2017年9月11日月曜日

さるのサルベージ

なんとなく、mixiの過去の作品をちょいあげ。塚本邦雄の訃報を聞いてしばらくして、わたしは何年もやめていた短歌を連ねてみた。



短歌「リハビリテーション」

動くことが動かなくなるという因果、贋物のような手をじっと見る

その因を辿ればかつて断崖の疾風に揺れる夜を過ごしき

あるいは海、シニャックの描く点描の人っ子ひとりいない明るさ

少年がかなしき銃を磨きいて逆巻いている画面の裸体

失える腕ゆえに人に愛でらるるニケのつばさも持たず捨てにき

年下のピアノ教師に教わりてバイエルばかり繰り返す夏

いつの間に指が動くという希望、産毛なき塩化ビニルが震え

ユーカラを学者が写し終えた時、ユーカラの声は山へと還りなむ

救急車のサイレンと共に野を駆けて飼い犬の凱歌届く夜なり

人生の半ばのような夕方にハイテンションか、リハビリテーション

0 件のコメント:

コメントを投稿