2017年10月14日土曜日

2017年09月うたの日自作品の30首。

「デビュー」
クレジットカードデビューはわかるけど二本の指で挟むのはよせ

「ブーツ」
片足のブーツに引きこもったまま覗くときどき目があう、いいよ

「形」
褒められているのは形、まんざらでもないけどわりとしんどい形

「芋」
さつまいも二本が食事だったころの白米の夢、もう見ぬ夢か

「散」
この夏の花火大会は土砂降りで散々だった彼女ができた

「三日月」
天体の運行なかば狂気にて快方に向かう鬱の三日月

「曇」
しとしとと涙ふりだしさうな日の曇りだ、さうだ、サウナに行かう

「パラドックス」
ふたご座は二重人格とか言うがおとめの他は人格もない

「カマキリ」
カマキリは首かたむけて憶いだせぬ殺してやりたい人がいたこと

「自由詠」
現代に短歌を詠むということの君に見せるということの意味

「膿」
身内から出るからだろう、膿(うみしる)のくさい匂いに少し優しい

「店」
友よ寝るな! 浜崎あゆみ大音量の店は遭難したる雪山

「栗」
栗きんとんケーキと説明されたけどばあちゃんモンブラン知ってるよ

「送」
送り火の終わった夜にさびしさを不法投棄に君が来てくれた

「ススキ」
きみは月だぼくはススキだきみが好きだぼくは佐々木だ君も佐々木に

「黄色い花」
ひまわりは気狂い花だと言う父の息子と嫁の好きなひまわり

「イカ」
イカのワタをホイルで焼いて日本酒で嘗める、ほんとにここは地獄か?

「泡」
波頭の白は無数の泡にしてこころもち点々と筆置く

「ビタミン」
この人を耳の裏まで食べながら寝る前に別にビタミンは摂る

「松茸」
コンビニが教えてくれて秋だから松茸ごはん弁当にする

「水玉」
擦りつけた額の功徳、ここだけの撮影禁止の水玉でした

「なぞなぞ」
降参する大人がみたい甥っ子が即席したるずるいなぞなぞ

「ゴッホ」
過激なる伝道の過去を思い出しのたうちまわったベッドも描く

「唾」
欄干からぺっと吐き出すわたくしの遺伝情報、レゾンデートル?

「彼」
元彼にフォローされてるアカウントの私の日々は充実してる

「同情」
同情も4割くらいありまして残りは全部メロンパンです

「夕餉」
自分には自分の時間いくつある夕餉のかたち決めてから、うた

「返」
もう一度会うのだろうな、それまでに返信願望失くしておこう

「喜」
爪ほどの歓喜のためにぼくたちは——。雨が閉じゆく海を見ている

「首」
首の皮一枚で繋がっている関係ですね、さようなら首

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