自選。
「炎」
CDを炎の中に投げ入れる、思い出まんまな燃え方だった
「耐」
ひょっとして「耐え難きを」たえちゃんと「忍びがたきを」しのぶちゃんなの!?
「和」
ロマン派やシュトルムウントドランクを語りし友も和のはげあたま
「抜け殻」
あなたとはさよならだけど足指まできれいな抜け殻を置いてくね
「やばい」
早送りのシャーレの栄枯盛衰を笑って見てるおれらもやばい
「石鹸」
ぐりぬりとこの空の色を桃色の石鹸でえがくかっこいい君
「峰」
峰打ちじゃ、安心せいという声に安心しつつ落ちる武士われ
「ユウガオ」
ジョギングは恋だって習慣にする、この白いのはユウガオかしら
「癌」
対立ではなくて延長なのだろう空っぽの夜に星が少ない
「包丁」
明けぬ夜はないなんて話薄く切るその研がれないままの包丁
「反」
老いた叔父が小さき犬の散歩する反対勢力のごとし、跳ぶ犬
「皿」
スクランブルエッグを載せて白き朝、皿さらさらによりを戻さず
「帰」
あの明かりはきっと文明、帰れるぞ、電気まみれの消費社会に
「来」
僕の中の君の中のぼくのなかのきみを撮影して戻り来ないドローン
「殴」
元カノの俺より幸せそうな顔を見るようなみぞおちへのブロー
「夕刊」
なんとなく夕刊だった、日曜に爪切る時に広げる紙は
「だから」
まだそんな欲がわたしに噛みつくかだから紐、だから檻、だから餌
「など」
ドナドナの歌詞には6番まであって子牛は見事助け出される
2018年11月4日日曜日
2018年10月20日土曜日
2018年08月うたの日の自作品31首。
「快」
気前よくニコニコ承(う)けて快男児、無茶振りすれば笑って流す
「炎」
CDを炎の中に投げ入れる、思い出まんまな燃え方だった
「耐」
ひょっとして「耐え難きを」たえちゃんと「忍びがたきを」しのぶちゃんなの!?
「レーズン」
手を貸せるタイミングなのにレーズンの断面に触れた指がべたべた
「夕立」
去ったあとまだ乾いてもいないのに、夕立のようなそんな思い出
「山」
山道を間違えたかも「正々堂々」いつか「玉砕」のニュアンス帯びて
「端」
人類の最先端をかぶりつきキーンとこめかみを手で押さう
「クワガタ」
おじいちゃんとクワガタがいるイナカよりワイファイのあるじぶんちがいい
「和」
ロマン派やシュトルムウントドランクを語りし友も和のはげあたま
「自由詠」
元カレの着信音がポポポポポー、ドン・キホーテで思い出す罠
「抜け殻」
あなたとはさよならだけど足指まできれいな抜け殻を置いてくね
「やばい」
早送りのシャーレの栄枯盛衰を笑って見てるおれらもやばい
「自由詠」
寝そべって長編を読む夏休み二日目になんの筋肉痛か
「石鹸」
ぐりぬりとこの空の色を桃色の石鹸でえがくかっこいい君
「峰」
峰打ちじゃ、安心せいという声に安心しつつ落ちる武士われ
「緑」
お盆とは緑のまつり、大地からしたたる野菜を死者と食べあう
「1600色のクレヨンで描きたい絵」
1600分の一本はこれにするあのとき空に消えたアロワナ
「ユウガオ」
ジョギングは恋だって習慣にする、この白いのはユウガオかしら
「癌」
対立ではなくて延長なのだろう空っぽの夜に星が少ない
「包丁」
明けぬ夜はないなんて話薄く切るその研がれないままの包丁
「反」
老いた叔父が小さき犬の散歩する反対勢力のごとし、跳ぶ犬
「皿」
スクランブルエッグを載せて白き朝、皿さらさらによりを戻さず
「帰」
あの明かりはきっと文明、帰れるぞ、電気まみれの消費社会に
「来」
僕の中の君の中のぼくのなかのきみを撮影して戻り来ないドローン
「殴」
元カノの俺より幸せそうな顔を見るようなみぞおちへのブロー
「夕刊」
なんとなく夕刊だった、日曜に爪切る時に広げる紙は
「微」
メルセデスのどでかいエンブレムのような微笑だな、いや、僻みのせいか
「だから」
まだそんな欲がわたしに噛みつくかだから紐、だから檻、だから餌
「など」
ドナドナの歌詞には6番まであって子牛は見事助け出される
「カマキリ」
立ち上がり威嚇するわがシルエット、少年の目よもっと輝け
「沼」
たこ坊主はここに沈んでいるでしょう沼から沼へ渡り歩って
気前よくニコニコ承(う)けて快男児、無茶振りすれば笑って流す
「炎」
CDを炎の中に投げ入れる、思い出まんまな燃え方だった
「耐」
ひょっとして「耐え難きを」たえちゃんと「忍びがたきを」しのぶちゃんなの!?
「レーズン」
手を貸せるタイミングなのにレーズンの断面に触れた指がべたべた
「夕立」
去ったあとまだ乾いてもいないのに、夕立のようなそんな思い出
「山」
山道を間違えたかも「正々堂々」いつか「玉砕」のニュアンス帯びて
「端」
人類の最先端をかぶりつきキーンとこめかみを手で押さう
「クワガタ」
おじいちゃんとクワガタがいるイナカよりワイファイのあるじぶんちがいい
「和」
ロマン派やシュトルムウントドランクを語りし友も和のはげあたま
「自由詠」
元カレの着信音がポポポポポー、ドン・キホーテで思い出す罠
「抜け殻」
あなたとはさよならだけど足指まできれいな抜け殻を置いてくね
「やばい」
早送りのシャーレの栄枯盛衰を笑って見てるおれらもやばい
「自由詠」
寝そべって長編を読む夏休み二日目になんの筋肉痛か
「石鹸」
ぐりぬりとこの空の色を桃色の石鹸でえがくかっこいい君
「峰」
峰打ちじゃ、安心せいという声に安心しつつ落ちる武士われ
「緑」
お盆とは緑のまつり、大地からしたたる野菜を死者と食べあう
「1600色のクレヨンで描きたい絵」
1600分の一本はこれにするあのとき空に消えたアロワナ
「ユウガオ」
ジョギングは恋だって習慣にする、この白いのはユウガオかしら
「癌」
対立ではなくて延長なのだろう空っぽの夜に星が少ない
「包丁」
明けぬ夜はないなんて話薄く切るその研がれないままの包丁
「反」
老いた叔父が小さき犬の散歩する反対勢力のごとし、跳ぶ犬
「皿」
スクランブルエッグを載せて白き朝、皿さらさらによりを戻さず
「帰」
あの明かりはきっと文明、帰れるぞ、電気まみれの消費社会に
「来」
僕の中の君の中のぼくのなかのきみを撮影して戻り来ないドローン
「殴」
元カノの俺より幸せそうな顔を見るようなみぞおちへのブロー
「夕刊」
なんとなく夕刊だった、日曜に爪切る時に広げる紙は
「微」
メルセデスのどでかいエンブレムのような微笑だな、いや、僻みのせいか
「だから」
まだそんな欲がわたしに噛みつくかだから紐、だから檻、だから餌
「など」
ドナドナの歌詞には6番まであって子牛は見事助け出される
「カマキリ」
立ち上がり威嚇するわがシルエット、少年の目よもっと輝け
「沼」
たこ坊主はここに沈んでいるでしょう沼から沼へ渡り歩って
2018年7月30日月曜日
2016年8月自選や雑感。
ソシュールーーフェルディナン・ド・ソシュールのことを思う時、ふたつのことを考える。一つは、生前に彼は本を書かなかったこと、もうひとつは、晩年は、言語学に興味をなくし、アナグラムに没頭したこと。
彼の頭の中は、言語がからっぽになったわけではなかっただろう。いやむしろ、言葉に満ち満ちていただろう。そしてそれゆえに、彼はそういう、二種類の、沈黙をしたのだろう。
私は直接ソシュールをがっつり学んだわけではない。が、丸山圭三郎の本に出会ったとき、息が苦しくなるほど面白かったことが懐かしい。
ソシュールの晩年がアナグラムに没頭した日々であったことを知った時、それは甘美かつ恐ろしいことであった。今はどうかな。恐ろしくはないな。甘美は、甘美だな。あと他に、ああ、これは飢餓でもあったのかな、と思う。
短歌の話と関係なかったな。そういうことにしておく。
自選。
生きることはわめくことだと夏蝉は喜怒哀楽を超えて震える
切れぎれの森の電波を頼りつつきみを追うきみは電波のむこう
ときどきは子どもに自慢したろうか森田童子ののちの日々にも
素朴なるスコーンを食い素朴なる午後なりアーミッシュにあらざれど
ふるさとの気づけば首が止まりたる扇風機のつむじ今年も叩く
悪を討つために悪なる顔をする権現が彫られてより千年
屋外のトルソ(胴像)は憶(おも)う、抱きしめてもらえぬ刑はまだ序章なる
トイレでは音を気にせぬ性質(たち)だろうそういう奴が革命をなせ
六杯の艦隊がゆく日本海おれたちホタルイカなんだけど 「杯」
薄めなるジントニックは新春の小川の上の雪の味して
人のために生きてるときに人になる生き物がいま地球を覆う
青春が師匠とともにあったというこういう話はつまらないかな
どの国もわりとナチスと類似してひどいのでどこを褒めて伸ばすか
おっぱいが生み出す悲劇本人はそうは思ってないふしあれど
悲惨さを伝えるために残しても風化してすこしカッコよくなる
浴衣など着てはいないが夕暮れのぼくらは地味にロマンチックだ
良心の自由、塚本邦雄なら百日紅の零日目の喩へ
2080年涙などないままに跡地にマスクなしで立ちおり
安ワインを一本空けて明日からの永遠を前にへらへらしおり
音楽がふいにぼくらにやさしくて掌(て)で頬に触る部分にも似て
人道的な首切り器械が残酷に見える時代よ、刃がいま光る
幽霊をさわやかに否定したのちの無霊の土地よ、いささ猥雑
プライドのせいで今世ははい終わり風食のまだ立ってるかたち
先輩が恥ずかしそうにぼくに言う、俺の祈りは「助けて」だから
きみのことはすてるBOXだけれどもきみの手紙はとっとくBOX
鼻髭の口をすぼめて微笑まる恩師、帰りに湯のごと嬉し
彼の頭の中は、言語がからっぽになったわけではなかっただろう。いやむしろ、言葉に満ち満ちていただろう。そしてそれゆえに、彼はそういう、二種類の、沈黙をしたのだろう。
私は直接ソシュールをがっつり学んだわけではない。が、丸山圭三郎の本に出会ったとき、息が苦しくなるほど面白かったことが懐かしい。
ソシュールの晩年がアナグラムに没頭した日々であったことを知った時、それは甘美かつ恐ろしいことであった。今はどうかな。恐ろしくはないな。甘美は、甘美だな。あと他に、ああ、これは飢餓でもあったのかな、と思う。
短歌の話と関係なかったな。そういうことにしておく。
自選。
生きることはわめくことだと夏蝉は喜怒哀楽を超えて震える
切れぎれの森の電波を頼りつつきみを追うきみは電波のむこう
ときどきは子どもに自慢したろうか森田童子ののちの日々にも
素朴なるスコーンを食い素朴なる午後なりアーミッシュにあらざれど
ふるさとの気づけば首が止まりたる扇風機のつむじ今年も叩く
悪を討つために悪なる顔をする権現が彫られてより千年
屋外のトルソ(胴像)は憶(おも)う、抱きしめてもらえぬ刑はまだ序章なる
トイレでは音を気にせぬ性質(たち)だろうそういう奴が革命をなせ
六杯の艦隊がゆく日本海おれたちホタルイカなんだけど 「杯」
薄めなるジントニックは新春の小川の上の雪の味して
人のために生きてるときに人になる生き物がいま地球を覆う
青春が師匠とともにあったというこういう話はつまらないかな
どの国もわりとナチスと類似してひどいのでどこを褒めて伸ばすか
おっぱいが生み出す悲劇本人はそうは思ってないふしあれど
悲惨さを伝えるために残しても風化してすこしカッコよくなる
浴衣など着てはいないが夕暮れのぼくらは地味にロマンチックだ
良心の自由、塚本邦雄なら百日紅の零日目の喩へ
2080年涙などないままに跡地にマスクなしで立ちおり
安ワインを一本空けて明日からの永遠を前にへらへらしおり
音楽がふいにぼくらにやさしくて掌(て)で頬に触る部分にも似て
人道的な首切り器械が残酷に見える時代よ、刃がいま光る
幽霊をさわやかに否定したのちの無霊の土地よ、いささ猥雑
プライドのせいで今世ははい終わり風食のまだ立ってるかたち
先輩が恥ずかしそうにぼくに言う、俺の祈りは「助けて」だから
きみのことはすてるBOXだけれどもきみの手紙はとっとくBOX
鼻髭の口をすぼめて微笑まる恩師、帰りに湯のごと嬉し
2018年7月29日日曜日
2016年08月の70首と、パロディ短歌2首と、川柳1句。
生きることはわめくことだと夏蝉は喜怒哀楽を超えて震える
水流がこの一族を洗いたる場にわれもまた初めて座る
きみどりの梅の実落ちてまひるまの坂を低負荷にてわれはゆく
切れぎれの森の電波を頼りつつきみを追うきみは電波のむこう
ときどきは子どもに自慢したろうか森田童子ののちの日々にも
素朴なるスコーンを食い素朴なる午後なりアーミッシュにあらざれど
贅肉がパカッと取れる夢覚めてこの喜びのやり場があらぬ
ふるさとの気づけば首が止まりたる扇風機のつむじ今年も叩く
目と耳は無限と接続されていて手はたったひとりの君へ伸び
(電子書籍について)
悪を討つために悪なる顔をする権現が彫られてより千年
屋外のトルソ(胴像)は憶(おも)う、抱きしめてもらえぬ刑はまだ序章なる
やや甘き恋かほのぼのあるあるかこじゃれた比喩の中から選べ
二階からtomorrowごしに見る世界、いな、とうもろこし畑のいなか
短歌とは氷のつるぎ、刺されても凶器はいつか血とともに溶(と)く
(ツイキャス提出の推敲として)
原爆忌に原爆を歌わず過ぎて三日後の二発目に気をつけろ
トイレでは音を気にせぬ性質(たち)だろうそういう奴が革命をなせ
女性リーダーに期待をしよう平等に男性リーダー並みの期待を
動物と祖父母と絶景そのほかは幾何学模様の写真展出づ
赤坂のアクセントしてきみがいう塚本邦雄がいまもたのしい
遅刻女になぜかひかれていた僕は今では遅刻のゆえに嫌いて
西瓜よりスイカバー欲しがるけれどたしかに皮も種もうまいが
メンマにも個性があって、あいつより長いとか太いとか(しかない)
(メンマ)
コンプレックスを隠し抱えている日々のリフレインするメロディに似て
要するに大脳基底核により振られたわけだ、ぢやあせうがない
『杯』二首
今でしょ! をいまごろ連呼するお前「杯先生だっけ?」酔ってる
六杯の艦隊がゆく日本海おれたちホタルイカなんだけど
薄めなるジントニックは新春の小川の上の雪の味して
人のために生きてるときに人になる生き物がいま地球を覆う
先達のひびきに白く神さびて、いやこの白いの黴じゃないのか
(先達扱いされて贈る)
むし暑くイライライライライラライあるあるじゃなくパッションじゃなく
お盆には電車が空いてその席を祖霊が座る(すれ違いじゃん)
杖と傘を両方持ってゆく父よ傘が微妙にがっかりしてる
青春が師匠とともにあったというこういう話はつまらないかな
生きてよかったあつい涙を止めるため大きめに鼻をかんでいるなり
どの国もわりとナチスと類似してひどいのでどこを褒めて伸ばすか
場外に咲く薔薇あつめ灼熱の熱風で彼が焼きつくす夢
(灼風氏風)
おっぱいが生み出す悲劇本人はそうは思ってないふしあれど
建設中の精舎に光さすを見てサーリプッタはいぶかしみおり
比喩としてキリンを言うならジラフとか呼べと夕日にあかきクレーン
願はくは望月如月会議にて苦の長引かぬその判定を
行き詰まるのが人生か生き物はそれぞれ洞穴抱(かか)えてぞ行く
悲惨さを伝えるために残しても風化してすこしカッコよくなる
飲んだのでさみしい気持ちがへとへとに疲れるまでのドライブならず
浴衣など着てはいないが夕暮れのぼくらは地味にロマンチックだ
西暦では今年は5000年らしいこんな時間にカレー食べてる
(付句まつり?)
おっさんがランチの写真アップしてつい文明の行く末おもう
良心の自由、塚本邦雄なら百日紅の零日目の喩へ
名月にあと十センチ届かないきみがため息ばかりつくから
(連歌の花道?)
2080年涙などないままに跡地にマスクなしで立ちおり
州浜には松もあるのに降りてくる神なき世なりほどなくて去る
安ワインを一本空けて明日からの永遠を前にへらへらしおり
水鳥が雨ふる川で一声をあげたらし、それは孤独にあらず
音楽がふいにぼくらにやさしくて掌(て)で頬に触る部分にも似て
人道的な首切り器械が残酷に見える時代よ、刃がいま光る
もう一度ショパンとリストの神の距離の違いを思う、「近い」が「遠い」
幽霊をさわやかに否定したのちの無霊の土地よ、いささ猥雑
鉢の土を二人で替える十年の痩せたる愛に驚きながら
弱音吐くくらいなら呑んで酔って寝る父の自慢話が聞きたい
新宿駅でぶつからず進むロボットをニンジャと呼んでうんざり未来
我が生はおのれで掴め、親猫が風とたたかう子猫を見おり
プライドのせいで今世ははい終わり風食のまだ立ってるかたち
先輩が恥ずかしそうにぼくに言う、俺の祈りは「助けて」だから
きみのことはすてるBOXだけれどもきみの手紙はとっとくBOX
深刻なつもりだけれど数えたら36時間まで満たぬ
捨てながら語るしあわせわたしはわたしだけでは出来ぬしあわせ
捨てながら姉妹はたぶんしあわせに近づいてゆく、たくさん捨てる
精神が安定しない生活が続くからきみを好きではあった
鼻髭の口をすぼめて微笑まる恩師、帰りに湯のごと嬉し
金持ちに転落しそうな時々の危機を避けつつあなたは生きる
聖者らの教えの雨に打たれいき電子書籍の液晶なのに
#パロディ短歌
体温計くわえた彼女に粥(かゆ)を炊く「ゆきひら」とさわぐ鍋のことかよ
くれなゐの二票伸びたる薔薇の目のわたしの上に届かざりけり
(うたの日の薔薇について)
パピプペポ川柳
パピプペポにやられる助けパピプペポ
水流がこの一族を洗いたる場にわれもまた初めて座る
きみどりの梅の実落ちてまひるまの坂を低負荷にてわれはゆく
切れぎれの森の電波を頼りつつきみを追うきみは電波のむこう
ときどきは子どもに自慢したろうか森田童子ののちの日々にも
素朴なるスコーンを食い素朴なる午後なりアーミッシュにあらざれど
贅肉がパカッと取れる夢覚めてこの喜びのやり場があらぬ
ふるさとの気づけば首が止まりたる扇風機のつむじ今年も叩く
目と耳は無限と接続されていて手はたったひとりの君へ伸び
(電子書籍について)
悪を討つために悪なる顔をする権現が彫られてより千年
屋外のトルソ(胴像)は憶(おも)う、抱きしめてもらえぬ刑はまだ序章なる
やや甘き恋かほのぼのあるあるかこじゃれた比喩の中から選べ
二階からtomorrowごしに見る世界、いな、とうもろこし畑のいなか
短歌とは氷のつるぎ、刺されても凶器はいつか血とともに溶(と)く
(ツイキャス提出の推敲として)
原爆忌に原爆を歌わず過ぎて三日後の二発目に気をつけろ
トイレでは音を気にせぬ性質(たち)だろうそういう奴が革命をなせ
女性リーダーに期待をしよう平等に男性リーダー並みの期待を
動物と祖父母と絶景そのほかは幾何学模様の写真展出づ
赤坂のアクセントしてきみがいう塚本邦雄がいまもたのしい
遅刻女になぜかひかれていた僕は今では遅刻のゆえに嫌いて
西瓜よりスイカバー欲しがるけれどたしかに皮も種もうまいが
メンマにも個性があって、あいつより長いとか太いとか(しかない)
(メンマ)
コンプレックスを隠し抱えている日々のリフレインするメロディに似て
要するに大脳基底核により振られたわけだ、ぢやあせうがない
『杯』二首
今でしょ! をいまごろ連呼するお前「杯先生だっけ?」酔ってる
六杯の艦隊がゆく日本海おれたちホタルイカなんだけど
薄めなるジントニックは新春の小川の上の雪の味して
人のために生きてるときに人になる生き物がいま地球を覆う
先達のひびきに白く神さびて、いやこの白いの黴じゃないのか
(先達扱いされて贈る)
むし暑くイライライライライラライあるあるじゃなくパッションじゃなく
お盆には電車が空いてその席を祖霊が座る(すれ違いじゃん)
杖と傘を両方持ってゆく父よ傘が微妙にがっかりしてる
青春が師匠とともにあったというこういう話はつまらないかな
生きてよかったあつい涙を止めるため大きめに鼻をかんでいるなり
どの国もわりとナチスと類似してひどいのでどこを褒めて伸ばすか
場外に咲く薔薇あつめ灼熱の熱風で彼が焼きつくす夢
(灼風氏風)
おっぱいが生み出す悲劇本人はそうは思ってないふしあれど
建設中の精舎に光さすを見てサーリプッタはいぶかしみおり
比喩としてキリンを言うならジラフとか呼べと夕日にあかきクレーン
願はくは望月如月会議にて苦の長引かぬその判定を
行き詰まるのが人生か生き物はそれぞれ洞穴抱(かか)えてぞ行く
悲惨さを伝えるために残しても風化してすこしカッコよくなる
飲んだのでさみしい気持ちがへとへとに疲れるまでのドライブならず
浴衣など着てはいないが夕暮れのぼくらは地味にロマンチックだ
西暦では今年は5000年らしいこんな時間にカレー食べてる
(付句まつり?)
おっさんがランチの写真アップしてつい文明の行く末おもう
良心の自由、塚本邦雄なら百日紅の零日目の喩へ
名月にあと十センチ届かないきみがため息ばかりつくから
(連歌の花道?)
2080年涙などないままに跡地にマスクなしで立ちおり
州浜には松もあるのに降りてくる神なき世なりほどなくて去る
安ワインを一本空けて明日からの永遠を前にへらへらしおり
水鳥が雨ふる川で一声をあげたらし、それは孤独にあらず
音楽がふいにぼくらにやさしくて掌(て)で頬に触る部分にも似て
人道的な首切り器械が残酷に見える時代よ、刃がいま光る
もう一度ショパンとリストの神の距離の違いを思う、「近い」が「遠い」
幽霊をさわやかに否定したのちの無霊の土地よ、いささ猥雑
鉢の土を二人で替える十年の痩せたる愛に驚きながら
弱音吐くくらいなら呑んで酔って寝る父の自慢話が聞きたい
新宿駅でぶつからず進むロボットをニンジャと呼んでうんざり未来
我が生はおのれで掴め、親猫が風とたたかう子猫を見おり
プライドのせいで今世ははい終わり風食のまだ立ってるかたち
先輩が恥ずかしそうにぼくに言う、俺の祈りは「助けて」だから
きみのことはすてるBOXだけれどもきみの手紙はとっとくBOX
深刻なつもりだけれど数えたら36時間まで満たぬ
捨てながら語るしあわせわたしはわたしだけでは出来ぬしあわせ
捨てながら姉妹はたぶんしあわせに近づいてゆく、たくさん捨てる
精神が安定しない生活が続くからきみを好きではあった
鼻髭の口をすぼめて微笑まる恩師、帰りに湯のごと嬉し
金持ちに転落しそうな時々の危機を避けつつあなたは生きる
聖者らの教えの雨に打たれいき電子書籍の液晶なのに
#パロディ短歌
体温計くわえた彼女に粥(かゆ)を炊く「ゆきひら」とさわぐ鍋のことかよ
くれなゐの二票伸びたる薔薇の目のわたしの上に届かざりけり
(うたの日の薔薇について)
パピプペポ川柳
パピプペポにやられる助けパピプペポ
2017年10月1日日曜日
2017年08月うたの日自選と雑感。
10月になって、さすがに少し涼しくなってきました。
8月の短歌を読んで、そこに「暑い」と書かれていても、そんな暑かったっけ? みたいになる。つまり、人間の脳とか心は、現在の身体の影響をものすごく受けるので、一生懸命記憶を呼び起こさないと、もう夏もわからない。
あと、鎌倉時代なんかは北の方はシベリアのように寒かった、みたいな話もあって、「暑い」「寒い」というのは、きわめて相対的なものなので、100年後に今の暑さを伝えることなんて、むずかしい。数値を示せばいいよ、という話ではないですよ。
自選など。
「暑」
冷房のおかげで暑くない夜だ魚にはもうなれない二人
「蝉」
ぼくたちの宇宙は蝉の腹のなか、とても儚い命だそうだ
「好きなアイス」
自転車できみの町まで来てしまいガリガリ君を食べたら帰る
「戦」
ながい長い永いいくさだ、このからだナマコとなっていくらか平安
「トカゲ」
こうやって止まってトカゲ、いのちとは動くか動かないことである
「漁」
メヌエットばかり弾いてたお嬢さん漁師に嫁いで幸せと聞く
「槍」
僧侶キャラの武器をしずかに考える槍と棍ではどちらが慈悲か
8月の短歌を読んで、そこに「暑い」と書かれていても、そんな暑かったっけ? みたいになる。つまり、人間の脳とか心は、現在の身体の影響をものすごく受けるので、一生懸命記憶を呼び起こさないと、もう夏もわからない。
あと、鎌倉時代なんかは北の方はシベリアのように寒かった、みたいな話もあって、「暑い」「寒い」というのは、きわめて相対的なものなので、100年後に今の暑さを伝えることなんて、むずかしい。数値を示せばいいよ、という話ではないですよ。
自選など。
「暑」
冷房のおかげで暑くない夜だ魚にはもうなれない二人
「蝉」
ぼくたちの宇宙は蝉の腹のなか、とても儚い命だそうだ
「好きなアイス」
自転車できみの町まで来てしまいガリガリ君を食べたら帰る
「戦」
ながい長い永いいくさだ、このからだナマコとなっていくらか平安
「トカゲ」
こうやって止まってトカゲ、いのちとは動くか動かないことである
「漁」
メヌエットばかり弾いてたお嬢さん漁師に嫁いで幸せと聞く
「槍」
僧侶キャラの武器をしずかに考える槍と棍ではどちらが慈悲か
2017年08月うたの日自作品の31首。
「暑」
冷房のおかげで暑くない夜だ魚にはもうなれない二人
「立」
刀剣の錆泡泡と包みいて立つものあればかく群がるを
「蝉」
ぼくたちの宇宙は蝉の腹のなか、とても儚い命だそうだ
「蜃気楼」
振り返ると彼はいなくて紙切れに蜃気楼2ノ5ノ1とあり
「浮き輪」
「溺れる者は"わら"って"water"のことかしら?」「発音良すぎほらっ浮き輪だ」
「厳島」
定番といえどもネタも古いので選ばずなりきもみじ饅頭
「あきらめ」
あきらめてないんだってね偉いなあそれじゃあぼくはあきらめようか
「真顔」
動物は動物みたいに生きていて真顔であるよ、人はどうして
「港」
パトカーが半円形で待っている港のような今日の告白
「自由詠」
あまりにも多忙な為に不善すら為せない日々よ、善はるかなる
「甲子園」
「めざせ甲子園!」の色紙が本棚にあるけどたぶん本人の字だ
「踏」
踏み込んだ話のできる関係にないぼくたちにやむ天気雨
「巣」
巣の中にこんまいたからもの入れてあるじが戻るからたからもの
「好きなアイス」
自転車できみの町まで来てしまいガリガリ君を食べたら帰る
「戦」
ながい長い永いいくさだ、このからだナマコとなっていくらか平安
「故郷」
ふるさとで終わらなかった生なだけ、簡易マックで何の涙ぞ
「の日」
カレンダーにクルトンの日と書いてありニワトリのように動揺しおり
「禁」
かあちゃんもとうちゃんもぼくも禁止事項を守っていれば幸せ家族
「風鈴」
ありていに言って地獄の毎日に風鈴のような君ではないか
「トカゲ」
こうやって止まってトカゲ、いのちとは動くか動かないことである
「よく」
頑張ると自分からよく言ったなあ金出したいのはおれだったのに
「漁」
メヌエットばかり弾いてたお嬢さん漁師に嫁いで幸せと聞く
「綾」
綾なしているは憂いや悲しみや面倒くささや君抱きたさや
「控」
控えめにいられることも強運だ鳴く蝉も鳴かぬ蝉もみえない
「歯」
歯を噛んで平気な顔をしています口角をうぃっと上げたりもして
「ほんの」
もう折れていたものだからきみのほんのちょっとの笑みに吹き出して泣いた
「髭」
状況はよくないけれど今朝の髭はきれいに揃えられたのである
「踵」
踵から地面に付ける走り方を「かかと時代」と呼ぶのが歴史
「誠」
誠実な人と書くのは止めましたサンボマスター二人続いて
「銭」
銭男はすべてを銭でみる男、上空を過ぎてゆく20億
「槍」
僧侶キャラの武器をしずかに考える槍と棍ではどちらが慈悲か
冷房のおかげで暑くない夜だ魚にはもうなれない二人
「立」
刀剣の錆泡泡と包みいて立つものあればかく群がるを
「蝉」
ぼくたちの宇宙は蝉の腹のなか、とても儚い命だそうだ
「蜃気楼」
振り返ると彼はいなくて紙切れに蜃気楼2ノ5ノ1とあり
「浮き輪」
「溺れる者は"わら"って"water"のことかしら?」「発音良すぎほらっ浮き輪だ」
「厳島」
定番といえどもネタも古いので選ばずなりきもみじ饅頭
「あきらめ」
あきらめてないんだってね偉いなあそれじゃあぼくはあきらめようか
「真顔」
動物は動物みたいに生きていて真顔であるよ、人はどうして
「港」
パトカーが半円形で待っている港のような今日の告白
「自由詠」
あまりにも多忙な為に不善すら為せない日々よ、善はるかなる
「甲子園」
「めざせ甲子園!」の色紙が本棚にあるけどたぶん本人の字だ
「踏」
踏み込んだ話のできる関係にないぼくたちにやむ天気雨
「巣」
巣の中にこんまいたからもの入れてあるじが戻るからたからもの
「好きなアイス」
自転車できみの町まで来てしまいガリガリ君を食べたら帰る
「戦」
ながい長い永いいくさだ、このからだナマコとなっていくらか平安
「故郷」
ふるさとで終わらなかった生なだけ、簡易マックで何の涙ぞ
「の日」
カレンダーにクルトンの日と書いてありニワトリのように動揺しおり
「禁」
かあちゃんもとうちゃんもぼくも禁止事項を守っていれば幸せ家族
「風鈴」
ありていに言って地獄の毎日に風鈴のような君ではないか
「トカゲ」
こうやって止まってトカゲ、いのちとは動くか動かないことである
「よく」
頑張ると自分からよく言ったなあ金出したいのはおれだったのに
「漁」
メヌエットばかり弾いてたお嬢さん漁師に嫁いで幸せと聞く
「綾」
綾なしているは憂いや悲しみや面倒くささや君抱きたさや
「控」
控えめにいられることも強運だ鳴く蝉も鳴かぬ蝉もみえない
「歯」
歯を噛んで平気な顔をしています口角をうぃっと上げたりもして
「ほんの」
もう折れていたものだからきみのほんのちょっとの笑みに吹き出して泣いた
「髭」
状況はよくないけれど今朝の髭はきれいに揃えられたのである
「踵」
踵から地面に付ける走り方を「かかと時代」と呼ぶのが歴史
「誠」
誠実な人と書くのは止めましたサンボマスター二人続いて
「銭」
銭男はすべてを銭でみる男、上空を過ぎてゆく20億
「槍」
僧侶キャラの武器をしずかに考える槍と棍ではどちらが慈悲か
2017年9月30日土曜日
2015年08月の作品と雑感。
すぐに、思いを発表できる時代に、短歌は、どうなるのか。時間と空間がその制限をうしなって、ほとんど4次元空間を生きていることを、短歌は、どう受け止められているのか。
そういう問いを、いま持てるのは、前の方にいる人なんだと思う。誰が前にいるだろう?
あんまり雑感もないでいいや。
自選など。
この時期に長袖を着ざるをえぬ娘の目は哀しくて美しきなり
そういう問いを、いま持てるのは、前の方にいる人なんだと思う。誰が前にいるだろう?
あんまり雑感もないでいいや。
自選など。
この時期に長袖を着ざるをえぬ娘の目は哀しくて美しきなり
迷いたるわれに方角示すため撒き散らされた星、隠す雲
夏の陽のやわらぎはじむ夕方にうづまき点けて座る路地あり
ブルドッグぶるぶるからだふるわせて飛んでいきそうなのを踏ん張る
竹膜を隔てるように薄くまで近づきながら百年触れぬ
昼去ればもう閉じて揺れぬおじぎ草冬を越えぬというが貰いぬ
ツイッターの床屋談義は楽しくて義憤に差別をすこし添えれば
運転をせねば事故など起こさねば縮小しゆく生の一理は
雨の中蝉がわあわあ鳴いていて物語なき今日のはじまり
われもまた形式だけを受け渡し文字積んで歌と呼ぶ一行の
研ぎ澄んだ思想は人を殺すので澄みそうになると口あけており
野良猫の子が鳴いている、雨あがりの冷えたる朝のまづしき底に
いのちとは地球の無数の指だから殺しても殺してもこんちは
人生はばつばつにまるばつにまる、死の採点は残してあそぶ
あらすずし朝のシャワーの国じゅうの乳首の立ちて秋の色する
太陽に顔を圧(お)されて逆光の為です君を眩しく見おり
この先は因果の強い結界でぼくは行けない君はさよなら
孫と手をつないで祖父はなんとなく贖罪のような優しさにいる
「明日もここで待ちます」という字もかすれ伝言板がしずかに朽ちる
2015年08月の63首。
平静の土日であるが夏休みのようにエアコン効いているなり
このようにむし暑い日はパウルツェランのつぇらんの顔でやり過ごすべし
この時期に長袖を着ざるをえぬ娘の目は哀しくて美しきなり
太陽が疾(と)く狂えよと嗤(わら)うのでいやだとひとり大声を出す
朝顔が紫の穴を開けているこの時間だけ向こうはありぬ
いっせいにサウナのドアを開けはなち、さわやかに言ってみれども暑し
迷いたるわれに方角示すため撒き散らされた星、隠す雲
夏の陽のやわらぎはじむ夕方にうづまき点けて座る路地あり
正解はないというのにたぶんもう星辰占察ごと間違える
窓屋根の狭いところに寝そべって電車ボンヤリ、尻尾をパタン
ブルドッグぶるぶるからだふるわせて飛んでいきそうなのを踏ん張る
ベランダの室外機の下うづくまり許されるのを長く待ちいし
返歌
そうなのだソーダのなかの無数なる小爆発を呑めば清(すが)しも
ソファの上のスマホのバイブくぐもって言葉にできぬ不満のごとし
原爆を使いたい奴に原爆を使いたい、蝉は死ぬまで鳴けり
見る男はもう世界への入り口の入り方すら忘れても見る
tears in heaven をテープで聴いていた歌詞などはずっとのちに知ること
水曜は鳥にごちそう、ミレットの半分を挿してこっつくを見る
スピッツの愛のことばのイントロでぐわっとくるね(それを言うのね)
竹膜を隔てるように薄くまで近づきながら百年触れぬ
サツマイモのようなジャガイモ食いながらせつない地方都市の夜は更(ふ)く
昼去ればもう閉じて揺れぬおじぎ草冬を越えぬというが貰いぬ
バラ園にむせ返る香のタオル巻いて手入れする男も香りおり
8月の中旬首都より離(さか)りゆきホームの人のすこしうれしき
湿原をまっすぐ通るアスファルト、人間が過ぎるまでは静寂
居酒屋の難民歩くゆうぐれの駅前、振り返るたびに暗し
無差別の殺戮のあと音もなく訪れるこの無差別の加護
音もなく燃える炎の夕方が夜に呑まれて祭りが動く
少しずつ貧しい国で並びつつ補てんのように笑顔の旅行
夜光バスオレンジ色の線ひいて地球の影を夜行してゆく
ツイッターの床屋談義は楽しくて義憤に差別をすこし添えれば
被害者がましろき加害者となりて被害者を生む景をみており
老衰ってなにと訊く子の無邪気さを涼とも思う、寥(りょう)とも思う
運転をせねば事故など起こさねば縮小しゆく生の一理は
スカルラッティ無限に続く回廊で君の姿を追いかけており
感性も電力量が決めていることもうすうす荒々しけり
雨の中蝉がわあわあ鳴いていて物語なき今日のはじまり
われもまた形式だけを受け渡し文字積んで歌と呼ぶ一行の
研ぎ澄んだ思想は人を殺すので澄みそうになると口あけており
優しさの過剰か不足かは知らず彼は相談せず死んでいく
わーっはっはっ魔王が笑っているような夏の桜の蝉の音(ね)のもと
うどんには胡乱(うろん)の音が含まれてそこはかと枝雀師匠の顔も
ピストルが手に入るなら撃たれてもいい君に渡しやさしく生きん
2リットル75円の水を買う飲みおわらねば流しておりぬ
夏休みにひとりで電車に乗ったこと話題にしたい四年生はも
野良猫の子が鳴いている、雨あがりの冷えたる朝のまづしき底に
その火力高ければ人は喜びて終わろうとする夏の花火の
しあわせはほとんど温度、適温で増減しつつ回る魚も
食べながら生きるのだからユニバースおおむねがつがつうまそうに食え
カチカチとトング鳴らしてドーナツ型の菓子選ぶとき人は前向き
いのちとは地球の無数の指だから殺しても殺してもこんちは
人生はばつばつにまるばつにまる、死の採点は残してあそぶ
あらすずし朝のシャワーの国じゅうの乳首の立ちて秋の色する
見上げればベニヤに反射する白を月と見紛(みまが)う、わが月である
ネットラジオのバッファも途切れ途切れなるバッハを聴けり、駄洒落などでは
小型犬は飼い主の腕で散歩して土掻(か)いて走る夢は寝てから
心理学なきゆえ無駄に性的にならねばショパンなども羨(とも)しき
太陽に顔を圧(お)されて逆光の為です君を眩しく見おり
この先は因果の強い結界でぼくは行けない君はさよなら
孫と手をつないで祖父はなんとなく贖罪のような優しさにいる
籠の鳥にぼくはひとつの全宇宙、きまぐれでざんこくでやさしい
「明日もここで待ちます」という字もかすれ伝言板がしずかに朽ちる
しかるべき感動と愛を引き換えてチャリティー番組明るき深夜
このようにむし暑い日はパウルツェランのつぇらんの顔でやり過ごすべし
この時期に長袖を着ざるをえぬ娘の目は哀しくて美しきなり
太陽が疾(と)く狂えよと嗤(わら)うのでいやだとひとり大声を出す
朝顔が紫の穴を開けているこの時間だけ向こうはありぬ
いっせいにサウナのドアを開けはなち、さわやかに言ってみれども暑し
迷いたるわれに方角示すため撒き散らされた星、隠す雲
夏の陽のやわらぎはじむ夕方にうづまき点けて座る路地あり
正解はないというのにたぶんもう星辰占察ごと間違える
窓屋根の狭いところに寝そべって電車ボンヤリ、尻尾をパタン
ブルドッグぶるぶるからだふるわせて飛んでいきそうなのを踏ん張る
ベランダの室外機の下うづくまり許されるのを長く待ちいし
返歌
そうなのだソーダのなかの無数なる小爆発を呑めば清(すが)しも
ソファの上のスマホのバイブくぐもって言葉にできぬ不満のごとし
原爆を使いたい奴に原爆を使いたい、蝉は死ぬまで鳴けり
見る男はもう世界への入り口の入り方すら忘れても見る
tears in heaven をテープで聴いていた歌詞などはずっとのちに知ること
水曜は鳥にごちそう、ミレットの半分を挿してこっつくを見る
スピッツの愛のことばのイントロでぐわっとくるね(それを言うのね)
竹膜を隔てるように薄くまで近づきながら百年触れぬ
サツマイモのようなジャガイモ食いながらせつない地方都市の夜は更(ふ)く
昼去ればもう閉じて揺れぬおじぎ草冬を越えぬというが貰いぬ
バラ園にむせ返る香のタオル巻いて手入れする男も香りおり
8月の中旬首都より離(さか)りゆきホームの人のすこしうれしき
湿原をまっすぐ通るアスファルト、人間が過ぎるまでは静寂
居酒屋の難民歩くゆうぐれの駅前、振り返るたびに暗し
無差別の殺戮のあと音もなく訪れるこの無差別の加護
音もなく燃える炎の夕方が夜に呑まれて祭りが動く
少しずつ貧しい国で並びつつ補てんのように笑顔の旅行
夜光バスオレンジ色の線ひいて地球の影を夜行してゆく
ツイッターの床屋談義は楽しくて義憤に差別をすこし添えれば
被害者がましろき加害者となりて被害者を生む景をみており
老衰ってなにと訊く子の無邪気さを涼とも思う、寥(りょう)とも思う
運転をせねば事故など起こさねば縮小しゆく生の一理は
スカルラッティ無限に続く回廊で君の姿を追いかけており
感性も電力量が決めていることもうすうす荒々しけり
雨の中蝉がわあわあ鳴いていて物語なき今日のはじまり
われもまた形式だけを受け渡し文字積んで歌と呼ぶ一行の
研ぎ澄んだ思想は人を殺すので澄みそうになると口あけており
優しさの過剰か不足かは知らず彼は相談せず死んでいく
わーっはっはっ魔王が笑っているような夏の桜の蝉の音(ね)のもと
うどんには胡乱(うろん)の音が含まれてそこはかと枝雀師匠の顔も
ピストルが手に入るなら撃たれてもいい君に渡しやさしく生きん
2リットル75円の水を買う飲みおわらねば流しておりぬ
夏休みにひとりで電車に乗ったこと話題にしたい四年生はも
野良猫の子が鳴いている、雨あがりの冷えたる朝のまづしき底に
その火力高ければ人は喜びて終わろうとする夏の花火の
しあわせはほとんど温度、適温で増減しつつ回る魚も
食べながら生きるのだからユニバースおおむねがつがつうまそうに食え
カチカチとトング鳴らしてドーナツ型の菓子選ぶとき人は前向き
いのちとは地球の無数の指だから殺しても殺してもこんちは
人生はばつばつにまるばつにまる、死の採点は残してあそぶ
あらすずし朝のシャワーの国じゅうの乳首の立ちて秋の色する
見上げればベニヤに反射する白を月と見紛(みまが)う、わが月である
ネットラジオのバッファも途切れ途切れなるバッハを聴けり、駄洒落などでは
小型犬は飼い主の腕で散歩して土掻(か)いて走る夢は寝てから
心理学なきゆえ無駄に性的にならねばショパンなども羨(とも)しき
太陽に顔を圧(お)されて逆光の為です君を眩しく見おり
この先は因果の強い結界でぼくは行けない君はさよなら
孫と手をつないで祖父はなんとなく贖罪のような優しさにいる
籠の鳥にぼくはひとつの全宇宙、きまぐれでざんこくでやさしい
「明日もここで待ちます」という字もかすれ伝言板がしずかに朽ちる
しかるべき感動と愛を引き換えてチャリティー番組明るき深夜
2016年9月4日日曜日
2016年08月うたの日自作品雑感。
9月に入ったので、キンドルの読み放題をはじめてみた。20日ほどはお試しになるのだろうが、こういうサービスは人の入りが少ないと簡単に終わったりするよね、と人に言われ、そうか、現代は安定しているからそのサービスを選ぶのではなく、選ぶことによってサービスの安定に寄与するように、ユーザが教育されているのだ、と思って登録した。
テルヤはあまり本を読んでいないので、ほとんど過去の適当な知識で話しているようなところがあって、これからはがんばって歌集も読むぞーと思っている。(まだ読んでない)
昨日は折口信夫の命日だったらしいので、夏休みに古本屋で買った『倭をぐな』をぱらぱらめくった。
国文学を研究してきた人間が、晩年に外国と戦争が起こり、負けたらこの言葉が滅びるかもしれない、となったときに、たとえば歌人が、戦争の敗北=短歌表現の廃止、を予感したときに、戦争の勝利に協力するのは、ロジックとして自然なことだったのではないかと思えてくる。
現代の日本のわれわれが「戦争反対」というとき、侵略と防衛がひとくくりにされているし、勝利と敗北も、善悪の判断も当事者でないようなポジションから語られることが多い。
戦争というのは問題解決の手段としてもっとも下層のレイヤー(力くらべ)まで落ちた状態に発生するもので、だから戦争反対するには、レイヤーを落とさない努力が必要だろう。あと、相手のレイヤーを落とさせないようにする必要もある。
短歌の話ぜんぜん関係ないな。いや、関係なくはないか。釈迢空読んでの感想でもあるし。
自選とコメント。
「後」
商店街ほどよくさびれぼくたちの前にも後ろにも揺れる夏
「氷」
焼酎の氷がなくてクーラーもない部屋で今日がその日になるか
※その日って何でしょうね。飾り気のない酒を飲んで、汗がひかないような場所で、そういう日常性がふっとぶようなその日。
「鼻歌」
うれしそうな顔ではないが鼻歌が聞こえて、きみと来れてよかった
「それから」
いじめられた記憶を捨てる何回も何回も何回も、それから
※脳っていうのは、思い出すたびに痛みも再現するらしいですね。捨て続けることで補強される記憶ってことですかね。
「蛾」
三千一人目に蝶と言われてもぼくはじぶんを信じられるか
※人が自分を信じられるのは、3人必要な気がします。「わたし」と「あなた」と、あと一人。
「自由詠」
ブラジルでゴジラが3000本打ってそのお言葉に連日猛暑
※うたの日は、10日はじゅう、自由詠の日みたいですね(この月は11日でしたが)。この歌はマルコフ連鎖っぽく、このころ話題になっている言葉を圧縮したような短歌。
「訳」
話すたび空気が凍る、最新のこの翻訳機壊れてねえか?
※未来の話かしら。翻訳機を使うってことは、それが正しく訳されているかを当人は判断できない、という歯がゆさがうたわれている。一方で、それは本当に翻訳機の故障なのか? 彼自身が空気の凍ることをしゃべって気づいていないのではないか? という、これも当人が自分を判断できない、という歯がゆさが二重になっている。
「空」
世界平和の最後のフェイズで選ばれる"力"、反転しゆく空想
※世界平和のモデルを空想していく時に、”力”は、どのように利用されるべきか。この空想では、ぎりぎりまで力は使わなかったが、一度使ってしまうと、オセロのように反転していったようだ。
「たられば」
きみたちはたとえば羽根が付いててもカニと呼ぶねとタラバが告げる
※タラバガニは、分類的にはカニではないのよね。でもカニっぽかったら、うまかったら、なんとかガニって名付けるよね。羽根つきガニとか。
「ピアス」
口裂け女がマックの肉を疑って耳たぶに視神経が垂れおり
※ピアスの都市伝説に、穴を空けると耳から糸が垂れていて、引っ張ると失明する、というのがかつてあった。これは禁忌がそういう物語を生んだ面白いケースだと思うが、これ、今でも知ってる人いるのかな。
「開」
開かれた校風なので存分に塞(ふさ)いでられると思ってたのに
「蝉」
道の上の死骸のなかにかつて有りし命よ、いまは何のかたちか
※幼虫が蝉になって、死もまた脱皮なのだとしたら、という着想。
テルヤはあまり本を読んでいないので、ほとんど過去の適当な知識で話しているようなところがあって、これからはがんばって歌集も読むぞーと思っている。(まだ読んでない)
昨日は折口信夫の命日だったらしいので、夏休みに古本屋で買った『倭をぐな』をぱらぱらめくった。
国文学を研究してきた人間が、晩年に外国と戦争が起こり、負けたらこの言葉が滅びるかもしれない、となったときに、たとえば歌人が、戦争の敗北=短歌表現の廃止、を予感したときに、戦争の勝利に協力するのは、ロジックとして自然なことだったのではないかと思えてくる。
現代の日本のわれわれが「戦争反対」というとき、侵略と防衛がひとくくりにされているし、勝利と敗北も、善悪の判断も当事者でないようなポジションから語られることが多い。
戦争というのは問題解決の手段としてもっとも下層のレイヤー(力くらべ)まで落ちた状態に発生するもので、だから戦争反対するには、レイヤーを落とさない努力が必要だろう。あと、相手のレイヤーを落とさせないようにする必要もある。
短歌の話ぜんぜん関係ないな。いや、関係なくはないか。釈迢空読んでの感想でもあるし。
自選とコメント。
「後」
商店街ほどよくさびれぼくたちの前にも後ろにも揺れる夏
「氷」
焼酎の氷がなくてクーラーもない部屋で今日がその日になるか
※その日って何でしょうね。飾り気のない酒を飲んで、汗がひかないような場所で、そういう日常性がふっとぶようなその日。
「鼻歌」
うれしそうな顔ではないが鼻歌が聞こえて、きみと来れてよかった
「それから」
いじめられた記憶を捨てる何回も何回も何回も、それから
※脳っていうのは、思い出すたびに痛みも再現するらしいですね。捨て続けることで補強される記憶ってことですかね。
「蛾」
三千一人目に蝶と言われてもぼくはじぶんを信じられるか
※人が自分を信じられるのは、3人必要な気がします。「わたし」と「あなた」と、あと一人。
「自由詠」
ブラジルでゴジラが3000本打ってそのお言葉に連日猛暑
※うたの日は、10日はじゅう、自由詠の日みたいですね(この月は11日でしたが)。この歌はマルコフ連鎖っぽく、このころ話題になっている言葉を圧縮したような短歌。
「訳」
話すたび空気が凍る、最新のこの翻訳機壊れてねえか?
※未来の話かしら。翻訳機を使うってことは、それが正しく訳されているかを当人は判断できない、という歯がゆさがうたわれている。一方で、それは本当に翻訳機の故障なのか? 彼自身が空気の凍ることをしゃべって気づいていないのではないか? という、これも当人が自分を判断できない、という歯がゆさが二重になっている。
「空」
世界平和の最後のフェイズで選ばれる"力"、反転しゆく空想
※世界平和のモデルを空想していく時に、”力”は、どのように利用されるべきか。この空想では、ぎりぎりまで力は使わなかったが、一度使ってしまうと、オセロのように反転していったようだ。
「たられば」
きみたちはたとえば羽根が付いててもカニと呼ぶねとタラバが告げる
※タラバガニは、分類的にはカニではないのよね。でもカニっぽかったら、うまかったら、なんとかガニって名付けるよね。羽根つきガニとか。
「ピアス」
口裂け女がマックの肉を疑って耳たぶに視神経が垂れおり
※ピアスの都市伝説に、穴を空けると耳から糸が垂れていて、引っ張ると失明する、というのがかつてあった。これは禁忌がそういう物語を生んだ面白いケースだと思うが、これ、今でも知ってる人いるのかな。
「開」
開かれた校風なので存分に塞(ふさ)いでられると思ってたのに
「蝉」
道の上の死骸のなかにかつて有りし命よ、いまは何のかたちか
※幼虫が蝉になって、死もまた脱皮なのだとしたら、という着想。
2016年08月うたの日自作品の31首
「後」
商店街ほどよくさびれぼくたちの前にも後ろにも揺れる夏
「氷」
焼酎の氷がなくてクーラーもない部屋で今日がその日になるか
「昔の恋人」
運がいい二人だったよ、もう二度と会わぬところでしあわせになり
「怒」
皮肉とか揶揄の一首で済むやうな政治の怒りを流しゐるなり
「鼻歌」
うれしそうな顔ではないが鼻歌が聞こえて、きみと来れてよかった
「様」
さまざまな想いを載せてふく風の、つまりおもいは重くないから
「それから」
いじめられた記憶を捨てる何回も何回も何回も、それから
「八」
七日目に神は休んで八日目の月曜が鬱、(日本人かよ)
「蛾」
三千一人目に蝶と言われてもぼくはじぶんを信じられるか
「田舎」
あの冬の曇った窓を額にして田舎があった、嘘かもしれん
「自由詠」
ブラジルでゴジラが3000本打ってそのお言葉に連日猛暑
「油」
歯車になれない男、そういえば潤滑油だとアピールしてた
「訳」
話すたび空気が凍る、最新のこの翻訳機壊れてねえか?
「タオル」
ふたりしてタオルを首に巻いているお互い特に気にしないふり
「願」
願い事は三回言えぬシステムで(流星群の持ち越しもなし)
「空」
世界平和の最後のフェイズで選ばれる"力"、反転しゆく空想
「途中」
青春にして已(や)むという名言がいぶかし、それは途中での死か
「ごっこ」
今日もコンビニ弁当かよと猫が言う、ネクタイをゆるめつつにゃあと言う
「年下」
年下に弱音を吐いて内心にいよいよ醒めてゆくさびしさの
「だって」
「おれはいいと思うしたぶん友達がそうでも関係ないから、だって」
「ジャスコ」
主旋律をピアニカでカバーした曲のジャスコミュージックめく切なさ
「宝物」
宝物庫にあと千年は眠ります次の支配者の瞳(め)を想いつつ
「暇」
残業をする暇人の同僚と別れてながく生を自問いており
「たられば」
きみたちはたとえば羽根が付いててもカニと呼ぶねとタラバが告げる
「ピアス」
口裂け女がマックの肉を疑って耳たぶに視神経が垂れおり
「開」
開かれた校風なので存分に塞(ふさ)いでられると思ってたのに
「トンネル」
光量の多い世界と知るために暗くて狭い日々は要るのか
「蝉」
道の上の死骸のなかにかつて有りし命よ、いまは何のかたちか
「商店街」
振り返るこんな短いふるさとの商店街の終わりに着いて
「テーマパーク」
ぼくだけが夢も魔法も届かない背伸びをしても110センチ
「素人」
月明かりでさいわいが見えてくるなんて神さまもたぶん素人だった
商店街ほどよくさびれぼくたちの前にも後ろにも揺れる夏
「氷」
焼酎の氷がなくてクーラーもない部屋で今日がその日になるか
「昔の恋人」
運がいい二人だったよ、もう二度と会わぬところでしあわせになり
「怒」
皮肉とか揶揄の一首で済むやうな政治の怒りを流しゐるなり
「鼻歌」
うれしそうな顔ではないが鼻歌が聞こえて、きみと来れてよかった
「様」
さまざまな想いを載せてふく風の、つまりおもいは重くないから
「それから」
いじめられた記憶を捨てる何回も何回も何回も、それから
「八」
七日目に神は休んで八日目の月曜が鬱、(日本人かよ)
「蛾」
三千一人目に蝶と言われてもぼくはじぶんを信じられるか
「田舎」
あの冬の曇った窓を額にして田舎があった、嘘かもしれん
「自由詠」
ブラジルでゴジラが3000本打ってそのお言葉に連日猛暑
「油」
歯車になれない男、そういえば潤滑油だとアピールしてた
「訳」
話すたび空気が凍る、最新のこの翻訳機壊れてねえか?
「タオル」
ふたりしてタオルを首に巻いているお互い特に気にしないふり
「願」
願い事は三回言えぬシステムで(流星群の持ち越しもなし)
「空」
世界平和の最後のフェイズで選ばれる"力"、反転しゆく空想
「途中」
青春にして已(や)むという名言がいぶかし、それは途中での死か
「ごっこ」
今日もコンビニ弁当かよと猫が言う、ネクタイをゆるめつつにゃあと言う
「年下」
年下に弱音を吐いて内心にいよいよ醒めてゆくさびしさの
「だって」
「おれはいいと思うしたぶん友達がそうでも関係ないから、だって」
「ジャスコ」
主旋律をピアニカでカバーした曲のジャスコミュージックめく切なさ
「宝物」
宝物庫にあと千年は眠ります次の支配者の瞳(め)を想いつつ
「暇」
残業をする暇人の同僚と別れてながく生を自問いており
「たられば」
きみたちはたとえば羽根が付いててもカニと呼ぶねとタラバが告げる
「ピアス」
口裂け女がマックの肉を疑って耳たぶに視神経が垂れおり
「開」
開かれた校風なので存分に塞(ふさ)いでられると思ってたのに
「トンネル」
光量の多い世界と知るために暗くて狭い日々は要るのか
「蝉」
道の上の死骸のなかにかつて有りし命よ、いまは何のかたちか
「商店街」
振り返るこんな短いふるさとの商店街の終わりに着いて
「テーマパーク」
ぼくだけが夢も魔法も届かない背伸びをしても110センチ
「素人」
月明かりでさいわいが見えてくるなんて神さまもたぶん素人だった
2016年9月3日土曜日
2014年08月作品雑感。
2年前の8月は毎日3首作ってたみたいですね。ログから拾うのが大変だ。
昨夜、ツイッターの短歌クラスタの方のキャスに参加しながら、話題が題詠になったのだが、題詠をどのように考えているか、というのは、人によって異なるようだ。
戦後、短歌が文学であろうと攻めていかざるを得なかった時期は、なんというか、題詠という、歌題を誰かから与えられて、それを上手く消化するような技芸的な側面は、かなり軽んじられたであろうことは想像に難くない。湧き出てくるテーマ、あるいは、狩りに赴くような戦闘的な作歌姿勢、そのようなものが是とせられ、日常のなかでふと思うような、果報は寝て待っているような、小市民的な待ちの文芸、高齢者の余生のたしなみのような趣味ではあってはならないような、そういう前衛さが若者を惹きつけていた側面というのはあったと思う。
でも、逆説的、と言ってよいかどうか、短歌は、かつての上代の「ハレ」の文学でなくなって久しい現在、機会詩として、じつはきわめて効果的な形態なのかもしれない。
連作して、まとまった思想を述べる形式なんかよりも、けっきょく作者=<私>の諒解の中で、日記のような微細な発見、表現のあや、題を消化する技芸が、面白かったり、うけたりするんだよね。
あ、あと、題詠というのは、意外にセラピーの側面が強いような気がしている。シュールレアリスムの自動筆記、とまでいかなくても、題のために表現を練るなかで、自分の中で思いもよらない表現が生まれ、それが、悩める自己を相対化する側面もあるようだ。
題詠をそのように評価する人を、何人か知っている。
自選とか感想とか。
おおこんなさみしい赤ちょうちんにまでレリゴー流る、流されている
※2年前はアナ雪の音楽流れてましたねー
脊索が新参だった長い春未来の謳歌の夢を見るなり
かわいいの価値たちまちに移譲されその時に君の近くにいたし
ありふれた光あふれた明日へと器官は向かいたがると思(も)えり
妄想も年を経るれば何かこう偉大なものに化けたり、せぬか
生まれきて居場所をずっと探したる野良猫今日は現れずなり
もう少し人間の形していんと思う夜なり鏡に映れば
直前の一縷の望みを思いいき閉じ込められて沈む巨船の
※そういえばこのころ、韓国で修学旅行生が船に沈む事故がニュースを騒がせました。時事はリアルタイムで歌うことがあまりないので、しばらく経ってからかもしれません。
変則というまっすぐを孤独にも謳歌しているかうもりである
もう二度と離れぬメタか「悲しすぎワロタ」と云いて哀しくおかし
「はらじゅくうー、はらじゅくうー」と明け方の自動放送が原宿に告ぐ
本心を隠すためなる英語とう日本的なる使用法にや
傘の先でコンクリートを響かせてそのドメイン(域)の返事を待てり
真夜中に母を思いて涕泣す、感傷的ということでいい
ブロッホはこんな孤独なキリストに天使を添えて、孤独極まる
原初から女はエロしクリムトがアーチに描くエジプト乙女
意識淡い母の手を取りゆっくりとごくゆっくりと新宿をゆく
色彩というより光の量として金色多く描く世界は
※金色って、色じゃなくて、光量の表現だよね、という歌
ブッテーをぐるっと回し休みたり川から見上ぐ人間の街
※ブッテーというのは、漁具ですね。
人間は燃料に似て山手線は駅ごとに人を入れ替え進む
不在にも慣れる心ぞ、路地裏の涼しいというか消えきらぬ冷え
この水はいつの雪どけ、伏流の闇をしずかに沁み流れきて
波の上の時に逆巻く渦としてその尊きを生とは呼べり
※生という現象は結局なんなのか、というのをエントロピー的に考えると、こういう表現にならない?
極東の島国の若き制服の娘もムンクは近しきてあり
※日本人ムンク好きだよね。でもけっこう宗教的だぜ、彼。
遠日点は過ぎておろうに粛(さむ)くなれば思う星には距離が要ること
グレゴリオ聖歌を流す理由などぽつりぽつりと話すほど酔う
痛々しい年代などはないのだとはにかんですましてはにかんで
昨夜、ツイッターの短歌クラスタの方のキャスに参加しながら、話題が題詠になったのだが、題詠をどのように考えているか、というのは、人によって異なるようだ。
戦後、短歌が文学であろうと攻めていかざるを得なかった時期は、なんというか、題詠という、歌題を誰かから与えられて、それを上手く消化するような技芸的な側面は、かなり軽んじられたであろうことは想像に難くない。湧き出てくるテーマ、あるいは、狩りに赴くような戦闘的な作歌姿勢、そのようなものが是とせられ、日常のなかでふと思うような、果報は寝て待っているような、小市民的な待ちの文芸、高齢者の余生のたしなみのような趣味ではあってはならないような、そういう前衛さが若者を惹きつけていた側面というのはあったと思う。
でも、逆説的、と言ってよいかどうか、短歌は、かつての上代の「ハレ」の文学でなくなって久しい現在、機会詩として、じつはきわめて効果的な形態なのかもしれない。
連作して、まとまった思想を述べる形式なんかよりも、けっきょく作者=<私>の諒解の中で、日記のような微細な発見、表現のあや、題を消化する技芸が、面白かったり、うけたりするんだよね。
あ、あと、題詠というのは、意外にセラピーの側面が強いような気がしている。シュールレアリスムの自動筆記、とまでいかなくても、題のために表現を練るなかで、自分の中で思いもよらない表現が生まれ、それが、悩める自己を相対化する側面もあるようだ。
題詠をそのように評価する人を、何人か知っている。
自選とか感想とか。
おおこんなさみしい赤ちょうちんにまでレリゴー流る、流されている
※2年前はアナ雪の音楽流れてましたねー
脊索が新参だった長い春未来の謳歌の夢を見るなり
かわいいの価値たちまちに移譲されその時に君の近くにいたし
ありふれた光あふれた明日へと器官は向かいたがると思(も)えり
妄想も年を経るれば何かこう偉大なものに化けたり、せぬか
生まれきて居場所をずっと探したる野良猫今日は現れずなり
もう少し人間の形していんと思う夜なり鏡に映れば
直前の一縷の望みを思いいき閉じ込められて沈む巨船の
※そういえばこのころ、韓国で修学旅行生が船に沈む事故がニュースを騒がせました。時事はリアルタイムで歌うことがあまりないので、しばらく経ってからかもしれません。
変則というまっすぐを孤独にも謳歌しているかうもりである
もう二度と離れぬメタか「悲しすぎワロタ」と云いて哀しくおかし
「はらじゅくうー、はらじゅくうー」と明け方の自動放送が原宿に告ぐ
本心を隠すためなる英語とう日本的なる使用法にや
傘の先でコンクリートを響かせてそのドメイン(域)の返事を待てり
真夜中に母を思いて涕泣す、感傷的ということでいい
ブロッホはこんな孤独なキリストに天使を添えて、孤独極まる
原初から女はエロしクリムトがアーチに描くエジプト乙女
意識淡い母の手を取りゆっくりとごくゆっくりと新宿をゆく
色彩というより光の量として金色多く描く世界は
※金色って、色じゃなくて、光量の表現だよね、という歌
ブッテーをぐるっと回し休みたり川から見上ぐ人間の街
※ブッテーというのは、漁具ですね。
人間は燃料に似て山手線は駅ごとに人を入れ替え進む
不在にも慣れる心ぞ、路地裏の涼しいというか消えきらぬ冷え
この水はいつの雪どけ、伏流の闇をしずかに沁み流れきて
波の上の時に逆巻く渦としてその尊きを生とは呼べり
※生という現象は結局なんなのか、というのをエントロピー的に考えると、こういう表現にならない?
極東の島国の若き制服の娘もムンクは近しきてあり
※日本人ムンク好きだよね。でもけっこう宗教的だぜ、彼。
遠日点は過ぎておろうに粛(さむ)くなれば思う星には距離が要ること
グレゴリオ聖歌を流す理由などぽつりぽつりと話すほど酔う
痛々しい年代などはないのだとはにかんですましてはにかんで
2014年08月の93首
おおこんなさみしい赤ちょうちんにまでレリゴー流る、流されている
形までゆがんでからぞ人間の個性、すなわち幸と不幸の
悪人を滅ぼさずして宇宙とは善人を置く規則のごとく
弱りきってきたない猫が家に来てかわいそうだが助けてやれぬ
風呂の湯でシャンプーを流し頭ごと小動物の死を泣き流す
たい焼きの少し経ちたるやわらかくあたたかく絶大なるうまし
妄想は頑固なよごれ、十ごとにタイルを擦(こす)り落ちずまた十
生きているものごとのたぶん一部にて残酷は少しずつ変化する
音楽の波形のようにわが価値が揺れている、上下対称にして
脊索が新参だった長い春未来の謳歌の夢を見るなり
かわいいの価値たちまちに移譲されその時に君の近くにいたし
わくわくもどきどきもない義務的なコールドスリープのように明日へ
夥(おびただ)しい蚯蚓(みみず)歩道に畝(うね)り来て潰れて干(ひ)りて蟻の餌(え)となる
椅子の上に膝たてて座し汗ばんで団扇片手に休日を読む
眠れずに輾転反側する我の体内アルコールが過去を呼ぶ
さよならを言うこともないさよならのはじまらざれば終わることなし
想念は無形のくらげ、顔に着いて音声として口より出でる
ありふれた光あふれた明日へと器官は向かいたがると思(も)えり
妄想も年を経るれば何かこう偉大なものに化けたり、せぬか
貝葉に言葉を写し我の後も残さんとする人の手跡よ
ポテンシャルもおそらくわずか、毎日のぽてんしゃらざる課業をこなし
生まれきて居場所をずっと探したる野良猫今日は現れずなり
擬人化する地球が怒る汚染図のその奥の汚染が伝わる不快
文字のない希望と文字の絶望を闘わせいる、今日は希望が勝ちぬ
電気の頭脳に水のコンピュータの我がコマンドを打つ、答えは速し
現実はクサいセリフを吐くことでしのぐも後で二の腕を嗅ぐ
眠りつつ恢復しゆくたましいの確かに配るべき世にあれば
ポケットにひとにぎりほどの尊厳をもてあそびつつ生きてありたし
特急が通過する時吹く風の心地よき春や秋にはあらず
もう少し人間の形していんと思う夜なり鏡に映れば
先見を持たぬ男はもくもくと革命までの世界を積めり
直前の一縷の望みを思いいき閉じ込められて沈む巨船の
経験者募集の張り紙の下で我を見て猫が逃げようとせず
変則というまっすぐを孤独にも謳歌しているかうもりである
ふるさとをかなしく見ればふるさとは悲しい男をただ入れてゆく
もう二度と離れぬメタか「悲しすぎワロタ」と云いて哀しくおかし
「はらじゅくうー、はらじゅくうー」と明け方の自動放送が原宿に告ぐ
本心を隠すためなる英語とう日本的なる使用法にや
人生に目的があるようにないように悲惨な死者のニュースが流る
水割りを間違えて水を水で割り飲んで気付けり考えおれば
傘の先でコンクリートを響かせてそのドメイン(域)の返事を待てり
真夜中に母を思いて涕泣す、感傷的ということでいい
一億年われは爬虫に追われきてまだ恐ろしく共存しおり
ぼつぼつとさみしさの降る夕まぐれ傘差してそれを避けてもさみし
身の肉のうまきところを切り取って差し出せばそれを平然と食う
歩き煙草の馬鹿を追い越しその先にまた馬鹿がいるわれの中では
ブロッホはこんな孤独なキリストに天使を添えて、孤独極まる
キュレーターというよりいわばフィルターの小アイコンが端末に棲む
誰か死んだかしらぬ電車の遅延分足早に歩き流れる汗ぞ
壁がいつか道になるとはリングシュトラーセに祈りのような葉漏れ日
風にたつ髪をおさえて空港という港(みなと)にとって時化ている空
ディテールの針で掘る時ゆびさきの腹にかすかに悲の音(ね)を聞けり
原初から女はエロしクリムトがアーチに描くエジプト乙女
人格を問わずともよい今様の短歌であるが読む人はいる
部屋で見る線香花火の幻想の為に小さめのバケツを探す
先人は同じ苦悩を持ちながら言わずにゆける、歴史はいらぬ
イヤホンの僕のうしろに声がして振り向く、おお白(しろ)百日紅花(ばな)
シャクシャインの仇を討つ夢、日本人だがシャモではないとわれを決めつつ
意識淡い母の手を取りゆっくりとごくゆっくりと新宿をゆく
色彩というより光の量として金色多く描く世界は
古綿のようなる雲の下の町、記憶はいつも冬の駅前
風景画の風景を胸に押し入れて君に会いたし、役薄ければ
センチメントは弱々しさを隠すほど屹立なんて語を今使う
悔恨の涙は仰向けなるわれの耳へと流る、唇が開く
ブッテーをぐるっと回し休みたり川から見上ぐ人間の街
夏なのに駘蕩に近き心地して背を預けいる、思うこと多々
世が世なら省線電車に揺れている部屋によこたう空腹男
ポエジーでやりすごそうとする生の伐り過ぎた枝の目立つ心地の
一応の根拠はないがこの労を終えれば暦の下も秋かも
どうかしてこんなに酒を酔うのかを聞かれずなりきこの一人酔う
人間は燃料に似て山手線は駅ごとに人を入れ替え進む
音のない暴風の尺を飛び越えてヘリオテイルのふさふさと揺る
思いたり、花火が空を割る時の己が成否を問わぬ呵成を
溶解の実験で混ぜている時の、中年の目は濁るのならば
不在にも慣れる心ぞ、路地裏の涼しいというか消えきらぬ冷え
左衛門(さえもん)がゼイムとなりしこの家の彼を屋号で呼べばはにかむ
無人島の一枚として選び終え無人の島に立つまで聴かず
生き場所か死に場所にせよもう少し男は明るくならねばならん
この水はいつの雪どけ、伏流の闇をしずかに沁み流れきて
波の上の時に逆巻く渦としてその尊きを生とは呼べり
信念を投げてからではそののちに何万の言を積んでは載らず
遠景に四五本の高き塔ありて手前は水の曲がるこの丘
いやしくて卑怯に生きる人間も尊いという山中の鬼
ここからはわかればかりだわんわんとなきたきこころをポケットにいれ
極東の島国の若き制服の娘もムンクは近しきてあり
被虐なる輪廻輪廻を転がりて君に遇いたり、かたじけがない
この息はやっちゃいけないため息で強引に深呼吸へと替える
エドヴァルドムンクは病んでいたりけり彼の属する世界に沿いて
人と飲んで酔ってひとりの帰り道みじめへ踏み外さぬよう必死
遠日点は過ぎておろうに粛(さむ)くなれば思う星には距離が要ること
グレゴリオ聖歌を流す理由などぽつりぽつりと話すほど酔う
痛々しい年代などはないのだとはにかんですましてはにかんで
蛮勇も勇には見えて臆病も深慮に見えて谷を登りつ
形までゆがんでからぞ人間の個性、すなわち幸と不幸の
悪人を滅ぼさずして宇宙とは善人を置く規則のごとく
弱りきってきたない猫が家に来てかわいそうだが助けてやれぬ
風呂の湯でシャンプーを流し頭ごと小動物の死を泣き流す
たい焼きの少し経ちたるやわらかくあたたかく絶大なるうまし
妄想は頑固なよごれ、十ごとにタイルを擦(こす)り落ちずまた十
生きているものごとのたぶん一部にて残酷は少しずつ変化する
音楽の波形のようにわが価値が揺れている、上下対称にして
脊索が新参だった長い春未来の謳歌の夢を見るなり
かわいいの価値たちまちに移譲されその時に君の近くにいたし
わくわくもどきどきもない義務的なコールドスリープのように明日へ
夥(おびただ)しい蚯蚓(みみず)歩道に畝(うね)り来て潰れて干(ひ)りて蟻の餌(え)となる
椅子の上に膝たてて座し汗ばんで団扇片手に休日を読む
眠れずに輾転反側する我の体内アルコールが過去を呼ぶ
さよならを言うこともないさよならのはじまらざれば終わることなし
想念は無形のくらげ、顔に着いて音声として口より出でる
ありふれた光あふれた明日へと器官は向かいたがると思(も)えり
妄想も年を経るれば何かこう偉大なものに化けたり、せぬか
貝葉に言葉を写し我の後も残さんとする人の手跡よ
ポテンシャルもおそらくわずか、毎日のぽてんしゃらざる課業をこなし
生まれきて居場所をずっと探したる野良猫今日は現れずなり
擬人化する地球が怒る汚染図のその奥の汚染が伝わる不快
文字のない希望と文字の絶望を闘わせいる、今日は希望が勝ちぬ
電気の頭脳に水のコンピュータの我がコマンドを打つ、答えは速し
現実はクサいセリフを吐くことでしのぐも後で二の腕を嗅ぐ
眠りつつ恢復しゆくたましいの確かに配るべき世にあれば
ポケットにひとにぎりほどの尊厳をもてあそびつつ生きてありたし
特急が通過する時吹く風の心地よき春や秋にはあらず
もう少し人間の形していんと思う夜なり鏡に映れば
先見を持たぬ男はもくもくと革命までの世界を積めり
直前の一縷の望みを思いいき閉じ込められて沈む巨船の
経験者募集の張り紙の下で我を見て猫が逃げようとせず
変則というまっすぐを孤独にも謳歌しているかうもりである
ふるさとをかなしく見ればふるさとは悲しい男をただ入れてゆく
もう二度と離れぬメタか「悲しすぎワロタ」と云いて哀しくおかし
「はらじゅくうー、はらじゅくうー」と明け方の自動放送が原宿に告ぐ
本心を隠すためなる英語とう日本的なる使用法にや
人生に目的があるようにないように悲惨な死者のニュースが流る
水割りを間違えて水を水で割り飲んで気付けり考えおれば
傘の先でコンクリートを響かせてそのドメイン(域)の返事を待てり
真夜中に母を思いて涕泣す、感傷的ということでいい
一億年われは爬虫に追われきてまだ恐ろしく共存しおり
ぼつぼつとさみしさの降る夕まぐれ傘差してそれを避けてもさみし
身の肉のうまきところを切り取って差し出せばそれを平然と食う
歩き煙草の馬鹿を追い越しその先にまた馬鹿がいるわれの中では
ブロッホはこんな孤独なキリストに天使を添えて、孤独極まる
キュレーターというよりいわばフィルターの小アイコンが端末に棲む
誰か死んだかしらぬ電車の遅延分足早に歩き流れる汗ぞ
壁がいつか道になるとはリングシュトラーセに祈りのような葉漏れ日
風にたつ髪をおさえて空港という港(みなと)にとって時化ている空
ディテールの針で掘る時ゆびさきの腹にかすかに悲の音(ね)を聞けり
原初から女はエロしクリムトがアーチに描くエジプト乙女
人格を問わずともよい今様の短歌であるが読む人はいる
部屋で見る線香花火の幻想の為に小さめのバケツを探す
先人は同じ苦悩を持ちながら言わずにゆける、歴史はいらぬ
イヤホンの僕のうしろに声がして振り向く、おお白(しろ)百日紅花(ばな)
シャクシャインの仇を討つ夢、日本人だがシャモではないとわれを決めつつ
意識淡い母の手を取りゆっくりとごくゆっくりと新宿をゆく
色彩というより光の量として金色多く描く世界は
古綿のようなる雲の下の町、記憶はいつも冬の駅前
風景画の風景を胸に押し入れて君に会いたし、役薄ければ
センチメントは弱々しさを隠すほど屹立なんて語を今使う
悔恨の涙は仰向けなるわれの耳へと流る、唇が開く
ブッテーをぐるっと回し休みたり川から見上ぐ人間の街
夏なのに駘蕩に近き心地して背を預けいる、思うこと多々
世が世なら省線電車に揺れている部屋によこたう空腹男
ポエジーでやりすごそうとする生の伐り過ぎた枝の目立つ心地の
一応の根拠はないがこの労を終えれば暦の下も秋かも
どうかしてこんなに酒を酔うのかを聞かれずなりきこの一人酔う
人間は燃料に似て山手線は駅ごとに人を入れ替え進む
音のない暴風の尺を飛び越えてヘリオテイルのふさふさと揺る
思いたり、花火が空を割る時の己が成否を問わぬ呵成を
溶解の実験で混ぜている時の、中年の目は濁るのならば
不在にも慣れる心ぞ、路地裏の涼しいというか消えきらぬ冷え
左衛門(さえもん)がゼイムとなりしこの家の彼を屋号で呼べばはにかむ
無人島の一枚として選び終え無人の島に立つまで聴かず
生き場所か死に場所にせよもう少し男は明るくならねばならん
この水はいつの雪どけ、伏流の闇をしずかに沁み流れきて
波の上の時に逆巻く渦としてその尊きを生とは呼べり
信念を投げてからではそののちに何万の言を積んでは載らず
遠景に四五本の高き塔ありて手前は水の曲がるこの丘
いやしくて卑怯に生きる人間も尊いという山中の鬼
ここからはわかればかりだわんわんとなきたきこころをポケットにいれ
極東の島国の若き制服の娘もムンクは近しきてあり
被虐なる輪廻輪廻を転がりて君に遇いたり、かたじけがない
この息はやっちゃいけないため息で強引に深呼吸へと替える
エドヴァルドムンクは病んでいたりけり彼の属する世界に沿いて
人と飲んで酔ってひとりの帰り道みじめへ踏み外さぬよう必死
遠日点は過ぎておろうに粛(さむ)くなれば思う星には距離が要ること
グレゴリオ聖歌を流す理由などぽつりぽつりと話すほど酔う
痛々しい年代などはないのだとはにかんですましてはにかんで
蛮勇も勇には見えて臆病も深慮に見えて谷を登りつ
2015年12月13日日曜日
2013年08月作品雑感。
この月の作品は、このブログをこのころスタートしたこともあって、すでに掲載している。
2013原爆対話編と八月円環記の二つだ。
八月円環記は、8/1から8/31までの短歌を、5句の言葉と初句を繋いだもので、「八月の〜身じろぐ」→「身じろぎも〜はじまり」→「はじまりは〜噴出孔の」とつなぎ、最後「怯えては〜いとし、八月」で風味を閉じ込めたものであります。料理か。
原爆対話篇は、そのなかの8/6の一首からのスピンオフで、俳句と短歌が返しあう対話形式とした。
自選。
身じろぎもせぬ一瞬が承諾か拒絶か聞けぬ夏のはじまり
噴出孔の熱のけぶりに交ぜられて強く閉じれば目の生(あ)るるなり
一景に迷う、廃墟の東京の地震の秋か空襲の春か
生まれたる以上死なねばならぬのに生き方だけを述ぶる本閉ず
2013原爆対話編と八月円環記の二つだ。
八月円環記は、8/1から8/31までの短歌を、5句の言葉と初句を繋いだもので、「八月の〜身じろぐ」→「身じろぎも〜はじまり」→「はじまりは〜噴出孔の」とつなぎ、最後「怯えては〜いとし、八月」で風味を閉じ込めたものであります。料理か。
原爆対話篇は、そのなかの8/6の一首からのスピンオフで、俳句と短歌が返しあう対話形式とした。
自選。
身じろぎもせぬ一瞬が承諾か拒絶か聞けぬ夏のはじまり
噴出孔の熱のけぶりに交ぜられて強く閉じれば目の生(あ)るるなり
一景に迷う、廃墟の東京の地震の秋か空襲の春か
生まれたる以上死なねばならぬのに生き方だけを述ぶる本閉ず
2013年08月の35首(と5句)
八月の息を大きく吸うわれに柑橘は色を増して身じろぐ
身じろぎもせぬ一瞬が承諾か拒絶か聞けぬ夏のはじまり
はじまりは我の意識の浮かぶ海の小暗(おぐら)き熱水噴出孔の
噴出孔の熱のけぶりに交ぜられて強く閉じれば目の生(あ)るるなり
生るる神は身罷る神を笑いつつ一新しおり敬意にも似て
相似なす自然の不思議マシュルームクラウドをかつてアメリカは植ゆ
季語として句作いそいそ原爆忌
爆弾を落とした罪はさておいて反省しおり苦い顔して
そも比喩は不謹慎なりオクラ交(ま)ず
竹山広全歌集読み重たかり想像力も荷を背負うごと
積乱雲を遠景として蝉の死ぬ
無生物の同心円の中心の血走った目をブルと呼ぶかも
子孫からの糾弾愛(う)きや慰霊祭
爆弾は精神へ至るプロトコルの物理層にて確固とならむ
ひこうきもきのこも夢は美しき
植えるにはあらず広がるヨシ原の手を探り入れて楽し子供は
子供らも今駆け抜ける現在を老いて懐古の一景とせむ
一景に迷う、廃墟の東京の地震の秋か空襲の春か
春の芽のもうぐんぐんとどんどんと開くとは今を過去にすること
過去の過誤を繰り返すごと善意なお湧く生とうに苦笑いなる
苦笑いして聴いているシステムへの不満のようで要は不平に
不平怏怏(おうおう)水のシャワーで流しいてサーモグラフの青き生まで
生まれたる以上死なねばならぬのに生き方だけを述ぶる本閉ず
本閉じて人と狭さを分かち合う電車、混むのが止むまで戦後は
戦後には戦後の論理、真っ青な空に見入りし感慨なども
感慨はゲニウス・ロキの草むらのヘビの脱皮と風化してゆく
風化して形こぼれていく時に白亜の記憶刹那、脳裏に
脳裏には何度目の夏、上向きの蛇口の水の弧に口を寄す
口を寄すれば嘴が突くコザクラの戦略の枝ふるく懐(なつ)けり
懐かない子らを見守る公園の遊具のゾウは明るきブルー
ブルーなす夜にかがやく満月は理由になるので君に会わずき
会わず思えば星飛雄馬のほっぺたの猫ひげを持つ女と言えり
言いながら詮(せん)ないことと承知して矛先を天に向ける、白雨の
白雨過ぎ雲まだまだらなる空に大会決行の花火とどろく
とどろいて土砂降る雷雨、人間が追い出されるまでゲリラは続き
続きはまた今度と明るく手を振ってそういう風に終わるかたちだ
かたち確かにベントス(底生生物)らしく奇妙にて身を割けば白き肉美味ならん
美味も喉三寸にしてそののちは君の不在も在も苦しき
苦しい日の餌を求めるアリのごと甘味を嗅げり、少し怯えて
怯えては振り返りつつ前に行く背中を見ればいとし、八月
身じろぎもせぬ一瞬が承諾か拒絶か聞けぬ夏のはじまり
はじまりは我の意識の浮かぶ海の小暗(おぐら)き熱水噴出孔の
噴出孔の熱のけぶりに交ぜられて強く閉じれば目の生(あ)るるなり
生るる神は身罷る神を笑いつつ一新しおり敬意にも似て
相似なす自然の不思議マシュルームクラウドをかつてアメリカは植ゆ
季語として句作いそいそ原爆忌
爆弾を落とした罪はさておいて反省しおり苦い顔して
そも比喩は不謹慎なりオクラ交(ま)ず
竹山広全歌集読み重たかり想像力も荷を背負うごと
積乱雲を遠景として蝉の死ぬ
無生物の同心円の中心の血走った目をブルと呼ぶかも
子孫からの糾弾愛(う)きや慰霊祭
爆弾は精神へ至るプロトコルの物理層にて確固とならむ
ひこうきもきのこも夢は美しき
植えるにはあらず広がるヨシ原の手を探り入れて楽し子供は
子供らも今駆け抜ける現在を老いて懐古の一景とせむ
一景に迷う、廃墟の東京の地震の秋か空襲の春か
春の芽のもうぐんぐんとどんどんと開くとは今を過去にすること
過去の過誤を繰り返すごと善意なお湧く生とうに苦笑いなる
苦笑いして聴いているシステムへの不満のようで要は不平に
不平怏怏(おうおう)水のシャワーで流しいてサーモグラフの青き生まで
生まれたる以上死なねばならぬのに生き方だけを述ぶる本閉ず
本閉じて人と狭さを分かち合う電車、混むのが止むまで戦後は
戦後には戦後の論理、真っ青な空に見入りし感慨なども
感慨はゲニウス・ロキの草むらのヘビの脱皮と風化してゆく
風化して形こぼれていく時に白亜の記憶刹那、脳裏に
脳裏には何度目の夏、上向きの蛇口の水の弧に口を寄す
口を寄すれば嘴が突くコザクラの戦略の枝ふるく懐(なつ)けり
懐かない子らを見守る公園の遊具のゾウは明るきブルー
ブルーなす夜にかがやく満月は理由になるので君に会わずき
会わず思えば星飛雄馬のほっぺたの猫ひげを持つ女と言えり
言いながら詮(せん)ないことと承知して矛先を天に向ける、白雨の
白雨過ぎ雲まだまだらなる空に大会決行の花火とどろく
とどろいて土砂降る雷雨、人間が追い出されるまでゲリラは続き
続きはまた今度と明るく手を振ってそういう風に終わるかたちだ
かたち確かにベントス(底生生物)らしく奇妙にて身を割けば白き肉美味ならん
美味も喉三寸にしてそののちは君の不在も在も苦しき
苦しい日の餌を求めるアリのごと甘味を嗅げり、少し怯えて
怯えては振り返りつつ前に行く背中を見ればいとし、八月
2013年8月31日土曜日
八月円環記
八月円環記
八月の息を大きく吸うわれに柑橘は色を増して身じろぐ
身じろぎもせぬ一瞬が承諾か拒絶か聞けぬ夏のはじまり
はじまりは我の意識の浮かぶ海の小暗(おぐら)き熱水噴出孔の
噴出孔の熱のけぶりに交ぜられて強く閉じれば目の生(あ)るるなり
生るる神は身罷る神を笑いつつ一新しおり敬意にも似て
相似なす自然の不思議マシュルームクラウドをかつてアメリカは植ゆ
植えるにはあらず広がるヨシ原の手を探り入れて楽し子供は
子供らも今駆け抜ける現在を老いて懐古の一景とせむ
一景に迷う、廃墟の東京の地震の秋か空襲の春か
春の芽のもうぐんぐんとどんどんと開くとは今を過去にすること
過去の過誤を繰り返すごと善意なお湧く生とうに苦笑いなる
苦笑いして聴いているシステムへの不満のようで要は不平に
不平怏怏(おうおう)水のシャワーで流しいてサーモグラフの青き生まで
生まれたる以上死なねばならぬのに生き方だけを述ぶる本閉ず
本閉じて人と狭さを分かち合う電車、混むのが止むまで戦後は
戦後には戦後の論理、真っ青な空に見入りし感慨なども
感慨はゲニウス・ロキの草むらのヘビの脱皮と風化してゆく
風化して形こぼれていく時に白亜の記憶刹那、脳裏に
脳裏には何度目の夏、上向きの蛇口の水の弧に口を寄す
口を寄すれば嘴が突くコザクラの戦略の枝ふるく懐(なつ)けり
懐かない子らを見守る公園の遊具のゾウは明るきブルー
ブルーなす夜にかがやく満月は理由になるので君に会わずき
会わず思えば星飛雄馬のほっぺたの猫ひげを持つ女と言えり
言いながら詮(せん)ないことと承知して矛先を天に向ける、白雨の
白雨過ぎ雲まだまだらなる空に大会決行の花火とどろく
とどろいて土砂降る雷雨、人間が追い出されるまでゲリラは続き
続きはまた今度と明るく手を振ってそういう風に終わるかたちだ
かたち確かにベントス(底生生物)らしく奇妙にて身を割けば白き肉美味ならん
美味も喉三寸にしてそののちは君の不在も在も苦しき
苦しい日の餌を求めるアリのごと甘味を嗅げり、少し怯えて
怯えては振り返りつつ前に行く背中を見ればいとし、八月
2013年8月8日木曜日
2013原爆対話編
2013原爆対話編
季語として句作いそいそ原爆忌
爆弾を落とした罪はさておいて反省しおり苦い顔して
そも比喩は不謹慎なりオクラ交(ま)ず
竹山広全歌集読み重たかり想像力も荷を背負うごと
積乱雲を遠景として蝉の死ぬ
無生物の同心円の中心の血走った目をブルと呼ぶかも
子孫からの糾弾愛(う)きや慰霊祭
爆弾は精神へ至るプロトコルの物理層にて確固とならむ
ひこうきもきのこも夢は美しき
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