インターネットというものが、もう当たり前のものになって、インターネット論など論じる人がいなくなった。
それと同時に、いや、それよりはもうちょっと後になってからかな、インターネットが見せる景色が、頭打ちになっているような印象が現在はある。
偶然みたいな「せれんでぴてー」で、あっ、こんなホームページあったんだ、ブックマークしよ! みたいなこと、もうなくない? ブクマ登録って、最後にしたのいつだっけ? 現在のブクマって、ほとんと忘備か、メモくらいの意味しかない。
ツイッターのフォローが、現在のブックマークなのかもしれない。
そして、現在は、もう、フォローを追いかけるより、せまりくる不要な情報をブロックする時代になっている。
未来の寺山は、スマホを捨てよ、町へ出ようと言うだろうか。でもそれは、きょうび、たいへんに、孤独なことです。
自選
顔に色をつけて出かける性につき嘘というなら最初から嘘
ロック解除のスライドと同じ操作ゆえ音楽がふと爆音となる
比較的ありがちな未来に落ち着いて紙とビニルを引き剥がしおり
仕事用のハイエースにて駆けつけてくれて白象王(びゃくぞうおう)に乗るきみ
人間はほんとうにこわくないかしら狐のように首をかしげて
森の中に木を隠したる寺山の結局なにが隠れただろう
雨の夜を車が走る音聞こゆそのオノマトペ決めかねながら
やい宇宙、お前に投げ込まれたここでさびしさを捕食して生きてやる
いじめという無邪気な生の否定うけて夜道、黄泉路(よみぢ)になるまでくらし
猫はもう三世の因果を知っていて主人の来世を眺めては寝る
ノート手にハプスブルク家あったよねー懐かしいよねと笑う少女(おとめ)ら
ダルい体をごまかすように元気よく階段をあがる、ASIMOっぽいぞ
ファイティングニモとジェラシックパークのシュミレーションをディスクトップに
生きるとは野暮なんであるやさしさの余分分だけ現世に残る
あめふればわれらはくらげ水の中かさを広げて駅を出てゆく
もうどこにも行かない男とずっとそばにいてほしいわけではない女
精神の首輪のはなし、ちぎるとき首輪のつよさに負けたれば死ぬ
目線さえ合わせなければ逃げられる逃げているのをみているひとみ
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