2018年4月22日日曜日

2016年03月の64首。パロディ短歌5首。

弥生には茶色い土がみるみると緑を生やす水なき川も

中島みゆき口ずさむほどご機嫌なきみでよかった雨の居酒屋

愛する人の激しいくしゃみ聞きながら花の粉まざる春の夜の更け

クレタ人がぼくはボットとつぶやいてそのうえ君は人だと言わる

しあわせは体力が要る生ぬるき空気にわれは春スクワット

籠の中の鳥さながらに鳴いている籠の中なる鳥出してやる

何百回考えてたか言わねども「わかる気がする」とて突きはなす

日本の朝を響(どよ)もす音楽の個々人の耳の中ばかりなる

春というその爆発の直前の腫れたつぼみのこわき快楽

幸いにいたる横線一本は気分を換える口元として

山や里や野は知らずだが都市部でも裂け目を滲み出るほどの春

母の作りし梅酒の味の落ちること次男にあれば悲しんで済む

青春のはるか遠くの春ゆえにやっと来たのに追憶に似て

眠すぎて千秋のような表情になっとるよさあ、明日へおやすみ

植え込みに子猫隠れていたりけりこの世の怖さ孤独に勝(まさ)り

十の剣で刺し持ち上げているような眼差しはこれを報いと呼ぶか

ぽつぽつりスマホの画面をキラキラと三色の光を拡げたる雨

どちらかはほんとうのぼくの夢でしたぶざまな生物のくせに恋う

君たちは生命の濃い時期だから愛で薄めてやらねば固し

小気味よく太ったきみはどうせならアンリマティスのような絵を描け

幸福のゆえに君はも語る死のよくわからない態度にて聴く

ゴロゴロと25ヘルツらしいけどゴロゴロゴロゴロしあわせだねえ

修行僧コーラを飲みてその他の欲望を耐う、おおきくおくび

横断歩道を鳩が歩いていたことがそんなに楽しい景色にきみは

過去はもう未来はいまだあらなくにいまのいのちの矢印を観る

今時の自動音声はやさしくて「いらっしゃいませ」とひらがなで書く

棒立ちの赤い男を眺めおり信号の向こうは春、なんつって

ハゲデブでなお陽気なる外国の男のように種族のごとし

通過する特急電車の前面にあっ飛び込んで今のまぼろし

ルノアールが背中を描(か)きたがるような女性がレジでさばくスーパー

この街を深く潜ってゆくほどにダイバーシティはひとつへ向かう

「生みます」を「海ます」なんて書くやうな名前の子供と思いつつ笑む

表現が誤解をされて残るとき謎の技巧に謎の生涯

ふたご座は鳥と言われてそうなんだ、蟹座はと訊けばカニと言われる

父の膝に自分を置きたい気持ちなど突然浮かぶ、まだあったんだ

人間は悲しいなあと言うたれば「ぼくが」と正(ただ)す友達が欲し

特急が駅を飛ばして現在に走る、わたしの立つ駅もまた

変なオブジェの、変なところを直したら存在そのものが問われいる

ヒッピーとナードが世界を書き換えてでも人間はまだ楽園は

ほんとうに古いのかはたエフェクトか分からぬ歴史を深く潜れど

表現は大きな声で言わないが肌なんであるもう数十年の

休日の午後バラエティ番組が聞こえる路地ぞ、空き地には春

点字ブロックひとすぢ並びその先にカラスがくびをかしげてをりぬ

電波だがソーラー機能は持たぬから光はさほど当てなくていい

人権がまとわりついて人類の可動部はいつも油を求む

春だから思想のことは置いといてきみのみじかい髪をほめよう

この先のさいわいやけに細くみえ死ぬよりもなお生くるが怖し

感涙をこらえたことのある顔になっているよと言わないでおく

一日中無口はきっと佗しいが独り言ならなおクるものぞ

地方でも美人は人の目を集めここでもいいと思う気持ちと

衆流(しゅうる)みな海へと流れいくことをかなしと思ううれしと思う

雑音にかきけされゆくカーラジオの音楽、遠き渋谷系とか

街の灯の一つひとつに人間の生活があることふとふしぎ

一の宮二の宮のある島に立ち歴史はどうも優しくあらず

残尿感を切ないと呼びはせぬようにこれはもう執着であるのだ

美しい悲しいものにそのそばに供えるために一輪があり

船頭は坑夫と成りて酒のめば陸蒸気など落ちろと思う

コーラなど高価な未来それ用のグラスで香りを楽しむものを

二人とも出かけてをればステンショで待ち合わせして食事しませう

コトノホカサビシイトコヘキチャッタナヒトクチノサケノルイセンニキテ

こむら返りで目が覚めてからごそごそとこむらの意味を検索をせり

いい意味で言葉のパティシエだと言われ悪い意味なる風味濃厚

元・風のメンバーだった大久保は元・猫だったと略歴で知る

ひとけない交差点には春巻いてビニール袋浮いては落ちず


#パロディ短歌
ボットでは ないボットでは ないボット ではないボット ではないボット

ボットではない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ラン!

Liquid Arts(株)に出向せよと月末に塩(salary)も叶わぬ、今のはアコギでんなあ

東海の小島の磯の同一の
助詞書きつらね
波線(なみ)とたわむる

からあげにレモンはいいやといったのにかけちゃったからサラダ記念日

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