2018年8月3日金曜日

2016年09月自選や雑感。

雑感といっても、こう毎日暑いと、暑いなあ、という雑感しかない。

人が物申すときは、申したい”物”の他に、申すべき”スタンス”、それから、申すのを聞く”人”があって、人は物申す。申したい”物”があっても、案外、人は、他の条件が満たされず、黙っていってしまうものなのだろう。



自選。

月桂樹はアポロンが植えたかもしれず永遠の拒否の記念のために

誰でない自分がわれを励ましてそれをようよう生きると呼ぶぞ

人間のすることはまるで何一つ他人事(ひとごと)のように二人は暮らす

にっぽんが大変なとき陰にいてうなじに顔をすりつけていた

悪いとは思いもするがひとつ潜(もぐ)りふたつ潜って我関せず焉(えん)

オムニバス(omnibus)に乗ってぼくらはどこへ行くすべての人を乗せれなかった

人間にみなうまいこと化けている高島屋日本橋店の夏

心とう袋は言葉で傷が付く、中には思いの液がこぼれる

初恋の人に捧げたフレーズをまた使う日ぞベルリオーズも

牛舎にて牛にもたれて泣く夜の人よりも牛の優しさ沁みる

三匹の妖怪に邪魔をされてると法師はついに思うていたり

地獄へも共に行こうと決めたのに姿を消した友を探せず

人という異形に果てたぼくだけど秘めておくこともなんとか出来る

表層のすべてが溶けてぼくたちがこんなに自由だなんて、嘘だ

思想詩はファストフードに食われゆく安いし上手いしみんなにわかる

こういう、そういう、ばかり繰り返しのらりくらりの雨の満月

その理論の底に渦巻くかなしみと憎悪について心配なのだ

辛そうで辛くない少し辛い人生(そっちの読み方なんだ)

言いました意味深っぽく奈良と나라(ナラ)のあたかも同じ語源のように

いまほしいものを考え引き窓を押し上げるようなこころなど欲し

たましひと発音したくてたましひと書けばみなたましいと呼ぶ秋

時代から離れてペイネの絵に呼ばる、星を研ぐのは詩人の仕事

芸術は爆発じゃない、彼もまたみじめなほどに生き抜いていた

くちなわをえいっえいっと踏みつける夢から覚めるうわ泣いている

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