2016年10月8日土曜日

2016年09月うたの日自作品の30首

「かも」
効くのかも効かないのかも分からないナントカ菌の多めを選ぶ

「駄菓子屋」
現代の日蔭のような駄菓子屋にまだ売れ残りたる夏休み

「東」
この汽車は山あいを秋へ走りゆく途中魁夷の絵を通りぬけ

「跡」
恋愛話きみは笑って404NotFoundを表示している、おそらく跡地

「リズム」
生活のリズムはぼくは偶数できみはどうやら七の倍数

「うん」
肯定と信じてたけどいま思えば「ううん」か「うーん」と答えていたか

「紙飛行機」
紙飛行機まで退化して人類の機銃掃射のない永い秋

「踏切」
決断を引き延ばす夜の踏切を車過ぐときふたりうなづく

「九月」
膝立ちで見送ったあと倒れこむ上等じゃんか九月の独り

「自由詠」
平日の祭りは微妙、道を占め遠慮がちなる神輿わっしょい

「心」
心に棲む生き物をひとつ描きなさい、かわいさとかはなくていいです

「洗濯」
「善と悪を遠心分離しちゃうからお札はすこし縮んじゃうのよ」

「溝」
「深くても溝なんだから降りてけばつながるんだろ?」あきらめわろし

「倍」
ツイン以上ダブル未満と思いしが二部屋取られていたでござる、ニンニン

「隣」
隣りには物乞いのような神様が試す、物乞いかもしれぬけど

「憲法第900条で定めたいこと」
お月見は定めたる日に月棲人(げつせいじん)のプライバシーを侵害せずに

「優」
娘には優しい人と怒ってる人らし、優しい人なら渡る

「ノー」
あの時の笑顔でわたしはポイントオブノータリン、いや、それで合ってます

「ハイヒール」
ハイヒール、眠っていますわたくしと世界がしっくり合う日のために

「腐」
生きることが時間についに追い越されやさしくわれは腐(くた)されてゆく

「核」
雪山で眠い一人を起こしつつあきらめかけている抑止論

「魔法」
ぼくの魔法(チカラ)は時をしばらく止めること、ぼくも動けはしないけれどね

「かわいい」
やりすぎた水でふやけてしまいたるサボテン、かわいいけれど棄てよう

「丘」
へんなかたちの美術館にはへんな絵の丘のふもとに入り口がある

「彼」
ささみとか芋が続いてはまってる彼のおかげで昼のラーメン

「勝」
人類の勝ち組側にいるんよなあ、コンビニ弁当旨きひとりも

「幅」
狭くなってゆく一本の青い道、遠近法でも比喩でもなくて

「銃」
自死のために多くが購入するだろうおかしな民よ、かなしい民よ

「さあ」
今日はちょっと頭痛がひどくて休みます、さあ何しよう病人だけど!

「悩」
二杯目に悩んでをりぬかうばしい未来とみづのやうな真実

0 件のコメント:

コメントを投稿