中本速生誕祭祝詩
この世界にそれがあるということを
証明しようとしているのか。
いや、それは証明じゃなくて、存在か。
つまり、君が存在することで、それが存在することを、証明、じゃない、存在するつもりなのだな。
風にそれが揺れることを、
山の闇にそれが赤く光ることを、
海と灯台の関係に、それが冷たく濡れることを、
部屋の伸びたクッションがそれを受け止めていることを、
君は決して、背負ったりしない。でも、見放すこともないだろう。
いやいや。過剰な期待がこりごりなのは分かってる。そんなにもたれ掛かるなら、いっそ席を立つ方が簡単だ。
不在が不在ゆえに輝くなんて、疲れた歌人の歌はほっとこうぜ。
で、ふたたび。
君はそうして、自分が自分であることで、他が他であるために、のんびりと、立つのだ。
存在を、存在をするのも、けっこう大変なのよね。
何回めの生誕かも分からない遠縁の照屋沙流堂より。
0 件のコメント:
コメントを投稿