2017年10月1日日曜日

2017年08月うたの日自作品の31首。

「暑」
冷房のおかげで暑くない夜だ魚にはもうなれない二人

「立」
刀剣の錆泡泡と包みいて立つものあればかく群がるを

「蝉」
ぼくたちの宇宙は蝉の腹のなか、とても儚い命だそうだ

「蜃気楼」
振り返ると彼はいなくて紙切れに蜃気楼2ノ5ノ1とあり

「浮き輪」
「溺れる者は"わら"って"water"のことかしら?」「発音良すぎほらっ浮き輪だ」

「厳島」
定番といえどもネタも古いので選ばずなりきもみじ饅頭

「あきらめ」
あきらめてないんだってね偉いなあそれじゃあぼくはあきらめようか

「真顔」
動物は動物みたいに生きていて真顔であるよ、人はどうして

「港」
パトカーが半円形で待っている港のような今日の告白

「自由詠」
あまりにも多忙な為に不善すら為せない日々よ、善はるかなる

「甲子園」
「めざせ甲子園!」の色紙が本棚にあるけどたぶん本人の字だ

「踏」
踏み込んだ話のできる関係にないぼくたちにやむ天気雨

「巣」
巣の中にこんまいたからもの入れてあるじが戻るからたからもの

「好きなアイス」
自転車できみの町まで来てしまいガリガリ君を食べたら帰る

「戦」
ながい長い永いいくさだ、このからだナマコとなっていくらか平安

「故郷」
ふるさとで終わらなかった生なだけ、簡易マックで何の涙ぞ

「の日」
カレンダーにクルトンの日と書いてありニワトリのように動揺しおり

「禁」
かあちゃんもとうちゃんもぼくも禁止事項を守っていれば幸せ家族

「風鈴」
ありていに言って地獄の毎日に風鈴のような君ではないか

「トカゲ」
こうやって止まってトカゲ、いのちとは動くか動かないことである

「よく」
頑張ると自分からよく言ったなあ金出したいのはおれだったのに

「漁」
メヌエットばかり弾いてたお嬢さん漁師に嫁いで幸せと聞く

「綾」
綾なしているは憂いや悲しみや面倒くささや君抱きたさや

「控」
控えめにいられることも強運だ鳴く蝉も鳴かぬ蝉もみえない

「歯」
歯を噛んで平気な顔をしています口角をうぃっと上げたりもして

「ほんの」
もう折れていたものだからきみのほんのちょっとの笑みに吹き出して泣いた

「髭」
状況はよくないけれど今朝の髭はきれいに揃えられたのである

「踵」
踵から地面に付ける走り方を「かかと時代」と呼ぶのが歴史

「誠」
誠実な人と書くのは止めましたサンボマスター二人続いて

「銭」
銭男はすべてを銭でみる男、上空を過ぎてゆく20億

「槍」
僧侶キャラの武器をしずかに考える槍と棍ではどちらが慈悲か

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