2015年11月22日日曜日

2013年02月の28首

スカラベが星を観るとうポエジーが学術となる21世紀

公正世界信念の外にはみ出して激流の天の川頭上たり

永遠に希望持たねばシシュポスの岩より軽きいじめと思う

ブロンズに輝く玉を佩きながら石の時代を措きしおほきみ

自転車のカワセミ号も錆びついてブレーキ音の響く川ぞい

ドーピングで剥奪されし栄光の後輪を手で回す、止まらず

返信のメールを消して書き直し角取ればそりゃ無難にもなる

手紙、電話、ファクス、メールと近づいて逢ってしまわぬまでが相聞

冷蔵庫にパンのシールを貼りしまま彼女は去りにけり、去りにけり

ともしびのまだしばらくは続くので暗きところに行かねばならぬ

第一歌の解釈あやしき万葉の菜摘ます君がかすみつつ笑む

グーグルアースにゲニウス・ロキも映されて蛇怒りつつ去っていくなり

衛星写真にコラージュされたふるさとの無人のくせに明るいおもて

よく言うとコンプレックスハーモニーそういう理由で君の隣に

情けない使命のごとし、ごう音を震わせて土砂を一日運ぶ

この席は窓の向こうに梅が見え図鑑に載らぬ鳥が止まれり

ケフェウスとアンドロメダの切手貼り届きし手紙の二つの意味ぞ

侵略的外来種として憎むべきかご抜け鳥のtweetを聞く

陰謀論の浮き出るメガネかけたまま毎日を歩き暗き足元

映画的演出のことは知りつつもこの方が心地よい歴史もの

ポップコーン取り続く指のふやけつつ塩キャラメルの娯楽を舐める

水車小屋の遠くに見える川辺にてオフィーリアの手のかたちを思えり

友を選ばば友から選ばれざる日々のバルで飲み干す一杯、二杯

水瓶座のぼれば乾季ようやくに終わらんとする異国の夜分

慈雨はじまりみるみる染まる土の色の雨とは何か土とは何か

打たれつつ思想は下から匂うべし冷たい雨が続くあいだに

貧しかった昭和を知らず名づけたる「維新」の声に亡霊さやぐ

百年を鎮まりかえる海はなく人間の声で無災をば祈る

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