2017年4月19日水曜日

#中本速生誕祭

中本速生誕祭祝詩


ということは、
この世界にそれがあるということを
証明しようとしているのか。

いや、それは証明じゃなくて、存在か。

つまり、君が存在することで、それが存在することを、証明、じゃない、存在するつもりなのだな。

風にそれが揺れることを、
山の闇にそれが赤く光ることを、
海と灯台の関係に、それが冷たく濡れることを、
部屋の伸びたクッションがそれを受け止めていることを、

君は決して、背負ったりしない。でも、見放すこともないだろう。

いやいや。過剰な期待がこりごりなのは分かってる。そんなにもたれ掛かるなら、いっそ席を立つ方が簡単だ。

不在が不在ゆえに輝くなんて、疲れた歌人の歌はほっとこうぜ。

で、ふたたび。

君はそうして、自分が自分であることで、他が他であるために、のんびりと、立つのだ。

存在を、存在をするのも、けっこう大変なのよね。



何回めの生誕かも分からない遠縁の照屋沙流堂より。

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