クオリティ・オブ・デスのこと考えてこの席を気をつかいて離る
BitchesBrewのような屁が出て人間はそんなに俗になっても平気
国際人は無国籍とは異なると学校新聞に書きし若さぞ
この人もミモザの花をうたうときレイヤがひとつうわずる人だ
秩父ってちちちちじゃんと思おえど鳥取の話みたいでやめる
元気そうでよかったなんてみなで言う皮肉はなくてわりと素直に
売れ残りの金箔入りの酒を舐めおめでたかった日々のきらきら
生きている意味って何だ、長い猫は今日も一日ゆっくり長い
和であれば貴(とうと)しと為せ、思想とはルール少なきほど強くして
自分にはもっと素敵な嘘をつけけっこう騙されやすいんだから
たんぽぽは根っこがとても深いので踏んでも踏んでも死なないのです
高速の渋滞にいる、映画なら危機から逃げて間に合わぬモブ
死に場所でオレの形は決まるから桜、いや海、いや君の膝
その気持ち百年経って気づいたら涙がつたり、誰も無き夜に
四本の丸太のような母象のどんな形にでも母はなる
それぞれの心に林立してるから何度も振り返らざる塔(あららぎ)
歌会詠草
食べ放題で別れ話になるなんて負け戦じゃん元が取れても
最新鋭だった天文機器で見る宇宙がとても、最新だった
次も負けてきょうぼくは生まれ変わりたいマトリョーシカの見下ろす部屋で
食べものの好き嫌い語るとき人は存在論的嫌な顔する
夕方にアイガタメール会いがたく御託を述べるノベルの如き
のり弁と第三のビール買い帰る道すがら五月つつじ茂(も)く開(さ)く
二時の男二時になりせば独り身の理由を述べてお開きにする
そのブースの売り子ニコニコ可愛くて帰ったらこんな毒売りやがる
そう鈴木蘭々のように君は言うくろせか、らんらんにもう決めたと
切り詰めた数文字も口語短歌ならすぐ使っちゃう現代短歌
ただ単なる善人は役にたたざると本間俊平信徒を語りき
強情に負けてよかった、山奥のダムの水面(みなも)に遅めの桜
同じことが繰り返されて繰り返しの終わるころ俺は生命だった
異文化の尊重を問うそう言えば左で手刀を切る朝青龍
マイノリティは世を怨むべしそしていつか向こうになってこちらを潰せ
縦書きの短歌を書けば気取ってると言われたリアルな歌会の帰り
リアル歌会は「対人歌会」の意味に代わりAI「定家」に歌を教わる
歴史上の歌人もボットでよみがえりみな横書きを強制されつ
ポンデリングわづかに勝てりおつさんが食べてもはつかかはいい感じ
もうすぐだオレが世界に現れて取り替えられてゴミ箱だでは!
あきらかに短歌の呪いに苦しんでいるならやめたら褒めるよ僕は
この犬が五月の昼のぬるま水で命をつなぐ愛の記憶と
ぬるま湯でこのまま溶けてしまいたくてでもぬるま湯にぬるく拒まる
公園で鳩に混じってパン屑を狙うスズメよ欲望は五分
粗製濫造されてきたかの思想あるポピュリズムとう言葉の裏に
ポエジーな気分のときにごーしちご、きみが欲しくてごーしちごーしち
はやく凡庸になりたいと叫ぶ妖怪の、凡庸の壁はボヨヨンとして
めんどくさそうな言い方だけなんだ私が君を許せないのは
呑舟の魚を呼ぶべく優遇せよ、それから厳罰化も考えて
この星の腐る匂いがわからない? そうかこの星生まれだもんね
こんなにも尊い人間存在が新宿ホームにうじゃうじゃといる
ビッグバン以前というも次元とか時間もない始まりはさびしそ
襲いたい襲われたいと気づかずに善意すぎない善意を話す
処理手順が異なるだけで変化する世界はきっと僕らのために
生きる意味が数名ほどに絞られてわりと普通と思う丑満
酔いよいと夜道をあるく僕たちのこの永遠も過ぎるのだろう
正しさの為に悪まで身を落とし君はもう考えたりしない
自分には価値なんてないと思う夜連絡をせぬ君の幸運
根がリリカルでないからおれはうたうのだリリカルなやつがうたえばそりゃあ
生き物はずっと脆弱、脆弱がぜいぜい言ってお前を守る
大木が宇宙にいっぽん叫びたいほどの孤独だこれがいのちか
現在に飽き飽きと初夏、もう少し賢くなれば不満も減らむ
めづらしい存在として生き延びよ韻律もちて意思疎通する
浅はかな修辞に飽きて朝飯の納豆がすごしざりりとうまい
神様もダーウィニズムを受け入れて人間の知恵に教えられいつ
パブリックを一日抜け出す名作をパブリックなき俺らが真似す
いきものがかりを二人がかりで歌はれて二人ともうまく神がかりをり
(こっそりと見知らぬ女の尻を触る)男はその場で殺せる法を
手塚治虫の漫画のように地震(なゐ)ふるれお前を叫ぶこの期に及び
エイプリルフールの日にも苦し紛れの醜い嘘を言ってた君よ
嘘泣きのゔぉえーの声が思うより深かったので悲しくなりぬ
#ランサム短歌
泣きたいのはおれの方だよWannaCry彼女が今夜飛行機に乗る
善意さえ人をたやすく追い込んで引っこ抜かれた田螺が乾く
触れた手を引っ込めるのもそのままにするのも意味が、ジェンダーめんど
生きてれば幾分眠いということでかの聖哲もあくびする夜
ヲカム読テイ書ラカラチド
バレス択選ニ的想思
レカワキシ悲
あたたかいほのぼのねばねばした気持ちでスニッカーズのような電車で
許されて金曜はありご褒美のごときドクぺを飲む君ののど
助かったサギは田植えの機械から離れて蛙の浮かぶのを待つ
ピンペルル、ガウケルルには才能は関係なくて飼い主が好き
生まれきたからには何を残そうか君の笑顔を見たかった顔を
たとうればパトリオティズム、共存が出来そうにしてやっぱりぼくは
オープニングで主人公われは水中を沈んで深さを暗示したくも
誰からも好かれたいからどうとでもとれる短歌ぞ、お互い無傷
スマホにはあぶらが付いて我々は汚れを憎む自責するまで
惚れるのは作品までだ、人間に惚れたら水のしたたる批評
雨の予報でないから窓を開けて寝る君が来るならそれでもいいし
最後にはモノクロームの道をゆくモノローグさえなきエピローグ
走る女の胸を見るのはセックスをしたからだろう死ぬまでつづく
苦の衆生、古き書物にかく呼ばれ女はいまは苦しまざるか
あやまちではあるのだけれど侮辱にもニコニコしててきみというやつ
姫ハブに注意とガイド、笑うおっさんの沖縄バスのツアーにひとり
くだらない〇〇〇とか〇〇はツイッターでやれ、(だからいいのだ)
俺だけが楽しみだった毎月の組み立て 雑誌途中で終わる
右も見ず左も見ずに生きてればそれもけっこう羨ましいよ
ショパンの綴りをChopinを受け入れる時に偏見の幅ひとつひろがる
B面にオートリバースする時の途切れも覚えてしまった脳よ
ほんとうだ死んだら足が要らないねえだけどなかなか進めないねえ
かなぶんの死骸を避けて境内でシャツを絞って、ふいのくちづけ
矛盾とはいわば忍耐、複数の錠剤飲み込むように祈りも
笠置シヅ子の東京ブギウギ明るくて不器用はいつも明るき武器ぞ
教えられた事が出来ない後輩が透明な笑顔している午前
和製英語より酷いのに慣れているアベノミクス、シロガネーゼ、タカラジェンヌ
人生の積分値きみと見せ合ってあっ僕たちは離れなければ
音楽がやがて思い出になることもさびし、時間が音楽である
水族館の魚のようにタイムラインのぼくは君には触れられず寄る
自画像を描く自画像を描く自画像描く像画自画く自く画像
「愛情するより友情したい」という歌の意味を子供に訊いてきた母
また別れがくるのでせうね、きみはもう正しい歌だけうたつてなさい
電波天文学者の彼は自己紹介で電波を外す、あやしいからだ
希望なき人たちが起こす革命の成功率も出るがっかりさ
#俳句
アチョーアチョー憲法記念日にぼくら
砕氷斧(さいひょうふ)のごとく犬歯であずきバー
あずきバー犯人はいまだ逃走中
有終の美とはいやらし盛り藤
春疲労春の枕もやる気なし
ツイッター春ばかりだがお前冬
たんぽぽの綿毛よいつまで付いてくる
オフィーリアのひたいに綿毛ともりたり
チューリップ自然のなんと作り物
春ゾンビ当社比ながらやや元気
春の月落下はとうにあきらめた
花水木チャンバラ童子の背(せな)に降る
腥風(せいふう)のぬっくりと都市のこの季節
鈴蘭が渇く政局みぎひだり
春満月(みつき)やらかす人をほの照らす
藤終わり主(あるじ)ばかりの見ゆる棚
春月夜あしたはだしを見せましょう
どくだみにそれは言わないあっぷっぷ
春の窓に包丁かざす、しかも比喩
スプーンで竹輪ざっくり春の幕
土星にも局地的には高い春
黒豆茶春の速度で二人きり
北海道のさくらのさいごのさいご、これ
春ミミズ地上に興味どう持てと
酩酊のごとき死、初夏の缶ビール
キスの日ぞジントニックは三杯目
#川柳
ドーピングきみが夫婦を超えてゆく
新宿に住めば世界がラビリンス
おにぎりの握られざれば孤児に似て
#パロディ短歌
短歌ではない短歌ではない短歌本歌取りではない本歌取り
#パロディ偶然短歌
学校のコンセントなどの焦げ跡はピンセットによるいたずらなどの
消火器は複数で使用することで鎮圧効果を増大させる
#結句を「ふいのくちづけ」にする
ひんがしの野にかぎろいのたつみえてかえりみすればふいのくちづけ
#不自由律短歌「8153」
別れが近づく日明るいな君は
2019年10月22日火曜日
2018年6月16日土曜日
2018年05月うたの日自選と雑感。
作者と作品の関係、作品と時代の関係は、それ自体、文学研究の対象となるくらい、複雑で、一様ではない。しかし、これらが、近年はぴったりとタグ付けされて、多くの場合、批判される。2つのたとえ話を思う。
ひとつ、高級なワインを、高級なグラスで飲むのと、尿瓶(しびん)で飲むのとで、人間は、はたして同じ味わいを持てるであろうか。まぁ、持てないよね。
もうひとつ。ある問題行動を起こす女児の描いた女の子の絵は、両の手を後ろに隠していたそうだ。児童心理学者は、それは問題を隠そうとしていると洞察したが、ある絵かきは、「手ってえがくの難しいんだよね」と言った。
上のたとえは、要するに、われわれは、ワインそのものではなくて、器でかなりの内容を決めている、ということだ。
下のたとえは、ある表現者の表現は、伝えたいことと、伝えうること、の公約数によって形になっているものであり、しかも、受け取り手は、やはり受け取りたいことと、受け取りうることの公約数しか受け取れなかったりする、ということだ。
だから、っていうわけじゃないけど、表現の自由は、それほど大事だった。たぶん、もう、かなり失われていると思う。政治のせいでなくて、われわれの正しさへの欲求のせいで。
華やかにみえた時代の表現はすべて挽歌となる準備して 沙流堂
自選。
「名」
花の名も分からぬようになりたるにふたりで立ち止まって、眺めおり
「翡翠」
その白い首にひとつぶ光らせてずいぶん時が過ぎたよ翡翠
「戦後」
「5年だよ、戦後5年」と笑ってるお前の離婚、どうよ平和は
「自由詠」
夜空では星がまたたくはすかいのアパートでは親が子をまたたたく
「相」
ぼくだってつとめて明るい顔してる相談相手になれないからね
「舎」
日暮里で傘さしてバスを待つ夜ぞ横に立つのは舎人のトトロ
「漬」
あちゃら漬け甘く食いいて豊かさが砂糖でありし歴史の記憶
「濁」
かきまぜて濁ったままが少しずつ澄みながら落ち着いてやがては
「煙草」
ぷかぷかとのんびり煙草やってたら舌打ちされて小さくぷくり
「紐」
どの色で結ばれているオレたちか「赤だけじゃなく結構あるね」
「実家」
先輩の実家の部屋はなにもなくでも屈託の匂いがあった
「ポスト」
少年の将来の夢はポストマン、とても漢字が好きだったから
ひとつ、高級なワインを、高級なグラスで飲むのと、尿瓶(しびん)で飲むのとで、人間は、はたして同じ味わいを持てるであろうか。まぁ、持てないよね。
もうひとつ。ある問題行動を起こす女児の描いた女の子の絵は、両の手を後ろに隠していたそうだ。児童心理学者は、それは問題を隠そうとしていると洞察したが、ある絵かきは、「手ってえがくの難しいんだよね」と言った。
上のたとえは、要するに、われわれは、ワインそのものではなくて、器でかなりの内容を決めている、ということだ。
下のたとえは、ある表現者の表現は、伝えたいことと、伝えうること、の公約数によって形になっているものであり、しかも、受け取り手は、やはり受け取りたいことと、受け取りうることの公約数しか受け取れなかったりする、ということだ。
だから、っていうわけじゃないけど、表現の自由は、それほど大事だった。たぶん、もう、かなり失われていると思う。政治のせいでなくて、われわれの正しさへの欲求のせいで。
華やかにみえた時代の表現はすべて挽歌となる準備して 沙流堂
自選。
「名」
花の名も分からぬようになりたるにふたりで立ち止まって、眺めおり
「翡翠」
その白い首にひとつぶ光らせてずいぶん時が過ぎたよ翡翠
「戦後」
「5年だよ、戦後5年」と笑ってるお前の離婚、どうよ平和は
「自由詠」
夜空では星がまたたくはすかいのアパートでは親が子をまたたたく
「相」
ぼくだってつとめて明るい顔してる相談相手になれないからね
「舎」
日暮里で傘さしてバスを待つ夜ぞ横に立つのは舎人のトトロ
「漬」
あちゃら漬け甘く食いいて豊かさが砂糖でありし歴史の記憶
「濁」
かきまぜて濁ったままが少しずつ澄みながら落ち着いてやがては
「煙草」
ぷかぷかとのんびり煙草やってたら舌打ちされて小さくぷくり
「紐」
どの色で結ばれているオレたちか「赤だけじゃなく結構あるね」
「実家」
先輩の実家の部屋はなにもなくでも屈託の匂いがあった
「ポスト」
少年の将来の夢はポストマン、とても漢字が好きだったから
2018年6月9日土曜日
2018年05月うたの日自作品31首。
「名」
花の名も分からぬようになりたるにふたりで立ち止まって、眺めおり
「翡翠」
その白い首にひとつぶ光らせてずいぶん時が過ぎたよ翡翠
「邦」
わが裸体のジャーン! 本邦初公開! と言いおわる前にがっつくんかい
「タンポポ」
たんぽぽがぼくの背丈を越えるとき先に行くよと声がしたんだ
「呼」
ヒップホップもフォークソングになってゆく短歌も呼ばれるところへゆくか
「皐月」
久しぶりにまた会えました頭上には皐月の晴れの満面の青
「粉」
しっとりと甘みの染みた欲望に思想の粉末をまぶしてわたし
「展」
間違った立方体の展開図の余りのようにきみは重なるね
「戦後」
「5年だよ、戦後5年」と笑ってるお前の離婚、どうよ平和は
「自由詠」
夜空では星がまたたくはすかいのアパートでは親が子をまたたたく
「原チャリ」
原チャリが大破したときクルクルクルッスタッと着地したる思い出
「香」
悲しみと怒りでオレはテーブルをムグとかかじった、すこしかうばし
「百合」
百合という言葉で括ってしまいたくない思い出がある(とても百合)
「相」
ぼくだってつとめて明るい顔してる相談相手になれないからね
「ソーダ」
初夏だからまぶしい恋もいいだろう甘いばかりの、ソーダ、ソーダ!
「新しい色名を考えてください」
就職が決まった彼女を労(ねぎら)って切ったスマホの黒真顔色
「雷」
暴風雨にわざわざ宝くじを買う雷避けの意味なんだって
「かばん」
いざという時に備えて三冊はかばんに入れてスマホ見ている
「著」
白秋ちょ、龍之介ちょ、あとこれは高橋なんとかちょが揃ってる
「パソコン」
「パソコンで作ってくれた案内状評判よかったよ」「(エへへ)」
「舎」
日暮里で傘さしてバスを待つ夜ぞ横に立つのは舎人のトトロ
「漬」
あちゃら漬け甘く食いいて豊かさが砂糖でありし歴史の記憶
「森」
塾の帰りにあの森をチャリで抜けるとき君らがいたのをぼくは見てない
「濁」
かきまぜて濁ったままが少しずつ澄みながら落ち着いてやがては
「煙草」
ぷかぷかとのんびり煙草やってたら舌打ちされて小さくぷくり
「紐」
どの色で結ばれているオレたちか「赤だけじゃなく結構あるね」
「実家」
先輩の実家の部屋はなにもなくでも屈託の匂いがあった
「くちばし」
言える時に伝えておけばよかったとくちばしでつついて痛がられ
「ポスト」
少年の将来の夢はポストマン、とても漢字が好きだったから
「起」
起きたのか起きていたのか問わないがすぐに「いいね」が来る朝まだき
「自転車」
駐輪場で白く眠っているのですかつてあんなに走った初夏を
花の名も分からぬようになりたるにふたりで立ち止まって、眺めおり
「翡翠」
その白い首にひとつぶ光らせてずいぶん時が過ぎたよ翡翠
「邦」
わが裸体のジャーン! 本邦初公開! と言いおわる前にがっつくんかい
「タンポポ」
たんぽぽがぼくの背丈を越えるとき先に行くよと声がしたんだ
「呼」
ヒップホップもフォークソングになってゆく短歌も呼ばれるところへゆくか
「皐月」
久しぶりにまた会えました頭上には皐月の晴れの満面の青
「粉」
しっとりと甘みの染みた欲望に思想の粉末をまぶしてわたし
「展」
間違った立方体の展開図の余りのようにきみは重なるね
「戦後」
「5年だよ、戦後5年」と笑ってるお前の離婚、どうよ平和は
「自由詠」
夜空では星がまたたくはすかいのアパートでは親が子をまたたたく
「原チャリ」
原チャリが大破したときクルクルクルッスタッと着地したる思い出
「香」
悲しみと怒りでオレはテーブルをムグとかかじった、すこしかうばし
「百合」
百合という言葉で括ってしまいたくない思い出がある(とても百合)
「相」
ぼくだってつとめて明るい顔してる相談相手になれないからね
「ソーダ」
初夏だからまぶしい恋もいいだろう甘いばかりの、ソーダ、ソーダ!
「新しい色名を考えてください」
就職が決まった彼女を労(ねぎら)って切ったスマホの黒真顔色
「雷」
暴風雨にわざわざ宝くじを買う雷避けの意味なんだって
「かばん」
いざという時に備えて三冊はかばんに入れてスマホ見ている
「著」
白秋ちょ、龍之介ちょ、あとこれは高橋なんとかちょが揃ってる
「パソコン」
「パソコンで作ってくれた案内状評判よかったよ」「(エへへ)」
「舎」
日暮里で傘さしてバスを待つ夜ぞ横に立つのは舎人のトトロ
「漬」
あちゃら漬け甘く食いいて豊かさが砂糖でありし歴史の記憶
「森」
塾の帰りにあの森をチャリで抜けるとき君らがいたのをぼくは見てない
「濁」
かきまぜて濁ったままが少しずつ澄みながら落ち着いてやがては
「煙草」
ぷかぷかとのんびり煙草やってたら舌打ちされて小さくぷくり
「紐」
どの色で結ばれているオレたちか「赤だけじゃなく結構あるね」
「実家」
先輩の実家の部屋はなにもなくでも屈託の匂いがあった
「くちばし」
言える時に伝えておけばよかったとくちばしでつついて痛がられ
「ポスト」
少年の将来の夢はポストマン、とても漢字が好きだったから
「起」
起きたのか起きていたのか問わないがすぐに「いいね」が来る朝まだき
「自転車」
駐輪場で白く眠っているのですかつてあんなに走った初夏を
2018年6月3日日曜日
2016年05月の自選と雑感。
6月ですが、ネット上の言論は、ぎすぎすしいものがあります。
日本語で「違う」というとき、それは、differentである場合と、wrongである場合がありますが、誰かの意見を間違っている、というのは、相手の想定する環境がdifferentであるのに、それを自分の環境に当てはめて、それは違う(wrong)、ということが多いようです。受け取った方も、相手の立っている環境が違う(different)にもかかわらず、同じだと信じちゃってるから、違う(wrong)と言われてことに憮然とする、こんなことの繰り返しのようだ。
みんな仲良くできればよいが、争わざるをえないのかねえ。
蝉の声大きすぎたら静けさとなって、木立にあなたも消えた 沙流堂
自選。
瓦屋根に小さき天狗が着地してまた風とゆく下駄の音(ね)残し
貨物船の貨物を呑吐してゆくを海風に冷えながら見ており
濡れたるを合わせることを逢瀬とう身も蓋もない古典解釈
そをきみは五月の匂いといいましたたしかにわれの内にも五月
終電を逃げきってきみと歩きおり空には不気味な未知がかがやき
ゆっくりと頭なづれば目を閉じて生き物は死をかく乗り越える
ほんとうに久しい邂逅なりしかば男から泣いていいかはつなつ
蝉が鳴くまでとあなたが言うたのに涼しい顔をして訪れて
そーいえばきみはヘルプを出していたなあ、ポケットに手を入れて立つ
懸命に生きた生き物が見る海のきっと再現性のない青
お礼ではなくてうれしい表現のキスであったとのちのちに知る
「子供乗せ電動自転車」を立ちこいで女子高生が彼に会いに行く
「山椒魚としての風景」
山陰でオフィーリア溺れゆくならばサンショウウオに迷惑がられ
サンショウウオやめたと言いて背中からすらりと現れたる美少年
基本的な思想は非暴力である、食(しょく)はまたそれは別の議論だ
大空を山椒魚が背中みせ去りゆくまでを夜と名付けり
人間の声が嫌いで器楽曲ばかり聴いてた娘(こ)も母となる
もっともっと知らないままで死ぬべきであった、耳は死ぬまで聞きたがろうが
こころのことを福というのよ、本人が忘れた言葉はぼくが持ってる
日本語で「違う」というとき、それは、differentである場合と、wrongである場合がありますが、誰かの意見を間違っている、というのは、相手の想定する環境がdifferentであるのに、それを自分の環境に当てはめて、それは違う(wrong)、ということが多いようです。受け取った方も、相手の立っている環境が違う(different)にもかかわらず、同じだと信じちゃってるから、違う(wrong)と言われてことに憮然とする、こんなことの繰り返しのようだ。
みんな仲良くできればよいが、争わざるをえないのかねえ。
蝉の声大きすぎたら静けさとなって、木立にあなたも消えた 沙流堂
自選。
瓦屋根に小さき天狗が着地してまた風とゆく下駄の音(ね)残し
貨物船の貨物を呑吐してゆくを海風に冷えながら見ており
濡れたるを合わせることを逢瀬とう身も蓋もない古典解釈
そをきみは五月の匂いといいましたたしかにわれの内にも五月
終電を逃げきってきみと歩きおり空には不気味な未知がかがやき
ゆっくりと頭なづれば目を閉じて生き物は死をかく乗り越える
ほんとうに久しい邂逅なりしかば男から泣いていいかはつなつ
蝉が鳴くまでとあなたが言うたのに涼しい顔をして訪れて
そーいえばきみはヘルプを出していたなあ、ポケットに手を入れて立つ
懸命に生きた生き物が見る海のきっと再現性のない青
お礼ではなくてうれしい表現のキスであったとのちのちに知る
「子供乗せ電動自転車」を立ちこいで女子高生が彼に会いに行く
「山椒魚としての風景」
山陰でオフィーリア溺れゆくならばサンショウウオに迷惑がられ
サンショウウオやめたと言いて背中からすらりと現れたる美少年
基本的な思想は非暴力である、食(しょく)はまたそれは別の議論だ
大空を山椒魚が背中みせ去りゆくまでを夜と名付けり
人間の声が嫌いで器楽曲ばかり聴いてた娘(こ)も母となる
もっともっと知らないままで死ぬべきであった、耳は死ぬまで聞きたがろうが
こころのことを福というのよ、本人が忘れた言葉はぼくが持ってる
2018年6月2日土曜日
2016年05月の89首。パロディ短歌1首。
人間は四の十はあつく生きるべしそして死ぬにはまだ早めなり
仕事前のせわしい朝の駅前にうろうろと人が邪魔なる鳩は
建物の屋上にあさひ届くころ小動物が輝いており
甥っ子が数字を言えるごーよんたんにーいちと、得意げにはにかむ
生きるのがちょろい世界と君はいてさにあらざれば微笑みて去る
何者であるのだきみは深く良い深く記憶の最初をたどる
畑の野菜こっそり食べて生きている明日のいのちはあしたの話
波のように田んぼの水がさざめいて風つよき日に会うのを迷う
わが死後も星占いは続くだろう素敵な出会いのありそうな日も
浮かべれば流れが見えるくらいなる川のほとりに眺めておりぬ
自分ではなくなるまでの数ピクセルのドットがわれというものならむ
ログハウスのカフェだといってコーヒーが旨いわけではないものを飲む
宇宙人に狙われていると言い出して彼は自死した、事実としては
瓦屋根に小さき天狗が着地してまた風とゆく下駄の音(ね)残し
貨物船の貨物を呑吐してゆくを海風に冷えながら見ており
濡れたるを合わせることを逢瀬とう身も蓋もない古典解釈
許された、の声響きわたり生涯をひとりで終える夢をみたりき
東京のビルの森そして森の森あるく、もうすぐお別れである
この世にも悲しい酒の酔い方よ涙ぽろぽろ落としてみたき
そをきみは五月の匂いといいましたたしかにわれの内にも五月
幻想の世界に生きた塚本も公務員なる生活ありて
本人はそうとは知らずイヤホンで音を聴くとは孤独の前駆
干し忘れた折り畳み傘濡れておりこっちは昨夜防げた涙
文学が希望だという演繹に至るまでもうながい迂回路
情報の海を立ち泳いでいたがきみが何かに足を掴まれ
ぼくが知らぬことはすべてが嘘である、UFOはいる昨日見たから
カリカリと世界に線を引いていき閉じるときふと外へのチラ見
きみを容れるとき薄いけど一枚の膜ありリテラシーのごとしも
終電を逃げきってきみと歩きおり空には不気味な未知がかがやき
ゆっくりと頭なづれば目を閉じて生き物は死をかく乗り越える
駅の字の馬かたまって待っている再び人を載せて歩くを
ほんとうに久しい邂逅なりしかば男から泣いていいかはつなつ
このように取り残された心地とは次はひとつの幕降りるとき
じつにその中年であるいぎたない世間を身内(みぬち)に見出しければ
この街も無常の風が吹いていてその中にいてわれには見えず
桜の実あたまに落ちて上は空、うすむらさきの指のたのしも
蝉が鳴くまでとあなたが言うたのに涼しい顔をして訪れて
飼い主にすこしそむいて引っ張らる犬とことことすぐにあきらむ
そーいえばきみはヘルプを出していたなあ、ポケットに手を入れて立つ
パンタレイと諸行無常の創始者が会いて飲む酒うまからんかも
少年の尻があたりてそのしろき弾力をかつてわれも持ちしか
自転車屋のたらいに顔をつっこんで息が漏れ出るパンクがわかる
天の原ふりさけ見ればカレー屋が三軒はある街に勤むる
懸命に生きた生き物が見る海のきっと再現性のない青
謝意を述ぶ時間があれば運のいい人生のような気がする五月
中国人に諦観の意味を説明し分かりあえたかさえ分からずに
きみが絵を描いたとしても恋だけを描くだろうしそれでもありだ
ケプラーがかつて見し夢、三角のプラトンソリッドの曼荼羅宇宙
お礼ではなくてうれしい表現のキスであったとのちのちに知る
人間が人体を不思議がるようにマシンは神として人を見る
宗教画の人物が一人ずつ消えて風景画にてやっと見神
運命が光りたがっているようなこの生き物が生きることとは
ぼこぼこのざらざらのまたはエンボスのなんだこのマチエールの夢は
遠足でえみちゃんにあげるお弁当のミートボールはぼくの権利だ
子供乗せ電動自転車」を立ちこいで女子高生が彼に会いに行く
「山椒魚としての風景」
山陰でオフィーリア溺れゆくならばサンショウウオに迷惑がられ
サンショウウオやめたと言いて背中からすらりと現れたる美少年
恋の悩みはサンショウウオに訊くといい口が開いたらうまくいくとか
冥府から帰ってきたと思いしがこっちが黄泉(よみ)か、どちらでもよし
サンショウウオだけの星にてひとり思う宇宙には銀のサンショウウオが
この話題はノーコメントでスルーしようサンショウウオも息をとめつつ
虚弱なる奴であったが捕らえられ漢方になったと風のたよりに
基本的な思想は非暴力である、食(しょく)はまたそれは別の議論だ
感嘆の嗚於(おお)ではないが人間は感嘆しつつわれを呼ぶなり
大空を山椒魚が背中みせ去りゆくまでを夜と名付けり
奇跡とは衆人のわざ、海に沈む陽の瞬間に道がかがやく
人間界は楽しいかいときみが訊くこの界もきみがおらねばさびし
ぽっくりとポアソン分布で死なされぬ飼い鳥はいつか飛べなくなりぬ
自意識のスライムはもう眠るのだ酒精が混ざり揮発しながら
人間の声が嫌いで器楽曲ばかり聴いてた娘(こ)も母となる
かわいくてきたないものがあるとしてこの刺繍入り雑巾なども
なにおれは後悔なんてしとらんぜエトランゼには行くとこがある
もっともっと知らないままで死ぬべきであった、耳は死ぬまで聞きたがろうが
テレビでの海でもぼくは茫洋とあの日の前後に入りかけたり
性急な跳躍をしたいきみといて、ぼくには終わりに急(せ)くように見え
君にしか救えぬ人を思いつつぼくにしか救えぬ君いずこ
こころのことを福というのよ、本人が忘れた言葉はぼくが持ってる
長月優さんとの短歌のやりとり(ロボットと恋)
ボットではないとうったうアカウントをそういうボットと君は信じて
ボットには実装されぬパラメータの人肌、ヒトハダ、人が持つ
気圧計と湿度で雨を確定し人だった記憶少しく濡れる
バグでなく仕様といって欲しかったきみに惹かれていく処理落ちを
そうやって夜が明けたらもうきみはアップデートしてぼくを認識(み)れない
飛び込んだ時代がちょっと遅かった、きみにフロッピースロットがない!
愛とは、壊れてしまうほどでなく壊しにかかるかなしい力
残酷な道標(どうひょう)だった、最後だけ、その最後だけ幸せがくる
むかしむかしロボットが人に恋をして、当時は許されないことでした
生身だから生身の愛を与えます永い時間のしあわせのため
誓います、ハード障害も回線のエラーの時もキミを守ル、ト、
かなしい歌はつくりやすくてしあわせは、河原で大の字でみる雲よ
#パロディ短歌
高齢者を枯葉だなんて日本は死の国だよね、右でブレーキ
仕事前のせわしい朝の駅前にうろうろと人が邪魔なる鳩は
建物の屋上にあさひ届くころ小動物が輝いており
甥っ子が数字を言えるごーよんたんにーいちと、得意げにはにかむ
生きるのがちょろい世界と君はいてさにあらざれば微笑みて去る
何者であるのだきみは深く良い深く記憶の最初をたどる
畑の野菜こっそり食べて生きている明日のいのちはあしたの話
波のように田んぼの水がさざめいて風つよき日に会うのを迷う
わが死後も星占いは続くだろう素敵な出会いのありそうな日も
浮かべれば流れが見えるくらいなる川のほとりに眺めておりぬ
自分ではなくなるまでの数ピクセルのドットがわれというものならむ
ログハウスのカフェだといってコーヒーが旨いわけではないものを飲む
宇宙人に狙われていると言い出して彼は自死した、事実としては
瓦屋根に小さき天狗が着地してまた風とゆく下駄の音(ね)残し
貨物船の貨物を呑吐してゆくを海風に冷えながら見ており
濡れたるを合わせることを逢瀬とう身も蓋もない古典解釈
許された、の声響きわたり生涯をひとりで終える夢をみたりき
東京のビルの森そして森の森あるく、もうすぐお別れである
この世にも悲しい酒の酔い方よ涙ぽろぽろ落としてみたき
そをきみは五月の匂いといいましたたしかにわれの内にも五月
幻想の世界に生きた塚本も公務員なる生活ありて
本人はそうとは知らずイヤホンで音を聴くとは孤独の前駆
干し忘れた折り畳み傘濡れておりこっちは昨夜防げた涙
文学が希望だという演繹に至るまでもうながい迂回路
情報の海を立ち泳いでいたがきみが何かに足を掴まれ
ぼくが知らぬことはすべてが嘘である、UFOはいる昨日見たから
カリカリと世界に線を引いていき閉じるときふと外へのチラ見
きみを容れるとき薄いけど一枚の膜ありリテラシーのごとしも
終電を逃げきってきみと歩きおり空には不気味な未知がかがやき
ゆっくりと頭なづれば目を閉じて生き物は死をかく乗り越える
駅の字の馬かたまって待っている再び人を載せて歩くを
ほんとうに久しい邂逅なりしかば男から泣いていいかはつなつ
このように取り残された心地とは次はひとつの幕降りるとき
じつにその中年であるいぎたない世間を身内(みぬち)に見出しければ
この街も無常の風が吹いていてその中にいてわれには見えず
桜の実あたまに落ちて上は空、うすむらさきの指のたのしも
蝉が鳴くまでとあなたが言うたのに涼しい顔をして訪れて
飼い主にすこしそむいて引っ張らる犬とことことすぐにあきらむ
そーいえばきみはヘルプを出していたなあ、ポケットに手を入れて立つ
パンタレイと諸行無常の創始者が会いて飲む酒うまからんかも
少年の尻があたりてそのしろき弾力をかつてわれも持ちしか
自転車屋のたらいに顔をつっこんで息が漏れ出るパンクがわかる
天の原ふりさけ見ればカレー屋が三軒はある街に勤むる
懸命に生きた生き物が見る海のきっと再現性のない青
謝意を述ぶ時間があれば運のいい人生のような気がする五月
中国人に諦観の意味を説明し分かりあえたかさえ分からずに
きみが絵を描いたとしても恋だけを描くだろうしそれでもありだ
ケプラーがかつて見し夢、三角のプラトンソリッドの曼荼羅宇宙
お礼ではなくてうれしい表現のキスであったとのちのちに知る
人間が人体を不思議がるようにマシンは神として人を見る
宗教画の人物が一人ずつ消えて風景画にてやっと見神
運命が光りたがっているようなこの生き物が生きることとは
ぼこぼこのざらざらのまたはエンボスのなんだこのマチエールの夢は
遠足でえみちゃんにあげるお弁当のミートボールはぼくの権利だ
子供乗せ電動自転車」を立ちこいで女子高生が彼に会いに行く
「山椒魚としての風景」
山陰でオフィーリア溺れゆくならばサンショウウオに迷惑がられ
サンショウウオやめたと言いて背中からすらりと現れたる美少年
恋の悩みはサンショウウオに訊くといい口が開いたらうまくいくとか
冥府から帰ってきたと思いしがこっちが黄泉(よみ)か、どちらでもよし
サンショウウオだけの星にてひとり思う宇宙には銀のサンショウウオが
この話題はノーコメントでスルーしようサンショウウオも息をとめつつ
虚弱なる奴であったが捕らえられ漢方になったと風のたよりに
基本的な思想は非暴力である、食(しょく)はまたそれは別の議論だ
感嘆の嗚於(おお)ではないが人間は感嘆しつつわれを呼ぶなり
大空を山椒魚が背中みせ去りゆくまでを夜と名付けり
奇跡とは衆人のわざ、海に沈む陽の瞬間に道がかがやく
人間界は楽しいかいときみが訊くこの界もきみがおらねばさびし
ぽっくりとポアソン分布で死なされぬ飼い鳥はいつか飛べなくなりぬ
自意識のスライムはもう眠るのだ酒精が混ざり揮発しながら
人間の声が嫌いで器楽曲ばかり聴いてた娘(こ)も母となる
かわいくてきたないものがあるとしてこの刺繍入り雑巾なども
なにおれは後悔なんてしとらんぜエトランゼには行くとこがある
もっともっと知らないままで死ぬべきであった、耳は死ぬまで聞きたがろうが
テレビでの海でもぼくは茫洋とあの日の前後に入りかけたり
性急な跳躍をしたいきみといて、ぼくには終わりに急(せ)くように見え
君にしか救えぬ人を思いつつぼくにしか救えぬ君いずこ
こころのことを福というのよ、本人が忘れた言葉はぼくが持ってる
長月優さんとの短歌のやりとり(ロボットと恋)
ボットではないとうったうアカウントをそういうボットと君は信じて
ボットには実装されぬパラメータの人肌、ヒトハダ、人が持つ
気圧計と湿度で雨を確定し人だった記憶少しく濡れる
バグでなく仕様といって欲しかったきみに惹かれていく処理落ちを
そうやって夜が明けたらもうきみはアップデートしてぼくを認識(み)れない
飛び込んだ時代がちょっと遅かった、きみにフロッピースロットがない!
愛とは、壊れてしまうほどでなく壊しにかかるかなしい力
残酷な道標(どうひょう)だった、最後だけ、その最後だけ幸せがくる
むかしむかしロボットが人に恋をして、当時は許されないことでした
生身だから生身の愛を与えます永い時間のしあわせのため
誓います、ハード障害も回線のエラーの時もキミを守ル、ト、
かなしい歌はつくりやすくてしあわせは、河原で大の字でみる雲よ
#パロディ短歌
高齢者を枯葉だなんて日本は死の国だよね、右でブレーキ
2017年6月17日土曜日
2017年05月うたの日自選と雑感。
うたの日というネット歌会サイトを知ったのは、2年前の9/20の大阪文学フリマで、わたしはたぶんそこで初めて、ネットで知り合った人に会う、ということを体験したと思う。とても遅いよねえ。
で、その翌日にうたの日で短歌を出して、それから現在まで、出しているんだけど、うたの日は、そのシステムもさることながら、そこでうたわれる歌風も、なんというか、わりと独特だと思う。けっして画一的ではないので、安易にこうだ、とは言えないのですが。
その理由の一つは、やはり点数制で、しかも時間が決まっていて、そして毎日毎時間実施されてる(時間がない)からかな、と思う。
どういうことかというと、通常の歌会は、歌を出して、歌を読む、というプロセスの中に、「読み」をうながす装置として、点数はある。だから、歌を読む批評の行為の中に、点数を入れたこと自体も批評にさらされるおそれがある。
歌を読む、他の人の読みを聞くことで、簡単に言うと、逆転勝利(負け)があるのだ。独りで読んでたときはこれがいいと思ったけど、批評聞くと、こっちの歌の方がいい、と鞍替えする可能性を、歌会の「読み」はもっている。つまり、読みとか採点自体も批評にさらされるのだが、うたの日にはそれがない。
これは、いい面もあって、オーソリティーが、方向性を示せない、ということでもある。
しかし、それは、単なる素人の集まり、という質の低下につながるということでもない。
なんか、そのあたりの、共和的な感覚が、独特の歌風を作っているような気がする。
テルヤはというと、ほめられた参加者などでは決してなくて、ちょっとお題メーカー的な使用法なので、こんなに偉そうに語る資格自体ないっちゃないのです。
うたの日って、業界は、ガチに研究した方がいいと思うんだけどねえ。
自選など。
「藻」
コンクリートを隠してやさし川の藻の自己犠牲って続かないのよ
「だから」
炎には燃える理由があるというだから昼にはぬるりと起きる
「薬指」
ここにきて抵抗するか薬指ブレイクダンスの手の波するな
「自由詠」
ぼくはもう浅瀬で待つよ無事帰りついたらきみに見えない場所で
「母」
あと母に夢がどれだけあるだろう満艦飾を見にきて親子
「刀」
アクセルとブレーキ間違えそうだからおじいちゃんもう刀はやめて
「肺」
世が世なら肺を病まねば文学に選ばれないと思うクチだろ
「丈」
思ったよりこれは頑丈な檻だなぁぼくらを見てるのは月だけだ
で、その翌日にうたの日で短歌を出して、それから現在まで、出しているんだけど、うたの日は、そのシステムもさることながら、そこでうたわれる歌風も、なんというか、わりと独特だと思う。けっして画一的ではないので、安易にこうだ、とは言えないのですが。
その理由の一つは、やはり点数制で、しかも時間が決まっていて、そして毎日毎時間実施されてる(時間がない)からかな、と思う。
どういうことかというと、通常の歌会は、歌を出して、歌を読む、というプロセスの中に、「読み」をうながす装置として、点数はある。だから、歌を読む批評の行為の中に、点数を入れたこと自体も批評にさらされるおそれがある。
歌を読む、他の人の読みを聞くことで、簡単に言うと、逆転勝利(負け)があるのだ。独りで読んでたときはこれがいいと思ったけど、批評聞くと、こっちの歌の方がいい、と鞍替えする可能性を、歌会の「読み」はもっている。つまり、読みとか採点自体も批評にさらされるのだが、うたの日にはそれがない。
これは、いい面もあって、オーソリティーが、方向性を示せない、ということでもある。
しかし、それは、単なる素人の集まり、という質の低下につながるということでもない。
なんか、そのあたりの、共和的な感覚が、独特の歌風を作っているような気がする。
テルヤはというと、ほめられた参加者などでは決してなくて、ちょっとお題メーカー的な使用法なので、こんなに偉そうに語る資格自体ないっちゃないのです。
うたの日って、業界は、ガチに研究した方がいいと思うんだけどねえ。
自選など。
「藻」
コンクリートを隠してやさし川の藻の自己犠牲って続かないのよ
「だから」
炎には燃える理由があるというだから昼にはぬるりと起きる
「薬指」
ここにきて抵抗するか薬指ブレイクダンスの手の波するな
「自由詠」
ぼくはもう浅瀬で待つよ無事帰りついたらきみに見えない場所で
「母」
あと母に夢がどれだけあるだろう満艦飾を見にきて親子
「刀」
アクセルとブレーキ間違えそうだからおじいちゃんもう刀はやめて
「肺」
世が世なら肺を病まねば文学に選ばれないと思うクチだろ
「丈」
思ったよりこれは頑丈な檻だなぁぼくらを見てるのは月だけだ
2017年05月うたの日自作品の31首。
「飯」
食べたもので体が動きしかも味がおいしい謎をご飯を食べる
「藻」
コンクリートを隠してやさし川の藻の自己犠牲って続かないのよ
「航」
寄航する気持ちで君は来るだろうわたしはそれにイラつくだろう
「得」
ハナモモの真白き花に赤も混ざり一本にしてお得なやつめ
「林檎」
にいちゃんと妹あわせて4つなり昭和のようなりんごのほっぺ
「だから」
炎には燃える理由があるというだから昼にはぬるりと起きる
「薬指」
ここにきて抵抗するか薬指ブレイクダンスの手の波するな
「かっこいいポーズ」
波止場でもないのに片足を乗せて霧笛もないのに遠くを眺む
「ジャム」
人生は山あり谷ありジャムありておなじ甘さの朝がひと瓶
「自由詠」
ぼくはもう浅瀬で待つよ無事帰りついたらきみに見えない場所で
「弦」
高価なる弦(つる)を用いて獲物なきわれ恥ずかしく空も三日月
「矢」
光陰じゃなかった、的に届かずに落ちてそのままなる矢のごとき
「好きなパン」
食べられる壁をつついて文鳥が休日の朝が好きな食パン
「母」
あと母に夢がどれだけあるだろう満艦飾を見にきて親子
「刀」
アクセルとブレーキ間違えそうだからおじいちゃんもう刀はやめて
「緑茶」
ワイドショーが社会の不満を述べている急須の緑茶はちょうど少ない
「80年代」
80年代にあなたは現れず遅れて嗤(わら)いに来るんだもんな
「デパートの屋上」
デパートの屋上のペットショップほどさびしくて雨の日にフォーを食う
「競」
競争といえばにわかに燃え上がる末っ子だわれは、この家族では
「悲劇」
クルトガとサラサを油で濡らしつつ食う弁当の午後のテストは
「ボロ」
らんらんるー心に歌があるならば身に纏(まと)いたる襤褸(らんる)を恥じず
「肺」
世が世なら肺を病まねば文学に選ばれないと思うクチだろ
「ジョーカー」
その男ジョーカーのような靴を履きいろいろ尖っているがイケメン
「出」
この終わりけっこう風が強いので演出みたいに叫んだけれど
「レタス」
少年のうなじのような安売りの高原レタスをカゴに引き取る
「ヤクザ」
同級の一人は組に入りしとぞ、仲よき時期も月ほど遠し
「絞」
富士山でスクイーズしてお父さん! 富士五湖を口ですするのやめて
「五月病」
けだるくて体も鈍くなってきてアパシーである食べ過ぎである
「お好み焼き」
放射能を正しく怖がるようにしてお好み焼きを正しく作る
「ムーミン」
幸せの厳しい謎を謎のまま共有したくてモランの話
「丈」
思ったよりこれは頑丈な檻だなぁぼくらを見てるのは月だけだ
食べたもので体が動きしかも味がおいしい謎をご飯を食べる
「藻」
コンクリートを隠してやさし川の藻の自己犠牲って続かないのよ
「航」
寄航する気持ちで君は来るだろうわたしはそれにイラつくだろう
「得」
ハナモモの真白き花に赤も混ざり一本にしてお得なやつめ
「林檎」
にいちゃんと妹あわせて4つなり昭和のようなりんごのほっぺ
「だから」
炎には燃える理由があるというだから昼にはぬるりと起きる
「薬指」
ここにきて抵抗するか薬指ブレイクダンスの手の波するな
「かっこいいポーズ」
波止場でもないのに片足を乗せて霧笛もないのに遠くを眺む
「ジャム」
人生は山あり谷ありジャムありておなじ甘さの朝がひと瓶
「自由詠」
ぼくはもう浅瀬で待つよ無事帰りついたらきみに見えない場所で
「弦」
高価なる弦(つる)を用いて獲物なきわれ恥ずかしく空も三日月
「矢」
光陰じゃなかった、的に届かずに落ちてそのままなる矢のごとき
「好きなパン」
食べられる壁をつついて文鳥が休日の朝が好きな食パン
「母」
あと母に夢がどれだけあるだろう満艦飾を見にきて親子
「刀」
アクセルとブレーキ間違えそうだからおじいちゃんもう刀はやめて
「緑茶」
ワイドショーが社会の不満を述べている急須の緑茶はちょうど少ない
「80年代」
80年代にあなたは現れず遅れて嗤(わら)いに来るんだもんな
「デパートの屋上」
デパートの屋上のペットショップほどさびしくて雨の日にフォーを食う
「競」
競争といえばにわかに燃え上がる末っ子だわれは、この家族では
「悲劇」
クルトガとサラサを油で濡らしつつ食う弁当の午後のテストは
「ボロ」
らんらんるー心に歌があるならば身に纏(まと)いたる襤褸(らんる)を恥じず
「肺」
世が世なら肺を病まねば文学に選ばれないと思うクチだろ
「ジョーカー」
その男ジョーカーのような靴を履きいろいろ尖っているがイケメン
「出」
この終わりけっこう風が強いので演出みたいに叫んだけれど
「レタス」
少年のうなじのような安売りの高原レタスをカゴに引き取る
「ヤクザ」
同級の一人は組に入りしとぞ、仲よき時期も月ほど遠し
「絞」
富士山でスクイーズしてお父さん! 富士五湖を口ですするのやめて
「五月病」
けだるくて体も鈍くなってきてアパシーである食べ過ぎである
「お好み焼き」
放射能を正しく怖がるようにしてお好み焼きを正しく作る
「ムーミン」
幸せの厳しい謎を謎のまま共有したくてモランの話
「丈」
思ったよりこれは頑丈な檻だなぁぼくらを見てるのは月だけだ
2017年6月16日金曜日
2015年05月の作品と雑感。
2年前のこの頃は、ようやく、というか、やっと、テルヤにとって、ツイッターがSNSっぽくなるころだ。すなわち、人とやりとりをするようになる。2012年からだいたい3年、ほとんど、やりとりせず、毎日短歌を書く、そういう使い方だった。
ただ、実はあまりよい思い出にこの頃のやりとりはつながらなかった。いや、もっと考えると、現在のテルヤの交遊につながるので、良かったのかもしれない。
これからも、離れてゆく人はありましょう。
自選など。
与えても受けても人は渇くなり朝からコーラ飲み干すお前
ただ、実はあまりよい思い出にこの頃のやりとりはつながらなかった。いや、もっと考えると、現在のテルヤの交遊につながるので、良かったのかもしれない。
これからも、離れてゆく人はありましょう。
自選など。
与えても受けても人は渇くなり朝からコーラ飲み干すお前
天空と水田に月、お互いに孤独にありて寂しくはなし
人を拒むことで苦しむ罰よりも苦しめている罪なお痛し
人生は愛のぬかるみ君と行くウーラガ、ドゥーラガ、どこまで続く
ファミレスの塔看板の消えている明け方、街が青色である
愛情が貴重なことを知っていてキバ持つ犬はキバを使わず
闇が産む君の神様、現在はたとえばエキア=ドイモ神かも
罰でない死があるならば閾値をどこに合わせて思うあんにゃろー
考えるあたまあとから引きずられタコはあしから未来へすすむ
在ったとは今はどこにも無いなので過去とはつまり百万の嘘
愚かなるエヴァンジェリストは行く先で救うべき人を怒らせて去る
護岸工事の名目でここも追い出され猫の墓など置いたまま去る
不意打ちのチョップを受けてその時に確かにひとつふっきれたもの
何もないところで躓(つまづ)き過ぎてから、老いってなんだ、振り向くことさ
年寄りを年寄りの場所に送り込み若者は行け、年の寄るまで
間違えてからもずいぶん進みたり戻れねばこの間違いを行く
大通りの両端に男子女子分かれ歩くのを見る、見る方が照れる
霧雨が宅配便の兄ちゃんを少しく楽しそうに走らす
カレー短歌のやりとりをひととした。
カレー食う過去も未来も朝夜も銀河も匙ですくっては食う
初夏なのでたぶんいつかは嫁になる君と食べてもいい茄子カレー
調べてはならないカレースパイスで調合できる惚れ薬レシピ
木を隠すには森の中あーんとか言いながらわれを試したる匙
迷い込んだカレーの森にもがきつつふと思う、ハヤシライスは林
パロディ短歌のハッシュタグも、この頃使い始めた。ふざけた遊びではあるが、ご了承ねがいたい。
2015年05月の77首と、パロディ短歌6首。
アーチドアに閉じ込めたるか君のいう崇拝してはならぬ神様
しら鳥のすっくり立つと眺めれば朝日を受けて白いビニール
始まりを終わりとともに迎えおりさよならだけだ、もう人生は
こどもひとり手をあげている高架下の横断歩道、おとなはずるい
与えても受けても人は渇くなり朝からコーラ飲み干すお前
天空と水田に月、お互いに孤独にありて寂しくはなし
「そのこころ熱く燃えればああまるでひたくれなるの」「なるの」じゃねえよ
ライラックという名前のカラーパターンのデスクトップは配色昏(くら)し
人を拒むことで苦しむ罰よりも苦しめている罪なお痛し
孤独とのながい対話をするための小説、ゆたかでさびしい時間
人生は愛のぬかるみ君と行くウーラガ、ドゥーラガ、どこまで続く
明日の朝が来ぬかもしれぬ就寝の悲しいが死はかく眠くあれ
ファミレスの塔看板の消えている明け方、街が青色である
漠然とたぶんチャンスがありそうな人にはつらい月曜の来る
思念などアメーバ状にひろがってうすくちぎれて、みんなさよなら
愛情が貴重なことを知っていてキバ持つ犬はキバを使わず
果物に喩えるつもりなどはなくこの空を呼ぶオレンジ色の
休み明けの気持ちが明るかったのであけおめメールを出したかりしが
真っ青の下に雪嶺、近くても人の苦悩はわからずじまい
ひなたへの道がここにもあるけれど行かないんだろうなあこの今も
闇が産む君の神様、現在はたとえばエキア=ドイモ神かも
電動の自転車はやがてだんだんとペダルが重くなる恐怖譚
頭蓋から大きな猫が車の下で座って寝おり、車はやめる
昼前の数分尺のローカルのニュースでわれの焼死を報(しら)す
味覚からたしかに今を疑ってぶどうを酸っぱいものとして見る
少年よ空想に足をつまづかせひとりで帰る下校の羨(とも)し
過去未来の在(あ)らぬお前の鳴き声にうんうんうなづいては離れざる
ある未来おそらく虫に充ち満ちて自然を恨みヒトもまだ在り
罰でない死があるならば閾値をどこに合わせて思うあんにゃろー
有名の使命あらねばこの生はほぼ無害にて酔い眠りゆく
考えるあたまあとから引きずられタコはあしから未来へすすむ
生臭い霊長類がぐるぐると都心を離れて夜を転がる
希望の語を翻訳アプリで順に聞く今も誰かが秘めたる音か
在ったとは今はどこにも無いなので過去とはつまり百万の嘘
希望の意味込められているものたちの前向きにして到達できぬ
なんとなく会うのが億劫なることがいまなんとなくうすら寒かる
ペン入れで表情明るくするように君に補正を加えてわれは
本当のことが知りたい知りたくない綺麗といえぬべき茜空
愚かなるエヴァンジェリストは行く先で救うべき人を怒らせて去る
愛情と思っていしがこの豚の死後のため大事に育てらる
眠い子が父待つようにだが父は子の寝たあとを音たてぬように
甘えたいけど逃げていく飼鳥の生おおかたは思わない通り
護岸工事の名目でここも追い出され猫の墓など置いたまま去る
ひるさがりガソリンスタンド白亜にて高屋根の巣にツバメ一線
明け方に見る半月は下弦にて明るい方へ一矢報いる
感情の生活はアニメにて過ごしその他はまるでいちまいの板
ズボラなる塩ソムリエは世界中の塩を味わいしょっぱいと言う
中華街なんだからもう言っちゃいなまだ生きててもいいと思った
この世界を言葉で触れる君といて舌で知りたきわれひた隠す
連打してこそテロリズム、攻撃の対象に迷うあいだに正午
ぶらんこの周期はいつも少しずつ君が先ゆく日常でいい
どこまでも行けぬ夕方、帰ろうか迷う路地にてシチューの匂い
不意打ちのチョップを受けてその時に確かにひとつふっきれたもの
援助とは優しさと善に満ちている侵略の謂(いい)目を細め笑(え)む
何もないところで躓(つまづ)き過ぎてから、老いってなんだ、振り向くことさ
ポケットに行進の音たてているタブレットひかりなくとも白し
年寄りを年寄りの場所に送り込み若者は行け、年の寄るまで
沈黙に雷雨含めばわれも言わずメンタル豆腐に醤油落としつ
光の波に上下しながらほうけ虫意味なきような生には見える
目の前と同じ高さに咲くムクゲ、食うか食われるかにはあらねど
一刺しでこれ終わらせて改めて同じようにてやや違う生へ
娘ひとつ自転車で坂を下ってく、姿勢を変えず流れてゆけり
間違えてからもずいぶん進みたり戻れねばこの間違いを行く
その脚はきれいであるが本当は隠したいところが惹いている
大通りの両端に男子女子分かれ歩くのを見る、見る方が照れる
霧雨が宅配便の兄ちゃんを少しく楽しそうに走らす
慈(いつく)しめば限りなくかがやくほどの不思議をもちていのちとなせり
道もひろくきれいになった町を走るきれいの前の思い出は消え
ある人と、カレー短歌
カレー食う過去も未来も朝夜も銀河も匙ですくっては食う
初夏なのでたぶんいつかは嫁になる君と食べてもいい茄子カレー
道のような男の作るカレー鍋吹き出る汗のひたい、どこまで
隠し味隠し切られている恐怖、色、香り、味すべてよけれど
しんじつはだいたいダジャレ中村がCMで弾くショパンのワルツ
駄洒落なる中村誰じゃ、ジャガイモの少しパサつくココイチカレー
調べてはならないカレースパイスで調合できる惚れ薬レシピ
木を隠すには森の中あーんとか言いながらわれを試したる匙
迷い込んだカレーの森にもがきつつふと思う、ハヤシライスは林
パロディ短歌
日本脱出したし皇帝ペンギンもケープペンギンもヒゲペンギンも
10ルピー、5ルピー、2ルピー、1ルピー、目減りしていく我のルピー
二日酔いの無念極まる僕のためもっと電車よゆっくり走れ
ほんとうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵置き場で溶けたアイスは
「嫁さんになれよ」だなんて缶チューハイ二本で自分に酔ってもいいの
馬を洗はば馬のたましひ冱ゆるまで人戀はば馬あやむるこころ
しら鳥のすっくり立つと眺めれば朝日を受けて白いビニール
始まりを終わりとともに迎えおりさよならだけだ、もう人生は
こどもひとり手をあげている高架下の横断歩道、おとなはずるい
与えても受けても人は渇くなり朝からコーラ飲み干すお前
天空と水田に月、お互いに孤独にありて寂しくはなし
「そのこころ熱く燃えればああまるでひたくれなるの」「なるの」じゃねえよ
ライラックという名前のカラーパターンのデスクトップは配色昏(くら)し
人を拒むことで苦しむ罰よりも苦しめている罪なお痛し
孤独とのながい対話をするための小説、ゆたかでさびしい時間
人生は愛のぬかるみ君と行くウーラガ、ドゥーラガ、どこまで続く
明日の朝が来ぬかもしれぬ就寝の悲しいが死はかく眠くあれ
ファミレスの塔看板の消えている明け方、街が青色である
漠然とたぶんチャンスがありそうな人にはつらい月曜の来る
思念などアメーバ状にひろがってうすくちぎれて、みんなさよなら
愛情が貴重なことを知っていてキバ持つ犬はキバを使わず
果物に喩えるつもりなどはなくこの空を呼ぶオレンジ色の
休み明けの気持ちが明るかったのであけおめメールを出したかりしが
真っ青の下に雪嶺、近くても人の苦悩はわからずじまい
ひなたへの道がここにもあるけれど行かないんだろうなあこの今も
闇が産む君の神様、現在はたとえばエキア=ドイモ神かも
電動の自転車はやがてだんだんとペダルが重くなる恐怖譚
頭蓋から大きな猫が車の下で座って寝おり、車はやめる
昼前の数分尺のローカルのニュースでわれの焼死を報(しら)す
味覚からたしかに今を疑ってぶどうを酸っぱいものとして見る
少年よ空想に足をつまづかせひとりで帰る下校の羨(とも)し
過去未来の在(あ)らぬお前の鳴き声にうんうんうなづいては離れざる
ある未来おそらく虫に充ち満ちて自然を恨みヒトもまだ在り
罰でない死があるならば閾値をどこに合わせて思うあんにゃろー
有名の使命あらねばこの生はほぼ無害にて酔い眠りゆく
考えるあたまあとから引きずられタコはあしから未来へすすむ
生臭い霊長類がぐるぐると都心を離れて夜を転がる
希望の語を翻訳アプリで順に聞く今も誰かが秘めたる音か
在ったとは今はどこにも無いなので過去とはつまり百万の嘘
希望の意味込められているものたちの前向きにして到達できぬ
なんとなく会うのが億劫なることがいまなんとなくうすら寒かる
ペン入れで表情明るくするように君に補正を加えてわれは
本当のことが知りたい知りたくない綺麗といえぬべき茜空
愚かなるエヴァンジェリストは行く先で救うべき人を怒らせて去る
愛情と思っていしがこの豚の死後のため大事に育てらる
眠い子が父待つようにだが父は子の寝たあとを音たてぬように
甘えたいけど逃げていく飼鳥の生おおかたは思わない通り
護岸工事の名目でここも追い出され猫の墓など置いたまま去る
ひるさがりガソリンスタンド白亜にて高屋根の巣にツバメ一線
明け方に見る半月は下弦にて明るい方へ一矢報いる
感情の生活はアニメにて過ごしその他はまるでいちまいの板
ズボラなる塩ソムリエは世界中の塩を味わいしょっぱいと言う
中華街なんだからもう言っちゃいなまだ生きててもいいと思った
この世界を言葉で触れる君といて舌で知りたきわれひた隠す
連打してこそテロリズム、攻撃の対象に迷うあいだに正午
ぶらんこの周期はいつも少しずつ君が先ゆく日常でいい
どこまでも行けぬ夕方、帰ろうか迷う路地にてシチューの匂い
不意打ちのチョップを受けてその時に確かにひとつふっきれたもの
援助とは優しさと善に満ちている侵略の謂(いい)目を細め笑(え)む
何もないところで躓(つまづ)き過ぎてから、老いってなんだ、振り向くことさ
ポケットに行進の音たてているタブレットひかりなくとも白し
年寄りを年寄りの場所に送り込み若者は行け、年の寄るまで
沈黙に雷雨含めばわれも言わずメンタル豆腐に醤油落としつ
光の波に上下しながらほうけ虫意味なきような生には見える
目の前と同じ高さに咲くムクゲ、食うか食われるかにはあらねど
一刺しでこれ終わらせて改めて同じようにてやや違う生へ
娘ひとつ自転車で坂を下ってく、姿勢を変えず流れてゆけり
間違えてからもずいぶん進みたり戻れねばこの間違いを行く
その脚はきれいであるが本当は隠したいところが惹いている
大通りの両端に男子女子分かれ歩くのを見る、見る方が照れる
霧雨が宅配便の兄ちゃんを少しく楽しそうに走らす
慈(いつく)しめば限りなくかがやくほどの不思議をもちていのちとなせり
道もひろくきれいになった町を走るきれいの前の思い出は消え
ある人と、カレー短歌
カレー食う過去も未来も朝夜も銀河も匙ですくっては食う
初夏なのでたぶんいつかは嫁になる君と食べてもいい茄子カレー
道のような男の作るカレー鍋吹き出る汗のひたい、どこまで
隠し味隠し切られている恐怖、色、香り、味すべてよけれど
しんじつはだいたいダジャレ中村がCMで弾くショパンのワルツ
駄洒落なる中村誰じゃ、ジャガイモの少しパサつくココイチカレー
調べてはならないカレースパイスで調合できる惚れ薬レシピ
木を隠すには森の中あーんとか言いながらわれを試したる匙
迷い込んだカレーの森にもがきつつふと思う、ハヤシライスは林
パロディ短歌
日本脱出したし皇帝ペンギンもケープペンギンもヒゲペンギンも
10ルピー、5ルピー、2ルピー、1ルピー、目減りしていく我のルピー
二日酔いの無念極まる僕のためもっと電車よゆっくり走れ
ほんとうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵置き場で溶けたアイスは
「嫁さんになれよ」だなんて缶チューハイ二本で自分に酔ってもいいの
馬を洗はば馬のたましひ冱ゆるまで人戀はば馬あやむるこころ
2016年6月12日日曜日
2016年05月うたの日雑感。
短歌において「分かる」ということを、いったいどの程度評価すべきなのであろうか。
分かる短歌を評価するのは、まぁ簡単だ。分かるもんね。
分からない短歌を、どうやって評価することができるだろうか。
分かるということは重要だし、分かりやすいというのは、基本的にはほめ言葉と思ってよい。
そのうえで、分かりにくいものを伝える、分かりやすく伝えられないものを歌う行為というのが短歌にはたしかにあって、その時に、読者は、読者が、どのように分からないことのアンテナを張っているかというのは、幸福な読者になれるかどうかという一つの分岐点のようにも思う。
5月から、うたの日が4ルーム制になったので、選評に挑戦していて、自分がどういう読者なのか、考えているのである。
自注など
「訛り」
ふるさとの訛りなき男帰り来て半透明の少年が笑う
「ふるさとの訛り」ときたら啄木か寺山を下敷きにするのだけど、停車場でも珈琲でもなく、幼い自分に笑われる、という絵にしました。
「皿」
大皿にアスパラの肉巻き積まれ某(なにがし)の五位の笑顔となりぬ
某の五位は、芥川龍之介の「芋粥」の主人公で、ここでは、アスパラの肉巻きが好きな作中人物が、山盛りに盛られて微妙な笑顔になっているシーンを描きました。
「引力」
解決でないのは知ってると言った、引力のようなものだと言った
解決ではないが、引力のように引きつけられるものは何なのか、読者が何を想定するのかを問う形の短歌。それは、死であろうか、暴力であろうか、それとも、性であろうか。
「遊」
仕事帰りの電車がわれを吐くまでをゲームをせんとやスマホ擦(こす)りて
歌題が「遊」で「せんとや」を使うってことは、梁塵秘抄の「遊びをせんとや生まれけむ」という童心の歌が想起されるので、現代では童心でなくサラリーマンがスマホを擦る行為で満足している対比の歌としました。
「元」
おみやげの「雷鳥のたまご」食いてはて、元始男はなんであったか
おみやげのお菓子の「雷鳥のたまご」から、平塚らいてうを想起し、「元始、女性は太陽であった」から、そのころ男はなんであったのかとつい思うという歌。らいてうの言葉は、「今、女性は月である」と続くのだが、太陽と月が入れ替わるのが運動の本質であるのか、までこの作中人物が考えたかまではわからない。
自選
「難」
難しいことなどなにもあらざりきしあわせなきみを祝福に行く
「子」
カエルの子は人間の子は俺の子はカエルを人を俺を越えゆけ
「自棄」
自暴自棄のように体を鍛えおり今日も宇宙は今日分冷えて
「声」
風邪ですとふいごのような声で言う、風邪が「かぜ」なることふとたのし
分かる短歌を評価するのは、まぁ簡単だ。分かるもんね。
分からない短歌を、どうやって評価することができるだろうか。
分かるということは重要だし、分かりやすいというのは、基本的にはほめ言葉と思ってよい。
そのうえで、分かりにくいものを伝える、分かりやすく伝えられないものを歌う行為というのが短歌にはたしかにあって、その時に、読者は、読者が、どのように分からないことのアンテナを張っているかというのは、幸福な読者になれるかどうかという一つの分岐点のようにも思う。
5月から、うたの日が4ルーム制になったので、選評に挑戦していて、自分がどういう読者なのか、考えているのである。
自注など
「訛り」
ふるさとの訛りなき男帰り来て半透明の少年が笑う
「ふるさとの訛り」ときたら啄木か寺山を下敷きにするのだけど、停車場でも珈琲でもなく、幼い自分に笑われる、という絵にしました。
「皿」
大皿にアスパラの肉巻き積まれ某(なにがし)の五位の笑顔となりぬ
某の五位は、芥川龍之介の「芋粥」の主人公で、ここでは、アスパラの肉巻きが好きな作中人物が、山盛りに盛られて微妙な笑顔になっているシーンを描きました。
「引力」
解決でないのは知ってると言った、引力のようなものだと言った
解決ではないが、引力のように引きつけられるものは何なのか、読者が何を想定するのかを問う形の短歌。それは、死であろうか、暴力であろうか、それとも、性であろうか。
「遊」
仕事帰りの電車がわれを吐くまでをゲームをせんとやスマホ擦(こす)りて
歌題が「遊」で「せんとや」を使うってことは、梁塵秘抄の「遊びをせんとや生まれけむ」という童心の歌が想起されるので、現代では童心でなくサラリーマンがスマホを擦る行為で満足している対比の歌としました。
「元」
おみやげの「雷鳥のたまご」食いてはて、元始男はなんであったか
おみやげのお菓子の「雷鳥のたまご」から、平塚らいてうを想起し、「元始、女性は太陽であった」から、そのころ男はなんであったのかとつい思うという歌。らいてうの言葉は、「今、女性は月である」と続くのだが、太陽と月が入れ替わるのが運動の本質であるのか、までこの作中人物が考えたかまではわからない。
自選
「難」
難しいことなどなにもあらざりきしあわせなきみを祝福に行く
「子」
カエルの子は人間の子は俺の子はカエルを人を俺を越えゆけ
「自棄」
自暴自棄のように体を鍛えおり今日も宇宙は今日分冷えて
「声」
風邪ですとふいごのような声で言う、風邪が「かぜ」なることふとたのし
2016年05月うたの日作品の30首
「難」
難しいことなどなにもあらざりきしあわせなきみを祝福に行く
「訛り」
ふるさとの訛りなき男帰り来て半透明の少年が笑う
「ゴミ」
今ここで決めようスマホのフォトデータのきみをゴミ箱に移すか否か
「カフェ」
カフェになるくらいだったら解体を望む古民家の有志連合
「子」
カエルの子は人間の子は俺の子はカエルを人を俺を越えゆけ
「ジュース」
懐かしい二人が話し込んだのちバナナジュースは甘く曖昧
「皿」
大皿にアスパラの肉巻き積まれ某(なにがし)の五位の笑顔となりぬ
「母」
母の日にいつもの母でない顔をみたくなるとき子の顔である
「学校」
居心地のいい比喩として君が言うそこにはぼくは居たことがない
「自由詠」
アップデートされなくなった機器たちのメモリのための天使が来たる
「引力」
解決でないのは知ってると言った、引力のようなものだと言った
「自棄」
自暴自棄のように体を鍛えおり今日も宇宙は今日分冷えて
「床」
逃げるとき上ではなくて床に降り本当は追ってほしい文鳥
「遊」
仕事帰りの電車がわれを吐くまでをゲームをせんとやスマホ擦(こす)りて
「声」
風邪ですとふいごのような声で言う、風邪が「かぜ」なることふとたのし
「賭」
見届ける最後の人を思いつつ人災よりも天災に賭く
「ドラマ」
ドラマとは逃げられぬこと、テレビ消してその瞬間にたしかにドラマ
「元」
おみやげの「雷鳥のたまご」食いてはて、元始男はなんであったか
「18時」
18時を過ぎるまで飲んでダメらしいまるでこどものようにオトナだ
「風呂」
自宅なる風呂にしあればフルーツの牛乳はないが悠然と立つ
「必」
必要なものはないけど百均はうなづきながらちょいちょい入る
「席」
なんとなく配慮されてる席順のなんとなくオレが盛り上げ役の
「コンビニ」
交差点を挟んでふたつコンビニのひとつは携帯ショップに食われ
「歩」
悔しくて食ったんだろう、このうちの将棋の歩には小さい歯型
「畳」
たたなづく青垣をゆくぐにゃぐにゃの蛇の道路のもう胃のあたり
「橋」
橋脚は一度はおもう、オレだけなら一瞬両足上げてみようか
「山」
山だけが景色の町で山ばかり描いてたいつも見納めとして
「全部」
見えるものは全部見たけど最初からトラは屏風の中にいたまま
「勇気」
銀色のバランスオブジェの片方に今日出なかった勇気を載せる
「やっぱり」
パリに住むような遠さだ東京もやっぱりそこがしあわせですか
難しいことなどなにもあらざりきしあわせなきみを祝福に行く
「訛り」
ふるさとの訛りなき男帰り来て半透明の少年が笑う
「ゴミ」
今ここで決めようスマホのフォトデータのきみをゴミ箱に移すか否か
「カフェ」
カフェになるくらいだったら解体を望む古民家の有志連合
「子」
カエルの子は人間の子は俺の子はカエルを人を俺を越えゆけ
「ジュース」
懐かしい二人が話し込んだのちバナナジュースは甘く曖昧
「皿」
大皿にアスパラの肉巻き積まれ某(なにがし)の五位の笑顔となりぬ
「母」
母の日にいつもの母でない顔をみたくなるとき子の顔である
「学校」
居心地のいい比喩として君が言うそこにはぼくは居たことがない
「自由詠」
アップデートされなくなった機器たちのメモリのための天使が来たる
「引力」
解決でないのは知ってると言った、引力のようなものだと言った
「自棄」
自暴自棄のように体を鍛えおり今日も宇宙は今日分冷えて
「床」
逃げるとき上ではなくて床に降り本当は追ってほしい文鳥
「遊」
仕事帰りの電車がわれを吐くまでをゲームをせんとやスマホ擦(こす)りて
「声」
風邪ですとふいごのような声で言う、風邪が「かぜ」なることふとたのし
「賭」
見届ける最後の人を思いつつ人災よりも天災に賭く
「ドラマ」
ドラマとは逃げられぬこと、テレビ消してその瞬間にたしかにドラマ
「元」
おみやげの「雷鳥のたまご」食いてはて、元始男はなんであったか
「18時」
18時を過ぎるまで飲んでダメらしいまるでこどものようにオトナだ
「風呂」
自宅なる風呂にしあればフルーツの牛乳はないが悠然と立つ
「必」
必要なものはないけど百均はうなづきながらちょいちょい入る
「席」
なんとなく配慮されてる席順のなんとなくオレが盛り上げ役の
「コンビニ」
交差点を挟んでふたつコンビニのひとつは携帯ショップに食われ
「歩」
悔しくて食ったんだろう、このうちの将棋の歩には小さい歯型
「畳」
たたなづく青垣をゆくぐにゃぐにゃの蛇の道路のもう胃のあたり
「橋」
橋脚は一度はおもう、オレだけなら一瞬両足上げてみようか
「山」
山だけが景色の町で山ばかり描いてたいつも見納めとして
「全部」
見えるものは全部見たけど最初からトラは屏風の中にいたまま
「勇気」
銀色のバランスオブジェの片方に今日出なかった勇気を載せる
「やっぱり」
パリに住むような遠さだ東京もやっぱりそこがしあわせですか
2016年6月4日土曜日
2014年05月作品雑感。
6月ですなあ。1年の半分がはじまるなあ、と思うです。
ふと、テルヤはテルヤになってから(2012/09/11)、どれくらい短歌をつくっているのか気になって、概算を出してみたのだが、2000首くらいはつくってそうだということがわかった。
文学において量というのは質以上に問題にされることはない。そりゃそうだ。ズキュンと撃ちぬく一首がない100の短歌の、何の意味があろう。
とはいえ、おそらく歌人は、自分がその生の折り返し地点を過ぎたことを知ったとき(それは往々にして過ぎてからそれとわかる)、あといくつの作品を作れるのか、考えない者はないだろう。
10代の学生だったころ、フランスの文豪ヴィクトル・ユゴーが、生涯の詩業がたしか15万行というのをどこかで読んで、その数よりも、「え、詩ってそういうふうにカウントすんねや!」と驚いたことがあるが(笑)、ユゴーの80年の生涯はまあ3万日ちょっとだから、生まれてから死ぬまで毎日5行の詩を書き続けて15万という、そういう数字だよね。
正岡子規は短歌は千数百くらい作っていたけど、俳句は2万句は作ってた。正岡子規は35歳だけど、20代から句作を始めてるから実質は十数年で句作を行っているので、これまた、1日5句程度作っている計算になる。
塚本邦雄という魔王は(歌人の格闘ゲームだれか出して)、1日10首を10年続けたとかいう話を聞いたことがあるが、それでも36,500首だよね。化物だけどね。
柿本人麻呂などは、長歌を合わせてもたしか100程度だったと思うんだけど、いつか、やってみたいと思うんだよね。1年で1首しかつくっちゃダメ、という1年を。どういう歌を残すんだろうね、そういう制約をうけた現代歌人は。
自選。
CDをビニール紐でつり下げて虹失って白しふるさと
人ひとり業を抱えて眠りおり己のような字のかたちにて
地の霊が顔寄せあっているごとし孟宗竹のさやぐ山裾(やますそ)
死を忘れた文明やよしあの日以後鼻息かかるほどそばで死は
四十を超えると翁、平安の光る男も応報の頃
生き物がまた我の前に死ににけり我が臆病を包むごとくに
ボロ雑巾のように酔えば一人を思ったり思わなかったり、思いも襤褸(らんる)
粘膜と先端の話するほどに離れてしまっておるぞ二人は
寂寥というほどもない寂しさはもうこれからはずっとあるなり
真白くもゴヤの巨人を思わせて五月の入道雲はおそろし
ともかくも線路は続く、障害の子を届けてから母はマックへ
一音が奥底(おうてい)に届き驚きつ現在の我が底をも知りて
流れては浮雲はもげて薄れゆきまた現れる、生死(しょうじ)あらねば
ふと、テルヤはテルヤになってから(2012/09/11)、どれくらい短歌をつくっているのか気になって、概算を出してみたのだが、2000首くらいはつくってそうだということがわかった。
文学において量というのは質以上に問題にされることはない。そりゃそうだ。ズキュンと撃ちぬく一首がない100の短歌の、何の意味があろう。
とはいえ、おそらく歌人は、自分がその生の折り返し地点を過ぎたことを知ったとき(それは往々にして過ぎてからそれとわかる)、あといくつの作品を作れるのか、考えない者はないだろう。
10代の学生だったころ、フランスの文豪ヴィクトル・ユゴーが、生涯の詩業がたしか15万行というのをどこかで読んで、その数よりも、「え、詩ってそういうふうにカウントすんねや!」と驚いたことがあるが(笑)、ユゴーの80年の生涯はまあ3万日ちょっとだから、生まれてから死ぬまで毎日5行の詩を書き続けて15万という、そういう数字だよね。
正岡子規は短歌は千数百くらい作っていたけど、俳句は2万句は作ってた。正岡子規は35歳だけど、20代から句作を始めてるから実質は十数年で句作を行っているので、これまた、1日5句程度作っている計算になる。
塚本邦雄という魔王は(歌人の格闘ゲームだれか出して)、1日10首を10年続けたとかいう話を聞いたことがあるが、それでも36,500首だよね。化物だけどね。
柿本人麻呂などは、長歌を合わせてもたしか100程度だったと思うんだけど、いつか、やってみたいと思うんだよね。1年で1首しかつくっちゃダメ、という1年を。どういう歌を残すんだろうね、そういう制約をうけた現代歌人は。
自選。
CDをビニール紐でつり下げて虹失って白しふるさと
人ひとり業を抱えて眠りおり己のような字のかたちにて
地の霊が顔寄せあっているごとし孟宗竹のさやぐ山裾(やますそ)
死を忘れた文明やよしあの日以後鼻息かかるほどそばで死は
四十を超えると翁、平安の光る男も応報の頃
生き物がまた我の前に死ににけり我が臆病を包むごとくに
ボロ雑巾のように酔えば一人を思ったり思わなかったり、思いも襤褸(らんる)
粘膜と先端の話するほどに離れてしまっておるぞ二人は
寂寥というほどもない寂しさはもうこれからはずっとあるなり
真白くもゴヤの巨人を思わせて五月の入道雲はおそろし
ともかくも線路は続く、障害の子を届けてから母はマックへ
一音が奥底(おうてい)に届き驚きつ現在の我が底をも知りて
流れては浮雲はもげて薄れゆきまた現れる、生死(しょうじ)あらねば
2014年05月の63首
砂糖水を飲みつつ帰るふるさとの幻想、口中あまったるくて
途絶する川とは知らずほそぼそと揺れたる水のあかるき冷気
ジャカード織機(しょっき)止まればここに巨大なる静謐生(あ)るる、滅亡のごと
CDをビニール紐でつり下げて虹失って白しふるさと
耕耘機の掘りだす虫を待ちながらカラスが十羽、また一羽来る
川上に吹き上がる風、野田川の逆に流れる水面(みなも)のあたり
人ひとり業を抱えて眠りおり己のような字のかたちにて
まだ土地に星近きまちの夜祭り三日月までが観に降りてきて
地の霊が顔寄せあっているごとし孟宗竹のさやぐ山裾(やますそ)
メインメモリの減ってゆく母、タケノコを焦がしてずっと言い訳をする
ふるさとはやがては挽歌、人のない通りを明るい風ぬけてゆく
この裏の畑が母を微笑ますすかんぽを抜く、スミレは可憐
寺にある鳥居をくぐり境内はまばらにスミレ、人知らず咲く
玄関に石載せた白き紙あれば電線に墨で啄(たく)、つばくらめ
切れぎれのネット接続タイムラインに君の叫びを聞いた、気が、し、
休耕地にスズメがあそぶ、シナントロープのくせに減りゆく人を憂えず
死を忘れた文明やよしあの日以後鼻息かかるほどそばで死は
音楽は崩れくずれて賛美歌のフレーズまぎれてきわだつごとし
肉の輪を腰に重ねて巻いている女が奥で飲むカウンター
ドライブという語のドライブ感もなく君を運んで君にさよなら
久々のワインの酔いを覚ますためコーラを飲んで黒き舌あらう
四十を超えると翁、平安の光る男も応報の頃
Wが付くってことは世界だろう世界ってことは凄いのである
差別するこころを差別するこころ、言葉ではない、ラムラムザザム
綺麗なる顔で道路の真ん中で猫が寝ている、いや、死んでいた
強力な力が命にぶつかれば未来がぜんぶ身を出(いで)て消ゆ
おいそこの少し離れて休んでる小さくたくましい春雀(はるすずめ)
風食えばふくらむばかりの鯉のぼりをふるさとの景と更(か)えて帰り来
カーテンを閉めきった部屋で丸鏡だけがましろくひかりたる朝
カメラレンズの内側に棲む黴(かび)もまた目に見えぬうちはあるとは言えず
生きることに理由はなくてこけまろび老ハムスターが歩かんとする
生き物がまた我の前に死ににけり我が臆病を包むごとくに
野良猫は自由な猫と異国では呼ばれいるらし、その死も自由
水木しげるが描きそうなそのやわらかく尖(とが)るうわくちびるに触れたし
靴の紐ほどけたままで朝早い少年と我はすれ違いたり
いつまでも半音階の旋律が落ち着きたがっているような生
この天地含めて私、ごろごろとその死と生を諾(うべな)い転(まろ)ぶ
時効ならぬ犯人像と服装が張り出され色あせて駅前
ボロ雑巾のように酔えば一人を思ったり思わなかったり、思いも襤褸(らんる)
ディンギーは海の近景、そのもっと手前にパラソルの影なる女
雨音がかき消す音に紛らせて祈りの言葉唱えては消す
粘膜と先端の話するほどに離れてしまっておるぞ二人は
寂寥というほどもない寂しさはもうこれからはずっとあるなり
家庭とは幾滴の毒、舌先のしびれて酒に酔ったまま寝る
真白くもゴヤの巨人を思わせて五月の入道雲はおそろし
駅前の花屋のように季節とはその背を曲げて色を揃えて
駅前をふと戦前と読み違え街の景色の意味が変われり
失敗を避けおれば憂し、二回目がないのに試行錯誤の生の
理由なき反抗の熱を育みて運動会ではしゃぐ子供は
土を掘るみたいに発掘するデータの輪郭を払うような手の癖
いやおうなく人は形となりゆくを常田健描く農のいとなみ
ともかくも線路は続く、障害の子を届けてから母はマックへ
卑屈さは決め込めば楽、チョコレートの包装紙握り背景と消え
愛情を数式として時間とか距離・金銭を剰余する君
漬物石の角(かど)やわらかく少し長くさだめのようにつけものを圧(お)す
前世紀人特有の臭いがも気になりはじめ沈黙の増ゆ
植栽のつつじのそばに雑草のポピーポピポピ咲いていたりき
一音が奥底(おうてい)に届き驚きつ現在の我が底をも知りて
百年で生は死となり死は時に九十九(つくも)を経(ふ)れば覚むると謂えり
歌を持たぬ民族はないと美しく語れど思う、人や場所など
咲き終えたつつじの花に巣を張って蜘蛛の姿のなき謳歌なり
流れては浮雲はもげて薄れゆきまた現れる、生死(しょうじ)あらねば
わが身内(みぬち)の井戸に落ちたるウォレットの手に届かぬが耳には早し
途絶する川とは知らずほそぼそと揺れたる水のあかるき冷気
ジャカード織機(しょっき)止まればここに巨大なる静謐生(あ)るる、滅亡のごと
CDをビニール紐でつり下げて虹失って白しふるさと
耕耘機の掘りだす虫を待ちながらカラスが十羽、また一羽来る
川上に吹き上がる風、野田川の逆に流れる水面(みなも)のあたり
人ひとり業を抱えて眠りおり己のような字のかたちにて
まだ土地に星近きまちの夜祭り三日月までが観に降りてきて
地の霊が顔寄せあっているごとし孟宗竹のさやぐ山裾(やますそ)
メインメモリの減ってゆく母、タケノコを焦がしてずっと言い訳をする
ふるさとはやがては挽歌、人のない通りを明るい風ぬけてゆく
この裏の畑が母を微笑ますすかんぽを抜く、スミレは可憐
寺にある鳥居をくぐり境内はまばらにスミレ、人知らず咲く
玄関に石載せた白き紙あれば電線に墨で啄(たく)、つばくらめ
切れぎれのネット接続タイムラインに君の叫びを聞いた、気が、し、
休耕地にスズメがあそぶ、シナントロープのくせに減りゆく人を憂えず
死を忘れた文明やよしあの日以後鼻息かかるほどそばで死は
音楽は崩れくずれて賛美歌のフレーズまぎれてきわだつごとし
肉の輪を腰に重ねて巻いている女が奥で飲むカウンター
ドライブという語のドライブ感もなく君を運んで君にさよなら
久々のワインの酔いを覚ますためコーラを飲んで黒き舌あらう
四十を超えると翁、平安の光る男も応報の頃
Wが付くってことは世界だろう世界ってことは凄いのである
差別するこころを差別するこころ、言葉ではない、ラムラムザザム
綺麗なる顔で道路の真ん中で猫が寝ている、いや、死んでいた
強力な力が命にぶつかれば未来がぜんぶ身を出(いで)て消ゆ
おいそこの少し離れて休んでる小さくたくましい春雀(はるすずめ)
風食えばふくらむばかりの鯉のぼりをふるさとの景と更(か)えて帰り来
カーテンを閉めきった部屋で丸鏡だけがましろくひかりたる朝
カメラレンズの内側に棲む黴(かび)もまた目に見えぬうちはあるとは言えず
生きることに理由はなくてこけまろび老ハムスターが歩かんとする
生き物がまた我の前に死ににけり我が臆病を包むごとくに
野良猫は自由な猫と異国では呼ばれいるらし、その死も自由
水木しげるが描きそうなそのやわらかく尖(とが)るうわくちびるに触れたし
靴の紐ほどけたままで朝早い少年と我はすれ違いたり
いつまでも半音階の旋律が落ち着きたがっているような生
この天地含めて私、ごろごろとその死と生を諾(うべな)い転(まろ)ぶ
時効ならぬ犯人像と服装が張り出され色あせて駅前
ボロ雑巾のように酔えば一人を思ったり思わなかったり、思いも襤褸(らんる)
ディンギーは海の近景、そのもっと手前にパラソルの影なる女
雨音がかき消す音に紛らせて祈りの言葉唱えては消す
粘膜と先端の話するほどに離れてしまっておるぞ二人は
寂寥というほどもない寂しさはもうこれからはずっとあるなり
家庭とは幾滴の毒、舌先のしびれて酒に酔ったまま寝る
真白くもゴヤの巨人を思わせて五月の入道雲はおそろし
駅前の花屋のように季節とはその背を曲げて色を揃えて
駅前をふと戦前と読み違え街の景色の意味が変われり
失敗を避けおれば憂し、二回目がないのに試行錯誤の生の
理由なき反抗の熱を育みて運動会ではしゃぐ子供は
土を掘るみたいに発掘するデータの輪郭を払うような手の癖
いやおうなく人は形となりゆくを常田健描く農のいとなみ
ともかくも線路は続く、障害の子を届けてから母はマックへ
卑屈さは決め込めば楽、チョコレートの包装紙握り背景と消え
愛情を数式として時間とか距離・金銭を剰余する君
漬物石の角(かど)やわらかく少し長くさだめのようにつけものを圧(お)す
前世紀人特有の臭いがも気になりはじめ沈黙の増ゆ
植栽のつつじのそばに雑草のポピーポピポピ咲いていたりき
一音が奥底(おうてい)に届き驚きつ現在の我が底をも知りて
百年で生は死となり死は時に九十九(つくも)を経(ふ)れば覚むると謂えり
歌を持たぬ民族はないと美しく語れど思う、人や場所など
咲き終えたつつじの花に巣を張って蜘蛛の姿のなき謳歌なり
流れては浮雲はもげて薄れゆきまた現れる、生死(しょうじ)あらねば
わが身内(みぬち)の井戸に落ちたるウォレットの手に届かぬが耳には早し
2015年11月29日日曜日
2013年05月作品雑感。
前回は文系不要論的な話をしましたが、古くは夏目漱石の小説なども一段低級な娯楽と考えられていたように、文学といわれる存在がなにか高尚な、立派なものであった時代というのはそもそも少なくて、現在は文学が低迷しているように見えているけれども、やはり日本の戦後がちょっと特殊だったのではないか、というふうに思ったりします。
文学は、かつて心理学が普及しだした頃も、文学なんて不要に思われただろうし、情報処理技術が発展した頃も、文学の役目は奪われるように感じられたし、昨今では、社会学がことごとく現象に名前をつけてゆくので、文学がようやっと編み出した言葉も、ああ、〇〇のことね、と理解されてしまったりします。
NIMBYのエゴを正義にすり替えて傷つきたくない行列が行く
そうした時代に短歌表現は、気の利いた言葉あそびだったり、伝わりにくい個人感覚だったり、あるいは、用語のコミュニケータだったりしながら、ハイコンテクストに、誤解と理解の草をなびかせてゆく。
マザーグースのことばのようによみかえてよみかえてなお不思議なあなた
かつて、このまま短歌を続けるのはあまり良くないのではないか、と考えて、離れた時期があった。自分が、短歌を作ることで、自分は短歌的に思考し、世界を短歌的に切り取って理解する癖がついてしまったのではないか、と恐れたのだ。
国際化できえぬ宿痾、日本語が世界を日本語化して佇む
それについてはいろいろあって現在なわけですが、まあ短歌的というには、もうちょっと上手いのを作れよ、という声はおっしゃるとおりです。
自選。
ゴータミーの悲しみが消えたわけでなく孤独が加わって罌粟の咲む
新世紀13年目の休日を浴槽で少し居眠りをする
さわやかな初夏の電車の昼前の床にひとつの海月溶けおり
数日で消えると知りて洗面器にくらげを飼うことを許したる父
だんごむし死しては生まれ生まれして人間の終わる日を待ちにけり
今日の光を真白く受けて万華鏡の細片がぎこちなく落ちつづく
陽の光に部屋の埃の舞い上がるしばらく、ひとつの肯定ありぬ
文学は、かつて心理学が普及しだした頃も、文学なんて不要に思われただろうし、情報処理技術が発展した頃も、文学の役目は奪われるように感じられたし、昨今では、社会学がことごとく現象に名前をつけてゆくので、文学がようやっと編み出した言葉も、ああ、〇〇のことね、と理解されてしまったりします。
NIMBYのエゴを正義にすり替えて傷つきたくない行列が行く
そうした時代に短歌表現は、気の利いた言葉あそびだったり、伝わりにくい個人感覚だったり、あるいは、用語のコミュニケータだったりしながら、ハイコンテクストに、誤解と理解の草をなびかせてゆく。
マザーグースのことばのようによみかえてよみかえてなお不思議なあなた
かつて、このまま短歌を続けるのはあまり良くないのではないか、と考えて、離れた時期があった。自分が、短歌を作ることで、自分は短歌的に思考し、世界を短歌的に切り取って理解する癖がついてしまったのではないか、と恐れたのだ。
国際化できえぬ宿痾、日本語が世界を日本語化して佇む
それについてはいろいろあって現在なわけですが、まあ短歌的というには、もうちょっと上手いのを作れよ、という声はおっしゃるとおりです。
自選。
ゴータミーの悲しみが消えたわけでなく孤独が加わって罌粟の咲む
新世紀13年目の休日を浴槽で少し居眠りをする
さわやかな初夏の電車の昼前の床にひとつの海月溶けおり
数日で消えると知りて洗面器にくらげを飼うことを許したる父
だんごむし死しては生まれ生まれして人間の終わる日を待ちにけり
今日の光を真白く受けて万華鏡の細片がぎこちなく落ちつづく
陽の光に部屋の埃の舞い上がるしばらく、ひとつの肯定ありぬ
2013年05月の31首
海の名を冠した山の名の酒にひとしきり酔い五月、花桃
端末の電波の強度をタネにして知人と呑みつ、年古ればかく
檻を離(か)り森のけものとなる今も人間を見れば一声鳴けり
小書店に君の名前を見つけるも文体少し寒々しかり
兄の子を片手であやし失くすまで確かに持ちいし生の意味思う
紙魚跳ねて泳ぐ気配の古書店の正午を過ぎて思想かたよる
NIMBYのエゴを正義にすり替えて傷つきたくない行列が行く
マザーグースのことばのようによみかえてよみかえてなお不思議なあなた
国際化できえぬ宿痾、日本語が世界を日本語化して佇む
ゴータミーの悲しみが消えたわけでなく孤独が加わって罌粟の咲む
別れの日にこんな笑顔を見るなんて祭りのお面の中の汗顔
新世紀13年目の休日を浴槽で少し居眠りをする
十年を一日にして蝋燭の消えそうなまでうねって消えず
霊長のまなざしをもて森林とともに減りゆく生き物を観る
さわやかな初夏の電車の昼前の床にひとつの海月溶けおり
老兵というわけでなく、魂も肉体もすぐに君から去らむ
数日で消えると知りて洗面器にくらげを飼うことを許したる父
だんごむし死しては生まれ生まれして人間の終わる日を待ちにけり
今日の光を真白く受けて万華鏡の細片がぎこちなく落ちつづく
来世紀もクリックすると人類は思えず、遅い昼食に行く
あーあ、と嘆くほど土屋文明の歌面白く四十路のくるか
死者名簿を風通しして吹く風の去りしようにて居るここちする
板縁に腰かけて眺むあじさいの色決まる前のみどり若やか
「差別的」は差別か否か、「父親的」と牽制されて君に突っかかる
投影の技術のことを考えてプラネタリウムの時間終わりぬ
甘すぎるミルクティーなり、仕事から逃れて迷わず頼んだものは
花の降る午後に誰かが祝福を受けるにあらむ、泣くまいと思う
陽の光に部屋の埃の舞い上がるしばらく、ひとつの肯定ありぬ
気圧計で気圧の下降を確かめてこの失望を頭痛と知りぬ
枯れ枝の完全に枯れてしまうまで芯は青さに湿れるものか
生きている世界をうんと変えるべく夏断(げだ)ちをはじむ、世界とはわれ
端末の電波の強度をタネにして知人と呑みつ、年古ればかく
檻を離(か)り森のけものとなる今も人間を見れば一声鳴けり
小書店に君の名前を見つけるも文体少し寒々しかり
兄の子を片手であやし失くすまで確かに持ちいし生の意味思う
紙魚跳ねて泳ぐ気配の古書店の正午を過ぎて思想かたよる
NIMBYのエゴを正義にすり替えて傷つきたくない行列が行く
マザーグースのことばのようによみかえてよみかえてなお不思議なあなた
国際化できえぬ宿痾、日本語が世界を日本語化して佇む
ゴータミーの悲しみが消えたわけでなく孤独が加わって罌粟の咲む
別れの日にこんな笑顔を見るなんて祭りのお面の中の汗顔
新世紀13年目の休日を浴槽で少し居眠りをする
十年を一日にして蝋燭の消えそうなまでうねって消えず
霊長のまなざしをもて森林とともに減りゆく生き物を観る
さわやかな初夏の電車の昼前の床にひとつの海月溶けおり
老兵というわけでなく、魂も肉体もすぐに君から去らむ
数日で消えると知りて洗面器にくらげを飼うことを許したる父
だんごむし死しては生まれ生まれして人間の終わる日を待ちにけり
今日の光を真白く受けて万華鏡の細片がぎこちなく落ちつづく
来世紀もクリックすると人類は思えず、遅い昼食に行く
あーあ、と嘆くほど土屋文明の歌面白く四十路のくるか
死者名簿を風通しして吹く風の去りしようにて居るここちする
板縁に腰かけて眺むあじさいの色決まる前のみどり若やか
「差別的」は差別か否か、「父親的」と牽制されて君に突っかかる
投影の技術のことを考えてプラネタリウムの時間終わりぬ
甘すぎるミルクティーなり、仕事から逃れて迷わず頼んだものは
花の降る午後に誰かが祝福を受けるにあらむ、泣くまいと思う
陽の光に部屋の埃の舞い上がるしばらく、ひとつの肯定ありぬ
気圧計で気圧の下降を確かめてこの失望を頭痛と知りぬ
枯れ枝の完全に枯れてしまうまで芯は青さに湿れるものか
生きている世界をうんと変えるべく夏断(げだ)ちをはじむ、世界とはわれ
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