2017年6月17日土曜日

2017年05月うたの日自作品の31首。

「飯」
食べたもので体が動きしかも味がおいしい謎をご飯を食べる

「藻」
コンクリートを隠してやさし川の藻の自己犠牲って続かないのよ

「航」
寄航する気持ちで君は来るだろうわたしはそれにイラつくだろう

「得」
ハナモモの真白き花に赤も混ざり一本にしてお得なやつめ

「林檎」
にいちゃんと妹あわせて4つなり昭和のようなりんごのほっぺ

「だから」
炎には燃える理由があるというだから昼にはぬるりと起きる

「薬指」
ここにきて抵抗するか薬指ブレイクダンスの手の波するな

「かっこいいポーズ」
波止場でもないのに片足を乗せて霧笛もないのに遠くを眺む

「ジャム」
人生は山あり谷ありジャムありておなじ甘さの朝がひと瓶

「自由詠」
ぼくはもう浅瀬で待つよ無事帰りついたらきみに見えない場所で

「弦」
高価なる弦(つる)を用いて獲物なきわれ恥ずかしく空も三日月

「矢」
光陰じゃなかった、的に届かずに落ちてそのままなる矢のごとき

「好きなパン」
食べられる壁をつついて文鳥が休日の朝が好きな食パン

「母」
あと母に夢がどれだけあるだろう満艦飾を見にきて親子

「刀」
アクセルとブレーキ間違えそうだからおじいちゃんもう刀はやめて

「緑茶」
ワイドショーが社会の不満を述べている急須の緑茶はちょうど少ない

「80年代」
80年代にあなたは現れず遅れて嗤(わら)いに来るんだもんな

「デパートの屋上」
デパートの屋上のペットショップほどさびしくて雨の日にフォーを食う

「競」
競争といえばにわかに燃え上がる末っ子だわれは、この家族では

「悲劇」
クルトガとサラサを油で濡らしつつ食う弁当の午後のテストは

「ボロ」
らんらんるー心に歌があるならば身に纏(まと)いたる襤褸(らんる)を恥じず

「肺」
世が世なら肺を病まねば文学に選ばれないと思うクチだろ

「ジョーカー」
その男ジョーカーのような靴を履きいろいろ尖っているがイケメン

「出」
この終わりけっこう風が強いので演出みたいに叫んだけれど

「レタス」
少年のうなじのような安売りの高原レタスをカゴに引き取る

「ヤクザ」
同級の一人は組に入りしとぞ、仲よき時期も月ほど遠し

「絞」
富士山でスクイーズしてお父さん! 富士五湖を口ですするのやめて

「五月病」
けだるくて体も鈍くなってきてアパシーである食べ過ぎである

「お好み焼き」
放射能を正しく怖がるようにしてお好み焼きを正しく作る

「ムーミン」
幸せの厳しい謎を謎のまま共有したくてモランの話

「丈」
思ったよりこれは頑丈な檻だなぁぼくらを見てるのは月だけだ

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