2018年4月7日土曜日

2016年02月の自選と雑感。

四月、に、何かをはじめたくなるのは、春が持っている力なのだろうか。それとも、年度が新しいという、数字の力なのだろうか。
これが正月だったりすると、あんな寒い日に、気持ちがあらたまるわけないから、あれは数字の力だ。
そのように考えると、四月が、4なのに新しい気持ちになるのは、純然たる春の力かもしれない。

まあ、何もはじめてないんだけどね。あ、ちょっとゲーム買ったな。

自選。

底流がさびしさなのだと気づいたらもう君の詩はぜんぶさびしき

湯の上を湯気がすべってゆくを見る6階あたりの露天にわれは

憎まれて去るのもよけれ、目の前で指まわす前に逃げるとんぼよ

失恋のつらいところぞ階段のどの足音もお前が来たる

病棟の白さにも慣れそうすると白というのもカラフルである

ワイン飲みパスタを食えばつくづくとイタリア人に生まれて、ないか

夕闇のダンプの下に猫がいて警戒を解くことなかりけり

気象庁があとで梅雨入り宣言をするようにシンギュラリティ過ぎぬ

先祖代々溺死の業を背負いつつつるっと明るく泳ぐイルカは

このままの孤独でいいか、ケトルには魚眼の部屋に男がひとり

お祈りのあとのコーラがほんとうに美味しかったと懐かしむきみ

ぼくを忘れて体も朽ちて霊だけになって今でも待ちたる猫よ

バッハばかり聴いていた日々破れたるフェンスの向こうに18世紀

悲しみは食卓にさめたたまご焼きを箸でそぼっと割りたるところ

貴様のような差別主義者の検閲屋は<censored>して<censored>しろ

ムーミンに侵食された雑貨屋のまとめて買わねばひとつも買わず

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