2018年7月29日日曜日

2016年08月の70首と、パロディ短歌2首と、川柳1句。

生きることはわめくことだと夏蝉は喜怒哀楽を超えて震える

水流がこの一族を洗いたる場にわれもまた初めて座る

きみどりの梅の実落ちてまひるまの坂を低負荷にてわれはゆく

切れぎれの森の電波を頼りつつきみを追うきみは電波のむこう

ときどきは子どもに自慢したろうか森田童子ののちの日々にも

素朴なるスコーンを食い素朴なる午後なりアーミッシュにあらざれど

贅肉がパカッと取れる夢覚めてこの喜びのやり場があらぬ

ふるさとの気づけば首が止まりたる扇風機のつむじ今年も叩く

目と耳は無限と接続されていて手はたったひとりの君へ伸び
(電子書籍について)

悪を討つために悪なる顔をする権現が彫られてより千年

屋外のトルソ(胴像)は憶(おも)う、抱きしめてもらえぬ刑はまだ序章なる

やや甘き恋かほのぼのあるあるかこじゃれた比喩の中から選べ

二階からtomorrowごしに見る世界、いな、とうもろこし畑のいなか

短歌とは氷のつるぎ、刺されても凶器はいつか血とともに溶(と)く
(ツイキャス提出の推敲として)

原爆忌に原爆を歌わず過ぎて三日後の二発目に気をつけろ

トイレでは音を気にせぬ性質(たち)だろうそういう奴が革命をなせ

女性リーダーに期待をしよう平等に男性リーダー並みの期待を

動物と祖父母と絶景そのほかは幾何学模様の写真展出づ

赤坂のアクセントしてきみがいう塚本邦雄がいまもたのしい

遅刻女になぜかひかれていた僕は今では遅刻のゆえに嫌いて

西瓜よりスイカバー欲しがるけれどたしかに皮も種もうまいが

メンマにも個性があって、あいつより長いとか太いとか(しかない)
(メンマ)

コンプレックスを隠し抱えている日々のリフレインするメロディに似て

要するに大脳基底核により振られたわけだ、ぢやあせうがない

『杯』二首

今でしょ! をいまごろ連呼するお前「杯先生だっけ?」酔ってる

六杯の艦隊がゆく日本海おれたちホタルイカなんだけど


薄めなるジントニックは新春の小川の上の雪の味して

人のために生きてるときに人になる生き物がいま地球を覆う

先達のひびきに白く神さびて、いやこの白いの黴じゃないのか
(先達扱いされて贈る)

むし暑くイライライライライラライあるあるじゃなくパッションじゃなく

お盆には電車が空いてその席を祖霊が座る(すれ違いじゃん)

杖と傘を両方持ってゆく父よ傘が微妙にがっかりしてる

青春が師匠とともにあったというこういう話はつまらないかな

生きてよかったあつい涙を止めるため大きめに鼻をかんでいるなり

どの国もわりとナチスと類似してひどいのでどこを褒めて伸ばすか

場外に咲く薔薇あつめ灼熱の熱風で彼が焼きつくす夢
(灼風氏風)

おっぱいが生み出す悲劇本人はそうは思ってないふしあれど

建設中の精舎に光さすを見てサーリプッタはいぶかしみおり

比喩としてキリンを言うならジラフとか呼べと夕日にあかきクレーン

願はくは望月如月会議にて苦の長引かぬその判定を

行き詰まるのが人生か生き物はそれぞれ洞穴抱(かか)えてぞ行く

悲惨さを伝えるために残しても風化してすこしカッコよくなる

飲んだのでさみしい気持ちがへとへとに疲れるまでのドライブならず

浴衣など着てはいないが夕暮れのぼくらは地味にロマンチックだ

西暦では今年は5000年らしいこんな時間にカレー食べてる
(付句まつり?)

おっさんがランチの写真アップしてつい文明の行く末おもう

良心の自由、塚本邦雄なら百日紅の零日目の喩へ

名月にあと十センチ届かないきみがため息ばかりつくから
(連歌の花道?)

2080年涙などないままに跡地にマスクなしで立ちおり

州浜には松もあるのに降りてくる神なき世なりほどなくて去る

安ワインを一本空けて明日からの永遠を前にへらへらしおり

水鳥が雨ふる川で一声をあげたらし、それは孤独にあらず

音楽がふいにぼくらにやさしくて掌(て)で頬に触る部分にも似て

人道的な首切り器械が残酷に見える時代よ、刃がいま光る

もう一度ショパンとリストの神の距離の違いを思う、「近い」が「遠い」

幽霊をさわやかに否定したのちの無霊の土地よ、いささ猥雑

鉢の土を二人で替える十年の痩せたる愛に驚きながら

弱音吐くくらいなら呑んで酔って寝る父の自慢話が聞きたい

新宿駅でぶつからず進むロボットをニンジャと呼んでうんざり未来

我が生はおのれで掴め、親猫が風とたたかう子猫を見おり

プライドのせいで今世ははい終わり風食のまだ立ってるかたち

先輩が恥ずかしそうにぼくに言う、俺の祈りは「助けて」だから

きみのことはすてるBOXだけれどもきみの手紙はとっとくBOX

深刻なつもりだけれど数えたら36時間まで満たぬ

捨てながら語るしあわせわたしはわたしだけでは出来ぬしあわせ

捨てながら姉妹はたぶんしあわせに近づいてゆく、たくさん捨てる

精神が安定しない生活が続くからきみを好きではあった

鼻髭の口をすぼめて微笑まる恩師、帰りに湯のごと嬉し

金持ちに転落しそうな時々の危機を避けつつあなたは生きる

聖者らの教えの雨に打たれいき電子書籍の液晶なのに


#パロディ短歌

体温計くわえた彼女に粥(かゆ)を炊く「ゆきひら」とさわぐ鍋のことかよ 

くれなゐの二票伸びたる薔薇の目のわたしの上に届かざりけり
(うたの日の薔薇について)


パピプペポ川柳
 
パピプペポにやられる助けパピプペポ

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