなのである。(お前が言うな)
ただ、短歌のうまさ面白さは、文学であるかどうかが関係ないところもあって、まったくの娯楽のひまつぶしでめっぽう上手い人や面白い人も多い。そういう「歌壇」では見つけられないひとをウェブサイトが抱える、ということが可能なのは、もっと注目してもいいかもしれない。
自選など。
「速」
倍速で観るドキュメンタリーで泣くリプレイすればリプレイで泣く
※ドキュメンタリーは、そういう形式の編集されたものだし、それをしかも早回しで観ることで得た感動に、真実性がどのくらいあるだろうか。
「北」
東にはいきおいが西はやすらぎが南はたのしさが、北は寒い
※北の人ごめんなさい。
「包」
うすぎぬのそれよりうすき物理的にみえないものが包むのが愛
※「愛」にはいくつも動詞があてらるが、そのうちの平凡な一つかも。
「自由詠」
山賊焼きにかぶりつきつつ大国の七十歳の野心羨(とも)しき
※アメリカ大統領選挙ですね。アメリカの地図と山賊焼きの形を少しかぶらせつつ。
「悪」
腹が減っては悪事もできぬとキッチンで袋麺さがす、正しく作る
※まあ、悪人がすべてにおいて悪かというと、正しいところもあるわいな。
「象」
絶滅したらもう俺たちは捏造だこの長い鼻の骨なんてない
※骨からは象が復元できないという事実は、知というものの限界を考えさせてくれる。
「枯れる」
霧吹きでもうやめようよびしょびしょの枯れる兆しのパンダガジュマル
※枯れはじめたものをよみがえらせるのは、むずかしい。
「正義」
大募集:正義の味方,条件は悪を討つとき躊躇せぬこと
※この歌について太田宣子さんが「条件は悪を討つとき涙すること」と別案を示されて、こちらの方がすっきりして上手いと思いました(そうだお礼を書いてない)。しかしこの歌は、この募集のグロテスクさ、不気味さ、一見の正しさ、みたいなところをかもしたい歌だったので、たぶんそこらへんが下手さなのかもしれません。
(ただ、逆に読むと、太田さんの募集で入ろうと思う人の方が、グロいとは言えるかもしれません)
「癒」
ティーバッグをきみは三杯目も好きで白湯に近づくあたりが癒し
※じゃあ最初から白湯のめよ、とはならないんすよね。
「税」
大型のパロットだから分かるんだ税込価格がまた安くなる
※大型の鳥は、誰でも飼えるものじゃないですからね。
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