小休止。ひさしぶりにさるのサルベージのコーナー。
20首の連作。照屋がまだ、照屋と名乗っていなかった頃の作品。2009年3月2日。
「ビオレントリィ・フレンドシップ」 寺谷 猿堂
開口一番「きめえ!」と言われ「きもないわ!」という挨拶がある
本当をまっすぐ口にするよりはののしることでわかりあう場所
ラーメンを何時(なんじ)まで俺は語ったよ、結局いつもの深夜、ファミレス
「言葉を食うフクロウが居る」朝まだきの携帯メールは夜を纏(まと)うも
破られてまた継ぎ重ねし衣服から神経のようなひりひりと糸
自転車で堤防を刺さりつつ走る、あの橋で我は生まれ変わらん
河原夕方、身を寄せて座るアベックを振り返りみれば孤独のかたち
馴れ合いと少し違うな、ガラス片の言葉を投げて裂けてゆく手の
重装に寒さをしのぐ格好で装飾のない目が俺を見る
焼身自殺した友よりも美しく梅の花咲く時期がまた来た
失った友情を金に換えたあとかがやくビルの窓の斬光
「自殺って頭の切れるバカがやる病気だよね」と言われて殴る
俺はあいつを前を指すまま見捨てたりしないしぐさで緩(ゆる)めたらんか
ゴミバサミでビニール袋を引き上げて破れて水がこぼれる浜辺
ゆるすつもりで水道の水ゆるゆるとてのひらに垂れて冷たきこころ
友情はフレンドシップ、沖に出てみんなを乗せて遠景の船
自己否定のみぞれに顔を濡らしつつ女の口にぬくき舌入れる
何回目の春は一人で水を飲みむせ返る 外は風の旋回
文字数が思いの嵩(かさ)と限らない、湯に顔を沈めぶくぶく祈る
ブリジストンのタイヤのような太陽じゃん、石橋を叩き忘れて走れ
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