2017年3月12日日曜日

2017年02月うたの日自作品の28首

「蟹」
われわれの祖先が蟹でなくたって右か左についかたよるよ

「二」
人類が隠れたような朝だった、もう二度と無視を誤魔化すものか

「福」
マンサクの花が咲いたらもういないあの老人は福の神かも

「昔話」
100年後昔話になるために宝を集めておこうぜ友よ

「宇宙」
カウンターにいつもの宇宙人がいて宇宙の愚痴が長い金曜

「続」
AIの代返機能使わずに(?)二人のやりとりえんえん続く

「積」
かなしみがわれのジェンガを抜いてゆきけっこうすごいスカスカよほら

「腰」
腰から下がキャタピラのロボを選ぶのでごっこ遊びも案の定不利

「ピクルス」
われがまだまったきピクルスになる前にビンの中より見る無情の世

「自由詠」
屈託のガジュマルなれど本土では少し寒くて屏風になれぬ

「起」
起きてるよ話もちゃんと聞いてるよ⋯⋯、⋯⋯、ひよこ。(ひよこ?)

「サーカス」
サーカスの帰り途(みち)なんとぼくたちはドラムロームのない生を生(い)く

「甥/姪」
遅刻ばかりしている姪の通学のコースは鶏(とり)、犬、犬、窓の猫

「キス」
最後のはキスというより口づけというより接吻だったふたりは

「北海道」
山の幸から海の幸まで一本道の美しい人を拒みたる景

「告白」
言ひ分ぢやあ人殺しには殺人を描けるわけだ。⋯⋯實を言ふとね、

「ルビ」
声に出して読むくせに漢字読めなくてそのたびにわれはどうもルビおです

「ダンス」
えじゃないかええじゃないかとこの先もはじまるだろう、隠れて踊れ

「くじら」
肺呼吸で海に棲む業の引き換えに死後鯨骨は宇宙となりぬ

「抱」
抱きにけり、東京駅の改札のさわやかな見送りの予定が

「任」
責任ときみは言うけどトランポリンみたいなものよ、それとも落とす?

「そっと」
20万年そっと彼らを見ていたがあと10万年様子をみよう

「古」
フィラデルフィアの中華街なんか来た日には言わずにいれぬ古豆腐屋と

「柱」
⋯⋯なんか、意識があるぞ解体前に大黒柱でなくなるわれに

「牛」
世間的にはしずかで優しい彼だけど牛の顔していることがある

「焦」
戦ったから深まった人生のまだ先があるけど焦らない

「タンバリン」
チキチキチャ、チキチキチャリチャ、きみの部屋会社で嫌なことがある日の

「インフルエンザ」
インフルで無念だ不実なる恋の報いのごときこの発熱が

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